『筑摩選書、雑誌を除く(実用、文芸・小説)』の電子書籍一覧
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欧米のように血みどろの戦争と迫害の中から生み出されたのではなく、いわば上から降ってきた「信教の自由」を、日本人はいかに受け止め、その法規定の解釈・運用や改正をめぐり議論してきたのか。宗教者・知識人らの論争から、その底流にある「信教の自由」をめぐる思想の変転を跡づける。さらに、オウム真理教事件を契機とする宗教法人法改正にあたって論議となった創価学会と政治との関係、安倍晋三元首相銃撃事件後の旧統一教会の被害者救済などの政策動向などを踏まえて、今後の「信教の自由」のあるべき姿について提言する。
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思想が社会を規律統制し、人々の思考を規制している北朝鮮。その体制を引き継いだ金正恩は、祖父の主体思想、父の先軍思想に代わる、現在の困難を乗り越え次の展望を切り開く思想を創出する必要に迫られた。本書は、2011年末からの金正恩時代における指導理念の変遷を通史的に考察し、北朝鮮の置かれた国内・国際情勢とリンクさせつつ検証する。さらに近年、金正恩が提唱している農村における「思想革命」についても紹介。北朝鮮情勢分析の第一人者が、満を持して放つ最新研究報告。 【目次】第1章 金正日総書記の死と金正恩時代のスタート/第2章 金日成・金正日主義/第3章 独自的な指導理念の模索/第4章 人民大衆第一主義の芽生え/第5章 「十大原則」の改編/第6章 第七回党大会/第7章 人民大衆第一主義/第8章 わが国家第一主義/第9章 米朝首脳会談決裂と「正面突破戦」/第10章 コロナ禍と「自力更生」/第11章 第八回党大会と党規約改正/第12章 「人民的首領」への道と「金正恩革命思想」の登場/第13章 「農村革命綱領」=「新農村テーゼ」の提唱/第14章 「わが国家第一主義」の統治理論化/第15章 「金日成・金正日主義」の継承・深化・発展/終 章 金正恩の指導理念を振り返る/あとがき/参考文献・資料/北朝鮮の主な歩み(年表)
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愛と自由に生きた
普通の若者たちの物語
発覚すれば死が待つ活動へと
彼らを駆り立てたものは何か
ナチス政権下のドイツで、ナチスに不信感を抱く若者が少数ながらいた。政権成立当時子どもだった彼らは、一九四〇年代初頭に青年期を迎え、共感しあえる同世代の仲間とグループを形成してビラ散布や市街地での落書き、秘密の勉強会などの行動で反ナチの意思を示した。彼らは、ナチス体制の何に反発したのか。発覚すれば死が待つ行動へと彼らを駆り立てたものは何か。ごく普通の若者たちの姿を通じて、「名もない人々にとってのナチス・ドイツ」がいかなる時代あったのかを描いていく。
【目次より】
まえがき
第一章 ヒトラー万歳(ハイル・ヒトラー)と言え
1 われらの時代が来た
2 生徒たちよ自律的であれ――教師エルナ・シュタールとリヒトヴァルク校の生徒たち
3 ナチスのやつらはろくでなしだ――ヘルムート・ヒュベナーと幼馴染
4 父さんは犯罪者じゃない――共産党員の親をもつ子どもたち
第二章 仲間との日々
1 新しい世界
2 教養人の自負――ハンブルク・白バラ
3エーデルワイスは自由の花だ――エーデルワイス海賊団
4 皆が知るべきこと――ヒュベナー・グループ
第三章 決断のとき
1 知性のビラと直感のビラ
2 これ以上ドイツを壊すな――エーデルワイス海賊団
3 十代の素顔――エーデルワイス海賊団
4 誰かが後を継がなければ――ハンブルク・白バラ
第四章 我らの信じた道
1 使命感と恐怖心――ハンブルク・白バラ
2 行動の意味――エーデルワイス海賊団
3 別離と再起
終章 抵抗する若者たちが残したもの
おわりに
主要参考文献
図版出典一覧
事項索引
人名索引 -
この国の落とし穴は
有事対応にある
「想定外」による失敗を繰り返さないために
第一次大戦後に来たるべき空襲に備え提唱され、軍・当局・国民が一丸になって進めた「国民防空」。関東大震災の経験を宣伝材料にして驚くほど急速に浸透したが、安易な想定や精神力依存、同調圧力による普及などの欠陥も多く、新技術を用いた米軍空襲には機能しなかった。この国民防空の組織や技術は、戦後の災害対策や国土計画・都市計画に引き継がれ現在に至っている。現代日本の危機対応の原点ともいえる国民防空の成立と普及過程を検証し、その教訓を未来へと伝える。
【目次より】
まえがき
第一章 関東大震災から動き出した「国民防空」
1 「国民防空」の内容と展開過程
2 関東大震災と軍の教訓
3 防空研究にみる関東大震災の影響
第二章 大阪市・東京市の非常変災要務規約と防空演習
1 大阪への震災影響と東京の動き
2 防空演習の実相
3 防空演習への批判
第三章 時間を要した防空法成立と審議過程
1 防空法成立前の経緯
2 帝国議会の審議
3 関東大震災等の影響
第四章 国民防空に関する技術の開発動向
1 軍の研究会と二つの火災実験
2 軍と学会等による研究体制
3 米国の空襲技術の開発
第五章 防空計画・指導要領と「都市の防空的構築」
1 防空計画と指導要領
2 「都市の防空的構築」の構想
3 専門家による防空の都市づくりに関する提案
4 函館大火と静岡大火
第六章 防空意識の涵養
1 国民防空に関する言説
2 『国民防空読本』と『時局防空必携』
3 『写真週報』にみる防空啓発
4 東京市・都の広報と関東大震災
5 様々な媒体による防空啓発
第七章 国民防空の手本になった「神田和泉町・佐久間町」
1 「神田和泉町・佐久間町」の事蹟
2 防空の模範として脚光を浴びる
3 国民防空の手本になる
4 戦後への影響
第八章 「国民防空」の浸透
1 防空訓練の思い出
2 防護団・警防団と燈火管制
3 町内会・隣組と「常会」
4 生活基盤になった町内会・隣組
終章 国民防空の「失敗」を繰り返さないために
1 都合よく使われた関東大震災
2 町内会・隣組を通じて浸透した「国民防空」
3 「国民防空」の目的――戦争継続のための国民統制
4 「思い込み」で進んだ国民防空
5 国民防空の失敗を繰り返さないために
6 これからの危機対応に向けて
おわりに
国民防空の展開 関連年表
参考資料 -
常識を疑え!
平安文学についての常識は、調べてみると謎だらけ。小野小町は絶世の美女だったかどうかも、在原業平が東国の放浪の旅をしたのかどうかも謎。紀貫之による『土左日記』は日記でも紀行でもない謎の文章だし、『枕草子』のようなスタイルの随筆は後にも先にも存在しない。『源氏物語』の作者も謎に包まれているし、その作者とされる紫式部の『紫式部日記』の清少納言に向けた悪口も謎に満ちている。こうした謎を解き、平安文学を深く知ることができる、楽しい古典再入門。 【目次】序章 現像を探る/第一章 小野小町とは誰だったか/第二章 在原業平の「東下り」――伊勢物語/第三章 和歌という謎との格闘――土左日記/第四章 「随筆」性の温床――『枕草子』/第五章 紫式部は清少納言の悪口を書いた?――『紫式部日記』/第六章 源氏物語プロジェクト/第七章 「光源氏」という呼称/あとがき/参考文献/人名索引 -
生命の核心へ
人類にとって永遠の問いであり続ける「生命とは何か」。その核心に迫るべく、紀元前7世紀の古代ギリシアから現代までの2600年にわたり、西洋の科学が生命をどう理解してきたかをたどり直し、根本的な限界を明らかにする。その上で、存在論哲学の最高峰たるハイデガーの生命論を取り上げ、批判的に検討。これらの生命観を超克すべく、植物の生命に着目して独自の議論を展開した、渾身の書! 【目次】はじめに/第一章 古代ギリシアからデカルトまでの科学的生命観/第二章 デカルト没後から一八世紀末までの科学的生命観/第三章 一八世紀末から現代までの科学的生命観/第四章 科学的生命観の歴史的総括/第五章 ハイデガーの生命論、その批判的検討/終章 〈生命〉とは……──植物の探究をとおして/おわりに/文献注/文献一覧/あとがき/人名索引 -
マンガにおける男女の恋愛解禁に始まり、歴史ロマンとしての恋愛物、ロマンチック・コメディからおとめちっくマンガ、そして自立する女性の恋愛へ――恋愛少女マンガの変遷は、戦後日本の若者の歩みそのものだった。ラブコメという少女マンガの王道に焦点を当て、少女マンガが表現してきた生活や気持ちの揺れの細部に注目。少女マンガ家ならではの感性を読み解いて、その恋愛観や女性像、若者たちの価値観の移り変わり、さらには戦後日本社会における夢と現実の亀裂を明らかにする。 【目次】第1章 ラブストーリー解禁にむけて――ドラマ性、美しさ、そしてかわいらしさ/第2章 大ロマンからロマンチック・コメディへ/第3章 ラブコメは何を描いたか――西谷祥子・忠津陽子/第4章 「女の一生」を描くラブコメ、メロドラマ――大和和紀・一条ゆかり・里中満智子/第5章 恋愛と欲望をめぐるラディカルな探求――大島弓子・山岸凉子/第6章 多様化する恋愛――おとめちっくのそのまま、不良の刹那、優等生の憂鬱/第7章 バブル期という恋の終わり――岡崎京子を中心に/終章 それでも少女マンガは恋をする
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20世紀を代表する哲学者・ジョルジョ・アガンベンは言う、「わたしはエピゴーネン(亜流)である」と。ハイデガー、ベンヤミン、フーコー、デリダ、ネグリ、そして道化プルチネッラ……他者という「鏡」の中に自己の哲学を見出すこの思想家の概念の起源と展開を著作群に読み解く。デビュー作『中身のない人間』から最新刊『クアデルニ』までを射程に収め、認識と無知、聖と俗、アナーキーとデモクラシー、悲劇と喜劇など、両極間を宙吊り状態のまま渡っていく、そのスリリングな思考はどこに向かうのか? 【目次】I アテンション・プリーズ――序に代えて/II 「エピゴーネン」という身振り/III アートと抵抗/IV ハイデガーを読むデリダを読むアガンベン/V ネグリVSアガンベン、あるいはオルター・エゴの応答/VI ドン・キホーテの存在論/VII 「アナーキーはデモクラシーよりも興味深い」/VIII 精神分析について彼が知っている二、三の事柄/IX $7006聖と異端の神学/X 喜劇に始まり喜劇に終わる――結びに代えて
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明治半ばに彗星のごとく現れた出版社・博文館は、たちまち出版界に革命を起こした。書物を廉価で供給し、魅力的な書籍や雑誌を次々に刊行。世代を超えた広範な読者を獲得するとともに、取次・書店などによる流通ルートを整備した。東京堂書店や共同印刷、博報堂などのルーツともなった一大文化王国・博文館はいかにして築き上げられたのか。貪欲な〈近代読者〉の誕生と、豊穣な文学世界の成立の経緯、そして近代出版業という知的システムの構築過程を総合的に描き出す。 【目次】はじめに/序 章 赤手のアントレプレナー/第一章 出版革命の夜明け──『日本大家論集』/第二章 戦争特需の写真雑誌──『日清戦争実記』/第三章 児童文学を創出したカリスマ──『少年世界』/第四章 文芸界の新潮流──『文藝倶楽部』/第五章 巨大なオピニオン・リーダー──『太陽』/第六章 最高級の趣味雑誌──『新青年』/第七章 辞書というベストセラー──『辞苑』/終章 伝説の出版社がもたらしたもの/あとがき/主要参考文献事項索引/人名索引
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市川房枝(1893~1981)は戦後政治で異端の存在ながら、党派に属さない無所属議員として他に類を見ない国民の支持を得た政治家だった。戦前・戦時期には社会運動家として婦選運動を牽引し、戦後は87歳で亡くなるまで参院議員を務めた市川が、常に男性政治家によって動かされてきたこの国の政治世界で、生涯をかけて追求した「女が望む政治」とはなんだったのか。その生い立ちから、最晩年までの軌跡を詳細にたどり、政治理念と政治手法を明らかにする決定版評伝。 【目次】はじめに──混迷する政治と市川房枝/I 戦前──1893年5月~1931年8月/第1章 生い立ち──時代の流れと運動家の形成/第2章 平塚らいてうとの出会いと別れ、そして渡米/第3章 イエ社会で婦選運動を展開──特殊日本的な保守社会と市川の対応/II 戦時期──1931年9月~1945年7月/第4章 準戦時期・抵抗の実相──反戦活動と切り拓いた市民的活動/第5章 戦時期・転向の軌跡──「婦選の灯」のともし方/III 戦後──1945年8月~1981年2月/第6章 占領期・公職追放──時代の寵児から「格子なき牢獄」の日々まで/第7章 クリーン・ポリティックスの模索──婦選の経験はどう引き継がれたか/第8章 「ストップ・ザ・汚職議員」運動への道──婦選の経験の今一つの展開/第9章 平和と女性の人権──婦選の政治の行き着いた地平/あとがき/主要参考文献/市川房枝略年表
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新たな知の考古学
少子化と人口減少で危機に陥っている日本。この閉塞状況から抜け出すには、日本列島で暮らしてきた人々に固有の生態文化を見つめなおし、現代日本の社会病理の正体を的確に見極める必要がある。言語学や民俗学、歴史学、考古学、人類学、さらにはサブカルチャーなどを材料に、日本社会の基層にあるものを西洋との対比のなかから明らかにし、原始古代から現代・未来までをつらぬく、文化の一貫性を読み解く。国家や主権権力の本来の姿を描き出す、新たな知の考古学の試み。 【目次】第1章 むらの生態――日本の生態I/第2章 都市の生態――日本の生態II/第3章 くにのちから――日本の生態III/第4章 環境と文化――生態社会学の論理/第5章 未来と制御――未来映画の分析から/第6章 近代の暴力――世界史の生態/終章 日本社会のゆくえ -
1964年の『丸山眞男講義録』をサブテキストにした法政大学法学部における本講義は、日本神話や古代天皇のあり方に日本の思想的伝統の「原型」を探る丸山の講義をわかりやすく精読。とくに丸山が力点を置いていた鎌倉新仏教の革新性について、その中にヨーロッパの宗教改革に匹敵する世俗化・脱宗教化の動きを見つつ、呪術的な心性も残り続けていくという特徴と、日本独自の政治思想の展開を見る。丸山の直接の教えを受け、その研究を引き継ぎ掘り下げた碩学による名講義。 【目次】はじめに/第1講 日本とは何か/第2講 日本思想における「古層」/第3講 天皇制神話の形成とその諸相/第4講 伝統とは何か/第5講 日本における古代国家成立と日本神話/第6講 日本神話における道徳意識──「心情の純粋性」と「集団的エゴイズム」の結合/第7講 記紀神話における出雲神話の位置/第8講 天皇制の正統性/第9講 国体とは何か/第10講 カリスマ的支配の諸相/第11講 血縁共同体の擬制/第12講 日本政治思想における仏教思想の萌芽/第13講 鎮護国家のための仏教/第14講 平安仏教がもたらしたもの/第15講 末法思想と慈円の歴史哲学/第16講 プレリュードとしての「隠遁」の思想/第17講 親鸞の思想の革新性/第18講 親鸞の思想と政治/第19講 孤高の哲学者・道元/第20講 闘う宗教改革者・日蓮/第21講 鎌倉新仏教のその後──屈折と挫折の諸相/第22講 あらためて「日本」とは何か/あとがき/人名・神名索引
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食事、住まい、仕事、道具、遊び、行事、人間関係……戦前の日本人はどんな暮らしをしていたのか? 電化製品はほぼなく、便利なサービスも少なく、移動も大変と、現在に比べて不便な時代。しかしそこには、自然とともに生きる豊かさがあり、現在とは違う人とのつながり方があり、そして生活のなかで育まれた知恵があった。長年にわたり90歳前後の方々に聞き取り調査を行ってきた「90歳ヒアリング」。それにより得られた600人以上の肉声から編まれた貴重な証言集。 【目次】序章 戦前の暮らし方をなぜ調べるのか/第一章 食事/第二章 特別な食事/第三章 住まい/第四章 生活用品/第五章 資源の利用/第六章 衣類/第七章 物を大事にする/第八章 みんなの役割/第九章 食の確保/第十章ものづくり/第十一章 共同作業/第十二章 仕事/第十三章 物の売り買い/第十四章 移動/第十五章 学び/第十六章 遊び/第十七章 伝承される知恵/第十八章 人とのつきあい/第十九章 冠婚葬祭・行事/第二十章 居場所・街並み/終章 戦前の暮らし方から学ぶこと
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昭和天皇は頭山満の死に際して勅使を遣わし、その葬儀は国葬の様相を呈した。無位無官の頭山がなぜ異例の扱いを受けることになったのか。それは皇太子時代の婚約破棄問題(宮中某重大事件)をめぐって、昭和天皇と頭山の間には秘められた絆があったからだ。この問題への沈黙を守り通した頭山と天皇の密かなつながりを解き明かすとともに、右翼の巨頭とされてきた頭山の真実の姿を、100年の時を超え史料に基づき正確に描き出す。 【目次】はじめに──だから昭和天皇は頭山満に感謝した!/第一章 頭山満と杉浦重剛の出会い/第二章 東宮御学問所──皇太子裕仁親王の帝王学/第三章 色盲遺伝と宮中某重大事件/第四章 宮中某重大事件とメンデルの法則/第五章 浪人を統率する頭山満/第六章 昭和天皇の時代と頭山満/第七章 頭山邸への勅使差遣/第八章 国葬級と言われた頭山満の葬儀/おわりに/あとがき
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「議会制の母国」といわれるイギリスにおいてすら、議会は民主主義を実現するために形成されたものではない。成り立ちの異なる議会と民主主義の相性は悪く、今日その破綻が指摘されている。では本来イギリス議会政治とはどのようなものか。その転換点となったディズレーリvs.グラッドストンによる「奇蹟の10年間」(1866-76年)にイギリス政治は、貴族政治から、労働者階級までを取り込んだ大衆民主政治へと転換を遂げた。この原点からイギリス議会政治の本質を捉え直す。 【目次】はじめに/序章 議会制民主主義という神話/第一章 自由主義のためのイギリス議会(前史)/第二章 議会政治の転換期 第一幕──ジェントルマンと大衆/第三章 議会政治の転換期 第二幕──保守党と自由党/第四章 議会政治の転換期 第三幕──ディズレーリとグラッドストン/第五章 大衆民主政治の到来と議会政治の衰退/終章 議会政治に再生はあるのか/おわりに
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日本における社会言語学の泰斗が来し方を振り返り、人生と研究に思いをめぐらせるエッセイ集。幼い日の思い出から語り起こし、言語学を志すに至った経緯、なぜソ連研究やモンゴル研究、さらにはクレオール研究までを志すようになったのか、そのいきさつを綴る。数多くの道草をやり過ごして先を急いできた言語学者が、こころに残るそれらを思い起こし書きとめた断章のつらなりから、領域を横断する知の世界が見えてくる。 【目次】まえがき──この本を書くわけ/I 幼き日々の残照/II モンゴル研究からシベリアへ/III ドイツからフィンランドへ/IV 道草の数かず/V クレオール語研究の初しごと/VI 抵抗する言語──ウクライナ問題と言語学/VII ノモンハンのたたかい──モンゴルの存立/あとがき
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新しい世界を誰がリードするのか
アメリカはついに覇権国の地位から脱落し、民主的な国際社会の構築という大実験のリーダー役を自ら放棄してしまった。なぜアメリカは覇権を失ったのか。中国はアメリカに代わる覇権国となりうるのか。急激に存在感を高めるグローバル・サウス、旧覇権国であるヨーロッパの国々の動向は? そしてその中で日本はどう動くべきなのか――大転換の時を迎えた国際社会における、世界各国の動きと今後の展望を、長年にわたり国際政治を見つめてきたジャーナリストが鮮やかに読みとく。 【目次】はじめに/第1章 世界がアメリカに引導を渡す/第2章 脇役の暴走が、世界の構図を書き換える/第3章 アメリカが失ったものの大きさを知るとき/第4章 中国の夢──単なる強大国か、真の覇権国家か/第5章 グローバル・サウスは従来の世界秩序に挑戦する/第6章 我々は民主主義を捨てられるのか/終章 ヨーロッパが「新たな世界」に向けて持つ意味/あとがき -
深まる危機、何が問題か?
機能不全に陥った日本政治。いまや自公は少数与党となり、一方で野党はまとまることができず、右派ポピュリスト政党が存在感を増している。こうしたなかで、わが国の政治を立て直すには何が必要か。「平成の政治改革」から現在まで、野党再編、政権構想、選挙制度改革、ジェンダー平等、西欧の右派ポピュリスト政党、2025年参院選など複数の視点から検証。現在地を浮かび上がらせるとともに、来るべき日本政治を展望した、必読の論集! 【目次】はじめに(山口二郎)/第一章 日本政治の失われた三〇年と野党の蹉跌――なぜオルタナティブは生まれなかったか(山口二郎)/第二章 平成の政治改革と「二党制の神話」――なぜ小選挙区比例代表並立制は機能しなかったのか (中北浩爾)/第三章 ジェンダー政治の三〇年――平等で包摂的な社会に向けた成果と課題(辻由希)/第四章 政党政治の危機状況――西欧の混迷から考える(古賀光生)/終章 二〇二五参議院選挙と政党政治の再編(山口二郎)/あとがき (中北浩爾) -
現代カリブの最重要知識人セゼールは、『帰郷ノート』(1947)で「ニグロ」の語から「ネグリチュード」概念を創出し、植民地主義を批判。一躍世界的な詩人としての評価を確立した。政治家としても半世紀にわたり市長と国会議員を兼任し、詩と政治の2つの営みによってマルティニークがフランスの「共和国」理念に基づく「都市(シテ)」となることを目指した。セゼールを、彼と共振した人々の歩みとともに、公文書資料やセゼール自身へのインタビューをもとに描き出す、日本で初めての画期的評伝。
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戦争を止めるにはどうすればよいか。紛争を和平合意へと至らせる方法を科学的に研究してきた紛争解決学を、さらに「和平学」へと刷新。日本国内の法的な視点から紛争解決学を実践してきた弁護士と、NGOを通じた実務と研究の二刀流で国際紛争における紛争解決学を追究してきた国際政治学者が、数多くの実例から導き出した13の和平法則をもとに、和平合意までの交渉・仲介の道と和平合意後の平和構築の道を理論と実践を往復しつつ描き出す、和平への新たな知的挑戦。 【目次】はじめに 廣田尚久/序章 和平学とは何か――紛争解決学2.0/第一章 法律学からの紛争解決学(ミクロ起点)/第二章 国際関係論からの紛争解決学(マクロ起点)/第三章 和平法則――戦争を止める13の道標/第四章 和平合意――交渉と仲介の諸理論/第五章 和平合意後の和解/第六章 日本外交の羅針盤――和平法則を用いた仲介者/終章 平和実現へのパラダイムシフト/参考文献/あとがき 上杉勇司
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西洋哲学の概念や思考法のみが純粋なものであるという特権的な意識は、いまや世界的に大きな批判に晒されている。西洋独占主義的な哲学観を輸入した日本が、「日本哲学」を再び検討すべき時期がやってきた。アメリカ、日本、ドイツでハイデガーの哲学、現象学・解釈学から仏教思想・京都学派までを幅広く研究し、日本の哲学史を専攻の一つとしてきた著者が、日本哲学とは何かを、定義・内容から深く問い直し、世界規模の対話に開かれた日本哲学がもつ可能性を総合的に考察する。 【目次】まえがき/序 章 日本哲学の定義と範囲を再考する/第一章 日本・哲学・とは何か/第二章 西洋独占主義的な哲学観を問い直す/第三章 日本哲学の定義を問い直す/第四章 日本哲学の内容を問い直す/終章 世界における日本哲学、日本における世界哲学/参考文献/解説 世界の思考資源としての日本哲学 中島隆博
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ほぼ同時代を生きた松本清張と水上勉には、意外にも共通点が多い。最大の共通性は雑食性。ともに社会派ミステリ作家として出発するもミステリ以外にも手をつけ、清張は小説・ノンフィクションの二刀流を展開し『昭和史発掘』『古代史疑』など歴史評論にも進出、水上勉も『寺泊』で川端康成文学賞を受賞した私小説路線と並行して、寂れゆく辺境や滅びゆく伝統工芸のルポルタージュ、一休や良寛といった高僧の評伝に新境地を切り開いた。好一対だった大作家の歩みと名作を読み解く。 【目次】序章 清張と勉――その軌跡/第1章 文壇作家時代の松本清張/第2章 初期水上勉は私小説家だったのか/第3章 清張の乱歩批判/第4章 『天城越え』は『伊豆の踊子』をどう超えたか/第5章 清張の江藤淳批判/第6章 映画「砂の器」は小説をどう補修したか/第7章 『点と線』から『日本の黒い霧』へ/第8章 推理小説家時代の水上勉/第9章 日本型私小説を究める――その後の水上勉/第10章 国民的文化人・松本清張――『読書世論調査』の結果から/第11章 言葉を超えた世界へ・水上勉――『才市』の奇跡/あとがき/松本清張・水上勉年譜/人名索引
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日常が紡ぐ、もう一つの戦争史
日中戦争から太平洋戦争へと戦線が拡大し、すべてが戦争に奉仕させられる時代にも、野球場には、戦争から背を向けるように声援をおくる名もなき野球ファンたちがいた。彼らは一体何を思い、そこに何を観たのか? プロ野球創成期をノンフィクションという形で切り取り、戦争の悲惨さを語り続けてきた著者が、戦後80年を機に、これまで語られてこなかった市井の野球ファンたちの姿に焦点を当て、戦時下の野球文化を描く。 【目次】第1章 魅了された人々/第2章 襲いかかる戦火/第3章 強まる戦時統制/第4章 密かな娯楽/第5章 反骨の人々 -
若き青木繁のライバルであり、国木田独歩も認める文才の持ち主。洋画家として「日展」の前身である「文展」で二年連続の最高賞受賞。欧州遊学後は南画を手掛け、「片ぼかし」の手法を編み出すなど、横山大観ら多くの日本画家たちに影響を与えた。春陽会の設立の中心人物として活躍し、東京大学安田講堂の壁画を完成させる。美術史上いくつもの重要な役割を果たしたにもかかわらず、その多彩な才能ゆえ全体像が理解されにくかった小杉放菴の本格的評伝。 【目次】表現の地肌に触れる。──小杉未醒(放庵・放菴)への道案内 水沢勉/はじめに/第一章 日光の山中にて/第二章 不同舎入塾/第三章 『戦時画報』特派員/第四章 独歩と共に/第五章 水戸コネクションの拡がり/第六章 田端の運動家/第七章 『方寸』同人/第八章 欧州遊学/第九章 日本美術院再興をめぐって/第十章 春陽会設立/第十一章 壁画制作への情熱/第十二章 『奥の細道画冊』の旅/第十三章 ソウ見寺その他の襖絵/第十四章 赤倉の山荘にて/あとがき/参考文献一覧/人名索引
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関東大震災で多くの朝鮮人が殺されたのはなぜか。荒唐無稽な流言に人びとが脅えたのはなぜか。百年を経た今も謎の歴史に迫るため、陸軍の記録、小学生の作文、海軍練習艦の無線傍受録、隠されていた閣議の決定、恩赦をめぐる行政文書など新たな手がかりを読み解き、実際に何が起きていたのか、多くの犯罪者が罪に問われなかったのはなぜか、虐殺はなぜ忘却されたのかを徹底追及。人間の行動の深層にあるものを冷静に問い続けるジャーナリストによる関東大震災研究の集大成。
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世界はなぜ、破滅に向かうのか。
20世紀に世界は二度の全面戦争を経験した。主権国家が並び立つ国際秩序を確立した〈西洋〉が、外部を征服し「世界化」したそのとき、世界中を巻き込む大戦争が起こったのだ。総力戦と化した戦争は核兵器を生み、戦争は人類破滅を招きかねない「不可能」なものとなった。にも拘わらず、世界大戦終結から80年、世界はふたたび全面戦争への傾斜の上に立っている。冷戦終結が世界の平和をもたらすはずではなかったのか? なぜこうなったのかを西洋精神史を参照項に検証する。 -
徳川家康による都市建設の当初から、江戸の水道は高低差を緻密に計算し、複雑な地形を利用する形でつくられてきた。中心部の小石川上水、それを発展させた神田上水、そして玉川上水を基盤とした水道は、明治以降には近代化され引き継がれてきた。急速な工業化や関東大震災からの復興、戦後復興・高度成長を経て水道がいかに拡張され、また経営されてきたか。江戸・東京の経営史を専門とし、東京都水道局に長年勤務してきた著者による、世界屈指の都市の決定版水道史。 【目次】プロローグ/I 江戸時代/第1章 家康と水道/第2章 天下普請の時代/第3章 城下町・江戸と神田上水/第4章 玉川上水の新設/第5章 上水経営の実際/II 明治時代~現代/第7章 近代水道にいたる道のり/第8章 近代水道の成立と関東大震災──拡張の始まり/第9章 大東京と水道/第10章 拡張に次ぐ拡張の時代──戦災復興期から高度経済成長期まで/第11章 量から質へ──低成長時代から現在まで/あとがき/索引
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この国において、政府やメディアなど権力の「大本営発表」への批判精神が皆無なのは八十年前と同じ。知識人も庶民もしっかりとした歴史を見る眼を持たず、歴史に無関心なため、いま再び「情報敗戦」に直面しているのだ。正しい歴史観を持たない限り、日本は今後も新たな敗戦への道をひた走るだけだろう。松本清張や辺見庸、アレントやサイード等々、内外の知識人たちの遺してきた貴重な史論や思想を手掛かりに、日本社会に隠された「情報のカラクリ」を暴き、歴史の虚実を検証する。 【目次】はじめに――「情報のカラクリ」/序章 問題の発見/第1章 史観で眺める日本/第2章 「昭和維新」と満洲/第3章 清張史観の遺したもの/第4章 戦後日本とは何か/第5章 世界史的大転換/第6章 人間とは何か/第7章 「民主主義は暗闇の中で死ぬ」(Democracy Dies in Darkness)/結章 絶望に抗う/あとがき――なき妻へ
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そもそも日米安全保障条約は虚構であった。1960年の日米安保改正での岸首相とダレス国務長官の非公式合意が、今日も変わることなく継続している。日米地位協定、核密約、憲法九条の棚あげ、安保条約を再定義した日米安保共同宣言、そして日米政府間協議の実質的な最高権力化……。本書は歴代内閣と米国による日米共犯関係の戦後史をえぐり出す一方、米国の戦後一貫した安全保障政策、同盟国・米国と日本との信頼にズレが生じつつある実態を解明する。 【目次】序章 日米安保と日本国憲法/第一章 日米、異なる安保構想/第二章 被爆国にとっての核の安全保障/第三章 日米軍事一体化と憲法九条/第四章 「セキュリティ」──原点と変遷/第五章 地殻変動期に入った日米安保/終章 立憲主義の復権を目指して
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鉄道廃線を引き継いだ北海道の路線バスは、過疎化や少子高齢化により危機に瀕している。自然環境もきびしく、冬の日本海沿いでの運行は突風、ホワイトアウト、猛吹雪で困難を極めるが、運転手は高度な運転技術と旺盛な使命感で日々闘っている。バス輸送の現場はいかなる問題に直面しているのか。運行管理者、運転手の生の声を徹底取材。DMV、BRTの現在や、イギリスのバス復権の動きも調査し、バス2024年問題や運転手不足への対策に向けた提言も行う。 【目次】まえがき/第一章 真冬の路線バス――過酷な気象条件のなか北を目指す/第二章 自然とのきびしい闘い――今日も走る国鉄代替バス/第三章 生活バス路線を守る――道東・中標津町の闘い/第四章 道北を走る長距離都市間バス――札幌~枝幸298km、5時間半の旅/第五章 日本最北のバス路線――宗谷バスを走らせる人たち/第六章 人手不足社会への試行――自動運転バスはどこまで進化するか/第七章 DMVとBRT――バスの可能性を広げる試み/第八章 イギリスのバス復権――徹底したバス優先施策で利用客を呼び戻す/第九章 続く路線バス運営の試練――コロナ禍と2024年問題/終章 バス運転手不足への提言/あとがき/参考文献
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国連の実像に迫る
ウクライナ侵攻とガザ情勢の悪化以降、国連は機能不全に陥っている。国連は現在どうなっているのか。冷静沈着に国連の役割と限界を見据え、いま何ができるかを考えることが重要である。外交官として国連日本代表部に二度勤務した著者と、長年にわたり国連の理論的研究に携わってきた著者の二人が、現場での実務経験を縦糸に、研究者の体系的な理解と分析を横糸にして、国連の実像に迫る。初学者にも、学びなおす人にも、最先端の情勢と研究を知るために有益な画期的入門書。 -
ファン・ゴッホの知られざる素顔
カラスが飛びたつ不穏な麦畑、激しく渦巻く夜の空、黄色の花瓶に生けられた黄色のひまわり……ゴッホの描く絵画はその純粋で孤独な魂そのものだ。耳切り事件やピストル自殺により、狂気の画家・悲劇の主人公とも言われてきたこの画家は、発作が起きていない時は知的かつ冷静な画家として、わずか十年余の間に2000点以上の作品を制作したという。ゴッホの夢や恋愛の挫折、芸術修業、自己懲罰癖、知られざる人間像と画業の真実に、長くオランダに住む美術史家・画家である著者がかつてない光を当てる新しい力作評伝。 -
都市を語ることはなおも可能か?
都市社会学とはどんな学問か。絶えず変調しつづける現代世界において、なおも都市という場に注目する意味とは何だろうか。20世紀初頭の「衝撃都市」シカゴに花開いた古典的な都市社会学やその批判者であるニュー・アーバン・ソシオロジー、世界経済の緊密化とともに台頭する空間論や移動論的転回。そこで何が問われ、何が見落とされてきたか。長年、都市社会学やコミュニティ研究を主導し、モビリティーズ・スタディーズの導入に尽力してきた著者が都市/都市社会学の軌跡をたどり、その現状と可能性を問う。 -
なぜ「個性」は人々を惹きつける社会的テーマとなったのか。日本社会は「個性」にどんな理想=幻想を思い描いてきたのか。大正期に教育的価値として「個性」が浮上し最初のブームが起こったあと、1980年代に再ブームが到来。『窓ぎわのトットちゃん』のヒットもあり、臨時教育審議会で「個性化教育」路線が推進される。そして社会的価値として定着したこの言葉は、現在も「障害も個性」のような言説によって論争のタネであり続けている。日本の公教育の歩みに即しつつ、「個性」概念の来歴を振り返る。
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古代の天皇たちが建立した社寺建築は天皇の血筋を可視化し、即位の正統性を強くアピールしていた。社寺建築の配置タイプは天皇たちの血筋に明確に対応していたのだ。聖徳太子創建の法隆寺若草伽藍は塔と金堂がタテ一列だったが、天智天皇はこれを真っ向から否定し、塔と金堂がヨコに並ぶ法隆寺西院伽藍を建立。一方、天武天皇は三極構造の薬師寺を建立し、その妻持統天皇は三極構造を伊勢神宮の社殿配置に導入した。〈タテ→ヨコ→三極〉の変遷に秘められた天皇たちの戦略を探る。
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1955年にトランジスタラジオをソニーが商用化して以降、日本の半導体産業は次第に地力をつけ、80年代末には世界トップの市場シェアを獲得した。だがその後、日米半導体摩擦の影響を受け弱体化が始まり、摩擦が収まった後も日本半導体の市場シェアの低落傾向は続いて今日に至っている。この栄枯盛衰のドラマの裏側には技術者たちの奮戦があった。日本の「ミスター半導体」と呼ばれ、生涯を半導体とともに歩んできたレジェンド技術者が語る、業界の内側から見た日本の半導体開発70年史。
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映像作品での坂本龍馬の描かれ方は大きく変わってきた。サイレント映画では阪東妻三郎や月形龍之介、榎本健一といったスターが龍馬を演じた。戦後しばらくは主役級が龍馬を演じることはなく、それを転換したのが司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』。土佐弁を喋る庶民的合理主義者として龍馬は映像化され一躍人気者となる。1970年代以降は革命家のイメージやテレビドラマでのヒーロー、パロディー作品など多様に龍馬は演じられていく。龍馬イメージの変遷に歴史観と時代の価値観の反映を見る。
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アメリカ合衆国大統領の様々な記録やゆかりの品々を収集、保存、展示、提供する稀有な施設、それが大統領図書館だ。第31代ハーバート・フーバーから第43代ジョージ・W・ブッシュまで、全米各地に現存する全13館を訪れ、それぞれの大統領の知られざる横顔とともに紹介する。大統領資料をめぐる制度や現在の大統領図書館が抱える問題はもちろん、大恐慌、第二次世界大戦、ウォーターゲート事件、ベトナム戦争、ソ連と核軍縮、9・11……「その時、大統領は何を考えたか」を描く。アメリカ現代史とそれを彩る歴代大統領を知る格好の入門書。
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十代目市川團十郎(本名・堀越福三郎)は、明治の名優・九代目市川團十郎の長女・實子の婿養子。「慶應」を出て銀行員として勤めたが、九代目の死後、30歳を前に歌舞伎の世界に身を投じ市川三升を襲名。1956年に75歳で亡くなる近くまで舞台に立ち続け、死後「十代目」を追贈された。これまで経歴に不明点が多く、はっきりと評価もされてこなかった十代目は。果たして「團十郎」の名跡に値しない人物だったのだろうか。「空白の團十郎」の生涯を、家族との関わりとともに描き出す。
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人新世(アントロポセン)。人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目し、近年提唱されている地質区分である。人新世は、気候変動や環境破壊をもたらし地球を危機に陥れた。では芸術はこれとどうかかわってきただろう。美術作品は環境変化にきわめて敏感であり、芸術とサイエンスをつなぐものとしてエコロジーの思想は培われてきたのではないか。そういった見通しの下、17世紀から20世紀に描かれた美術作品に焦点を当て検討する。優れた観察者で、記録者だった画家たちはその変化をどう描いただろう。新たな西洋美術の見取り図を提案する。 【目次】第1章 かつて地球は寒かった――小氷期とコロニアリズム/第2章 エコロジーとエコノミー/第3章 火山の噴火/第4章 アルプスの氷河/第5章 産業革命の表象/第6章 霧のロンドン/第7章 印象派と大気汚染
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キリスト教において正典とされる四つの福音書のどこにも、イエスの笑いは出てこない。だがナイル川流域の土中から1970年代に発見された『ユダの福音書』では、イエスは四度笑っている。一人のグノーシス主義者によって書かれたこの笑いはいったい何を意味するのか。じつは四度ならず、イエスは大いに笑ったのだ――『寅さんとイエス』で、イエスが寅さんのようなユーモアに満ちた存在だったことを描き出したカトリック神父が、聖書のミステリーに挑む。 【目次】はじめに/第一章 イスカリオテのユダと『ユダの福音書』/第二章 イエスを四度笑わせた『ユダの福音書』/第三章 正典福音書におけるイエスの〈怒り・苦しみ・悲しみ・喜び〉/第四章 正典福音書におけるイエスの〈ユーモア〉/第五章 正典福音書におけるイエスの〈笑い〉/追記1 聖夜を前に聖書ひもといて/追記2 ガザの「壁」/おわりに
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1960年代からポストモダンの時代を通じ岩波書店で多彩な出版活動を展開した大塚信一に、同じく編集者だった堀切和雅が問う――脱魔術化され、人間の精神が寄る辺をなくした近代において学問や芸術は何と格闘してきたのか。河合隼雄・中村雄二郎・大江健三郎・山口昌男・宇沢弘文・木田元・磯崎新らとの仕事を組織しつつ、何を理解しようとしてきたのか。近代の思考もまた新手の魔術だったのではないか。我々はなぜ地球的破局に向かう終着点にいるのか――人類の思想史を対話でたどる。 【目次】はじめに 堀切和雅/第1章 「敗戦」のアンビバレンス/第2章 「近代」という問題群をまるごと問う/第3章 日本近世・準備された逆説/第4章 言語と「場」、そして意識/第5章 「主体」の観念、以前/第6章 「心」──変性するもの/第7章 ポストモダン思想の淵源/第8章 リアリズム・ニヒリズム・ファンタジー/第9章 トポスと人物/第10章 思考空間としての社会/第11章 「場所」から考える/第12章 脱魔術化と再魔術化/第13章 生・ロマン・崇高/終章 いま、破局に至るのか/あとがき 大塚信一/人名索引
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伝統中国は訴訟だらけだった!
訟師とは人びとの訴訟を助けた者たちである。彼らは狡智にたけた悪党とみなされ、清代では職業として訴状を代作しただけで、しばしば死刑一歩手前の重刑が科せられた。しかし実際には、それは中国国家が自ら生み出した鬼子であった。宋代以降、訴訟が多発する健訟社会となったのだが、伝統的な政治思想と訴訟制度そのものが逆に人びとに訟師を必要とさせたからである。また訟師には訟師であることに誇りを持つ者さえいた。訟師の全体像を中国史と世界史のなかで初めて明らかにする。 【目次】序章 訟師というカギ/第1章 悪訟師のイメージ/第2章 訟師有用論/第3章 伝統中国の訴訟制度/第4章 訴状への虚偽と誣告の書きこみ/第5章 私代書の容認から処罰へ/第6章 積慣の訟棍/第7章 名士と犯罪者のあいだ/第8章 北京への直訴/第9章 世界史のなかの訟師/第10章 江戸との相違/第11章 訟師自身による訟師観/第12章 訟師の終焉/終章 現代中国の訴訟制限/あとがき -
西欧の歴史は休みない戦争の歴史であり、特に16~18世紀は「軍事革命」の300年だったと言える。西欧はそれを奇貨として、宗教改革によって強化されたキリスト教信仰と「新大陸幻想」に駆られて、新世界の発見・拡大に躍り出る。その歴史はスペインとポルトガルに始まり、オランダ、イギリスを経て、アメリカの「脱領土的世界支配」に至る。そして今日、中国の勃興を背景に流動化する国際秩序は、「新たな中世」の到来を告げているかのようだ。世界覇権をめぐる500年の争いを俯瞰し、日本が立ち向かうべき「現実」の正体に挑む著者渾身の一冊。 【目次】
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