山梨県は、複雑な個性を持つ土地である。
まず「交通の要所」であり、「山に囲まれた閉鎖空間」でもあるという、とても同居できそうもない両面を色濃く持っている。
山梨県は旧甲斐国とほぼイコールの県であるが、「甲斐」の語源自体 が「道の交わる交(カイ)」と
「山に囲まれた峡(カヒ)」という正反対の説がある。
県内でも、地域ごとの違いは大きい。県内は笹子峠に代表される数々の峠で甲府を中核とする「国中」と、それ以外の「郡内」に分断されている。
山の中の小さな土地で人口も少ない山梨県だが、それでいて日本史においては非常に目立つ地域である。平安時代から目立ちまくった武田氏。江戸時代から近年にいたっても、日本経済界で異彩を放つ甲州財閥(甲州商人)。両者ともに壮絶な内ゲバ体質であり、武田一門は一族で殺し合い、甲州財閥の時代になっても社長同士が刺客を雇って暗殺を狙うような恐ろしい土地だ。
そのくせ、山梨県人には強力な一体感があり、
殺し合いをしていたライバルと一致団結して事業に取り組んだりする。どっちなんだよ!
このように複雑な山梨県。
近年ではその団結力が存分に発揮され、富士山が世界文化遺産へ登録を成し遂げた。がっ一方、
人口の減少から甲府にはシャッター街が広がっており、「関東の奥座敷」 と呼ばれた石和温泉の衰退など問題も多い。
一体、山梨県とは、そして山梨県民とはいかなる存在なのか。
一体感があるんだかバラバラなんだか分からない県民性。
本書ではこれらを一つ一つひもときながら、本当の山梨県を探していきたい。
(C)鈴木士郎 佐藤圭亮/株式会社マイクロマガジン社
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静岡県は大きく分けて伊豆、駿河、遠江の3エリアに分けられます。
行政的にはもう一つ、御殿場を中心にした東部地域もあります。
それぞれ、特徴がある静岡県ですが、各エリアごとの特徴を余すことなく読める本になっております
静岡市や浜松市はライバル心が強く、いつも対決している状態! ?
富士山が世界遺産になったことなどで外国人の観光客を押し寄せ、伊豆地方は大混乱! ?
各地域は対決姿勢が強く、反発しあっている状態で静岡県としてのまとまりが全く無い! ?
…静岡県を知るための必読の一冊! !
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「オシャレ」「エキゾチック」「夜景がきれい」「行きかう女の子がかわいい」、
神戸という街を擬人化したらさぞがしモテることだろう。
実際に神戸は国内有数の観光地である一方、イメージで語られるほど素晴らしい街ではないことは、この街に暮らす読者諸兄が最も痛切に感じている。
確かに、高度成長期のころには株式会社神戸市とも称され、ポートアイランドや六甲アイランドの造成事業など、斬新なチャレンジで世の中の注目を集めてきた。
ただ、いま神戸市のあちこちから聞こえてくるのは景気の悪い話ばかりである。
ガラガラの観覧車が寂しく回るハーバーランド、ゴーストタウンのような一画もあるポートアイランド、そしてガールズバーのケバいおネエちゃんばかりがハバを利かせ、飲食店は閑古鳥が鳴く三宮の歓楽街――。
ただ、街に人がいないのも、産業に元気がないから当然ではある。
かつては国際貿易の拠点として港が存在感を発揮し、のちには鉄鋼や造船といった重工業が街の活気を生み出してきたが、いまや起爆剤となる存在すら見当たらない。
せっかくスパコンを作っても「2位ではダメなんですか?」とケチがつけられた途端、本当に2位に落ちてしまう始末である。
神戸を愛するからこそ、いまこのタイミングで声を大にして「これでいいのか神戸市!」と言わせてもらいたい。
街を包む閉塞感は今に始まったことではなく、阪神・淡路大震災以来ずっと続いてきたものであることは百も承知。
ただ、すべてを震災のせいにして立ち止まってきた時間がいささか長すぎはしないだろうか?
本書では地域性、行政、気質などさまざまな見地から神戸市が抱えるタブーや問題点に鋭いツッコミを入れつつ、神戸の街を紐解いていきたい。
当シリーズでは以前に1度、世田谷区を扱っており、今回はその第2弾である。
前作では、まず世田谷の高級イメージをぶち壊すところから始め、そこから世田谷の現実と真の姿を見出そうとした。
その試みは成功したと自負しているが、前作から約4年、相も変わらず世田谷は「高級幻想」に苛まれている。
世田谷の高級幻想とは何か?
多くの芸能人や金持ちが実際に住んでいる世田谷は、高級住宅地、セレブタウンとして認知されている。
さらに今、下北沢や三軒茶屋、二子玉川といった人気タウンを筆頭に、区内の多くの駅とその周辺が再開発で変貌を遂げつつあり、世田谷という街の「パッケージ」は洗練度を増している。
だが、そうした「かたち」にこだわっているのは得てして余所者。
彼らが世田谷に住んだ、あるいは住みたいという背景には、自己顕示欲の充足という意図が多分にある。
彼らが世田谷に求めるのは「ステータス」であり、「一流」の看板。
とはいえ、単に世田谷に住んだからって一流ではない。
高級幻想を抱きつつ世田谷へ住み、一流だと勘違いした者たちは、成り上がり精神全開で、小ずるく狡猾に世田谷ライフを謳歌しているのだ。
もともと農村地帯だったのに、やがてハイソと呼ばれるようになった世田谷は、そもそもが成り上がりの街ではある。
だが、ハイソ(一流)な部分はあっても、いい感じに田舎臭くて自然体なのが世田谷の美点である。
世田谷とは本来、一流でも二流でもなく“1.5流”ぐらいがしっくりくる街。
そんな「中の上」を地で行く世田谷民こそ、「世田谷の正統派」といえるだろう。
本書では、冒頭に書いた前作のテーマを引き継ぎつつ、現在の世田谷の問題点を取り上げ、さらに区内にうごめく新旧世田谷民の実態に迫ってみた。
知っているようで知らなかった世田谷がここにはある!
前作「これでいいのか茨城県」では、茨城の本質を暴くことに加え、東日本大震災をターニングポイントとした茨城の変化や将来への道筋をいろいろと探ってみた。
その前作の発売から2年あまり。
今の茨城はどうなってるの?
現地を訪れてみると、被災地の復旧はまだまだ道半ばだが、茨城県民の生活はすでに通常通りに戻っている。
と同時に、復興へと盲目的に突っ走っている状態では分からなかった地域の問題点がハッキリと見え出し、その「ごじゃっぺ」ぶりに対して、かなり「いじやけて」いたのだ。
地域格差を要因とした南北問題。
市町村合併後の住民間の歪み。
新旧住民のバトル。新たな市町村合併の模索。
自治体同士のいがみ合いなどなど――。
県内にはさまざまな問題が山積し、それらに対しての怒りが満ち溢れていた。
しかも、相変わらず自己中心的な考えが横行しているから、県内はどうにもこうにもグチャグチャな状態。
もともと茨城は県としてのまとまりが非常に悪いけれども、前作で震災を契機にひとつにまとまるんじゃないかと思ったのは、いささか浅はかな考えだったのだろうか?
とはいえ、「怒り」というファクターは決して悪いものではない。
震災で沈んでいた茨城県民に元気が出てきた証拠でもある。
それならいっそ元気なうちに、思いっ切りキレるだけキレてみればいい。
怒りを内に溜め込むことなく腹を割り、全部吐き出してお互いがスッキリすれば、解決策だって見えてくるかもしれない。
茨城県第2弾では、そんな「キレる茨城」をテーマに筆を執ってみた。
本書を読んで、おそらく相当数の茨城県民が「いじやける」ことになるだろう。
ただ、そこから何かを感じ取ってくれたら……と願ってやまない。
本書は静岡県浜松市民の「本当の姿」に挑戦した一冊である。
浜松市は度重なる合併を経て2005年、11市町村を版図に加える超広域合併を見事に実現、県内最大の80万都市として再出発をした。
そんな浜松の代名詞は、徳川家康から連綿と続く、立身出世に燃える野心の精神といえる。
時代に翻弄される家康本人が「今に見ていろ」と雌伏の時を経て、大きな野望をつかみ取 る礎としたのがこの地であり、浜松城からはその後、5人もの城主が江戸幕府の老中へと 上り詰めた。
浜松城をして、出世城の異名を取るのも納得である。
一方で、東京と名古屋の中間地点に当たる宿場町として古くから栄えた浜松は、文字ど おり地の利を生かし、あるいは温暖な気候を武器にして発展していった。
第二次世界大戦 時の浜松大空襲という大打撃さえはねのけて、昭和以降、織物業をルーツとする工業の街 として大発展を遂げる。
江戸までの政治から工業へと大きく舵は切られたが、「負けてたま るか」という「やらまいか精神」は同様で、この浜松魂を力に成就させてきた。
しかし現代、全国的な交通網の整備、世界基準のグローバルなもの作りが求められている中、工業立国・浜松の向かう先には何があるのか。
長引く不況に立身出世も容易ではない。
出世・野心で版図を広げ、もの作りの実力を世界に知らしめてきた浜松市は、今、どこへ 向かっているのか。
取材やデータを元に本書が解き明かす。
『日本の特別地域』シリーズで、丸ごと一県を取り上げることになった初作品が本書「これでいいのか茨城県」である。
もっとメジャーな県はいくらでもあるというのに、なぜ今茨城なのか?
そこには茨城の哀しき現状が理由としてある。関東地方にありながら関東の県だと思われていない茨城。
農業が盛んで田舎呼ばわりされている茨城。
県民の訛りが非常に強く、言葉が汚いと揶揄される茨城。
イバラキなのにイバラギと県名を正しく覚えてもらえない茨城。
そしてトドメは、全国47都道府県の地域ブランド調査で2年連続最下位に甘んじた茨城。
現在、これだけ負のイメージにさいなまれている県は全国的にも珍しいぞ!
茨城のこうした現状を踏まえて、県全体が一枚岩となってイメージの打開を図りたいところだが、県内の各地域(行政区分は県央・県北・県南・県西・鹿行の5つ)は、それぞれ「勝手にやっぺ」とひとつにまとまらない。
特に水戸を中心とした県央と、つくばを中心にした県南がなかなか手を取り合おうとしないのである。
今のままではイメージが最悪のまま、時代に取り残されるだけ。見栄っ張りで頑固な水戸周辺の茨城県民にしてみたら、この状況が続くのは我慢ならないだろう。
彼らは郷土に誇りと自信を持っている。
だが、外にアピールする「タマ」を残念ながら持っていないのだ。
そこで本書では茨城が内包する様々な魅力的要素を取り上げつつ、データと取材を元に各地域の特徴や問題点を指摘。
一般的なイメージやレッテルに流されず、茨城の本質と今後の進むべき方向性を探っていこうと思う。
是非最後までお付き合い願いたい。
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