従来のデータベース管理システムでは扱い切れないほどの大量のビッグデータに囲まれている現代、組織は新しいタイプの専門職を必要としている。
それは「データ・サイエンティスト」と呼ばれる人々である。
彼らは大容量の非構造化データに構造を見出し、分析可能にし、ビジネスに役立つ知見を導き出すことができる。
実際に、SNSの〈リンクトイン〉の躍進の背後には、彼らの貢献がある。
優秀なデータ・サイエンティストは稀少なので、獲得競争が熾烈で、離職を食い止めるのも難しい。
金銭面の報酬だけでなく、自由度のある職務環境を用意し、意思決定者とデータをつなぐ「かけ橋」となって価値あるものをつくり上げたいというニーズに応え、やりがいのある課題を与えることが重要である。
今後は、データ・サイエンティストを養成する大学が増えてくると思われるが、それを待たずに、いまから積極的に確保していかないと、情報化社会では致命的な遅れにつながるおそれがある。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2013年2月号)』に掲載された論文を電子書籍化したものです。
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冷戦後、企業が築いてきた強力なグローバルインフラは、複雑に入り組んだネットワークシステムに支えられている。これらのネットワークは広く分散しているように見えるものの、実は重要なポイント──要衝(チョークポイント)──がある。一つの例がクラウドコンピューティングの情報保管施設で、そのほとんどが米国に置かれているが、米国政府はこれを利用し、企業に米国内のサーバーを経由する機密情報を提供させた。このように国家のために経済ネットワークを利用することは、トランプ政権になっていっそう激しくなっており、各国もこれに対抗する政策を取り始めている。本書では、こうした国家間の争いが企業に与える影響を分析しつつ、リスクの低減策についても触れている。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年3月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
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貨幣が生まれる以前の贈与交換が行われていた時代、交換は「顔」が見える行為であり、人間関係と密接に結びついていた。
しかし貨幣の登場で、交換の効率性や自由が高まるにつれて、交換はモノやサービスを単に受け取るだけの無機的で他人とのつながりを意識しない行為へと変化した。
ポスト産業資本主義の現代、企業が小さな差異を見つけて利潤マージンを確保することが求められている。
贈与交換の時代にあった「顔」を見せることが、差異を生み出す戦略の一つとして再び注目されている。
顔を見せることによって得られる、信用や信頼が企業のプライシングにどのように影響を与えているのか、経済学者の岩井克人氏に伺う。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2014年7月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
変化の激しい現在のビジネス環境では、従来の枠組みを超えて、新たなビジネスの土俵を生み出すことが求められている。
その方法として注目されているのが「行動観察」である。
行動観察では、“場”に必ず足を運び、そこで起こっている事実をていねいに集める。
そのうえで、事実を構造的に解釈し、新しいフレームを生み出すのだ。
本書では行動観察における5つのステップについて論じる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2014年8月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
いかに有用なインプットを得て、それをコンセプトに昇華し、アウトプットにつなげていくか。
いま、IDEOやスタンフォード大学d-schoolが提唱したことで、デザイン思考は近年注目を集めている。
行動観察はデザイン思考において、重要な手段として位置づけられているが、ともすればやや技術論に走りすぎる感もある。
百花繚乱のデザイン思考の系譜を整理しつつ、実務家から見た本来の目的、つまりクリエイティブの手段としていかにあるべきかを考えていく。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2014年8月号)』に掲載された論文を電子書籍化したものです。
成熟市場における消費者の嗜好は、かつてないほど多様化している。
消費者のニーズは一人ひとりすべて異なると考えられ、いち早く察知することに企業は躍起になっている。
くわえて、ビッグデータなど情報収集ツールの進化によって、個人の消費活動が詳細かつ正確に捕捉できるようになったことも、その傾向に拍車をかけている。
しかし、本当にそれで消費者の心を射止めることができるのか。
消費者は自分自身の本心を把握しているとは限らない。
気づいていないことは、いくら聞かれても答えられないのである。
マーケティング・リサーチの結果をうのみにすることは危険である。
本書では、むしろ人間の本質を見極めたうえで、社会の環境変化からニーズの変化を探り当てることが大切であり、それこそが本来のマーケティングであると説く。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2013年10月号)』に掲載された論文を電子書籍化したものです。
国際宇宙ステーション(ISS)のコマンダー(船長)には、国籍も文化も違う個性的なメンバーをまとめ上げることはもちろん、限られた期間で高い成果を上げることが求められる。
そのISSコマンダーに日本人で初めて任命されたのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士である若田光一氏だ。
チームとしての生産性を高めるために、リーダーとして何を心がけ、実行したのか。
酸素も重力もない極限の環境下における、コミュニケーションの重要性が語られる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2014年11月号)』に掲載された論文を電子書籍化したものです。
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