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『講談社学術文庫、1001円~(実用、文芸・小説)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全694件

  • シリーズ21冊
    1,3751,980(税込)
    著:
    森谷公俊
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ギリシア北方の山岳地帯で山羊の放牧を営んでいたマケドニア人が王国を建設したのが前7世紀半ば。前4世紀にギリシアを征服したフィリッポス2世の後を継いだアレクサンドロス大王は、前334年に東方遠征に出発し、ペルシア帝国を征服。たった10年で地中海からインダス川にいたる大帝国を築き上げた秘密と、ローマ帝国の皇帝崇拝など後の歴史に大王が与えた影響力を解明する。
  • シリーズ12冊
    1,4302,420(税込)
    著:
    宮本一夫
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    講談社創業100周年企画として2004年~05年に出版された全集「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版が、いよいよ刊行開始。本全集は、2014年には中国で、2016年からは台湾で翻訳出版され、そのレベルの高さと視点の新しさから累計で150万部を超えるベストセラーになっている。
    待望の文庫化、第1回配本は、第1巻と第2巻の同時配本。第1巻では、長年、中国での遺跡発掘を手掛けてきた著者が、「三皇五帝」や「盤古伝説」などで知られる中国の神話の表す史実を探り、「夏王朝」「殷王朝」の謎に迫る。
    中国の古代文明といえば、かつては「黄河文明」を指したが、現在では、長江流域をはじめ、各地の多様な自然環境から展開した多元的な古代文明と理解されている。現在の中国のさまざまな地域社会や風土を考える際にも、こうした先史時代から続く地域文化の脈絡を無視できないのである。約1万年前の新石器時代、南北の文化地帯の周縁でアワ・キビ農耕や稲作農耕が生まれ、そこから牧畜型農耕社会と遊牧社会が分離し、さらにその周辺には狩猟採集民が存在した。こうした基本的生活様式が誕生した中から、いかにして初期国家が生まれたのか。最古の王朝とされる夏王朝と二里頭文化の関係とは――。
    文庫化にあたり、原本刊行後の重要な遺跡と発掘成果を大幅に加筆。〔原本:2005年、講談社刊〕
  • 17世紀にガリレオやニュートンによって近代科学が成立するが、18世紀になると自然哲学の勢いは衰え、代わって博物学が時代を代表する学問となった。ヨーロッパでは王侯貴族から市民までが博物学に熱狂し、珍奇な動植物や鉱物を収集・分類することが流行する。こうした情熱の背景には「神の創造した自然を理解することが神を理解することになる」というキリスト教的信念があった。
    本書は、この博物学の黄金期を、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネ(1707―1778)を中心に描く。リンネは「分類学の父」と呼ばれ、生物を「属名+種小名」の二語で表す二名法を確立し、現代の学名体系の基礎を築いた人物である。彼の代表作『自然の体系』や『植物の種』は、生物を階層的に整理する画期的な試みであり、後世のダーウィンにも影響を与えた。
    世界のすべてを知り尽くしたい――万物を収集、分類、記述しようとする欲望は、どこから出てきたのか、鎖国日本を含む全世界をめざしたリンネの弟子たちは何を行ったのか。
    18世紀の知的熱狂と探究心、そして自然を体系化しようとした人類の壮大な試みを、リンネを軸にコンパクトにまとめた一冊。博物学の意義とその文化的背景を理解するための格好の入門書。

    [本書の内容]
    プロローグ 博物学の時代
    第1章 すべての植物を分類しつくす
    第2章 植物はどのようにとらえられてきたか
    第3章 学名の誕生
    第4章 最高の学問としての博物学
    第5章 世界を分類しつくしたい――リンネとその野望
    第6章 地球の裏側までも――リンネと使徒たち
    第7章 リンネ博物学の遺産
    エピローグ リンネからダーウィンへ
  • 香りで読みとく『源氏物語』──薫物から源氏香まで、平安王朝の雅びへと誘う一冊

    平安の宮廷に漂う、ほのかな香の余韻。仏教の隆盛とともに渡来した薫香は、平安初期には宮廷や貴族の邸宅へと浸透し、王朝文化の一端として定着していきました。『源氏物語』が生まれたのは、まさにその文化がもっとも成熟した平安中期。文字、絵画、音楽、建築、造園といった芸術が形式美の極みに達し、「雅び」という美意識が時代を彩っていた頃です。
    香りは、そうした「雅び」を構成する、もっともとらえ難く、それゆえもっとも重要な要素のひとつでした。衣にたきしめる「衣香」、紙にうつす香り、室内にただよわせる「空薫物」、仏前にそなえる「名香」など、香りは日常の中に息づき、身分や教養、個性を表現する手段でもありました。後年、こうした香りの文化は、香道において「源氏香」に結実していきます。

    『源氏物語』において、香りは登場人物の心の揺らぎや人間関係の機微を伝える鍵として巧みに用いられています――
    ふと漂う香りから光源氏の訪れを察し、動揺する藤壺。
    落ちぶれてもなお、稀有な香木の香りをまとう末摘花の高貴さ。
    薫君の移り香を中君がまとっていることに気づき、ふたりの関係を疑う匂宮。
    護摩の芥子の香りから、自らが生霊となっていたことを悟る六条御息所。
    「光る君」の二つの面をそれぞれ継承した「匂宮」と「薫君」のまとう香りの違い。

    本書は、香りの描写から『源氏物語』の奥深い世界を繙いていきます。『源氏の恋文』『新訳源氏物語』全四巻など源氏関連の著作を多数執筆し、香道研究に従事して『香道蘭之園』の校訂・解題も手がけた著者による、珠玉の一冊。(解題:毬矢まりえ、森山恵)

    [本書の内容]
    序にかえて――源氏物語と薫香

    源氏の世界と香り
    薫香への道程
    六種の薫物
    たきもの拾遺
    匂宮と薫君
    「源氏香」について

    朝日選書版あとがき
    『薫集類抄』(群書類従版)より
    参考文献一覧
    解題 毬矢まりえ、森山恵

    本書の初版は、1986年に求龍堂から出版されました。文庫化にあたっては、1992年に朝日選書として朝日新聞出版より刊行されたものを底本としました。
  • 合戦だけが戦いではない。
    列島に統一権力なき時代、地域国家の主権者として割拠した戦国大名たちは、軍事同盟や国境再編、自治勢力「国衆」との関係構築の成否に自らの存立を懸けた。それはまさに外交と呼ぶべき営為であった。交渉者「取次」が奮闘し文書が飛び交う、「現場のリアル」を描き出す、戦国史研究の精華!

    【本書より】
    なぜ、武田信玄と北条氏康は、直接面会して和睦交渉を行わなかったのであろうか。これは、現在の外交儀礼と比較するとよくわかる。現代においても、外交交渉というものは、外交官が事前に予備交渉を行い、大筋の話をまとめたうえで、外務大臣や国家元首が対談し、協議事項に合意をするという手順を踏むのが一般的であろう。これは戦国時代においても変わりはない。
     この時の武田・北条両国は、敵対関係にあった。したがって、いきなりトップである戦国大名同士が交渉することには慎重にならざるをえなかった。そこでまずは、大名の家臣同士が交渉の細部を詰め、それを踏まえて大名が直接書状をやりとりする、という手順を踏んだのである。
     こうした外交交渉を担当する家臣は、史料用語で「取次(とりつぎ)」「奏者(そうじゃ)」「申次(もうしつぎ)」などと呼ばれる。いずれも交渉内容を大名に取り次ぐ、執奏する、申し次ぐ人物という意味である。ただし、このうち「奏者」「申次」という言葉は、目下から目上への言上内容を披ひ露ろうする役割を担う側近家臣を指す用語で、対等な戦国大名同士の外交を担当する家臣を呼ぶには相ふ さわ 応しくない。このなかでは、「取次」という言葉が一番上下関係を表すニュアンスが少ない。そこで筆者は、戦国大名の外交担当者を、単に「取次」ないし「外交取次」と呼んでいる。この取次という存在が、いってみれば戦国大名の「外交官」の任を果たしたのである。

    【主な内容】
    序章 戦国大名という「地域国家」
    第一章 外交の作法
    第二章 外交による国境再編
    第三章 外交書状の作られ方
    第四章 取次という外交官
    第五章 戦国大名の使者
    第六章 外交の交渉ルート
    第七章 独断で動く取次
    第八章 取次に与えられた恩賞
    終章 戦国大名外交の行く末
    補注
    補論一 武田・徳川同盟の成立と決裂
    補論二 外交から考える本能寺の変
    補論三 取次の失態が招いた小田原合戦
    主要参考文献 
    あとがき 
    学術文庫版あとがき 
    索引
  • 1,540(税込)
    著:
    中村明
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    世界の見方が変わる文章術!
    「ねっとりとした春」「唇は美しい蛭(ひる)の輪のように滑らか」「現実から立ち登る朦朧(もうろう)たる可能性の煙」……作家たちが発見し、創作した選りすぐりの比喩表現を、「感覚」「自然」「文化・社会」「顔」「体」「心」の項目別に整理。イメージ豊かな日本語を味読しつつ、ワンランク上の文章を書くための必携事典。――すぐれた比喩は、新しいものの見方の開拓である!

    【目次】
    比喩に関する二、三の覚書ーー序に代えて
    第一章 感覚の表現ーー視覚/聴覚/嗅覚/味覚/触覚
    第二章 自然の表現
    第三章 文化・社会の表現
    第四章 顔の表現
    第五章 体の表現
    第六章 心の表現
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき
    出典作家索引
    主要イメージ索引

    【本書の主な内容】
    ■感覚
    [光と影]夜そのものに蒔絵をしたような綾
    [痛痒]自分の頭が三角になる
    ■自然
    [風景]富士山はどてら姿の大親分
    [草木]夢のしたたりのように咲き迸(ほとばし)る花
    ■文化・社会
    [言語]言葉は瞬間の虹
    [社会]賑やかな街区は飴の中の砂糖のよう
    ■顔
    [目]プルーンの種のような我が子の眼
    [頬]片頬に刃のような冷笑
    ■体
    [尻]西瓜が破れたような創口(きずぐち)
    [肌]膚(はだえ)は春の曙の雪
    ■心
    [恋情]一筋の暗渠のような愛
    [厭悪]未練が線香の煙のように糸を曳く

    [*本書の原本は『比喩表現の世界ーー日本語のイメージを読む』(筑摩選書、2013年)です。]
  • 1840年――日本で天保の改革が行われていた頃、イギリスで誕生した小さな紙片が、世界の通信網を一気に変えた! 発売初日に410万枚も売れた「ペニー・ブラック」伝説。東欧で大ブレイクしたヌード切手の謎。19世紀末に、毎週5万フラン(当時の大英博物館館長の年俸10年分)もの大金をつぎこんだ、オーストリアの貴族蒐集家。12歳の少年が売った1セント切手が50年後に1億円相当に高騰するオークションのからくり。ドイツ独裁時のヒトラーの切手と崩壊後の顛末や精巧な贋作から幼稚な偽物まで玉石混合、切手偽造名人列伝まで・・・・・・。奇跡・珍事の数々や、ユニークなアルミ金箔、異形デザイン紹介など、切手を愛し、蒐集に生涯を捧げた暦学者による、ユニークかつ白眉の切手学・入門書。
    「趣味の王者・王者の趣味」といわれた、切手の歴史と魅力を網羅する!
    (撮り下ろし図版も満載!!)

    ★国王の顔に消印禁止! イタリア
    ★なぜ天地逆? 逆刷500文切手の妙 日本
    ★世界一優雅で繊細な凹版切手 オーストリア
    ★名画に加筆…切手と著作権をめぐる事件 アメリカ
    ★0が17桁! インフレ切手に窮余の策を ハンガリー
    三角、八角、ダイヤ型、金箔にアルミ箔まで…変形、珍素材切手も大集合!

    本書の原本は、1976年10月、講談社より刊行されました。
    文庫化にあたり、底本切手画像の劣化を解消するため、解説者・田辺龍太氏の私物撮影を施しました。
  • 1,980(税込)
    著:
    山口昌男
    解説:
    今福龍太
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    様々な学問分野を自由に越境し、「知ることの楽しさ」を生涯発信し続けた<知の道化師>、山口昌男。その学問の真髄とも言える「アフリカ」研究を、丸ごと1冊・通史に編纂。思いがけなくも豊かなアフリカの相貌、実験的とも言える日本との対比、自身が描いたスケッチや、貴重すぎる図版を193点も掲載! 彼の地で暮らし、深い人脈を得た泰斗だからこそ書けた本作は、参考文献すらただの文字情報に終わらない、圧巻の充実ぶり。没後10年。今こそ、目からウロコのアフリカ通史を、吟味する!


    *本書は、『世界の歴史 第6巻 黒い大陸の栄光と悲惨』(講談社 1977年)を改題したものです。

    目次
    はじめに 人類史とアフリカ

    1 アフリカの古代世界
    1)アフリカにおける人類の起源
    2)アフリカの古代的世界
    3)黎明の輝き・
    4)サヴァンナの帝国
    5)東アフリカの王国
    6)アフリカの王権文化――そのパラダイム

    2 大発見の神話学
    1)プレスター- ジョンの王国を求めて
    2)アフリカの「黄金伝説」――ジンバブウェ遺跡とモノモタパ
    3)探険ラッシュの世紀

    3 伝統国家の栄光
    1)草原の覇者たち
    2)古都の盛衰
    3)奴隷の故郷
    4)アフリカと奴隷貿易

    4 東海岸――交易都市の繁栄
    1)世界へ開かれたアフリカ
    2)制海権をめぐる争い

    5 南アフリカのナポレオンたち
    1)南アフリカの原住民たち
    2) 南アフリカの清教徒たち
    3)シャカ王のズールーランド
    4)スワジ王国
    5)バストランドのモシェシュ王
    6)ムジリカジのンデベレ

    6 ヨーロッパによる仮死
    1)ヨーロッパ列強のアフリカ分割
    2)開拓者たちの運命
    3)アフリカ侵略の二つの型
    4)セネガルーー仏領アフリカの優等生
    5)最後の抵抗者サモリ= トゥレ

    7 再生への胎動
    1)マフディー運動
    2)キリスト教的反抗

    8 試行錯誤の現代史
    1)両大戦間のアフリカ
    2)エティオピアの反抗
    3)第二次大戦後のアフリカ
    4)コンゴ動乱
    5)ナイジェリアの内戦
    6)アンゴラの独立と内戦

    おわりに
    参考文献
    年 表
    図版参考資料一覧
    索 引
    解説 今福龍太
  • 鉄道とは、人類のドラマである!
    その胸躍る軌跡のすべて

    鉄道誕生から約二〇〇年――そこには、爛熟する豪華列車もあれば、等級制が生み出す人間模様もある。廃線問題が起こる一方で、座席や照明は進化し、激化するスピード競争はついにリニア開発までいたりついた。他に類を見ない独特な文化を生み運んできた鉄道の全軌跡を、第一人者が新聞や文学、写真や絵画を渉猟して描き切る、壮大にして無二の世界史!

    「二等車は一等車の上流と三等車の大衆を分かつ、ちょっと曖昧な漠とした中間ゾーンであるだけに乗客心理は微妙であった。誰でも二等車に乗ると、あるいは乗れる身分になると、ほっと安心する。それでいい気になって、不遜な態度で乗務員に接する、知らぬ男女の二等客が思わぬ不倫関係で突如途中下車してゆく……」(「第六章 等級制と社会」より)

    [本書の内容]
    第一章 のびゆく鉄道
    第二章 コンパートメントと大部屋式
    第三章 無謀なスピード競争は終わったが、スピードはわが命
    第四章 鉄道旅行の時代
    第五章 鉄道快適化物語
    第六章 等級制の人間模様
    第七章 日本にもあった「一帯一路」
    第八章 鉄道はデザインの宝庫
    第九章 超高速時代と反芻
    第一〇章 豪華列車からクルーズ列車へ
    第一一章 芸術が描いた鉄道
    第一二章 リニア新時代と鉄道の公益性
  • 1,298(税込)
    著:
    河合隼雄
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    影はすべての人間にあり、ときに大きく、ときに小さく濃淡の度合を変化させながら付き従ってくる。それは「もう一人の私」ともいうべき意識下の自分と見ることができる。影である無意識は、しばしば意識を裏切る。自我の意図する方向とは逆に作用し自我との厳しい対決をせまる。心の影の自覚は自分自身にとってのみならず、人間関係においてもきわめて重要である。刺激に満ちた万人必携の名著。
  • 「やーい、お前の母ちゃん、でべそ!」 誰もが耳にしたことがありながら、よく考えると意味不明なこの悪口。そこに秘められた意味とは? ありふれた言葉を入り口に、今は遠く忘れ去られた日本の姿が、豊かに立ち上がる。 「お前の母ちゃん…」のような悪口が御成敗式目にも載るれっきとした罪であり、盗みは死罪、犯罪人を出した家は焼却処分、さらに死体の損壊に対しては「死骸敵対」なる罪に問われれた中世社会。何が罪とされ、どのような罰に処せられたのか。なぜ、年貢を納めなければ罰されるのか。それは何の罪なのか。10篇のまごうかたなき珠玉の論考が、近くて遠い中世日本の謎めいた魅力を次々に描き出す。 稀代の歴史家たちが、ただ一度、一堂に会して究極の問いに挑んだ伝説的名著、待望の文庫化!(原本:東京大学出版会、1983年)解説(桜井英治・東京大学教授)より本書を通じてあらためて浮き彫りになるのは、中世社会が、現代人の常識や価値観では容易に解釈できない社会だということ、つまりそれは私たちにとって彼岸=異文化にほかならないということである。……日本中世史研究がまばゆい光彩を放っていたころの、その最高の部分をこの機会にぜひご堪能いただきたい。【主な内容】1 「お前の母さん……」 笠松宏至2 家を焼く 勝俣鎭夫3 「ミヽヲキリ、ハナヲソグ」 勝俣鎭夫4 死骸敵対 勝俣鎭夫5 都市鎌倉 石井 進6 盗 み 笠松宏至7 夜討ち 笠松宏至8 博 奕 網野善彦9 未進と身代 網野善彦10 身曳きと“いましめ” 石井 進討論〈中世の罪と罰〉 網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎭夫あとがき 笠松宏至あとがきのあとがき 笠松宏至文献一覧解 説 桜井英治
  • 学術文庫ですでに、『中世ヨーロッパの城の生活』、『中世ヨーロッパの都市の生活』、『中世ヨーロッパの農村の生活』、『大聖堂・製鉄・水車』、『中世ヨーロッパの家族』、『中世ヨーロッパの騎士』が好評を博している、ギースの「中世ヨーロッパシリーズ」の7冊目。本作では、人間の社会を構成する最も基本的な単位、「家族」と、その核心をなす「結婚」から、中世の社会史を掘り下げる。初訳。古今のあらゆる社会において、「家族」は、人が食べ、学び、経済生活を送る普遍的な場であったが、同時に、常に変化し続けるものでもあった。今日の家族は、ヨーロッパ中世が生み出した歴史の産物なのである。古代には、貴族の一夫多妻は当然であり、ローマ時代の「ファミリア」は、血族だけでなく奴隷や召使いをも含んでいた。中世の1000年間に、「解消不能な一夫一婦制」という原則はどのように定着し、「夫婦と子どもたちが一つの家に住む」という家族観はなぜ生まれたのか。14世紀の大災厄、黒死病以降に、家族のあり方や、子どもへの接し方はどう変わったのか。貴族や中流階級、農民や職人など、様々な人々の「結婚」と「家族」の進化の道筋を丹念に描く。[原著:Frances and Joseph Gies, Marriage and the Family in the Middle Ages,1987 ]目次/第一部 起源 第一章 歴史家、家族を発見 第二章 原点――ローマ人、ゲルマン人、キリスト教/第二部 中世前期 第三章 ヨーロッパの家族――五〇〇―七〇〇年 第四章 カロリング朝時代 第五章 アングロ・サクソン時代のイングランド/第三部 中世盛期 第六章 十一世紀の家族革命 第七章 十二世紀――新しいモデル 第八章 黒死病以前の農民たち――一二〇〇―一三四七年 第九章 貴族の系譜――長子相続がもたらす危機 第一〇章 中世の子どもたち/第四部 中世後期 第一一章 黒死病の影響 第一二章 中世後期の農民の家族――一三五〇―一五〇〇年 第一三章 イングランドの土地持ち紳士階級の家族 第一四章 十五世紀のフィレンツェ――商人の家族/第五部 中世末期 中世の終わり 第一五章 遺産/訳者あとがき
  • 牢固とまた堂々と風格を漂わせ、聳(そび)える城。西欧中世、要塞のような城が陸続と建造されていった。城作りはいついかなる理由で始まったのだろうか。城の内外ではどのような生活が営まれていたのだろうか。ウェールズ東南端の古城チェプストー城を例に挙げ、年代記、裁判記録、家計簿など豊富な資料を駆使し、中世の人々の生活実態と「中世」の全体像を描き出す。
  • 私たちの身体と心には、まだ開発されていない能力が無数にある。しかし、それは「学習」では開発できない。発達をリセットして、能力を形成すること。それは「名詞」ではなく「動詞」の経験であり、そのためには実際にやってみるのが唯一の方法である。本書では、オートポイエーシスの第一人者として知られる著者が、一人でもできるエクササイズを数多く紹介している。これらを実行したその先には、未知の自由が待っている。
  • 日本人にとって、妖怪とはなにか。科学的思考を生活の基盤とし、暗闇すら消え去った世界においてなお、私たちはなぜ異界を想像せずにはいられないのだろうか。「妖怪」とは精神の要請なのか、それとも迷信にすぎないのか――。古代から現代にいたるまで妖怪という存在を生みだし続ける日本人の精神構造を探り、「向こう側」に託された、人間の闇の領域を問いなおす。妖怪研究の第一人者による、刺激的かつ最高の妖怪学入門。(講談社学術文庫)
  • 1,463(税込)
    訳者:
    大貫隆
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    1世紀の地中海世界に誕生し、「古代キリスト教最大の異端思想」ともいわれる「グノーシス主義」が生み出した神話の主要な断章を紹介する。1945年にエジプトで発見されて宗教界にセンセーションを起こしたグノーシス主義の基本文献「ナグ・ハマディ文書」のエッセンスとともに、その影響の強いマンダ教、マニ教の教典の主要部分を抜粋し編成。1999年および2011年に岩波書店より刊行された同名書籍の文庫化。(講談社学術文庫)
  • 1,430(税込)
    2026/5/13 (水) 配信予定
    著:
    渡辺研二
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ヒンドゥー教や仏教と並ぶインドの伝統宗教、ジャイナ教。
    古代インドで仏教とほぼ同じ時代・地域に誕生したこの宗教は、やがて世界宗教としてインドから世界に広がっていった仏教とは異なり、いまもインドの地に深く根を下ろし、約2500年にわたりインドの文化や経済に大きな影響を与え続けている。
    「ジナ(輪廻から“勝利した者”)の教え」を意味するジャイナ教は、紀元前6ー5世紀ごろ、24人目のジナとされるマハーヴィーラという祖のもとで、反バラモン主義運動として興った。輪廻と業(カルマン)を前提とし、厳しい苦行によってそこからの解放を目指す宗教である。
    ジャイナ教の世界観では、宇宙は永遠に興亡を繰り返し、衰退の時代には救済者が現れて教えを説くとされる。人間はその世界での行為によって業が霊魂に付着し、果報を生むため、輪廻から逃れることができない。輪廻を断つためには、行為そのものをできる限り停止し、すでに付着した業を苦行によって落とさなければならないと考える。
    本書では、不殺生・非暴力の徹底と無所有を中心的な教義とし、あらゆる存在に生命を認め、その生命を何より尊重するという希有な宗教、ジャイナ教について、その知られざる歴史、教義、戒律、白衣派と空衣派という二大分派の違い、そして出家者と在家信者の実践をわかりやすくまとめた。

    [本書の内容]
    第1章 序言
    第2章 ジャイナ教の興起した背景
    第3章 六人の自由思想家の教説
    第4章 マッカリ・ゴーサーラ
    第5章 祖師マハーヴィーラの生涯
    第6章 白衣派の聖典
    愛7章 空衣派の聖典
    第8章 ジャイナ教の教義
    第9章 ジャイナ教の生活
    第10章 ジャイナ教の戒律
    第11章 ジャイナ教の在家信者
    第12章 不殺生の教えと霊魂の種類
    第13章 現在のジャイナ教教団
    第14章 ジャイナ教と仏教の比較

    ジャイナ教を知るための文献案内
    あとがき
    解説 河﨑豊

    *本書の原本は、2006年に現代図書から刊行されました。
  • 1,650(税込)
    2026/5/13 (水) 配信予定
    訳:
    中田一郎
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    バビロン第1王朝第6代の王ハンムラビ(在位前1792-前1750年)は、内政に力を注いだあと、治世29年頃から近隣諸国の征服に乗り出し、小さな都市国家の中心にすぎなかった王国を拡大して、治世37年頃までにはバビロニアを統一し、メソポタミアの北部の一部を含む大王国を築き上げた。ハンムラビ法典は、この大事業が完成したあと、ハンムラビ王の命令で編纂されたものである。
    ハンムラビ法典は、長らく「世界最古の法典」とされていたが、ウル第3王朝の創設者ウルナンマ(在位前2112-前2095年)が作らせたウルナンマ法典やイシン王国のリピト・イシュタル法典、ハンムラビ法典よりやや古いエシュヌンナ法典などの断片が発見され、現在ではこれらの法典の伝統を受け継いでできあがったものだと考えられている。
    ハンムラビ法典碑は、1901年から02年にフランスの発掘調査隊によってエラムの旧都スーサ(現在のイランの南西部)で発見され、現在はパリのルーヴル美術館に収蔵されている。法典碑のオリジナルがほぼ完全な形で残っているのはハンムラビ法典だけである。さらに数多くの写本が残っており、当時の書記(学者)たちが盛んに書写したことが想像される。そこでは裁判、犯罪、被害者の救済、兵士、社会構成、農業、商業、結婚、家族、遺産相続など、さまざまな事例が扱われており、ハンムラビ法典は当時の社会を反映する重要な史料として、揺るがぬ価値を持ち続けている。
    本書は、「目には目を、歯には歯を」という同害報復の規定でも知られるこの貴重な記録を全訳するとともに、読解を助ける訳注はもちろんのこと、各条文についての詳細な「注解」、時代背景の説明を含む懇切な「訳者解説」をも併載した、碩学による偉大な訳業である。単行本として刊行された旧版を全面的に改訂し、初めての文庫版として生まれ変わった本訳書は、不滅の輝きを放ち続けるだろう。

    [本書の内容]
    ハンムラビ法典

    注 解
    訳者解説
     1 ハンムラビのカタカナ表記について
     2 ハンムラビとその時代
     3 ハンムラビ法典とは何か
     4 王碑文としてのハンムラビ法典
     5 判決集の配列
     6 ハンムラビ法典碑と諸写本
     7 ハンムラビ法典以前の諸法典
     8 古代メソポタミアの法形式
    付 論
     1 「私の彫像」か「私のレリーフ」か
     2 ハンムラビ法典の写本一覧
     3 ハンムラビ法典と日本の現行の法律
    参考文献
  • 1,760(税込)
    2026/5/13 (水) 配信予定
    著:
    渡辺秀夫
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    同じ月でも、万葉の空には暖かく明朗に輝いていたけれども、平安王朝の人びとにとっては孤独な悲哀感を伴う冷たく澄明な光を降りそそぐものだった。
    「梅」と「桜」はともに春を代表する花ではあるが、それが表象するものごとには、微妙だが決定的な相違がある。
    古典的景物の代表が「雪・月・花」であって、風や雲、雨、もみじや菊などではないのはなぜか。

    日本の作品だけを見ていては、日本語のことばが担うイメージにどのような構造的な秩序があるのか、知ることはできない。
    なぜなら、古典日本語は、中国大陸からもたらされた多くの文物、とりわけ漢詩文を基盤にして創られたものだったからだ。

    奈良・平安びとは、膨大な漢文を書写・訓読・翻訳し、さらに模倣的創作を盛んに行った。
    そうして形づくられた「王朝漢文世界」を基盤として、
    「和と漢の相互干渉」という平安文学のダイナミズムが生まれ、
    古典日本語固有のイメージが形成されたのである。

    和歌と漢詩を丹念に見比べ、豊かな古典詩歌の深い森に分け入って、「イメージの文法」を見出す。
    日本古典と漢文学の双方を比較「和漢比較研究」に取り組んできた著者がおくる、
    古典の世界を深く味わうための、イメージやシンボル、比喩に注目する「読む辞典」。
  • 1,210(税込)
    2026/5/13 (水) 配信予定
    著:
    橋爪紳也
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    浅草十二階・大阪城天守閣・東京タワー・通天閣・太陽の塔・六本木ヒルズ森タワー・東京スカイツリー……
    塔(タワー)には進歩と郷愁の物語がある――
    多数の貴重図版とともに辿る、日本人の心の建築史!

    人類は塔(タワー)によって天地の境界をデザインし、都市の象徴を上書きするとともに、塔からの眺めを欲望し、また塔に進歩の夢やノスタルジーを仮託してきた。日本の近現代に屹立する「七塔」と人々の物語を通して文明の本質に迫る、唯一無二の都市建築史。

    [目次]
    はじめに 大地から
    1塔 物見の塔――浅草十二階ほか
    2塔 公共の塔――大阪城天守閣ほか
    3塔 電波の塔――東京タワーほか
    4塔 大衆の塔――通天閣ほか
    5塔 ひとがたの塔――太陽の塔ほか
    6塔 都市の塔――六本木ヒルズ森タワーほか
    7塔 塔の塔――東京スカイツリーほか
    あとがき 天空へ
    学術文庫版へのあとがき

    [本書の原本は『ニッポンの塔――タワーの都市建築史』(河出ブックス、2012年)です]
  • 日本の人々は星に何を見ていたのか――
    星にまつわる珠玉のエッセイや、星座の神話・伝説などをつづった著作が長く愛されてきた野尻抱影。その抱影が、膨大な文献の渉猟と全国の報告者の協力を得て、生涯をかけて収集した日本各地の星の和名をまとめた一冊。農山村や漁村の暮らしと結ばれた星の呼び名や伝承を通し、日本人が星に託してきた歴史と文化の深さを鮮やかに示す。星民俗学の決定版。

    [本書にでてくる星]
    〇麦熟れ星=うしかい座
     「この星が明け方に東の方に出だしたら麦をまく。この星が夕方西に入る時分になると麦を刈るんで、むぎぼしさんと呼ぶんじゃ」
    〇魚釣り星=さそり座
     「天の魚釣り星/一ぴき釣ったら腹をあけ/塩をこめ/腰のびくへちょっと入れ」
    〇すもうとり星=かんむり座
     「一間おきに七つの星が出とってや、角力(すもう)を見とる」
    〇破軍の星=大ぐま座
     「兵隊さんが出征した時、千人針の腹巻やチョッキを着て行ったもんやが、この千人針には必ず<はぐんのほし>の形を縫いこんで持って行ったもんや。そしてなあ戦いが始まったら、この星に念じると、必ず勝っとった」

    [本書の内容]
    春の星の和名
    夏の星の和名
    秋の星の和名
    冬の星の和名
    沖縄の星名
    奄美の星名
    アイヌの星名
    南十字星
    惑星の和名
    流星の和名
    彗星の和名
    古典の星名

    解題(石井ゆかり)

    *本書の原本は、1973年に東京堂出版から刊行されました。
  • 中世キリスト教最大の異端運動、カタリ派とは何か。その起源からアルビジョア十字軍による制圧までをドラマチックに描く。
    「異端」とは、キリスト教の内部にあって、教会が確定した教義とは異なる解釈を立てる者たちである。カトリック教会は、ユダヤ教やイスラム教など「異教」に対しては緊張をはらみながらも時に寛容さを見せたが、「我らこそが真のキリスト教徒である」と信じて疑わない異端者に対しては、徹底的な刑罰と弾圧を加えた。
    12-13世紀には大小さまざまな異端運動が存在したが、なかでも、東方のマニ教を思わせる「善悪二神論」を唱え、教会制度を拒み、ローマを指して「娼婦の家」「悪魔の神殿」と謗る「カタリ派」は大きな脅威だった。とくに南フランスに広がったカタリ派を「アルビジョア派」と呼ぶが、ローマ法王インノケンティウス3世は、それに討伐軍「アルビジョア十字軍」を差し向ける。
    当時の南仏は、パリを中心とした北部の人々を「フランス人」と呼び、みずからは「フランス人」とは考えない独自の社会だった。しかし、20年におよぶ陰惨な戦いは、フランス国王の征服戦争として終結し、異端の終焉とともに南仏社会を変質させていく。
    巻末解説を図師宣忠氏(甲南大学教授)が執筆。
    〔原本:『世界のドキュメント(4)異端者の群れ』(新人物往来社刊、1969年)の改訂新版『異端者の群れ―カタリ派とアルビジョア十字軍』(八坂書房刊、2008年)〕

    目次
    はしがき
    序章 聖ベルナールの怒り
    1 呪いの町
    2 信仰の掟
    3 異端の運動
    4 カタリの発現
    第一章 南フランスの風雲
    1 南部の国々
    2 吟遊詩人
    3 豊かなる南ガリア
    4 軽い土と重い土
    5 不完全封建制
    第二章 異端カタリ派
    1 バルカンの遠き祖たち
    2 異端の書
    3 善き神と悪しき神
    4 絶望の戒律
    5 異端者の群れ
    6 完徳者と帰依者
    第三章 アルビジョア十字軍
    1 アルビジョア派
    2 ローヌ河畔の惨劇
    3 ベジエの虐殺
    4 カルカッソンヌの攻囲
    5 征服者シモン・ド・モンフォール
    第四章 百合の紋章
    1 フランス人との戦い
    2 ミュレの合戦
    3 王旗の登場
    4 異端審問
    後日譚
    あとがき
    解説(図師宣忠)
    人名索引
    関連略年表
  • 本書は、「最後のローマ人」と評されるアニキウス・マンリウス・セウェリヌス・ボエティウス(475/77頃-526年頃)が生涯の最期に残した著作である。
    ローマ貴族の家に生まれ、アテナイに留学したあと故郷で研究・執筆を行ったボエティウスは、プラトンやアリストテレスの著作をラテン語訳したほか、神学者としては三位一体論を扱う著作を書き、音楽の理論書である『音楽教程』(講談社学術文庫)を、数学の理論書である『算術教程』をものして、四学科(幾何学、算術、天文学、音楽)の基本的な体系を中世に伝えた。
    プラトンの『国家』で語られる「哲人政治」を理想としたボエティウスは、政治家としても東ゴート王国のテオドリック王のもとで宰相の地位にまで昇り、510年には西ローマ帝国の執政官となる。しかし、コンスタンティノープルとローマ教会の首位権をめぐる抗争、東ローマ帝国と東ゴート王国の対立に巻き込まれ、叛逆罪の嫌疑をかけられてパヴィアに投獄、処刑された。本書は、獄中で処刑直前に書かれたものにほかならない。
    散文と韻文が交互に配され、人格化された「哲学」との対話形式を採った本書は、中世には聖書に次いで読まれた著作として知られる。研鑽を積んできたギリシア哲学を土台としつつ、自身の悲痛な体験を背景に抱えながら、理性によって俗情を克服し、徳と善の中で生きる境地を示した本書は、古代哲学の倫理学的な美しさを今に伝える古典である。
    本書の日本語訳は、これまで4種類を数える。その中で最も古いものが、スピノザの翻訳で知られる畠中尚志(1899-1980年)による1938年のものである。「旧字体・旧かな遣い」のままになっていたこの名訳を、「新字体・新かな遣い」にして、お届けしたい。今日の読者にとって読みやすくなる工夫を施すとともに、『畠中尚志全文集』(講談社学術文庫)で熱意あふれる解説を執筆した國分功一郎氏が再び解説を担当した本書は、最新の校訂・研究に基づく他の訳書が存在する中でも、唯一無二の価値を持ち続けるだろう。

    [本書の内容]
    第一部
    第二部
    第三部
    第四部
    第五部
    ボエティウス――生涯・業蹟・文献
    解 説(國分功一郎)
  • 海外でもっともよく知られる日本の思想家は、いかに生き、何をどのように考えたか。
    対立と混迷が深まる時代だから、
    いまこそ世界には「大拙」が必要だ!

    世界にもっとも知られた日本人思想家は、いかに生き何をどのように考えたか。
    青年期からの西田幾多郎との濃密な交流をひとつの軸として、その霊性に満ちた生涯をたどりながら、東西を統合する新たな文明創造を期した思想の核心を読み解く。
    大拙の孫弟子でもある著者が、もっとも重要なポイントにしぼって平易に語る、現代人のための決定的解説書。

    [本書より]
    禅体験に基づく「超個の個」の宗教哲学は、キリスト教の伝統的な神を失った欧米の思想界に、今後ますます大きな影響を与えていくであろうと思っております。
    実際、大拙は、禅ないし仏教等に現われた「東洋的な見方」を、主客二元分裂以後しか見ていない西洋の人々に、何とかして伝えようとしたのでした。その伝道活動が欧米の世界に大きな影響を与えたことは、まぎれもない事実です。その意義は、人類の地球規模の思想史の中の画期的な出来事として、正当に評価されるべきでしょう。

    [本書の内容]
    第1章 大拙の生涯と西田幾多郎との出会い
    第2章 自由への気概──禅に基づく自由論
    第3章 釈宗演老師への参禅──アメリカ渡航まで
    第4章 衆生無辺誓願度の覚り──大拙と西田 日米間の交流
    第5章 浄土教への接近──学習院から大谷大学へ
    第6章 戦争への悲嘆──大拙と西田の憂国の思い
    第7章 日本的霊性について──絶対無条件の大悲に包まれて
    第8章 日本禅宗史への視点──盤珪禅への敬慕
    第9章 大拙の禅思想 I ──「即非の論理」と「超個の個」
    第10章 大拙の禅思想 II ─ただはたらいてやまない境涯
    第11章 東洋と西洋──二元分裂以後と以前
    第12章 日本の復興を願って──華厳思想に基づく民主的社会の提言

    *本書は、2023年にNHK出版より刊行された、NHKラジオ「宗教の時間」通年講座ガイドブック『鈴木大拙 願行に生きる その生涯と西田幾多郎との交遊(上・下)』を合本し、増補改訂したものです。
  • 本書は、20世紀を代表するドイツのユダヤ系思想家であり、フランクフルト学派の中心人物テオドール・ヴィーゼングルント・アドルノ(1903-69)の波乱に満ちた生涯と、その不屈の思想を丁寧にたどる決定版ガイドです。
    フランクフルト・アム・マインに生まれ、哲学、社会学、心理学、音楽学を貪欲に学んだ早熟の天才アドルノは、わずか21歳で哲学博士号を取得。コーネリウスのゼミで終生の友人ホルクハイマーと出会い、戦後にフランクフルト「社会研究所」の所長に就任します。ここに集った研究者たちとともに形成されたのが、後に「フランクフルト学派」と呼ばれる思想潮流です。
    ナチス政権下で教授資格を剥奪されたアドルノは、イギリスを経て1938年にアメリカへ亡命します。1949年に帰国した後、ホルクハイマーと共に社会研究所を再建、亡くなるまでその活動を続けました。
    近代合理性の闇を暴き、西欧文明の自己批判を徹底したアドルノ。アメリカの大衆文化批判、反ユダヤ主義への応答、そして「新しい主体」や芸術と哲学の連帯を模索する彼の思想は、現実とのすさまじい緊張関係の中から生み出されるもので、安易な解釈を許しません。
    本書では、音楽への情熱、クラカウアーやベンヤミンとの友情、ホルクハイマーとの共同作業など、その思想を育んだ生涯をたどり、主要著作『啓蒙の弁証法』『否定弁証法』『美の理論』の読解を通して、危機の時代に生きた知の巨人の核心に迫ります。アドルノ研究の泰斗による、最良の概説書です。

    [本書の内容]
    まえがき
    プロローグ 肯定的なアドルノを求めて
    第一章 音楽の揺りかご
    第二章 星々の友情
    第三章 否定弁証法のオリジン
    第四章 亡命のオデュッセウス
    第五章 理性の原史をたずねて――『啓蒙の弁証法』の射程
    第六章 新たな「唯物論」へ――『否定弁証法』と「客観の優位」
    第七章 『美の理論』の告げるもの
    エピローグ パウル・ツェランとアドルノ
    主要著作ダイジェスト
    キーワード解説
    読書案内
    あとがき
    学術文庫版あとがき
    アドルノ略年譜

    *本書の原本は、1996年に「現代思想の冒険者たち」第15巻として小社から刊行されました。
  • 2,530(税込)
    著:
    網野善彦
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    鎌倉時代後期、13世紀後半の日本には「飛礫(つぶて)」や「博奕(ばくち)」に象徴される、底知れぬ力が渦巻いていた。
    その源となった「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」の対立は、幕府では御家人と御内人、朝廷では持明院統と大覚寺統の政治的対立として、また宗教においては日蓮と叡尊・忍性の対立、さらには荘園支配をめぐる対立として、社会のさまざまな局面にあらわれる。蒙古襲来は、せめぎあいの緊張が高まる日本に訪れた危機だった。
    未曾有の外寇によって対立の均衡が崩れた時、後戻りのできない大転換が始まる。それは単に鎌倉幕府の滅亡にとどまらない、近世・近代の日本社会の在り方にもつながる日本社会の大変動だった――。
    戦後歴史学を代表する歴史学者、網野善彦が遺した唯一の時代史にして無二の全体史。【解説:清水克行】

    「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」が激突する十三世紀後半の日本。蒙古襲来によってその均衡が崩れたとき、決して後戻りのできない大転換が始まる――。網野史学唯一の時代史にして無二の全体史。


    遍歴する職人や商人、海民など非農業民に光をあてることで、これまでにない中世日本の姿を描き出した網野善彦(1928-2004年)。鎌倉時代後期の法制・経済・宗教・文学の総体に過不足なく言及された本書は「網野によって書かれた唯一の時代史叙述であるだけでなく、網野史学にもとづいた貴重な「全体史」の試み」である(清水克行氏「解説」より)。
    『中世荘園の様相』に続く二冊目の単著となる本書は、前著で描かれた若狭国太良荘をはじめとする荘園の百姓や支配者たちをめぐる悲喜こもごもはもちろん、非農業民である職人の活動や「悪党」に接近する後醍醐天皇、あるいは活発な中世の海上交通、「弘安徳政」など、その後の仕事に結実するエッセンスが凝縮されている。網野史学を彩る個々の魅力的なテーマが通史叙述のなかで立体的に組み上げられ、大きく転換していく時代のうねりがダイナミックに立ち上がる。
    圧倒的スケールで繰り広げられる空前絶後、唯一無二の時代史。(原本:小学館、二〇〇一年)

     【本書の内容】
    まえがき〔小学館ライブラリー版〕
    飛礫・博変・道祖神――はじめに
    二つの世界、二つの政治
    「蒼い狼」の子孫
    文永の役
    建治元年―日本
    弘安の「徳政」と安達泰盛
    百姓と「職人」
    訴人雲霞のごとし
    転換する社会
    鎌倉幕府の倒壊
    一三世紀後半の日本
    参考文献
    解 説(清水克行)
    年 表
  • 宇多・醍醐・村上、三代の天皇は何を書きのこしたか。
    摂関政治への転換期に起こった政治的事象から、愛猫の消息まで、
    “天皇自身の筆による日記"を読む!

    貴族社会においては政事・儀式の慣例を示すものとして重んじられ続け、
    歴史・文学研究では第一級資料となる『宇多天皇御記』『醍醐天皇御記』『村上天皇御記』。
    古記録学の最新知見に基づき、断片的な逸文を博捜し、喪われた本文を可能な限り復元・現代語訳。
    後の世に「延喜・天暦の治」と称えられる醍醐・村上による「親政」の実態、藤原氏による摂関政治の形成過程、そして天皇の日常の姿……平安の歴史が時代の空気とともに蘇る。

    [本書の内容]
    はじめに
    凡例
    「宇多天皇御記」:仁和三(887)~寛平九(897)年 *年月日不詳を含む
    「醍醐天皇御記」:寛平九(897)~延長七(929)年 *同
    「村上天皇御記」:天慶九(946)~康保四(967)年 *同
    用語解説
    人物注
    略年表
    関係地図
    平安宮内裏図
    方位・時刻

    *本書は当シリーズのための訳し下ろしです
  • フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)は、1889年初頭に狂気の闇に沈み、健全な精神活動をなしえないまま生涯を送った。本書は、その直前にあたる1887年11月に出版された哲学者としての最晩年の著作である。
    本書の主題は、表題にあるとおり「道徳(Moral)」である。これは日本語では「価値観」とも言い換えることができる。では、なぜニーチェは価値観を問題視したのか。言うまでもなく、それはその価値観が自明視できなくなっていたからであり、そのままでは通用しなくなっていたからである。
    従来の価値観が通用しなくなっているにもかかわらず、それが依然としてニーチェ自身を含む人々の考え方や生き方を制約し、生きる意味を規定してしまっている、という矛盾した現実。それこそがニーチェを突き動かし続けた思想的動因にほかならなかった。それゆえ、新たな価値観を模索し、あらゆる基本的価値の転換を果たすことが最も重要な思想的課題である、というのがニーチェの時代診断である。
    ニーチェにとって、従来の価値観とはヨーロッパを支配してきたキリスト教的道徳の伝統の中で普遍的なものとされてきたものだったが、それは歴史的現象として発生し、揺れ動いてきたものでしかない。それゆえ、この主題は「系譜学」という手法で取り組む必要がある。――本書は、初めてその認識に立った者による探究の開始を告げるものであり、だからこそニーチェは刊行2ヵ月後にあたる1888年1月、友人オーヴァーベックに宛てて次のように書いた。
    「本書を構成する三論考は、それぞれ個別的な第一動因を表現しています。〔…〕多様きわまりない要因すべてを最終的に勘案し、とりまとめて、道徳をある種、清算することも同様です。そういうことをするには、われわれはまだわたしの哲学の「前奏」段階にいます」。
    つまり、本書は、たとえ重要な成果をもたらしているとしても、まだほんの入り口にすぎず、この課題はここから続行される必要がある、とニーチェは考えていた。それゆえ、従来は『道徳の系譜』と訳されることが多かった本書の表題Zur Genealogie der Moralは、「道徳」という主題を「系譜学」という手法で扱う企てのマニフェスト、という意味で『道徳の系譜学に向けて』と訳さなければならない。
    長年にわたってニーチェを主要な研究対象としてきた大家が満を持して送り出す決定版新訳、ついに完成。

    [本書の内容]
    序 論
    第一論考 「善良と邪悪」、「優良と劣悪」
    第二論考 「負い目」、「やましい良心」および関連事項
    第三論考 禁欲主義的諸理想は何を意味するか

    訳者解説 試行としての鳥瞰
    訳者あとがき――タイトル頁裏の「付言」について
  • 1,650(税込)
    著:
    吉田禎吾
    解説:
    真島一郎
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    聖にして穢、善にして悪、神にして魔!
    人類普遍の「魔の構造」を明かす、文化人類学の到達点。

    聖なるものはなぜ呪われたものでもあるのか。清純な白と無気味な白・左の神秘・双子の習俗、魔女・憑きもの・不思議な来訪者……日本・バリ・アフリカの民俗をたずね、文化/自然・男/女・昼/夜など、二元的カテゴリー間の均衡を攪乱する「どちらつかずの中間領域」に魔性の発生を見いだす。文化人類学の大家による画期の書!

    [目次]
    序章 妖怪と両義性
    ■第一部 自然の認識――原初的分類
    第一章 清純な白と無気味な白
    第二章 左の神秘
    第三章 方位の意味
    ■第二部 水・双子・音
    第一章 さかさ水
    第二章 双子の習俗
    ■第三部 魔性の構造
    第一章 魔女、死霊のイメージ
    第二章 女性の魔力
    第三章 不思議な動物 1
    第四章 不思議な動物 2
    第五章 不思議な動物 3
    第六章 不思議な来訪者

    あとがき
    みすずライブラリー版あとがき
    解説 聖の迷宮 真島一郎
    索引

    (*本書の原本は1976年に研究社出版より刊行されました。学術文庫化に際しては、1998年刊行のみすず書房版を底本としています。)
  • 1,320(税込)
    著:
    中村元
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    稀代の仏教学者が追究した仏道の根本概念 その出発点にして到達点
    他者へのあたたかな共感がここにある

    友愛の念「慈」、哀憐の情「悲」。生きとし生けるものの苦しみを自らのものとする仏の心、そして呻きや苦しみを知る者のみが持つあらゆる人々への共感、慈悲。仏教の根本、あるいは仏そのものとされる最重要概念を精緻に分析、釈迦の思惟を探究し、仏教精神の社会的実践の出発点を提示する。仏教の真髄と現代的意義を鮮やかに描いた、仏教学不朽の書。

    慈悲の実践はひとが自他不二の方向に向って行為的に動くことのうちに存する。それは個々の場合に自己をすてて他人を生かすことであるといってもよいであろう。(中略)それは個別的な場合に即して実現さるべきものであるが、しかも時間的・空間的限定を超えた永遠の意義をもって来る。それは宗教に基礎づけられた倫理的実践であるということができるであろう。かかる実践は、けだし容易ならぬものであり、凡夫の望み得べくもないことであるかもしれない。しかしいかにたどたどしくとも、光りを求めて微々たる歩みを進めることは、人生に真のよろこびをもたらすものとなるであろう。――<「結語」より>

    ※本書の原本は、1956年に平楽寺書店より刊行されました。
  • 道長が「この世をば我が世とぞ思う……」と口ずさんでから約70年。道長の玄孫にあたり、のちに右大臣に昇る藤原宗忠は宮廷での日々を綴り始めた。宗忠が職を辞するまで、52年にわたり書き続けられた『中右記』は、華やかな宮廷生活はもちろんのこと、「武者の世」へと大きく時代が動いていく院政期社会の実像を伝えてくれる。貴族の旅行や交通事情、京で起こったさまざまな犯罪、落馬を恐れる貴族と牛車に四苦八苦する武士たち――宗忠は時に家族との死別に涙して仏事に奔走し、息子たちの栄達を願って心を砕く一方、自らを妨げた者、助けてくれた者の一覧を記すような面も日記のなかで見せている。
    膨大な日記の海から、著者ならではの視線で重要な記述をすくいあげ、およそ900年前を生きた多様な階層の人々の暮らしをあざやかによみがえらせる、不朽の院政期社会史。

    院政期の第一級史料である『中右記』は実にさまざまなことを語ってくれる。従一位、右大臣にまで昇りつめた宗忠の日々の苦労や悲喜こもごもはもちろん、熊野詣や伊勢への具体的な旅程と旅先ならではの交流、当時の警察・裁判機構の長官である検非違使別当として記した京の犯罪とその取り締まりの実態、それをめぐる人間模様、強訴を繰り返す悪僧たちの躍動、京の民衆が熱狂した田楽、そして警備などを通じて静かに存在感を増していく武士たちの姿……。
    宗忠が生きた時代は、白河院による院政が始まり、「武者の世」の足音が聞こえはじめた、激動の予感に満ちた時代である。摂関家を中心とする藤原一門の栄華には翳りがさし、宗忠の日記には王朝貴族の秩序が崩れていくことへの悲憤や嘆きもにじむ。同時に武門の随兵・郎等のあり方からは、院政時代特有の武士像もうかがえる。
    膨大な日記のなかから宝物のような手がかりをすくいあげ、同時代の日記や史料をも駆使して、900年前を生きた人々の体温や息遣いまで感じられるほどに、当時の世界が描き出される。(原本:そしえて、1979年)

    【本書の内容】
    はしがき 
    一 立身の道
    二 熊野・伊勢への旅
    三 検非違使の記録
    四 院政期諸階層の生態
    五 宮廷貴族の晩年
    藤原宗忠関係年譜
    解 説 髙橋昌明
  • 1,210(税込)
    著:
    高田修
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    古代初期から紀元後2世紀前半まで、決して創られなかった「仏の像」。形象化タブーの時代から何を転機に、いつ、どこで、どのように「仏像」が生まれたのか? 考古学、美術史、仏教思想、仏教史上、重要なテーマでありながら長らく明かされなかった疑問に、圧倒的多数の仏像図版を掲げて、仏教学の泰斗が正面から対峙する!

    見どころ)
    70点を超える仏像図版。
    構図、テーマ、表情、髪型や衣のひだまでに至る
    細やかな考察から、仏像誕生の系図を眺める、はるかなる宗教の旅――。

    やっぱ人型を模した偶像にグッときてしまうのは人間の性。
                         ――みうらじゅん

    本書の原本は、1987年10月に岩波新書より刊行されました。


    目次

    序 ガンダーラかマトゥラーか
    一 伝承のなかの仏像
    二 仏像の起源を求めて

    第1章 仏像のない時代
    一 仏教美術のはじまり
    二 仏陀なき仏伝図
    三 仏教徒は何を拝んでいたか
    四 なぜ仏像がなかったのか

    第2章 ガンダーラ美術と仏像
    一 ギリシア・ローマからガンダーラへ
    二 仏像のガンダーラ起源説

    第3章 ガンダーラ仏の誕生
    一 ガンダーラの仏教文化
    二 仏伝図と仏像
    三 単独仏像の出現
    四 西北インドの仏教情勢

    第4章 マトゥラー美術と仏像
    一 古いまちマトゥラー
    二 マトゥラー起源説

    第5章 マトゥラー仏の成立
    一 初期のマトゥラー仏
    二 マトゥラー仏の出現
    三 初期仏のインド的成立
    四 「菩薩」という名の仏像

    クロノロジー
    参考文献
    あとがき
    解題 「仏像ファンとして」 ーーみうらじゅん
    索引
  • 本書は、古代ローマの建築家マルクス・ウィトルーウィウス・ポッリオーによる著作であり、現存する最古の建築書として知られる。
    ローマ初代皇帝アウグストゥス(在位前27-後14年)の時代に活動したウィトルーウィウスは、『建築書(De architectura libri decem)』(『建築について』または『建築十書』とも)の著者であること以外、その出自や生涯は何も知られていない。本書は、建築に関する包括的な著作であると同時に、当時の技術を幅広く記録した百科事典的なものでもある。その内容は、以下のようになっている。

    第一書 建築の原理
    第二書 建築の歴史と材料
    第三書 イオーニア式神殿
    第四書 コリント式神殿とドーリア式神殿
    第五書 劇場とその音響、および浴場
    第六書 町の家屋と田園の家屋
    第七書 内部装飾
    第八書 給水
    第九書 時計
    第一〇書 機械技術と軍事技術

    このように、本書は古代ギリシア・ローマの建築(建築家の教育、材料、構法、建築の計画法など)のみならず、当時の都市計画、天文学、気象学、土木、軍事技術、絵画、音楽、演劇の実態を後世に伝える、きわめて貴重な史料にほかならない。ローマ時代にも引用されたが、中世になると修道院を中心に研究され、カール大帝の時代にはローマ帝国再建のための技術的な手引きとされたことが知られる。続くルネサンス期には、人文主義の重要な文献として研究され、アルベルティをはじめ多くの注釈書や訳書が出現したほか、レオナルド・ダ・ヴィンチは第三書で示される、神殿建築は人体と同様に調和したものであるべき、という記述に依拠して1485-90年頃に《ウィトルーウィウス的人体図》を描いた。
    西洋建築に関する古典中の古典として流通してきた本書の唯一の日本語訳を、初めて文庫版としてお届けする。

    [本書の内容]
    第一書
    第二書
    第三書
    第四書
    第五書
    第六書
    第七書
    第八書
    第九書
    第一〇書

    文献一覧
    訳者あとがき

    解 説(田路貴浩)

    建築用語索引
  • 幽閉・排除すべき狂気から治療・ケアすべき精神疾患へ――近代の精神医学はここからはじまった。

    近代精神医学の祖とされるフィリップ・ピネル(1745-1826年)。自由・平等・博愛といった啓蒙精神と人類愛が高まる革命期のフランスで、精神疾患に罹患した友人の治療に関わったことを機に精神医学に関心を覚えたピネルは、ビセートル病院とサルペトリエール病院の医長を歴任し、監護人ピュサンとともに「狂人」と呼ばれ鎖に繋がれていた精神病者を解放し、人道的な治療を始めた人物として知られる。その狂気の分類・治療実践と狂人の解放神話はヘーゲルやミシェル・フーコーにも取り上げられ、医学のみならず哲学分野にも大きな影響を与えた。
    ピネルの思索と実践を記録した本書は、精神医療の改革と近代化をうたった最初期の重要文献のひとつである。同じタイトルながら内容がかなり異なる第二版が存在することが知られている本書。さまざまな「精神病」の疾病分類を体系的に行おうとする第二版とは異なり、初版である本書では、マニー(躁病、気分障害、統合失調症、妄想、パーソナリティ障害などを含む概念)の疾病分類がなされ、それまでの瀉血や薬物、水療法など身体を対象とした療法ではなく、「心」にアプローチする「心的療法(モラル・トリートメント)」が提唱される。この療法は食事や労働などの生活習慣、社交、そして感情への配慮をもとにしたもので、「ケア実践」の源泉といえる。ピネルが臨床経験を重視し実践家に学びながら、新しい治療法を確立しようとした苦難の軌跡である。
    巻末には、ピネルの略伝、著書刊行年の謎、鎖からの解放神話の真相、ピネル研究史などを丁寧に論じた訳者による「あとがきに代えて」「講談社学術文庫版あとがき」、さらにフーコーを軸に本書の意義を明らかにする精神医学研究の気鋭・上尾真道による詳細な「解説」を付した。
    ピネル没後200年にあたる2026年、近代精神医学の誕生を告げる記念碑的著作を文庫として刊行する。

    *本書の原本は、1990年に中央洋書出版部から刊行されました。

    (主な内容・目次)
    マニー論 本書の全体的構成
    第一章 周期性もしくは間歇性マニー
    第二章 精神病者の心的療法
    第三章 精神病者の頭蓋の形態的欠陥についての解剖学的研究
    第四章 精神病の明確な種類の分類
    第五章 精神病者の救済院で確立されるべき院内規律と監護
    第六章 精神病者の医学的療法の諸原則
    あとがきに代えて
    講談社学術文庫版あとがき
    解説 精神医療とモラル フーコーと読むピネル『精神病に関する医学=哲学論』(上尾真道)
     (上尾真道)
  • 「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたのか? 昭和天皇「不訴追」の背景は? 無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明――アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する!


    第一人者による東京裁判研究の金字塔!
    「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたか

    「天皇不訴追」決定の真実、無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明──アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する!

    「A級戦犯」28人はいかにして選ばれたのか。天皇不訴追の決定プロセスの真実とは。釈放されていく「大物」たち、免責された毒ガス・細菌戦。冷戦が本格化してゆく中で、無視された証言・証拠……アメリカに残されていた膨大な尋問調書を丹念に読み解き、語られざる歴史の実相と当事者達の人間ドラマを描き出す。東京裁判はこうして始められた!
  • 1,760(税込)
    著:
    森田慶一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    本書は、建築家・建築研究者である森田慶一(1895-1983年)が、自身の建築理論を包括的に論じたものです。
    東京帝国大学工学部で建築を学んだ著者は、京都帝国大学で教鞭を執るようになり、1934年から36年にはフランス、ギリシアに留学して、古典建築を学びました。教育活動に加え、建築家としては、京都帝国大学楽友会館(1924年)、京都大学基礎物理学研究所湯川記念館(1952年)などの設計で知られる著者は、博士論文の主題でもあった古代ローマの建築家ウィトルーウィウスの『建築書』の研究を続け、唯一となる日本語訳を刊行しています(講談社学術文庫より近刊予定)。
    京都大学退官後に東海大学教授を務めた著者は、古典建築の研究に裏打ちされた思想を理論化し、多くの学者を育てた日本の建築学・建築理論の創始者にほかなりません。
    本書は、東海大学での講義を基にした「建築論概説」、「建築論の特殊問題」、「西洋建築思潮史」の三編に、ポール・ヴァレリーの建築論的な対話篇である『エウパリノス』(1923年)の日本語訳を加えて構成されています。物体性、効用性、芸術性、超越性を軸にした総論である「概説」から始まり、様式、法則、造形をめぐる各論である「特殊問題」を扱った上で、古代ギリシアからロマン主義に至る歴史を一望する「建築思潮史」に至る構成は、講義ならではの明快さも相俟って、類を見ない建築論概説となっています。末尾に配置されたヴァレリーの『エウパリノス』は、他の訳書も知られている作品ですが、建築家であるからこそ可能な妙味をもつ貴重な訳業だと言えるでしょう。
    著者が生涯を賭して研究したウィトルーウィウスの訳書とともに、その主著をも合わせて学術文庫に収録されることで、この大家の仕事が長きにわたって受け継がれることを願っています。

    [本書の内容]
    建築論概説
     序 章
     一 物体性の問題
     二 効用性の問題
     三 芸術性の問題
     四 超越性の問題
     五 建築の各存在様態相互間の相関
     むすび
    建築論の特殊問題
     一 様式の問題
     二 法則と自由
     三 建築造形における表現の諸相
    西洋建築思潮史
     一 古代ギリシアの建築思想
     二 ウィトルーウィウスの建築論
     三 中世の建築観
     四 ルネサンスの建築思想
     五 近世フランスの建築思想
     六 古典主義とロマン主義
    ポール・ヴァレリー「エウパリノスまたは建築家」
    解 説(田路貴浩)
  • この生は生きるに値するか。
    世界は人間にとって意味ある生を保証するか。

    美と崇高、あるいは世界の目的論的理解をめぐる『判断力批判』の考察は、生の目的、および世界の存在の意味をめぐる真率なる思考に貫かれている。テクストの隠されたモチーフをも跡づけつつ碩学がよみがえらせる、鮮烈なる「カント」!

    [目次]
    まえがき
    第1章 美とは目的なき合目的性である――自然は惜しみなく美を与える
    第2章 美しいものは倫理の象徴である――美への賛嘆は宗教性をふくんでいる
    第3章 哲学の領域とその区分について――自然と自由あるいは道徳法則
    第4章 反省的判断力と第三批判の課題――美と自然と目的とをつなぐもの
    第5章 崇高とは無限のあらわれである――隠れた神は自然のなかで顕現する
    第6章 演繹の問題と経験を超えるもの――趣味判断の演繹と趣味のアンチノミー
    第7章 芸術とは「天才」の技術である――芸術と自然をつなぐものはなにか
    第8章 音楽とは一箇の「災厄」である――芸術の区分と、第三批判の人間学的側面
    第9章 「自然の目的」と「自然目的」――自然の外的合目的性と内的合目的性
    第10章 目的論的判断力のアンチノミー――反省的判断力の機能と限界について
    第11章 「究極的目的」と倫理的世界像――世界はなぜこのように存在するのか
    第12章 美と目的と、倫理とのはざまで――自然神学の断念と反復をめぐって
    あとがきにかえて――文献案内をかねつつ

    (*本書の原本は2017年に講談社より刊行されたものです。)
  • 病いに苦しむことと手を差しのべることは、同じ出来事の二つの現れである――。

    パーキンソン病・統合失調症・小児・末期ガン・緩和ケア……〈ケア〉という営みは、病む人の苦しみに引き寄せられ、ときに痛みや辛さの表情に押し戻され、それでもその傍らにとどまり続ける態度のなかにすでに現れはじめている。看護学生と新人看護師の経験と語りを「鏡」として探る、来たるべき「ケア共同社会」への道しるべ。

    [目次]
    序 〈病い〉は患者のなかに閉じられているのか
    ■一 身体に耳をすます――看護学生の経験から
    第1章 動かぬ身体との対話
    第2章 押し戻す〈病い〉/引き寄せる〈病い〉
    第3章 「患者の立場に立つ」ということ
    第4章 〈病い〉の経験が更新されるとき
    ■二 二人でひとつの〈病い〉をつくる――新人看護師の経験から
    第5章 看護がよくわからない
    第6章 協働する身体
    第7章 「気がかり」が促す実践
    第8章 他者の痛みを感じとる――病名告知と〈病い〉経験
    終章  〈ケア〉を捉えなおす
    注および引用文献
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき ケア共同社会への里程標

    (*原本:『交流する身体――〈ケア〉を捉えなおす』NHKブックス、2007年)
  • 「日本的」世界は、こうして生まれることになった。

    大陸の統一帝国出現は、倭と呼ばれる小国を政治変革へと突き動かす。
    彼らは緊迫する東アジアを生き抜くべく、律令という先進的統治システムを必死に学び、土着的な氏族制社会の上に接合させた。
    「日本的」な国制と文化は、なぜ、いかにして生まれたのかを深く問い、大化の改新からの二五〇年の骨格を鮮やかに描き出す、
    不朽の歴史像。
    解説:大隅清陽

    【本書より】
    大宝律令は、当時の日本の社会から隔絶した高度な統治技術をふくんでいた……支配層による統治技術の「先取り」は……早熟的な国家を生みだした……律令国家には、中国的な律令制と、大和王権に由来する氏族制とが重層しており、あえて図式化すれば、律令国家は「律令制」と「氏族制」の二重構造としてとらえることができる……

    【解説より】
    本書において吉田は、概説書ならではの試みや冒険も随所でおこなっている。それは主に、日本の古代国家と近代の国民国家や天皇制との関係を問うもので、端的に言えば「日本とは何か」「天皇とは何か」という二つの問いに集約される。

    【本書の内容】
    はじめに
    宮中のクーデター
    新しい国制の模索
    亡国の危機
    内乱の勝者
    律令国家の構想
    平城京の建設
    大仏開眼
    天平びとの愛と死
    ゆれ動く天皇観
    平安京へ
    古典的な国制と文化
    おわりに
    参考文献
    解説 「日本」への果敢なる問い(大隅清陽)
    年表
    索引

    *本書の原本は『大系日本の歴史』第3巻として1988年2月に小学館より刊行され、1992年に小学館ライブラ
    リーに収められました。今回の文庫化にあたり、副題「倭から日本へ」を新たに付しました。
  • 1762年に入学したケーニヒスベルク大学で神学と哲学を学び、私講師を務めていたカントの薫陶を受けたヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(1744-1803年)は、同じ時期にヨハン・ゲオルク・ハーマンと出会い、私淑したことが知られる。その後、1769年にフランスに渡り、ハンブルク、ダルムシュタットを経て、シュトラスブルク(ストラスブール)に到着したヘルダーは、ゲーテとの決定的な邂逅を経験した。大きな影響を与えたゲーテとともに、ヘルダーは「疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドランク)」運動を推進するとともに、プロイセン王立ベルリン学術アカデミー(ベルリン・アカデミー)の懸賞課題に応えて執筆した『言語起源論』を1772年に公刊して、その名を轟かせる。
    1776年にゲーテの尽力でヴァイマールの宗務管区総監督・主任牧師に迎えられたヘルダーは、主著『人類歴史哲学考』(1784-91年)を執筆・公刊したが、旧師カントから厳しい批判を浴びた。1799年に公刊された本書は、その表題が示しているとおり、カントの『純粋理性批判』(初版1781年、第2版1787年)に対する「批判」──「批判の批判」としての「超批判(メタクリティーク)」である。
    各章は『純粋理性批判』のテクストを引用し、それに批判的なコメントを加えたあと独自の考察を展開する、という構成になっている。その主張は「思惟し、意志し、理解し、感覚し、理性を訓練し、欲求するのは、同一の魂である」(一元論テーゼ)、「人間の魂は、言葉とともに思惟する」(理性即言語テーゼ)の二つに要約できる。これらのテーゼを、ヘルダーはスラングを多用した独特な文体で、時には嘲笑を交えながら展開した。
    本書は、程なく勃興するドイツ観念論の先駆をなしている。そうした重要な役割を演じた著作の本邦初訳を、ここに文庫版でお届けする。

    [本書の内容]
    第一部 悟性と経験
    序 文
    1 題名と序論
    2 いわゆる超越論的感性論の超批判
    3 いわゆる超越論的分析論の超批判
    4 純粋悟性概念の図式論
    5 純粋悟性のすべての原則の体系の超批判
    6 観念論と実在論について
    7 あらゆる現象の隣および背後にある物自体について
    付 録 経験的悟性使用を超越論的悟性使用と混同することによる反省概念の多義性について

    第二部 理性と言語
    8 超越論的弁証論の超批判
    9 純粋理性の誤謬推理について
    10 純粋理性の二律背反について
    11 純粋理性の理想について
    12 理性の統制的使用について
    13 純粋理性を訓練することについて
    14 純粋理性の規準について
    15 純粋理性の誤った批判
    付 録 純粋理性の批判的学部についての最新情報
  • 1,650(税込)
    著:
    伊達宗行
    解説:
    上野健爾
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    暗算は得意なのに、なぜ日本人に理数嫌いが多いのか。その原因には、歴史的・構造的な要因があるのではないか?
    物理学の泰斗がそんな素朴な疑問から、古来、人間の文化・文明に欠かせない「数の知識」と日本人社会とのかかわりを、たどってみるとーー。
    12進法を使って土木建築を行ったといわれる縄文時代、ピタゴラスの定理で平城京を作り、飛鳥時代に日本初の元嘉暦を生む。奈良時代には正確な計測が不可欠な班田収授の法を採用するも、平安時代には「金勘定はいやしい仕事」と一気に理数離れが起こるーー。江戸時代の寺子屋と算術教育、日本初のサイエンス・和算の誕生、明治時代の算術から算数への大変換、そして戦後の数教育まで、5000年超の通史を豊富なエピソードで活写。理数科は単なる技術を支える手段ではない。数理に対する関心と尊敬心が高まる、ユニークな数学読本!/解説:上野健爾(京都大学名誉教授 四日市大学関孝和数学研究所長)

    筆者の言葉)
    「歴史家は数学に興味を持たない人が多く、科学史家はそれぞれの専門を守っている。理系に身を置いてはいるが、数学や歴史学に素人の筆者が本誌を書くに至ったのは、こんな事情であまり知られていない数の日本史に、現代人に強く訴えるものがあると感じたからである。
    (中略) 社会の専門化によって閉塞感に悩んでいる現代知識人にとって、日本文化の意外な再発見と解放感をもたらすだろう」
  • 中世アジアの海の世界を鮮烈に描いた書籍の決定版!
    苛烈な略奪を繰り返し諸国を悩ませた前期倭寇。その結果生まれた倭人居留地「三浦(さんぽ)」は、朝鮮に巣食う「腫瘍(しゅよう)」とまで呼ばれ、後期倭寇は、アジアに進出してきたヨーロッパ勢力をも巻き込み、銀をめぐる密貿易で世界史に躍り出る……。彼ら倭寇・倭人は日本のものとは明らかに異なる「倭服」に身をつつみ「倭語」を操る、国籍や民族を超えた集団だった。14世紀から16世紀にかけて東アジアの海を舞台に、国家や民族集団からドロップアウトし、しばしば暴力をともないながら、自由に、どこまでもしたたかに生きた人々を描き出す。

    「倭人は帯方の東南、大海の中に在り」。邪馬台国の史料としてよく知られる『魏志倭人伝』。ここからおよそ1200年後の朝鮮王朝の記録に、再び「倭人」は現れる――
    14世紀後半、女性や子供にも容赦ない前期倭寇の略奪が『朝鮮王朝実録』に恐怖の記録として生々しく克明に記された。倭寇に苦しむ朝鮮王朝がとった懐柔策によって15世紀に誕生したのが、倭人居留地の三浦である。エネルギッシュで、自由奔放で、論理を越えた倭人がひしめく三浦は、猫のひたいほどの場所でありながら、周辺の朝鮮社会に巨大な経済的影響をあたえ、やがてソウルの政財界まで巻きこんだスキャンダルを引き起こしていく――。
    三浦を中心に、倭寇王の後継者として豊臣秀吉が登場するに至る中世東アジアの海域世界を描いた『中世倭人伝』。文庫化にあたって、原本には入れられなかったソウルの倭人たち、江南沿海域を中心とする後期倭寇の猖獗、石見銀山の爆発的増産によって世界を駆け巡った日本銀、さらに16世紀ヨーロッパの古地図に描かれた、銀と海賊に特徴づけられる日本像などの論考を増補し、倭人たちが躍動する海の世界を大きく広げた決定版登場!(原本:岩波書店、1993年)

     【本書の内容】
    学術文庫版はしがき
    I 中世倭人伝
    「魏志倭人伝」によるプロローグ
    一 国境をまたぐ地域
    二 「三浦」──異国のなかの中世
    三 密貿易の構造
    中華の崩壊によるエピローグ
    文献案内
    あとがき
    『中世倭人伝』韓国語版刊行によせて

    II 倭人群像
    一 三浦の鎮城と関限――薺浦を中心に
    二 倭人たちのソウル
    三 三浦の乱時のソウル倭館
    四 石見銀山と倭人ネットワーク
    五 海賊、銀山、ザビエル――ヨーロッパ製古地図を読む
    六 琉球王国と「倭寇」
    七 中世日朝貿易における経典の輸入
    学術文庫版あとがき
  • 近代神経学の創始者ジャン=マルタン・シャルコー(1825-93年)は、パリ大学で学び、パリ医科大学の病理解剖学の教授を務めたあと、1882年にはサルペトリエール病院の神経病学の教授となった。同病院での膨大な臨床経験を通して神経学を確立したシャルコーの理論は、『火曜講義』と呼ばれる公開講義を通して知られるようになる。ヒステリー患者のパフォーマンスも行われたこの講義の様子は、アンドレ・ブルイエ(1857-1914年)の絵画(1886年)に描かれている。
    カタレプシー、嗜眠、夢中遊行という三つの状態をたどる「大ヒステリー=大催眠理論」を打ち出したシャルコーは、精神病理の領域に催眠術を導入したことで知られ、その理論はジークムント・フロイトやピエール・ジャネのほか、ジョセフ・バビンスキー、ピエール・マリーらに影響を与えた。
    本書の前半では、金曜日に行われていた『神経病学講義』を基にシャルコーの理論を概観し、さらにその生涯の事績を跡づけていく。その上で、後半では、医学を超えて思想や文学の領域にも見られるシャルコーの残響を見ることで、著者が「シャルコー的問題」と呼ぶものの広がりを示す。
    「神経病学のナポレオン」あるいは「科学界の帝王」と呼ばれたこの知の巨人は、『神経病学講義』や『火曜講義』の全訳が存在しないこともあって、日本ではよく知られているとは言いがたい。生誕200年を迎える2025年、すでに定評を得た概説書である本書を、全面的な改訂を施した決定版として、ここに刊行する。

    [本書の内容]
    第一章 すべてはシャルコーからはじまる
    第二章 男性ヒステリーとは?――『神経病学講義』より
    第三章 シャルコー神経病学の骨格
    第四章 大ヒステリー=大催眠理論の影響――フロイト、ジャネ、トゥーレット
    第五章 シャルコーとサルペトリエール学派
    第六章 『沙禄可博士 神経病臨床講義』――『火曜講義』日本語版の成立と三浦謹之助
    第七章 シャルコーの死とその後
    第八章 シャルコーと一九世紀末文化――ゴッホのパリ時代と『ルーゴン・マッカール叢書』
    終 章 ヒステリーの身体と図像的記憶

    文献一覧
    あとがき
    学術文庫版あとがき
  • 今日に至るまで絶大な影響を及ぼし、議論を引き起こし続けているフランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(1925-95年)は、デイヴィッド・ヒュームやアンリ・ベルクソンなどを対象とした哲学史研究から学問的経歴を開始し、主著『差異と反復』(1968年)、そして『意味の論理学』(1969年)を公刊して、その地位を確かなものとした。
    飛躍を求めたドゥルーズは、精神科医フェリックス・ガタリ(1930-92年)との「二人で書く」企てに挑戦し、物議を醸した『アンチ・オイディプス』(1972年)、『千のプラトー』(1980年)を送り出す。さらに晩年には映画論や芸術論に取り組み、その全容は公刊が始まった講義録を通して、より明らかになりつつある。
    こうした多彩な相貌を見せるドゥルーズの「哲学」全体を貫く「原理」はあるのか? あるとすれば、それはどのようなものだったのか? 「20世紀最後の哲学者」の方法と対象を精緻に分析し、その核心と実践的意義に迫った本書は、広く評価され、多くの読者を得てきた。生誕100年、没後30年を迎える2025年、改訂を施し、新稿を加えた決定版として、講談社学術文庫に登場する。

    [本書の内容]
    第I章 自由間接話法的ヴィジョン――方 法
     1 自由間接話法
     2 哲学研究の課題
     3 哲学の課題
    第II章 超越論的経験論――原 理
     1 超越論哲学と経験論哲学
     2 無人島
     3 出来事
     4 超越論的な原理
     5 超越論的な原理の発生
    第III章 思考と主体性――実 践
     1 思考の強制
     2 思考の習得と方法
     3 物質に付け加わる主体性
    第IV章 構造から機械へ――転 回
     1 ガタリとの出会い
     2 構造と機械
     3 構造と構造主義
     4 セリー、ファルス、原抑圧
     5 『アンチ・オイディプス』と分裂分析
    第V章 欲望と権力――政 治
     1 ミシェル・フーコーの歴史研究
     2 『監獄の誕生』における二つの編成
     3 権力と二つの編成
     4 一元論と二元論
     5 欲望と権力
     6 欲望のアレンジメントと権力装置

    文献一覧

    研究ノート
    I 自然主義について
    II 総合的方法
    III 法/制度/契約
    IV 個の心と衆の心
    V 国家と考古学

    追加された研究ノート
    I スピノザにおける個体の概念と微分法
    II 類似的他者の概念
    III ドゥルーズの政治的発言
    IV 絵画とアナロジー
    V 目と手、ビジュアルとマニュアル、エジプトとギリシア
  • ◇この男は、列島を「ひとつの社会」にしようと企てた◇

    低い家格から前代未聞の大出世を果たした男は、それまで幕藩体制が規定してきた列島の社会のあり方を一新しようと試みた。
    税制改革、通貨一元化、蝦夷地の大規模開発……彼が企てた改革は未完に終わったが、その後の歴史展開に確かな足跡を残すものであった。
    戦前は「日本史三大悪人」の汚名を着せられた田沼意次の評価を一転させた、記念碑的論考。

    【本書より】
    田沼意次の時代は、日本の改革と保守とが激闘した、江戸時代では最も面白い時代である。

    【本書の内容】
    はじめに
    プロローグ──郡上一揆と田沼意次の登場 
    第一章 田沼意次の虚像と実像
    1 田沼意次の履歴 
    2 つくられた悪評 
    第二章 吉宗の退陣と意次の登場
    1 吉宗退陣と家重継嗣 
    2 左近将監の罷免 
    3 将軍の座を逃した松平定信 
    4 田沼意次の登場 
    5 幕府の権力構造と田沼意次の位置 
    第三章 田沼意次の政策
    1 暗殺で阻止しようとした田沼の政策 
    2 流通税の導入
    3 通貨の一元化政策
    4 蝦夷地の調査とその開発政策 
    5 印旛沼の干拓とその挫折
    第四章 田沼時代の社会
    1 文人たちの時代 
    2 天災と災害の時代 
    エピローグ──「遺書」を通してみた意次の人柄 
    おわりに 
    解説
  • 1,320(税込)
    著:
    小西甚一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    文藝作品の内なる表現理念=「雅・俗」の交錯によって時代を区分したところに本書の不滅の独創がある。健康で溌溂とした「俗」を本性とする古代文藝、端正・繊細な「雅」を重んずる中世、また古代とは別種の新奇な「俗」を本質とする近代。加えて著者は、日本文学を「世界」の場に引き出し、比較文学の視点からも全体的理解に努める。長く盛名のみ高く入手困難だった「幻の名著」の待望の復刊。(解説=ドナルド・キーン)
  • 1,540(税込)
    著:
    横山紘一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「どうすれば現実の苦しみから解放されるのか」
    「自己や宇宙の根底にある真理とは何か」
    ──こうした根源的な問いに向き合い、仏教徒たちの深い思索と実践の積み重ねから生まれた深遠な理論体系、唯識思想。

    唯識は、紀元前3世紀ごろのインドで始まり、後に玄奘三蔵によって中国へと伝えられた、大乗仏教の根幹をなす思想のひとつです。この教えでは、五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる)と意識に加え、深層心理にあたる末那識・阿頼耶識を含めた「八識」によって世界が生み出されていると考えます。唯識では、私たちが認識するあらゆる現象は、心=識が生み出した観念にすぎません。心の外に実体としての存在はないにもかかわらず、心はそれをあるかのように思い込む。そして、そこから苦しみが生まれるのです。哲学であると同時に宗教でもある唯識思想は、実践的な修行(ヨーガ)を通じて自己を変革し、身体的にも精神的にも煩悩から解き放たれた自由の境地、すなわち真理へと至る道筋を示すものです。
    本書は、「唯識無境」「阿頼耶識」「末那識」「転依」といった主要概念を軸にして、大乗仏教随一の理論である唯識思想の本質を丁寧に解き明かした著者渾身の書です。唯識の第一人者・高橋晃一氏の解説付き。


    [本書の内容]
    はじめに
    第一章 識一元論――唯識無鏡
    1 唯識の意味
    2 唯識無鏡の論証
    3 認識の構造
    第二章 自己の根源体――阿頼耶識
    1 阿頼耶識の発見
    2 阿頼耶識の機能
    第三章 自我意識の形成――末那識
    1 末那識について
    2 末那識の成立史
    第四章 真理の完成――転依
    1 自己変革
    2 真理の論理的解明
    解 説(高橋晃一)
  • 「一夜で十人と愛を交わすべし」――

    性愛とは〈道(タオ)〉であり、男性および女性の原理の均衡こそ生命力の源である――。性のマニュアル、後宮への務めから、纏足の風習、妓女との付き合い方まで。儒教・道教・仏教がせめぎ合うなかで出来しためくるめくエピソードを渉猟しつつ、先史より貫く中国文化不変の根幹を抉り出す。鬼才による中国性愛史研究「最初の完成」の書!
    カラー口絵つき。
    解説は『古代中国の24時間』の柿沼陽平氏。

    【目次】
    序文
    ■第一部 封建王国――殷・周時代 前一五〇〇年~前二二二年 性と社会についての中国人の基本的な考え方
    第一章 創始期と西周王朝――前一五〇〇年頃~前七七一年頃
    第二章 東周王朝――前七七〇年~前二二二年
    ■第二部 帝国伸長期――秦・漢・六朝時代 前二二一年~後五八九年 性と儒・道・仏三教
    第三章 秦と前漢王朝――前二二一年~後二四年
    第四章 後漢王朝――二五年~二二〇年
    第五章 三国と六朝――二二一年~五九〇年
    ■第三部 帝国の最盛期――隋・唐・宋時代 五九〇年~一二七九年 性の手引書、その盛行と衰勢
    第六章 隋王朝――五九〇年~六一八年
    第七章 唐王朝――六一八年~九〇七年
    第八章 五代と宋王朝――九〇八年~一二七九年
    ■第四部 モンゴル支配と明の再興――元・明時代 一二八〇年~一六四四年 文学・芸術のなかの性
    第九章 モンゴルもしくは元王朝――一二七九年~一三六七年
    第十章 明王朝――一三六八~一六四四年
    ■補遺 インドおよび中国の性的神秘主義
    原注
    図版一覧
    ファン・フーリック学術関係主要著作目録一覧
    訳者あとがき
    解説 中国性愛史研究の先駆者 柿沼陽平

    【本書の主なトピック】
    [周]女性は寝所の偉大な導師、性の秘密の護持者である
    [前漢]儒教の厳格な教義の裏で、諸侯も皇帝も性のモラル崩壊!
    [後漢]挿絵入り「性の手引書」が教える"究極の技法"
    [六朝]妻妾を満足させられなければ、家長の信望失墜・地位喪失
    [唐]家での肉体的愛から逃れ、娼妓とのプラトニックな交際へ
    [元]「性愛画を秘蔵」-10点、「女性の面前で猥談」-20点……家長の「道徳成績計算表」
    [明]性が抑圧されず、すこやかな歓楽だった最後の時代

    (*本書の原本は1998年にせりか書房より刊行されたものです。)
  • 1,540(税込)
    著:
    椹木野衣
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    1970年大阪万博は、敗戦直後「爆心地」を目の当たりにした男の構想を起点とした。
    文明の過剰と滅亡というそのビジョンを覆い隠すように謳われたスローガン「人類の進歩と調和」が響く中、メタボリズムやネオ・ダダといった前衛運動のひとつの極限として「万博芸術」が花開く──
    資料と証言を積み重ね、日本で反復される万博の意味を鋭く問う。

    【本文より】
    技術革新に多くを負ったメディア・アートや、単純な国際性が即、芸術上での前進と取り違えられてしまう安易な進歩主義がまかりとおってしまうことの背景には、われわれが大阪万博における「未来」の問題を、正面から批評して来なかったことに原因がありはしないか。じっさい、大阪万博で芸術家たちが果たした役割がなんであったのかと問うことは、事実上、封印されているといっても過言ではない──そしてそのさまは、なにかに似てはいないだろうか。
    (本書第二章「一九七〇年、大阪・千里丘陵」より、一部省略)

    【本書の主な内容】
    第一章 「爆心地」の建築──浅田孝と〈環境)の起源
    戦争と「こどもの国」/焼け跡から「環境」へ、「環境」から未来へ/原爆時代と建築/「列島改造」と「日本沈没」
    第二章 一九七〇年、大阪・千里丘陵
    人類の進歩と調和/「未来」の矛盾、「世界」の矛盾/未来と夢の廃墟/フジタと太郎
    第三章 「実験」から「環境」へ──万博芸術の時代
    空間から環境へ──エンバイラメントの会/実験工房からインターメディアへ/巨大なトータル・シアター
    第四章 ネオ・ダダとメタボリズム──暗さと明るさの反転
    奇矯な明るさ/前衛の突然変異/ふたりの境界人──粟津潔と磯崎新
    第五章 戦争・万博・ハルマゲドン
    廃墟となった未来都市──電気的迷宮/紀元二六〇〇年の万国博覧会/ハルマゲドン・チルドレン
    第六章 そこにはいつも「石」があった
    月からの石と投げられた石/穴を掘る──《位相─大地》/石を置く──石子順造と李禹煥/石を売る──『無能の人』/石の時代──環境と芸術
    第七章 ダダカンと“目玉の男”
    一九七〇年四月二十七日へのタイムスリップ/ダダイスト糸井貫二/「震災」というダダイスム/都市を駆け抜ける裸体 
    第八章 万博と戦争
    映画人・甘粕正彦/バーチャル・シティとしての満洲国=大阪万博/「環境」の起源/『環境開発論』と『日本列島改造論』/曲がりくねったら、それは芸術だ 


    核アトムの時代──「あとがき」にかえて
    グラウンドゼロ──学術文庫版「あとがき」にかえて
    主要参考文献

    *本書の原本は、2005年2月に美術出版社より刊行されました。
  • 1,430(税込)
    著:
    景山春樹
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    その山のふもとに生まれ育ち、少年のころから、あらゆる小路を幾度となく歩いては、様々な風景を目にしてきた、著者にとっての母なる山・比叡山。
    歴史を学んだのち、再び同じ路をたずね、峠を越え、川を渡りながら、仏教美術学者はあることに気づく。自然の山、川、その位置を度外視して、決して歴史は考えることができないのだとーー。
    天台法華宗の根本道場にして、学山として数多くの高僧を輩出した比叡山。
    その3塔16谷の霊谷を案内しつつ、歴史地理というユニークな観点から、1200余年にわたる叡山の宗教と歴史をひもとく!

    本書は『比叡山 日本仏教の原型とその展開』 (角川選書 1975年9月刊)を底本とし、文庫化にあたり、ベストセラー『京都ぎらい』の著者であり、国際日本文化研究センター所長・教授の井上章一による解説を加えました。

    目次
    1 地文と人文のあやなす位置
    2 霊峰比叡へはいる路
    3 山上の霊所をめぐる路
    4 最澄と比叡山
    5 入唐求法の旅
    6 天台法華宗の開立
    7 比叡山寺の規模と構成・
    8 教学と法儀
    9 回峰修験
    10 一山大衆
    11 僧兵強訴の歴史
    12 山門派と寺門派のあらそい
    13 巨大な経済をささえた山門領
    14 東塔
    15 西塔
    16 横川
    17 門跡寺院の出現
    18 日吉山王社
    19 門前町坂本
    20 近江路の主要な末山
    21 信長の焼き打ちとその再興
    比叡山歴史年表
    比叡山の道しるべ
    あとがき
    解説   井上章一(国際日本文化研究センター所長)
  • 本書は、古代ローマ「黄金時代」後期を代表する詩人オウィディウス(前43-後17/18年)が『変身物語』とともに手がけた、もう一つの代表作です。
    愛する男女の往復書簡という体裁をとる『ヘーロイデース』、恋愛詩人としての本領を発揮した『恋の歌』といった初期作品で知られるオウィディウスは、愛を成就させるための技法を性的なものまで含めて赤裸々に指南する『愛の技術』を書いたことが一因となって、のちに流刑の憂き目に遭いました。そのあと後期の円熟を迎えるオウィディウスが唯一の叙事詩である『変身物語』とともに着手したのが、本書『祭暦(Fasti)』です。
    ローマの祝日や祭礼の縁起をエレゲイア詩で歌うこの作品は、『金枝篇』で知られるジェイムズ・フレイザーをはじめ、多くの歴史学者、宗教学者、人類学者の関心を惹いてきました。月ごとに構成される本書は、しかし流刑のため未完に終わり、現存しているのは一月から六月まで、つまり一年の半分にとどまっています。今日はこの出来事があり、今夜はこの星座が見られ、明日にはあの祝祭が行われる……といった記述がカレンダーのように積み重ねられていく形式は、前例のない大胆な試みです。そのような大衆受けしそうな形式をとった本書で扱われるのが国家的な性格をもつローマの祭祀であることは一見矛盾しているように思えます。しかし、そのような自己アイロニーによるユーモアこそ、本書を文学的伝統の中で類を見ない稀有な作品たらしめていることもまた事実です。
    大詩人が残したもう一つの代表作、初の文庫版をここにお届けいたします。

    [本書の内容]
    第一巻 ヤーヌス月
    第二巻 フェブルア月
    第三巻 マルス月
    第四巻 アプリーリス月
    第五巻 マーイウス月
    第六巻 ユーニウス月

    訳者解説
    補 遺 ローマの暦

    学術文庫版訳者あとがき
    固有名索引
  • 1939年9月1日早朝、ドイツ軍が宣戦布告なくポーランドへ侵攻。ここに第二次世界大戦の幕が上がった。
    第一次世界大戦の惨禍を経て、パリ不戦条約や国際連盟の設立により平和を誓ったはずだった世界が、未
    曾有の大戦へと突き進んでしまったのはなぜか。ファシズムの台頭、植民地主義帝国の衰退、アメリカ自
    由主義の伸長、資本主義と共産主義の対立……列強各国の緊迫した外交とイデオロギーの衝突が、世界を
    ふたたび戦火に巻き込んでいく。その果てに待っていたのは、ホロコーストや原爆投下といった人類史上
    最悪の惨劇であった。
    ローズヴェルト、チャーチル、スターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、ド・ゴール、ティトー――歴史を動
    かした指導者たちは、あの時代に何を思い、いかなる決断を下したのか。日中戦争を起点とし、太平洋戦
    争へと突き進んだ日本は、どのような運命を辿ることになったのか。名著『第一次世界大戦』(講談社学
    術文庫)の著者が鮮やかに描く、「戦後秩序の原点」となった大戦争の全貌。

    [本書の内容]
    序 章
     悲劇の発端
     大戦の様相

    I 「彼らの最も輝かしいとき」
     ついにダウニング街一〇番地
     フランス休戦の賦
     野望、海峡に散る
    静かな幕間

    II 大戦における一九四一年
     迫りくる独ソ戦
     スターリン、沈黙を破る
     宣戦の詔書

    III  雪原のかなた、砂漠の果て
     第二戦線を、いま
     偶然とみえるダルランの存在
     カサブランカの集いを経て

    IV 去りゆく者と、よみがえる者と
     最初の三首脳会談まで
     みずからを解放したパリ
     クリミアの短い蜜月

    V すべてが語り尽くされる頃
     死のさまざまな影
     米英ソ大同盟の最後の歩み

    あとがき
    参考文献
    解説 戦後を戦前、戦中にしないために(池上 彰)
    略年表

    *本書の初版は1986年に社会思想社より現代教養文庫として刊行された。文庫化にあたっては『歴史・人間・運命 山上正太郎歴史叙述集2』(2000年、文元社)所収版を底本とした。
  • 三次元の立体を二次元の平面のうちに表現する遠近法。プラトンはこの遠近法を嫌ったという――しかし古代ギリシアでは遠近法はいまだ成立していなかったとしたら? なぜ、このような奇妙な事態が出来したのか。そして光学に対する偉大な哲学者の沈黙は、後世にどのような影響を与えたのか。遠近法は歴史的産物であると喝破する著者が、古代ギリシアから近代に至るまで、美術はもちろん数学、哲学、文学をも織り込みながら紡ぎあげた、視覚をめぐる空前絶後の思想絵巻。

    遠近法は、世界を表現する方法として身近な手法であり、時にこれが唯一の正しい世界の眺望であるかのような神話的性格さえ帯びている。しかし著者によれば、遠近法は西欧における自然に対する見方の、歴史的な積み重ねの結果に過ぎない。
    プラトンは、対象を描く際に、見かけにあわせて実際とはかけ離れた比率にすることを「虚像術」と呼んで退けた。古代ギリシアには存在しないはずの遠近法を、プラトンはなぜ批判しえたのか。そしてプラトンの光学に対する沈黙は何を意味し、それはどのような影響を与えたのか――。
    これらの問いは、人間はどうして、常に何かを通して世界を見ようとするのか。実物を見ていても、しかしこれも「何かを通して」だと考えるのは何故か、という根源的な問いにつながっていく。
    ミケランジェロとダヴィンチの緊張関係、デカルト、パスカル、ライプニッツに遠近法が与えた三者三様の影響、さらにニーチェの価値の相対主義に至るまで、遠近法を軸に、古代ギリシア演劇の背景画から、絵画や彫刻、数学・幾何学、その応用としての光学、哲学・思想、文学作品や文芸理論をも巻き込みながら絢爛豪華な思想絵巻が織り上げられる。早逝が惜しまれる碩学の記念碑的著作。(原本:新書館、1999年)

    【本書の内容】
    まえがき
    序 章 遠近法の神話
    第一章 ミーメーシス
     1 詩人追放と画人追放
     2 陰影画と背景画
     3 背景画は遠近法の導入か?
    第二章 測定術
     1 洞窟の光学
     2 不文の教説?
     3 視覚の空間・思考の空間
    第三章 ミーメーシスからファンタシアーへ
     1 場所・透明体・気息 00
     2 芸術的専制と専制的芸術 00
     3 もう一つの世界劇場論 00
    終 章 隠喩としての遠近法
    あとがき
    解 説(山内志朗)
  • 1945年にGHQが接収、1958年まで延べ4000人以上の戦犯者が収容された、巣鴨プリズン。東京裁判でA級戦犯とされた25人、絞首刑になった7人よりも圧倒的多数のBC級戦犯たちが、死と隣り合わせに過ごし、死刑宣告を受け、処刑場に向かう場所に一人の教誨師(きょうかいし)が着任した。日本人として唯一処刑に立ち会い、死刑囚との対話し、助命嘆願や戦犯死刑執行停止活動に奔走した「巣鴨の父」が、受刑者の声と生活を克明に綴った、生と死のドキュメント。1953年初版、幻の名著、復刊。
    【電子特典有り】

    「解説より」
    A級戦犯の処刑で一区切りではない。
    国家の命令で戦場に立ち、ときに上官の身代わりにまでさせられ、
    忘れ去られたBC級戦犯の不条理な人生。
    私たちは、どれほど思いやることができたのか。
    戦後80年。真の「検証」を実現するために
    本書は第一級かつ、最重要史料であると、私は信じている。――山折哲雄(宗教学者・評論家)

    目次

    巣鴨の教誨師となるまで
    「死の喜び」よりも「生の喜び」を
    処刑の立ち会い
    刑場への道
    拘引記――28時間の記録
    罪業感と戦争観
    最後の晩餐
    死刑囚の面会
    死刑囚と仏教
    追補
    図表・地図
    学術文庫版解説  山折哲雄

    【電子書籍版収録】
    遺言集――戦犯者18人が綴った日記と、辞世のことば

    「死の近きを観念した人生は、一般の人生とは何が違うのか。それは希望が皆無ということです」
    死ぬ意義、後悔、死への恐怖,…巣鴨プリズンのほか香港、インドネシア、シンガポールなどで絞殺・銃殺された18人は、死を目前に何を思ったのか。極限の心情を綴った稀少な文書160ページを、電子版には特別収録。

    1953年7月31日 大日本雄弁会講談社より初版刊行。2011年7月、講談社エディトリアルより改装刊行。
  • 1,430(税込)
    著:
    福田千鶴
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「主従」とは闘争である。

    時代小説や歴史ドラマなどでおなじみの、「家中のトラブルが幕府に露見して改易される」といった筋書きだか、実際にはそうした事例はほぼなかった。
    有力大名家に勃発した鍋島騒動、黒田騒動、対馬の柳川一件、伊達騒動……いずれも改易とはなっていない。
    子細にその経過をみてみると、幕府が騒動に積極的に介入したというよりは、むしろ大名・家中の側から幕府に積極的に訴訟し、自ら幕府の介入を招いているような節がある。
    では、大名や家臣たちはどうしてこのような危ない橋を渡ろうとしたのだろうか?

    本書は、御家騒動を引き起こす当事者たちの行動の原理がいかなるものであったのかを探り、「忠臣が身命をなげうって悪臣を排除し、騒動の禍根を未然に絶って御家の危機を救う」勧善懲悪ストーリーとは一味違うリアリティを、幕藩制という時代相のなかから具体的に解き明かす試みである。

    "大名家のスキャンダル"を歴史学の眼で徹底検証する、スリリングな歴史研究!

    【本書より】
    元禄以降の十八世紀には、主従不和や家中騒動が「公儀」に対する罪過である、という固定観念ができあがっているが、それ以前に生じた騒動に対してはそうした「色めがね」(固定観念)をはずして見直してみるべきではないか。家中騒動が「公儀」に対する罪過ではなかったからこそ、大名や従臣たちは将軍・幕府に騒動の調停を強く求めることができたのではないか、という逆の視点から騒動をみていくことが必要なのである。
    そのためには、当時に作成された一次的な史料に基づいて騒動全体を見直すという作業が必要となるのはいうまでもない。

    【本書の内容】
    第一章 近世武士の主従観念と「御家」
    第二章 主君を廃立する従臣たち
    第三章 従臣を排除する主君たち
    第四章 主君を選り好みする従臣たち
    第五章 御家騒動の伝統化
    補章 「御家騒動」のなかの女性たち

    *本書の原本は、2005年に中公新書より刊行されました。
  • 80年前、空からの爆撃で、日本の都市は焼き尽くされた。この無差別空襲は、全国都道府県のすべてにおよび、終戦の日まで続けられ、その死傷者数はいまだ確定されていない。
    本書は、戦史研究家・平塚柾緒氏が主宰する太平洋戦争研究会による全国各地への取材・調査と、アメリカ国防総省などから入手した膨大な写真をもとに、北海道から沖縄まで、日本本土への米軍の空襲の実態を解き明かす。
    日本への米軍機の空爆は、昭和17年4月の「ドゥーリットル空襲」に始まる。その後、「超空の要塞」B29の投入によって昭和19年から本格化する日本本土への空襲は、おもに軍需工場を標的にした「精密攻撃」、昭和20年3月の東京大空襲を皮切りに5月まで続いた大都市への焼夷弾による無差別爆撃、さらに5月以降の全国中小都市への焼夷弾爆撃へとエスカレートし、広島・長崎への原子爆弾の投下にいたった。
    その間に日本本土へ出撃したB29機はのべ3万3041機。連合国軍機が投下した爆弾は約16万トン。この「爆撃の嵐」にさらされた日本国民の体験とはいかなるものだったのか。日本列島をカバーするデータと、250点あまりの貴重写真から、あらためて考えていきたい。〔原本:2015年、洋泉社刊『日本空襲の全貌』〕

    目次
    はじめに――八〇年前、米軍の無差別攻撃で日本の都市は焼かれた
    第一章 B29の開発と本土攻撃の開始
    第二章 狙われた日本の軍事産業
    第三章 東京大空襲への道:ルメイの無差別攻撃
    第四章 炎につつまれた五大都市:名古屋・大阪・神戸・横浜・川崎
    第五章 地方都市への拡大
    第六章 アメリカの原爆投下作戦
    〔特別ルポ〕原爆誕生の地・トリニティサイトをゆく
  • 本書は、ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》で知られる「トリスタン伝説」の最古の姿を伝える書の本邦初となる全訳です。
    ケルト起源のトリスタン伝説は、11世紀後半から12世紀初頭にウェールズとブルターニュに伝えられ、語り継がれていったと推測されます。多様に発展した物語を12世紀後半に古フランス語でまとめたものがトリスタン伝説の原典(エストワール)ですが、残念ながらこれは散逸しています。
    しかし、この原典に基づいて物語を作る人たちが現れます。その一人が同じく12世紀後半に活躍したフランスの詩人ベルールでしたが、作品は断片しか残されていません。それと同じ時期、同じ原典に基づいてドイツ語で物語を書いたのがアイルハルトであり、その作品こそ本書にほかなりません。完全な姿で残されたこの作品によって、私たちは原典の内容を推測できます。ここにはトリスタン伝説の最古の姿があるのです。
    韻文で書かれた本書は、その後「民衆本」と呼ばれる散文作品として流布し、16世紀にはハンス・ザックスによって戯曲『トリストラントと美しきイザルトの悲恋』に翻案されました。一方、ベルールと同様に原典(エストワール)を基にして12世紀後半にフランス語で『トリスタン物語』を書いたトマの系列としては、ドイツ語で叙事詩『トリスタンとイゾルデ』を書いたゴットフリートがおり、ワーグナーに着想を与えました。
    複雑な経緯をたどって伝承されたトリスタン伝説は、現代でも小説にされたり(ローズマリー・サトクリフ)、映画にされたり(ジャン・ドラノワ)、多くの人を魅了し続けています。その最古の姿がようやく日本語で味わえるようになります。

    [本書の内容]
    1 聴衆への前置き
    2 トリストラントの出生と養育
    3 トリストラントのマルケ王宮廷への旅
    4 トリストラントとモーロルトの闘い
    5 トリストラントの傷を治すためのアイルランドへの旅
    6 トリストラントのアイルランド求婚の旅
    7 愛の媚薬
    8 ブランゲーネ
    9 トリストラントとイザルデの愛をめぐっての揉め事
    10 有罪の判決と逃走
    11 森での生活
    12 アルトゥース騎士ヴァルヴァーンとトリストラント
    13 追放後のトリストラントとイザルデの一度目の逢瀬
    14 ハヴェリーン王のもとでのトリストラント
    15 追放後のトリストラントとイザルデの二度目の逢瀬
    16 追放後のトリストラントとイザルデの三度目の逢瀬
    17 ケヘニスとガリオーレ(1)
    18 追放後のトリストラントとイザルデの四度目の逢瀬
    19 追放後のトリストラントとイザルデの五度目の逢瀬
    20 ケヘニスとガリオーレ(2)
    21 トリストラントとイザルデの愛の死
  • 1,760(税込)
    著:
    井之口章次
    解説:
    廣田龍平
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「靴の紐が切れるとよくないことが起こる」本当の理由、ご存知ですか? 
    予兆、卜占、禁忌、呪術、妖怪、憑物……全国各地で採集された俗信、すなわち「超人間的な力の存在を信じ、それに対処する知識や技術」を体系的に整理。”非科学的で取るに足らぬもの”から日本文化の基層を明らかにする、民俗学の精華!
    (解説:廣田龍平)

    [本書で扱う主な俗信ーーその由来とは?]
    ○烏が屋根で啼くと死人が出る
    ○膝を絶えず小刻みに動かすと貧乏になる
    ○婚礼に雨が降ると縁起がよい
    ○一富士、二鷹、三茄子、四葬式、五火事
    ○厄年に生まれた子は捨子にする
    ○ものもらいは七軒の家から米をもらって食べるとよい
    ○手振水をかけられた人は死ぬ
    ○丙午(ひのえうま)の年は出生数激減(次回は2026年!)
    ……

    [目次]
    はしがき
    第一章 俗信概論
    一 俗信の概念
    二 予兆
    三 卜占
    四 禁忌
    五 呪術
    第二章 信仰と俗信
    第三章 厄年および年祝い
    一 はじめに
    二 従来の諸説
    三 厄年行事の要素
    四 贈答の意義
    五 厄年行事の意味
    六 信仰と俗信
    七 厄年受容の基盤
    八 結び
    第四章 呪的な食べ物ーー味噌の魅力
    一 食習研究と味噌
    二 葬式と味噌
    三 家移りと味噌
    四 味噌つき日の吉凶
    五 味噌煮の日
    六 持ち寄るもの
    七 せち味噌
    八 山の神と味噌
    九 味噌長者
    十 呪的な食べ物
    第五章 妖怪の地域性
    第六章 妖怪と信仰
    第七章 死と俗信
    一 生と死との境
    二 忌の飯
    三 死の忌
    四 種々のまじない
    参考文献
    解説 俗信の概念と発生について 廣田龍平
    索引

    (*本書の原本は、1975年に弘文堂から刊行されました。)
  • 1,430(税込)
    著:
    梶山雄一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    幼いころに父を亡くした著者は、あるとき、幾晩か続けて大きな蜘蛛が風呂場の天井にいることに気づいた。母にそれをいうと「お父さんかもしれないから、いたずらしてはいけない」と言われてびっくりした、という。かつては、死んだ血縁の者が、場合によっては他の動物になっている、ということを多くの人が信じていたのである。
    こうした「業報輪廻」の考えは、仏教思想の中心というよりも、ジャイナ教やヒンドゥー教など東洋の宗教全体の大きな前提になっているという。そして、キリスト教などの一神教がダーウィニズムの挑戦を受けて思想的な見直しを迫られているように、輪廻思想と仏教も、進化論やバイオテクノロジーなどとの対決を迫られている。アレキサンダーの東征や、匈奴の強大化などがもたらした紀元前後の数百年間の仏教の危機の時代を、「阿弥陀仏」という新たな信仰によって乗り切ったように、新たな神話を創生していく必要があるというのだ。
    さらに、スーパーマンとしての観世音菩薩、イエスとブッダの説話の類似性、親鸞の仏陀観の変化など、仏教社会の倫理と道徳を支えてきた「輪廻の思想」をめぐる講演と随筆を集成。〔原本:1989年、人文書院刊〕

    目次

    輪廻の思想――インド・中国・日本

    仏塔信仰と大乗仏教
    菩薩の平和思想
    ブッダとイエス

    本願力ということ
    親鸞の仏陀観
    親鸞における信心の深化

    マングース物語 
    人と猿と神
    仏教における非神話化
    不老長寿 
    脳死・堕胎・中有
    王舎城の温泉
    チベットの牧象図
    言語同断
    蚕と蜘蛛――追悼 抱石庵 久松真一先生
    お盆の思い出
    海外の三人の師
    無相さんと私
    武生の雪
    木村無相『念佛詩抄』
    山頭火と私
  • 花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。
    夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。
    古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年)

    【本書の内容】
    はじめに
    第一章 都市の論理――先進・後進論の背景
    第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理
    第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合
    第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み
    あとがき
    解 説(長﨑健吾)

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