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『文化、講談社、講談社学術文庫(実用)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全152件

  • 2,530(税込)
    著:
    網野善彦
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    鎌倉時代後期、13世紀後半の日本には「飛礫(つぶて)」や「博奕(ばくち)」に象徴される、底知れぬ力が渦巻いていた。
    その源となった「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」の対立は、幕府では御家人と御内人、朝廷では持明院統と大覚寺統の政治的対立として、また宗教においては日蓮と叡尊・忍性の対立、さらには荘園支配をめぐる対立として、社会のさまざまな局面にあらわれる。蒙古襲来は、せめぎあいの緊張が高まる日本に訪れた危機だった。
    未曾有の外寇によって対立の均衡が崩れた時、後戻りのできない大転換が始まる。それは単に鎌倉幕府の滅亡にとどまらない、近世・近代の日本社会の在り方にもつながる日本社会の大変動だった――。
    戦後歴史学を代表する歴史学者、網野善彦が遺した唯一の時代史にして無二の全体史。【解説:清水克行】

    「未開」と「文明」、「農業」と「非農業」が激突する十三世紀後半の日本。蒙古襲来によってその均衡が崩れたとき、決して後戻りのできない大転換が始まる――。網野史学唯一の時代史にして無二の全体史。


    遍歴する職人や商人、海民など非農業民に光をあてることで、これまでにない中世日本の姿を描き出した網野善彦(1928-2004年)。鎌倉時代後期の法制・経済・宗教・文学の総体に過不足なく言及された本書は「網野によって書かれた唯一の時代史叙述であるだけでなく、網野史学にもとづいた貴重な「全体史」の試み」である(清水克行氏「解説」より)。
    『中世荘園の様相』に続く二冊目の単著となる本書は、前著で描かれた若狭国太良荘をはじめとする荘園の百姓や支配者たちをめぐる悲喜こもごもはもちろん、非農業民である職人の活動や「悪党」に接近する後醍醐天皇、あるいは活発な中世の海上交通、「弘安徳政」など、その後の仕事に結実するエッセンスが凝縮されている。網野史学を彩る個々の魅力的なテーマが通史叙述のなかで立体的に組み上げられ、大きく転換していく時代のうねりがダイナミックに立ち上がる。
    圧倒的スケールで繰り広げられる空前絶後、唯一無二の時代史。(原本:小学館、二〇〇一年)

     【本書の内容】
    まえがき〔小学館ライブラリー版〕
    飛礫・博変・道祖神――はじめに
    二つの世界、二つの政治
    「蒼い狼」の子孫
    文永の役
    建治元年―日本
    弘安の「徳政」と安達泰盛
    百姓と「職人」
    訴人雲霞のごとし
    転換する社会
    鎌倉幕府の倒壊
    一三世紀後半の日本
    参考文献
    解 説(清水克行)
    年 表
  • 全部読まなければ、この本のすごさはわからない!

    日本民俗学の創始者である柳田の原点にして代表作には、いったい何が論じられ、企てられたのか。
    「平地人を戦慄せしめよ」という高らかな宣言に込められたものとは何か。

    「ザシキワラシ、オシラサマや河童たちが躍る不思議な世界」
    「叙情豊かな日本人の原風景」
    という本書がまとってきたイメージの奥にある真価を読み取るための、
    懇切な解説つき全文現代語訳。
  • 日本の東洋史学が生んだ20世紀の巨人、宮崎市定(1901-95年)。広範な領域にわたる魅力的な著作の数々から、全集未収録作品を含め、これまで文庫に収録されてこなかったものを中心に精選したアンソロジー。長年の愛読者はもちろん、宮崎史学初めの一歩にも。
    「歴史は須(すべか)らく世界史でなければならぬ。事実、私の研究は常に世界史を予想して考察して居り、世界史の体系を離れて孤立して個々の事実を考えたことは一度もない」(『アジア史研究』第一、「はしがき」より)。出発点となった宋代史研究をはるかに超えて、中国史のあらゆる時代、さらに西アジア史や古代日本史にまで及ぶ優れた業績は、いずれも偉大な歴史家の理念に力強く裏打ちされている。
    鋭く細やかな洞察、時間・空間ともに壮大な展望を予感させるスケールの大きさと独創性、生き生きとした人物描写、これらを可能にする文章力……。枚挙に暇がない魅力ゆえに、宮崎の作品は、専門家にとどまらず長きにわたって多くの読者を得てきた。専門とする時代・領域ともに異なりながらも、宮崎への思い入れが嵩じて評伝を著し話題になった西洋古代史研究者の井上文則氏もその一人である。その井上氏が、歴史家としての宮崎市定、とりわけその人となりがわかるような作品を厳選、解説では宮崎の人生のなかにそれらの作品を位置づける。
    中国の歴史は中国周辺の民族に代表される素朴主義と、中国社会そのものである文明主義の入れ替わりの歴史であったと喝破し、素朴主義に共感を寄せる「素朴主義と文明主義再論」。本作品をはじめとする宮崎独自の雄大な歴史観、そして古代・中世・近世史、さらに文化史についての各論を通して、巨峰宮崎市定の威容に迫る決定版セレクション!

    【本書の内容】
     1 歴史の見方
    世界史序説
    素朴主義と文明主義再論
    歴史と塩
    『宋詩概説』吉川幸次郎著〔書評〕

     2 歴史学各論
      ・古 代
    中国上代の都市国家とその墓地――商邑は何処にあったか
    条支と大秦と西海
      ・中 世
    晋武帝の戸調式に就て
    六朝時代江南の貴族
    清 談
      ・近 世
    五代宋初の通貨問題梗概
    王安石の黄河治水策
    雍正時代地方政治の実情――シュ批諭旨と鹿洲公案
      ・文化史 
    シナの鉄について
    江戸時代におけるシナ趣味

     3 全集未収録作品
    大きな静けさ
    はしがき〔『地獄の決闘』〕
    中国漢代の都市
    中国における易占の発達

    付録 宮崎市定と青木木米(リチャード・ピアソン&一枝?・ピアソン)
    解 説(井上文則)
  • 550(税込) 2026/7/23(木)23:59まで
    著:
    甚野尚志
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    人体に、建造物に、蜜蜂に、チェス盤に――
    隠喩で捉えられた社会像

    中世ヨーロッパは教皇・皇帝という聖俗権力の下の階層秩序的な社会であった。人体諸器官に喩えれば君主は頭、元老院は心臓、胃と腸は財務官と代官、武装した手は戦士、足は農民と手工業者、そしてそれらは魂であるところの聖職者の支配に服する――ほかに建築・蜜蜂・チェスなどを隠喩として社会の構成と役割を説明する中世人の象徴的思考を分析。
  • 550(税込) 2026/7/23(木)23:59まで
    著:
    千葉幹夫
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    日本人はなぜ、妖怪に惹かれるのか――。妖怪とは自然への畏怖や闇に抱く恐怖が表現された、日本人の心理や生活の記憶を留める民俗資料である。柳田國男以来の妖怪研究の伝統をふまえ、文献に現れた七百四十余の妖怪を都道府県別に整理・分類、種別や出現場所、特徴等を紹介した、本邦初の本格的妖怪事典。妖怪を愛するすべての人に贈る必携の一冊。
  • 990(税込)
    著:
    溝口雄三
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    中国思想史の第一人者が描く「公私」に潜む数奇なドラマ!

    中国における「公」と「私」は、日本語における「オホヤケ」と「ワタクシ」と同じものを指すのか――。
    社会における基本的な二つの位相や領域、政治的な場面における基本的な二つの態度は、中国と日本でいかに異なっているのかを、古代中国から近代にいたる、言葉の歴史を辿ることで、「公共性」をめぐる議論に一石を投じる。

    本書の原本は、1996年に三省堂「一語の辞典」シリーズより刊行されました。

    目次

    はじめに 

    オオヤケの語源 
    訓読と音読    
    オホヤケの原義  
    「ヤケ」の意味 
    国語辞典での定義                      

    公の語源                          
    中国語の公                        
    甲骨・金文の世界での公   
    「私」のない世界  
    公の概念について 

    おおやけ・わたくし概念の特徴                
    一人称としての「私」   
    公のなかの「私」 
    おおやけ領域とわたくし領域  

    公私概念の特徴
    平分と姦邪(ルビ:かんじゃ)                 
    中国の公と日本のおおやけ                  
    公私と倫理                  

    近代の公 日本と中国
    近代日本の公                   
    公平の原理                      
    天下の公理                      
    中国の「理」 

    公における日・中の共同性 領域の共同とつながりの共同
    公と共同性      
    領域の公      
    つながりの公    
    公私のけじめ 
    中国人の公私観念

    日本の私的所有と中国の共有制
    日本人の私有意識 
    中国の宗族制

    個と共同
    公と公界(ルビ:くがい)
    「領域の公」と公平
    日常的な「私」と社会的な「私」
    政治的わたくしと「おおやけ事」 
    解説(伊東貴之)
    索引
  • 1,430(税込)
    著:
    渡辺研二
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ヒンドゥー教や仏教と並ぶインドの伝統宗教、ジャイナ教。
    古代インドで仏教とほぼ同じ時代・地域に誕生したこの宗教は、やがて世界宗教としてインドから世界に広がっていった仏教とは異なり、いまもインドの地に深く根を下ろし、約2500年にわたりインドの文化や経済に大きな影響を与え続けている。
    「ジナ(輪廻から“勝利した者”)の教え」を意味するジャイナ教は、紀元前6ー5世紀ごろ、24人目のジナとされるマハーヴィーラという祖のもとで、反バラモン主義運動として興った。輪廻と業(カルマン)を前提とし、厳しい苦行によってそこからの解放を目指す宗教である。
    ジャイナ教の世界観では、宇宙は永遠に興亡を繰り返し、衰退の時代には救済者が現れて教えを説くとされる。人間はその世界での行為によって業が霊魂に付着し、果報を生むため、輪廻から逃れることができない。輪廻を断つためには、行為そのものをできる限り停止し、すでに付着した業を苦行によって落とさなければならないと考える。
    本書では、不殺生・非暴力の徹底と無所有を中心的な教義とし、あらゆる存在に生命を認め、その生命を何より尊重するという希有な宗教、ジャイナ教について、その知られざる歴史、教義、戒律、白衣派と空衣派という二大分派の違い、そして出家者と在家信者の実践をわかりやすくまとめた。

    [本書の内容]
    第1章 序言
    第2章 ジャイナ教の興起した背景
    第3章 六人の自由思想家の教説
    第4章 マッカリ・ゴーサーラ
    第5章 祖師マハーヴィーラの生涯
    第6章 白衣派の聖典
    愛7章 空衣派の聖典
    第8章 ジャイナ教の教義
    第9章 ジャイナ教の生活
    第10章 ジャイナ教の戒律
    第11章 ジャイナ教の在家信者
    第12章 不殺生の教えと霊魂の種類
    第13章 現在のジャイナ教教団
    第14章 ジャイナ教と仏教の比較

    ジャイナ教を知るための文献案内
    あとがき
    解説 河﨑豊

    *本書の原本は、2006年に現代図書から刊行されました。
  • 浅草十二階・大阪城天守閣・東京タワー・通天閣・太陽の塔・六本木ヒルズ森タワー・東京スカイツリー……
    塔(タワー)には進歩と郷愁の物語がある――
    多数の貴重図版とともに辿る、日本人の心の建築史!

    人類は塔(タワー)によって天地の境界をデザインし、都市の象徴を上書きするとともに、塔からの眺めを欲望し、また塔に進歩の夢やノスタルジーを仮託してきた。日本の近現代に屹立する「七塔」と人々の物語を通して文明の本質に迫る、唯一無二の都市建築史。

    [目次]
    はじめに 大地から
    1塔 物見の塔――浅草十二階ほか
    2塔 公共の塔――大阪城天守閣ほか
    3塔 電波の塔――東京タワーほか
    4塔 大衆の塔――通天閣ほか
    5塔 ひとがたの塔――太陽の塔ほか
    6塔 都市の塔――六本木ヒルズ森タワーほか
    7塔 塔の塔――東京スカイツリーほか
    あとがき 天空へ
    学術文庫版へのあとがき

    [本書の原本は『ニッポンの塔――タワーの都市建築史』(河出ブックス、2012年)です]
  • 日本の人々は星に何を見ていたのか――
    星にまつわる珠玉のエッセイや、星座の神話・伝説などをつづった著作が長く愛されてきた野尻抱影。その抱影が、膨大な文献の渉猟と全国の報告者の協力を得て、生涯をかけて収集した日本各地の星の和名をまとめた一冊。農山村や漁村の暮らしと結ばれた星の呼び名や伝承を通し、日本人が星に託してきた歴史と文化の深さを鮮やかに示す。星民俗学の決定版。

    [本書にでてくる星]
    〇麦熟れ星=うしかい座
     「この星が明け方に東の方に出だしたら麦をまく。この星が夕方西に入る時分になると麦を刈るんで、むぎぼしさんと呼ぶんじゃ」
    〇魚釣り星=さそり座
     「天の魚釣り星/一ぴき釣ったら腹をあけ/塩をこめ/腰のびくへちょっと入れ」
    〇すもうとり星=かんむり座
     「一間おきに七つの星が出とってや、角力(すもう)を見とる」
    〇破軍の星=大ぐま座
     「兵隊さんが出征した時、千人針の腹巻やチョッキを着て行ったもんやが、この千人針には必ず<はぐんのほし>の形を縫いこんで持って行ったもんや。そしてなあ戦いが始まったら、この星に念じると、必ず勝っとった」

    [本書の内容]
    春の星の和名
    夏の星の和名
    秋の星の和名
    冬の星の和名
    沖縄の星名
    奄美の星名
    アイヌの星名
    南十字星
    惑星の和名
    流星の和名
    彗星の和名
    古典の星名

    解題(石井ゆかり)

    *本書の原本は、1973年に東京堂出版から刊行されました。
  • 1,650(税込)
    著:
    吉田禎吾
    解説:
    真島一郎
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    聖にして穢、善にして悪、神にして魔!
    人類普遍の「魔の構造」を明かす、文化人類学の到達点。

    聖なるものはなぜ呪われたものでもあるのか。清純な白と無気味な白・左の神秘・双子の習俗、魔女・憑きもの・不思議な来訪者……日本・バリ・アフリカの民俗をたずね、文化/自然・男/女・昼/夜など、二元的カテゴリー間の均衡を攪乱する「どちらつかずの中間領域」に魔性の発生を見いだす。文化人類学の大家による画期の書!

    [目次]
    序章 妖怪と両義性
    ■第一部 自然の認識――原初的分類
    第一章 清純な白と無気味な白
    第二章 左の神秘
    第三章 方位の意味
    ■第二部 水・双子・音
    第一章 さかさ水
    第二章 双子の習俗
    ■第三部 魔性の構造
    第一章 魔女、死霊のイメージ
    第二章 女性の魔力
    第三章 不思議な動物 1
    第四章 不思議な動物 2
    第五章 不思議な動物 3
    第六章 不思議な来訪者

    あとがき
    みすずライブラリー版あとがき
    解説 聖の迷宮 真島一郎
    索引

    (*本書の原本は1976年に研究社出版より刊行されました。学術文庫化に際しては、1998年刊行のみすず書房版を底本としています。)
  • 道長が「この世をば我が世とぞ思う……」と口ずさんでから約70年。道長の玄孫にあたり、のちに右大臣に昇る藤原宗忠は宮廷での日々を綴り始めた。宗忠が職を辞するまで、52年にわたり書き続けられた『中右記』は、華やかな宮廷生活はもちろんのこと、「武者の世」へと大きく時代が動いていく院政期社会の実像を伝えてくれる。貴族の旅行や交通事情、京で起こったさまざまな犯罪、落馬を恐れる貴族と牛車に四苦八苦する武士たち――宗忠は時に家族との死別に涙して仏事に奔走し、息子たちの栄達を願って心を砕く一方、自らを妨げた者、助けてくれた者の一覧を記すような面も日記のなかで見せている。
    膨大な日記の海から、著者ならではの視線で重要な記述をすくいあげ、およそ900年前を生きた多様な階層の人々の暮らしをあざやかによみがえらせる、不朽の院政期社会史。

    院政期の第一級史料である『中右記』は実にさまざまなことを語ってくれる。従一位、右大臣にまで昇りつめた宗忠の日々の苦労や悲喜こもごもはもちろん、熊野詣や伊勢への具体的な旅程と旅先ならではの交流、当時の警察・裁判機構の長官である検非違使別当として記した京の犯罪とその取り締まりの実態、それをめぐる人間模様、強訴を繰り返す悪僧たちの躍動、京の民衆が熱狂した田楽、そして警備などを通じて静かに存在感を増していく武士たちの姿……。
    宗忠が生きた時代は、白河院による院政が始まり、「武者の世」の足音が聞こえはじめた、激動の予感に満ちた時代である。摂関家を中心とする藤原一門の栄華には翳りがさし、宗忠の日記には王朝貴族の秩序が崩れていくことへの悲憤や嘆きもにじむ。同時に武門の随兵・郎等のあり方からは、院政時代特有の武士像もうかがえる。
    膨大な日記のなかから宝物のような手がかりをすくいあげ、同時代の日記や史料をも駆使して、900年前を生きた人々の体温や息遣いまで感じられるほどに、当時の世界が描き出される。(原本:そしえて、1979年)

    【本書の内容】
    はしがき 
    一 立身の道
    二 熊野・伊勢への旅
    三 検非違使の記録
    四 院政期諸階層の生態
    五 宮廷貴族の晩年
    藤原宗忠関係年譜
    解 説 髙橋昌明
  • 本書は、古代ローマの建築家マルクス・ウィトルーウィウス・ポッリオーによる著作であり、現存する最古の建築書として知られる。
    ローマ初代皇帝アウグストゥス(在位前27-後14年)の時代に活動したウィトルーウィウスは、『建築書(De architectura libri decem)』(『建築について』または『建築十書』とも)の著者であること以外、その出自や生涯は何も知られていない。本書は、建築に関する包括的な著作であると同時に、当時の技術を幅広く記録した百科事典的なものでもある。その内容は、以下のようになっている。

    第一書 建築の原理
    第二書 建築の歴史と材料
    第三書 イオーニア式神殿
    第四書 コリント式神殿とドーリア式神殿
    第五書 劇場とその音響、および浴場
    第六書 町の家屋と田園の家屋
    第七書 内部装飾
    第八書 給水
    第九書 時計
    第一〇書 機械技術と軍事技術

    このように、本書は古代ギリシア・ローマの建築(建築家の教育、材料、構法、建築の計画法など)のみならず、当時の都市計画、天文学、気象学、土木、軍事技術、絵画、音楽、演劇の実態を後世に伝える、きわめて貴重な史料にほかならない。ローマ時代にも引用されたが、中世になると修道院を中心に研究され、カール大帝の時代にはローマ帝国再建のための技術的な手引きとされたことが知られる。続くルネサンス期には、人文主義の重要な文献として研究され、アルベルティをはじめ多くの注釈書や訳書が出現したほか、レオナルド・ダ・ヴィンチは第三書で示される、神殿建築は人体と同様に調和したものであるべき、という記述に依拠して1485-90年頃に《ウィトルーウィウス的人体図》を描いた。
    西洋建築に関する古典中の古典として流通してきた本書の唯一の日本語訳を、初めて文庫版としてお届けする。

    [本書の内容]
    第一書
    第二書
    第三書
    第四書
    第五書
    第六書
    第七書
    第八書
    第九書
    第一〇書

    文献一覧
    訳者あとがき

    解 説(田路貴浩)

    建築用語索引
  • 1,320(税込)
    著:
    小西甚一
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    文藝作品の内なる表現理念=「雅・俗」の交錯によって時代を区分したところに本書の不滅の独創がある。健康で溌溂とした「俗」を本性とする古代文藝、端正・繊細な「雅」を重んずる中世、また古代とは別種の新奇な「俗」を本質とする近代。加えて著者は、日本文学を「世界」の場に引き出し、比較文学の視点からも全体的理解に努める。長く盛名のみ高く入手困難だった「幻の名著」の待望の復刊。(解説=ドナルド・キーン)
  • 「一夜で十人と愛を交わすべし」――

    性愛とは〈道(タオ)〉であり、男性および女性の原理の均衡こそ生命力の源である――。性のマニュアル、後宮への務めから、纏足の風習、妓女との付き合い方まで。儒教・道教・仏教がせめぎ合うなかで出来しためくるめくエピソードを渉猟しつつ、先史より貫く中国文化不変の根幹を抉り出す。鬼才による中国性愛史研究「最初の完成」の書!
    カラー口絵つき。
    解説は『古代中国の24時間』の柿沼陽平氏。

    【目次】
    序文
    ■第一部 封建王国――殷・周時代 前一五〇〇年~前二二二年 性と社会についての中国人の基本的な考え方
    第一章 創始期と西周王朝――前一五〇〇年頃~前七七一年頃
    第二章 東周王朝――前七七〇年~前二二二年
    ■第二部 帝国伸長期――秦・漢・六朝時代 前二二一年~後五八九年 性と儒・道・仏三教
    第三章 秦と前漢王朝――前二二一年~後二四年
    第四章 後漢王朝――二五年~二二〇年
    第五章 三国と六朝――二二一年~五九〇年
    ■第三部 帝国の最盛期――隋・唐・宋時代 五九〇年~一二七九年 性の手引書、その盛行と衰勢
    第六章 隋王朝――五九〇年~六一八年
    第七章 唐王朝――六一八年~九〇七年
    第八章 五代と宋王朝――九〇八年~一二七九年
    ■第四部 モンゴル支配と明の再興――元・明時代 一二八〇年~一六四四年 文学・芸術のなかの性
    第九章 モンゴルもしくは元王朝――一二七九年~一三六七年
    第十章 明王朝――一三六八~一六四四年
    ■補遺 インドおよび中国の性的神秘主義
    原注
    図版一覧
    ファン・フーリック学術関係主要著作目録一覧
    訳者あとがき
    解説 中国性愛史研究の先駆者 柿沼陽平

    【本書の主なトピック】
    [周]女性は寝所の偉大な導師、性の秘密の護持者である
    [前漢]儒教の厳格な教義の裏で、諸侯も皇帝も性のモラル崩壊!
    [後漢]挿絵入り「性の手引書」が教える"究極の技法"
    [六朝]妻妾を満足させられなければ、家長の信望失墜・地位喪失
    [唐]家での肉体的愛から逃れ、娼妓とのプラトニックな交際へ
    [元]「性愛画を秘蔵」-10点、「女性の面前で猥談」-20点……家長の「道徳成績計算表」
    [明]性が抑圧されず、すこやかな歓楽だった最後の時代

    (*本書の原本は1998年にせりか書房より刊行されたものです。)
  • 1,760(税込)
    著:
    井之口章次
    解説:
    廣田龍平
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    「靴の紐が切れるとよくないことが起こる」本当の理由、ご存知ですか? 
    予兆、卜占、禁忌、呪術、妖怪、憑物……全国各地で採集された俗信、すなわち「超人間的な力の存在を信じ、それに対処する知識や技術」を体系的に整理。”非科学的で取るに足らぬもの”から日本文化の基層を明らかにする、民俗学の精華!
    (解説:廣田龍平)

    [本書で扱う主な俗信ーーその由来とは?]
    ○烏が屋根で啼くと死人が出る
    ○膝を絶えず小刻みに動かすと貧乏になる
    ○婚礼に雨が降ると縁起がよい
    ○一富士、二鷹、三茄子、四葬式、五火事
    ○厄年に生まれた子は捨子にする
    ○ものもらいは七軒の家から米をもらって食べるとよい
    ○手振水をかけられた人は死ぬ
    ○丙午(ひのえうま)の年は出生数激減(次回は2026年!)
    ……

    [目次]
    はしがき
    第一章 俗信概論
    一 俗信の概念
    二 予兆
    三 卜占
    四 禁忌
    五 呪術
    第二章 信仰と俗信
    第三章 厄年および年祝い
    一 はじめに
    二 従来の諸説
    三 厄年行事の要素
    四 贈答の意義
    五 厄年行事の意味
    六 信仰と俗信
    七 厄年受容の基盤
    八 結び
    第四章 呪的な食べ物ーー味噌の魅力
    一 食習研究と味噌
    二 葬式と味噌
    三 家移りと味噌
    四 味噌つき日の吉凶
    五 味噌煮の日
    六 持ち寄るもの
    七 せち味噌
    八 山の神と味噌
    九 味噌長者
    十 呪的な食べ物
    第五章 妖怪の地域性
    第六章 妖怪と信仰
    第七章 死と俗信
    一 生と死との境
    二 忌の飯
    三 死の忌
    四 種々のまじない
    参考文献
    解説 俗信の概念と発生について 廣田龍平
    索引

    (*本書の原本は、1975年に弘文堂から刊行されました。)
  • 花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。
    夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。
    古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年)

    【本書の内容】
    はじめに
    第一章 都市の論理――先進・後進論の背景
    第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理
    第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合
    第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み
    あとがき
    解 説(長﨑健吾)
  • 1,650(税込)
    著:
    田原開起
    解説:
    諸岡了介
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ひと昔前の、普通に生きた人々の中にある、ごくありふれた日常。そこには「死と生」にまつわる、さまざまなエピソードが共存していた――。近代化とともに「家」から死が遠ざかり、死への意識が希薄化した現代社会。明治から昭和初期の消えゆく風習を丹念に聞き取りながら、閉塞感ある今の社会の課題を解くヒントを掘り起こす。愚直で素朴で、とてつもなく豊穣な、隠れた民俗学の名著、復刊!

    目次
    はじめに

    第一部 明治末期から大正期の「死の民俗」
    1) 生の中の死
    1 日々のなかにある日常の続きとしての死
    2 日常を断ち切る死の予言

    2) 死の儀礼に出会った体験や見聞
    1 「湯灌」と奥納戸
    2 「角寄せ」
    3 「棺造り」や「納棺」と結核患者
    4 「親戚へ音をする」「悔やみを言う」
    5 「斎(とき)」
    6 「葬儀」と「野辺送り」
    7 「焼場」と「骨拾い」
    8 「木・飯米」

    3) 子どもの頃に「人の死」に出会った契機
    1 葬式や野辺送りの場面に出かけた契機
    2 聴聞や法事の場面に出くわした契機

    4) 「人の死」は子どもにとって何であったか

    第二部 明治末期から大正期の「生の民俗」
    1) 大人への道・自立の旅

    2) 結婚
    1 仲人
    2 結婚
    3 こぶり合わせる
    4 結婚の祝い
    5 離婚

    3) お産と産後
    1 出産
    2 団子汁
    3 産湯とあと産
    4 産後

    4) 健やかな成長を祈る
    1 五香
    2 祝福
    3 七歳までは神のうち
    4 「拾い親」の民俗
    5 子育てと戦中戦後の労働
    6 休み・楽しみ・生きがい

    5) 死と生の間を生きる
    1 信心・感謝
    2 老境(年をとらねば分からないこと)

    おわりに

    聴き取り対象者一覧 並びに聴き取り年月日
    あとがき
    解説  諸岡了介(島根大学教授)
  • ◇各地に無数に存在する「おみやげ」は、外国にも近代以前にも存在しない、独特の文化だった!◇

    日本各地の駅には、饅頭や羊羹などや弁当などの食品が、その土地の名物として売られている。
    私たちにとって当たり前のこの光景は、実は他の国ではほとんど見られない(ロンドンのターミナルで「ビッグベン当」などの類は見あたらない)。
    この類い稀なる「おみやげ」という存在は、鉄道を筆頭とする「近代の装置」が、日本の歴史、文化と相互作用して生まれたものだった!

    「きびだんご」が岡山名物になったのは、日清戦争と鉄道敷設の歴史的事情が背景にあった。
    静岡駅の安倍川餅は餅ではなく「求肥」なのも、赤福が伊勢名物として有名になったのも、なぜか北海道にバナナ饅頭があるのも、鉄道という「近代の装置」抜きにしては語れない。
    交通網の発展と各地の歴史が結びついて「名物」を生み出してきたさまを、膨大な史料を徹底的に読み込んで、鮮やかに描き出す、唯一無二の研究の集大成!

    鉄道を独特の角度から捉えながら日本近代史の探求を続けてきた著者の代表作。

    【本書の内容】
    序章 おみやげの起源とおみやげ文化
    日本の特異なおみやげ文化/日本独特の「名物駅弁」/「おみやげ」と“スーベニア”/「名物」と「みやげ」 など
    第1章 鉄道と近代おみやげの登場
    清河八郎の「おみやげ配送」/日清戦争と鉄道輸送/五色豆と政岡豆/「異人くさい」鳩サブレーが名物となるまで など
    第2章 近代伊勢参宮と赤福
    明治天皇に届けられた赤福/赤福を凌駕していた生姜糖/近鉄電車と構内販売 など
    第3章 博覧会と名物
    博覧会・共進会・商品陳列所/江の島貝細工の盛衰/鉄道院の名物評価/全国菓子大博覧会/大垣の柿羊羹 など
    第4章 帝国日本の拡大と名物の展開
    「軍都」に生まれる「軍人土産」/創出の物語―もみじ饅頭と伊藤博文伝説/新領土台湾とおみやげ など
    第5章 温泉観光とおみやげ
    温泉饅頭の誕生/道後煎餅と温泉煎餅/熱海の干物―由緒づけなき名物/有馬温泉から別府への技術移入 など
    第6章 現代社会の変容とおみやげ
    変化の中で生き残ったおぎのやの釜飯/ひよ子創業伝説/長く不在だった東京みやげの代表 など
    終章 近代の国民経験とおみやげ
    注 
    あとがき
    名物索引

    *本書の原本は2013年に講談社より刊行されました
  • 紀元前3500年、まだ日本が縄文時代だった頃に巨大神殿を建て、古拙文字を発明。ビールを飲み、都市文明を謳歌し、華やかな宴会を繰り広げたシュメル人たち。紀元前2004年のエラム侵入により忽然と消えてしまった彼らの日常には、現代の日本や西欧社会に通じる様々なしきたりと人間模様が隠されていた! 古典の名著『ギルガメシュ叙事詩』や発掘された奉納額、図像などの一等史料を丹念に解読。王の父子相伝や戦記、后妃の葬儀、交易記録などから最古の文明人の驚くべき栄華と崩壊を識る!

    内容紹介
    第1章 シュメルの父と息子――現代人にも共感できる、王と息子の話
    第2章 ラガシュ王奮戦記――自国を守るため戦う王の弱気な横顔・・・
    第3章 后妃のお葬式――シュメル女性の結婚、育児事情
    第4章 商人が往来する世界――シュメル人がほしかった銅、レバノン杉、瀝青と、貿易活動
    第5章 星になったシュルギ王――決して楽ではなかった王の一代記

    <目次>
    はじめに
    1 シュメルの父と息子――ウルナンシェ王の「奉納額」
    ウルナンシェ王の「奉納額」/都市国家ラガシュ市/ウルナンシェ王の王碑文/奉納額の絵解き/家族の肖像/教育は人類不変の悩み
    2 ラガシュ王奮戦記
    二方面の宿敵/「正史」の始まり/初代王、第三代王の戦い/「エアンナトゥム王の戦勝碑」/ラガシュ最後の輝き
    3 后妃のお葬式――シュメルの女性たち
    葬儀は語る/シュメルの女性群像/后妃の結婚生活/后妃として母として/仇(かたき)の妻に弔われた前后妃
    4 商人が往来する世界――シュメル人の交易活動
    古代人の商売繁盛/ 瑠璃(るり)に魅せられて/銅は海からやってくる/ギルガメシュと「杉の森」/石油より大事なもの
    5 星になったシュルギ王
    帝王の佇まい/ウル第三王朝の最盛期/王の公務/神になったシュルギ王/戦いに明け暮れた後半生

    あとがき
    主要参考文献
    主要図版引用文献
    コラム 
    「正統な後継者」/「油あふれる」ディルムン/シュメルのモナ・リザ/生きているシュメル語/文字と争いの起源/メルッハからの「砂金」/エブラ市の発見/中島敦と古代オリエント史/王の称号
    学術文庫版あとがき
    索引

    本書は『五〇〇〇年前の日常 シュメル人たちの物語』(新潮選書 2007年刊)を改題したものです。
  • 山海の神か、田の神か。贄か、神使か、妖怪か――。
    サル・キツネ・オオカミ・クマからネコ・トリ・ムシ・サカナまで、日本人は動物たちをいかに認識し、どのような関係を取り結んできたのか。膨大な民俗資料を渉猟し、山/海、家畜/野生、大きさ、人との類似などの基準によってその歴史と構造を明らかに!
    25種の動物ごとの章立てで、「事典」的なニーズにも対応。
    (解説:小松和彦)

    【本書に登場する主な動物たち】
    [キツネ]気高き神の使者は、やがて商業神、憑きものへ
    [イヌ]化け物の正体を見破る特異な辟邪力
    [ネズミ]経典荒らしが転じ、仏法の守護者に?
    [オオカミ]なぜオオカミだけ? 「産見舞い」に赤飯を
    [ネコ]擬人化の果てに、愛する人の形代に
    [サカナ]山神はなぜ毒棘持ちのオコゼを愛したのか
    [ウサギ]ウサギvs.サルvs.カエル「動物餅争い」の結末は?
    [カニ]甲に浮かぶ悲運の英雄たちの無念
    ……
  • 華々しい戦史も、将軍たちの勇壮な逸話も、ましてや必勝の極意もない小さな兵法書は、なぜ2400年にわたる世界史的ベストセラーになりえたのか?
    曹操、蒋介石、毛沢東、山鹿素行、吉田松陰、旧陸海軍、公安警察、労働組合、電通、そしてイギリス軍やアメリカ軍へと読み継がれてきた歴史を辿りつつ、形篇や勢篇、行軍篇など実際のテキストを吟味し、その「魅力」の源泉に迫る!

    【目次】
    はじめに
    中国王朝名一覧
    ■第一部 書物の旅路ーー不敗への欲望
    第一章 戦いの言語化ーー『孫子』の原型
    第二章 成立と伝承
    第三章 日本の『孫子』ーー江戸時代末期まで
    第四章 帝国と冷戦のもとで
    ■第二部 作品世界を読むーー辞は珠玉の如し
    第一章 帝王のためにーー『群書治要』巻三三より
    第二章 形と勢ーー永禄三年の読み
    第三章 不確定であれーー銀雀山漢墓出土竹簡「奇正」
    第四章 集団と自然条件ーー西夏語訳『孫子』より
    おわりに
    参考文献
    学術文庫版へのあとがき

    【本書の主なトピック】
    □『孫子』古典化の秘密は非万能・抽象・非戦志向にあり
    □日清・日露戦争の勝利で進んだ『孫子』の聖典化
    □米軍を『孫子』研究に向かわせた毛沢東率いる人民解放軍の脅威
    □電通PRセンター初代社長が仕掛けた企業経営者向け『孫子』キャンペーン
    □帝王・皇族は『孫子』から何を学んだのかーー『群書治要』
    □なぜ勝ち負けが生ずるのかーー形篇・勢篇
    □無限に変化し、不確定であれーー銀雀山漢墓出土竹簡「奇正」
    □”China Rising”で『孫子』は21世紀世界の必読書へ
  • 1,408(税込)
    著:
    原田信男
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    寿司も天ぷらも精進料理も、その起源は海外にあった! 古代から現代まで、和食の料理体系の全貌を描く!

    いまや世界中で愛される日本食は、どのように生まれ、現在の姿になったのか。本格的に米を採り入れた弥生時代、茶の湯と懐石料理の戦国時代、料理文化が花開いた江戸時代、西洋料理が入ってきた明治時代、そして国際化・多様化の進む現代へ――。食器、調理法、食事作法から国家・社会・経済との関わりまで、沖縄・北海道を含むあらゆる日本の食文化を網羅する通史。増補決定版!

    【目次】
    はじめに――和食という料理

    序 章 食の意義と日本料理
    第一章 日本料理の前史と文化――先史時代の食文化
    第二章 古代国家と食事体系――日本料理の源流
    第三章 中世料理文化の形成と展開――大饗、精進、本膳そして懐石
    第四章 近世における料理文化の爛熟――自由な料理と庶民の楽しみ
    第五章 明治の開化と西洋料理――西洋料理の受容と変容
    第六章 大正・昭和の市民社会と和食――日本料理の変容と展開
    終 章 料理からみた日本文化
    補 章 平成・令和の食――メモ風に

    コラム1 スシ
    コラム2 テンプラ
    コラム3 スキヤキ

    おわりに
    学術文庫版あとがき
    参考文献
    索  引
  • 絵画、舞踊、演劇、武術、茶、花、刀剣鍛造・鑑定……体を使って文化価値を創造する「芸」は、いかに習得し、創造していくものなのか。師匠から弟子への相伝作法から見る日本人の精神構造。家元制度というシステムの背景。千利休や芭蕉、世阿弥の芸術論や「秘伝」の哲学と社会的役割など、「芸道」という独特の文化社会を考察する!

    目次)
    第一章 芸道の成立  芸と芸道/「型」の理論/芸道成立の実例
    第二章 芸道の系譜  遊芸の系譜/武芸の系譜/大衆芸能の系譜
    第三章 秘伝の相伝  秘伝伝授の歴史/家元制度と相伝
    第四章 芸の習得   一生修行の世界/仏道の行/遊芸の行/芸の習得と想像
    第五章 至芸の境   守・破・離/名人と天才
    解説「芸」における弟子の効用    内田 樹(神戸女学院大学名誉教授・武道家)


    本書は『芸の世界 ――その秘伝伝授』(1980年刊 講談社)を改題したものです
  • 森と石、都市と農村が展いた後発のヨーロッパ文明は、どのようにして世界史の領導者になったのか。戦争・飢餓・疫病、ルネサンス・宗教改革・大航海を経てきたその歴史に建設と改新、破壊と停滞のリズムを読み取り、文明を一つのシステムとして通観する。西洋史の泰斗による格好のヨーロッパ入門!
  • 「あの世の闇」すら光り照らす猫の目を敬い、蛇の脱皮する姿に「復活」を想起し、糞玉を押す黄金虫に太陽を運ぶ神を想う……。ナイルの恵みで農業国として繁栄したエジプト中王国ー新王国時代。時に神と崇め、時に恐れ敵対した動物たちとエジプト人との関係や、動物ミイラの作り方、当時の社会や宗教観まで活写した、異色歴史書!

    内容一部紹介
    ◎古代エジプト人と猫の暮らし◎
    *夢に大きな猫が出たら吉兆。大豊作になる。
    *猫女神バステトは出産の神。新婚夫婦は欲しい子供の数だけ、護符に猫の絵を描く。
    *火事になったら火を消すよりも猫を助けよ。
    *飼い猫が死んだら家族全員、眉を剃って喪に服す…等

    序 文 
    第一章 猫
    世界最古の家猫図/オシリス神話/女神バステト/猫の聖地ベニ・ハッサン/パケト信仰/猫のミイラと棺/闇を退治する目/ネフルよ、ネフルよ/ブバスチスの「猫王」/バステトの祭り/猫の墓/エジプト人の愛猫心
    第二章 犬
    アヌビス信仰/西方の者/絵画と彫像/『二人の兄弟の物語』/エジプト犬のミイラ
    第三章 蛇
    二つのエジプト/『難破船水夫の物語』/悪蛇アポピス/翼ある蛇
    第四章 ライオン
    大スフィンクス/王たちとライオン/ライオン狩り
    第五章 黄金虫
    スカラベと太陽神/『死者の書』の図像/記念スカラベと印章スカラベ/護符スカラベ
    第六章 鰐
    ナイルの暴れん坊/ソベク神殿/オシリスを救う神
    第七章 ハゲワシ
    白い女神ネクベト/王冠飾りと棺の飾り/ハヤブサとトキ
    第八章 牛
    雄牛の神/雌牛の神
    第九章 驢馬、馬、駱駝
    砂漠と不毛の神/夷狄のもたらしたもの/洗浄の主役/奉仕のみの動物
    学術文庫版解説・・・・・・・ 河合 望(金沢大学古代文明・文化資源学研究所所長 金沢大学新学術創成研究機構教)
    古代エジプト略年表 

    本書は『古代エジプト動物記』(文藝春 1984年刊)を改題したものです。
    現在では差別的とされる表現が含まれていますが、本書が執筆された時代環境を考え、また著者が故人であることから、そのままにしてあります。差別の助長を意図するものではありません。
  • 東京大学が「帝国大学」だった頃、すべては始まった――
    「東大」出生の秘密を暴き、その虚像と実像を抉り出す!
     *
    明治19年の帝国大学の誕生は、のちの東京大学をも貫く基本性格を確立した歴史的特異点であった。エリート官僚養成、アカデミズムの独占的権威、立身出世・受験競争の頂点――伊藤博文、森有礼、井上毅ら設計者たちの政策的意図を辿りつつ、今日まで続く東大の本質とイメージの淵源を明らかに!

    [目次]
    第一章 帝国大学の出自――リヴァイアサンの生い立ち
    第二章 帝国大学のモデル――ドイツの大学から学ばなかったこと
    第三章 官庁エリートの供給源――工科系から法科系へ
    第四章 出身と出世――上昇気流にのって
    第五章 明治アカデミズムの体質――講座制と研究
    第六章 もしも帝大がなかったら――批判的展望
    あとがき
    解説 科学史/大学史を超えた「学問の歴史」 石井洋二郎
  • 1867(慶応3)年、パリ万国博覧会が開催された。日本が初めて参加した国際博覧会であり、幕府は徳川慶喜の弟である昭武を公使として派遣した。使節団には幕臣となっていた渋沢栄一が随行。帰国後、渋沢は、外国奉行支配調役として同行した杉村譲(愛蔵)とともに、全6巻の詳細な渡欧記録をまとめ、1871年(明治4)に刊行した。
    この記録には、フランスの繁栄を誇ったパリ万国博での見聞のほか、ナポレオン3世やイタリアのヴィットリオ・エマヌエレ2世、オランダ国王ウィレム3世ら欧州要人たちと徳川昭武の謁見、産業革命のただなかにあったイギリスの工業化や、政治・経済のシステムへの驚きなどが、生々しく描写されている。
    従来、この日記は、渋沢の単著として扱われてきたが、近年の研究により、旅の前半を幕臣として同行し、後に明治政府の官僚となった杉村譲の日記と渋沢の日記から編纂・執筆されたものであることがわかってきた。こうした旧幕臣の体験と知識が、その後の近代化に大きく生かされたのである。
    文庫化にあたっては、『世界ノンフィクション全集14』(筑摩書房、1962年)所収の大江志乃夫現代語訳を原本とし、「付録」として、一行の帰国の事情と帰国後の動向を記した、渋沢栄一談/小貫修一郎編著『渋沢栄一自叙伝』(渋沢翁頌徳会、1937年刊)の13章1節から4節までを収録した。
  • 発音も不明な謎に満ちた文様――エジプト聖刻文字、楔形文字、ヒッタイト文書、ウガリット文書、ミュケーナイ文書。主要古代文字が解読されるまで推理、仮説、検証を重ねた、気の遠くなるような忍耐と興奮の軌跡を、言語学と旧約聖書研究の泰斗が、平易かつ正確に描写。数千年を超えた過去との交流を先人とともに体感できる、心躍る書!(解説・永井正勝)

    まえがき
    第一章 言語と文字 高津春繁
    第二章 エジプト聖刻文字の解読 関根正雄
    第三章 楔形文字の解読 関根正雄
    第四章 ヒッタイト文書の解読 高津春繁
    第五章 ウガリット文書の解読 関根正雄
    第六章 ミュケーナイ文書の解読 高津春繁
    学術文庫版解説 永井正勝(人間文化研究機構人間文化研究創発センター特任教授)
    索引
    地図

    内容紹介
    両者の解く古代文字解読の世界は、解読当時の学者達や社会の常識を踏まえつつ、解読者の心境を代弁するかのような語り口でなされている。そこに時折加えられる古代社会の記述も相まって、読者は解読当時の様子をこの目で見ているかの如く本書を読み進めていくことができる。(略)本書の魅力は、文化に対する深い理解と愛を持った卓越した研究者の手になる部分が大きい。         ――――――「解説」より

    *本書の底本は『古代文字の解読』(岩波書店 1964年10月刊)です。文庫化にあたり読みやすさに配慮して、旧字を随時、常用漢字に置き換え、送り仮名も新字対応とし、ルビの追加を行い、明らかな誤植は訂しています。
    経年などにより説明が必要と思われた箇所は、編集部註として[ ]で補足いたしました。「最近」「現在」などの表記につきましては、原本が出版された一九六四年時点の時制といたします。
    本書には現在では差別的とされる表現も含まれていますが、著者が故人であることと差別を助長する意図はないことを考慮し、原本刊行字の文章のままとしております。
  • 1,386(税込)

    【幕末に「志士」たちを生み出した最重要思想書、その全貌を読む!】

    ―臣ここを以て慷慨悲憤し、自から已む能はず、敢えて国家のよろしく恃むべきところのものを陳ぶ―
    「序論」「国体」「形勢」「虜情」「守禦」「長計」からなる全篇の本文読み下し。平易な現代語訳・懇切な語釈を掲載。
    さらに参考資料として、正志斎がのちに開国政策を提言した『時務策』を併載!

    文政八年(1825)、幕府は異国船打払令を出し、日本近海に接近する外国船全てに対して砲撃を加え、排除することを決定した。会沢正志斎が『新論』を完成させたのは、まさにその直後のことである。
    一読するとわかるように、その内容は西洋諸国と直面をせまられ始めた日本全体の、今後の政策を提言するものである。だが、水戸藩主を通じて幕府を動かそうという正志斎の期待は実現されることもなく、また異国船打払令も徹底されずに、沿岸には外国船が自由に航行することが常態化した。
    しかし本書は、正志斎の関係者から友人へ、その友人から別の友人へと筆写が重ねられ、日本全国へと広まっていくこととなる。それは匿名の著作ではあったけれども、人々を引きつける何かがあったのは確かであろう。天下太平と呼ばれた時代にあって、その裏にあった言いしれぬ不安というべきものを明らかにした、という理由もあろう。結果的にこの書は、全国の志ある多くの人々を目覚めさせることとなった……


    *本書は訳し下ろしです。
  • 日本人はなぜ、いつ、「読者」になったのか? そして何を、どのように、読んできたのか?
    出版資本と鉄道による中央活字メディアの全国流通、旅行読者の全国移動、新聞縦覧所と図書館という読書装置の全国普及――官・民による、これら三つの全国的要素の融合から、明治期に活字メディアを日常的に読む習慣を身につけた国民、すなわち「読書国民」が誕生してくる過程を、出版文化研究の第一人者が活写。私たちの読書生活の起源がここにある!

    [目次]
    はじめに
    ■第一部 流通する活字メディア
    第一章 全国読書圏の誕生
    第二章 「中央帝都の新知識」を地方読者へ――新聞社・出版社による地方読者支援活動の展開
    ■第二部 移動する読者
    第三章 車中読者の誕生
    第四章 「旅中無聊」の産業化
    ■第三部 普及する読書装置
    第五章 読書装置の政治学――新聞縦覧所と図書館
    第六章 図書館利用者公衆の誕生
    あとがき
    学術文庫版へのあとがき

    [主なトピック]
    ○暴力沙汰まで! 「東京vs.大阪」新聞市場争奪戦争
    ○過疎地域を開拓せよ! 新聞社・出版社による地方読者支援活動
    ○駅は戦場! 漫画雑誌の隆盛はここから始まった
    ○お部屋訪問! 温泉地の貸本屋
    ○「情報にお金を払う」習慣を生んだ新聞縦覧所
    ○自由民権運動は下からの「読書国民」の創出
    ○読書の価値を再発見した日清戦後の一等国意識
    ○まるで監獄……帝国図書館の規律空間
    ○樋口一葉も友人と……女性が一人で行けない図書館
  • 劇場のように華やかな装飾。高い天窓からふり注ぐ陽光。シルクハットで通勤するしゃれた従業員。乗合馬車で訪れる客を待つのは、欲望に火を付ける巨大スペクタクル空間!
    帽子職人の息子アリステッド・ブシコー(1810-1877)と妻マルグリットが、様々な施アイデアで世界一のデパート「ボン・マルシェ」を育て上げた詳細な歴史を、当時を描く仏文学作品や、19世紀初頭のデパート商品目録など稀少な古書から丹念に採取。
    パリの世相や文化が、いかに資本主義と結びつき、人々の消費行動を変えていったのか、
    仏文学者にして古書マニア、デーパート愛好家の著者だから描けた、痛快・ユニークなパリ社会史!


    内容紹介)
    客の目をくらませてしまえ!世界だって売りつけることができるだろう!

    「白物セール」のときには、それぞれの売り場が白い生地や商品だけを優先的に並べたばかりか、上の階の回廊や階段の手擦りを白い生地で覆いつくし、造花も白、靴も白、さらに家具にも白のレースをかぶせるなど、全館をすべて白で統一し、
    1923年の「白物セール」では、「北極」というテーマに従って、アール・デコ調にセットされたシロクマやペンギンが、ホールに入った客を出迎えるようになっていた。
    ようするに、ブシコーにとって、店内の商品ディスプレイは、〈ボン・マルシェ〉という劇場を舞台にして展開する大スペクタクル・ショーにほかならなかったのである。
      ――第二章「欲望装置としてのデパート」より

    *本書は『デパートを発明した夫婦』(講談社現代新書 1991年11月刊)に「パリのデパート小事典」を加筆し、改題したものです。
  • 急成長を遂げた周辺国からの侵略恐怖、増加する貧窮移民の不安、友好国へのぬぐいがたい不信、新たな感染症の脅威……「ドラキュラ」の恐怖と魅力の源泉には、黄昏を迎えた大英帝国の外国恐怖症があった。ゴシック・ホラーの金字塔に織り込まれた、ヴィクトリア朝イギリス社会の闇を描き出す!

    世界でもっとも有名な吸血鬼「ドラキュラ」。
    数ある吸血鬼作品のなかでも特権的な地位を得て、現代に至るまで映像化が繰り返され、日本では吸血鬼の代名詞にもなっています。
    そのドラキュラの恐怖と魅力の源泉には、19世紀末イギリス社会に蔓延する深刻な外国恐怖症がありました。
    「太陽の沈まぬ帝国」、「世界の工場」と謳われた栄光は過ぎ去り、軍事・経済ともに急成長を遂げつつある周辺国からの侵略恐怖、増え続けるユダヤ人など貧窮移民への不安、搾取してきたアジアの植民地から入ってくる新たな感染症の脅威……。
    落日の大英帝国に生きる人々は心の奥底で何を恐れ、そしてドラキュラは生みだされたのか。
    『パンチ』などに掲載された風刺画をふんだんに使いながら、ゴシック・ホラーの金字塔から読み解く世紀末ヴィクトリア朝の社会!

     イントロダクション
    第1章 ドラキュラの謎
    第2章 ドラキュラの年は西暦何年か
     帝国主義の世紀末
    第3章 侵略恐怖と海峡トンネル計画の挫折
    第4章 アメリカ恐怖と「栄光ある孤立」の終焉
     反ユダヤ主義の世紀末
    第5章 ユダヤ人恐怖と外国人法の成立
    第6章 混血恐怖とホロコースト
     パストゥール革命の世紀末
    第7章 コレラ恐怖と衛生改革
    第8章 瘴気恐怖と細菌恐怖
    おわりに――ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究
    増補 もうひとつの外国恐怖症――エミール・ゾラの〈猥褻〉小説と検閲
    学術文庫版あとがき
    引用史料一覧

    コラム
    吸血鬼の系譜/シャルコーの催眠術/一八九三年一〇月二日のピカディリ・サーカス/ダイヤモンド・ジュビリー/火星人/海峡トンネル・パニック/ベアリング銀行の投機失敗/ロスチャイルド一族の結婚/ロンドンとテムズ川の汚染……ほか
  • 明日、何を着ていこう――冠婚葬祭をのぞけば、服選びで色がもつ意味を気にする人はいないだろう。ところが中世ヨーロッパではそうはいかない。たとえば緑は恋を、青は誠実さを意味し、黄は忌避される色だった。中世の色は現代よりもはるかに饒舌で、絵画や文学で描かれた人々の衣服の色には、単なる色の美しさや好みを超えた、さまざまな意味が託されている。中世の人びとはどんな色に囲まれ、どんな気持ちで色を身につけていたのか、あるいは目の前の人物が纏う色から何を読みとっていたのか。
    多彩な史料から複雑で精緻な色彩コードを読み解き、中世人の日々の感情生活を豊かに描き出す。あの絵画もこの伝説もいっそう深く理解できる、色が語る中世世界への招待!(カラー口絵付き。電子書籍版はオール・カラー図版)

    待ちに待った初めての逢瀬。恋焦がれた女性が鮮やかな青に緑のオウムをちらしたドレス着て現れたら、相手の男性は有頂天になるだろう。なぜなら、そのドレスの意味するところは「誠実にあなたを愛します」。ところがある日、夢に現れた彼女が全身緑の衣をまとっていたら、悲嘆に暮れてしまうかもしれない。青が意味する誠実さに対し、緑は恋の色であると同時に変動の色でもある。彼女の心変わりが青を脱がせ、緑を着せたのだ――。
    このように単なる色の好みや色づかいの美しさを越えて、中世の色は複雑な精神世界を織りなしている。「中世の色は饒舌であり、中世の人びとは意味もなく色をつけることはない」。たとえば黄色には負のイメージがつきまとい、縞柄は道化師や娼婦、気まぐれな運命女神のものである。権威と権力を示す赤、醜い色からやがて「悲しみの色」として大流行する黒……。
    ブリューゲルやジョット、ヤン・ファン・エイクの絵画、数々の華麗な装飾写本の挿絵に、アーサー王物語をはじめとする騎士物語、貴族の家計簿や財産目録など多彩な史料から、当時の染色技術も視野にいれつつ、色彩に込められたメッセージを読み解き、色から見えてくる中世世界を描き出すのが本書である。
    グリーンゲイブルスのアンはなぜ「赤毛」を嫌ったのか、ルーレットやバカラなどのカジノ台はなぜ緑のフェルトでおおわれているのか、囚人服は縞柄で、スーツにダークカラーが多いのはなぜなのか。現代社会に今なお息づく色彩に秘められた歴史に迫る!(原本:『色で読む中世ヨーロッパ』講談社選書メチエ、二〇〇六年)
    【本書の内容】
    序 章 色彩文明の中世
    第1章 中世の色彩体系
    第2章 権威と護符の赤
    第3章 王から庶民までの青
    第4章 自然感情と緑
    第5章 忌み嫌われた黄
    第6章 子どもと芸人のミ・パルティと縞
    第7章 紋章とミ・パルティの政治性
    第8章 色の価値の転換
    終 章 中世人の心性
  • 1,980(税込)
    著:
    山口昌男
    解説:
    今福龍太
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    様々な学問分野を自由に越境し、「知ることの楽しさ」を生涯発信し続けた<知の道化師>、山口昌男。その学問の真髄とも言える「アフリカ」研究を、丸ごと1冊・通史に編纂。思いがけなくも豊かなアフリカの相貌、実験的とも言える日本との対比、自身が描いたスケッチや、貴重すぎる図版を193点も掲載! 彼の地で暮らし、深い人脈を得た泰斗だからこそ書けた本作は、参考文献すらただの文字情報に終わらない、圧巻の充実ぶり。没後10年。今こそ、目からウロコのアフリカ通史を、吟味する!


    *本書は、『世界の歴史 第6巻 黒い大陸の栄光と悲惨』(講談社 1977年)を改題したものです。

    目次
    はじめに 人類史とアフリカ

    1 アフリカの古代世界
    1)アフリカにおける人類の起源
    2)アフリカの古代的世界
    3)黎明の輝き・
    4)サヴァンナの帝国
    5)東アフリカの王国
    6)アフリカの王権文化――そのパラダイム

    2 大発見の神話学
    1)プレスター- ジョンの王国を求めて
    2)アフリカの「黄金伝説」――ジンバブウェ遺跡とモノモタパ
    3)探険ラッシュの世紀

    3 伝統国家の栄光
    1)草原の覇者たち
    2)古都の盛衰
    3)奴隷の故郷
    4)アフリカと奴隷貿易

    4 東海岸――交易都市の繁栄
    1)世界へ開かれたアフリカ
    2)制海権をめぐる争い

    5 南アフリカのナポレオンたち
    1)南アフリカの原住民たち
    2) 南アフリカの清教徒たち
    3)シャカ王のズールーランド
    4)スワジ王国
    5)バストランドのモシェシュ王
    6)ムジリカジのンデベレ

    6 ヨーロッパによる仮死
    1)ヨーロッパ列強のアフリカ分割
    2)開拓者たちの運命
    3)アフリカ侵略の二つの型
    4)セネガルーー仏領アフリカの優等生
    5)最後の抵抗者サモリ= トゥレ

    7 再生への胎動
    1)マフディー運動
    2)キリスト教的反抗

    8 試行錯誤の現代史
    1)両大戦間のアフリカ
    2)エティオピアの反抗
    3)第二次大戦後のアフリカ
    4)コンゴ動乱
    5)ナイジェリアの内戦
    6)アンゴラの独立と内戦

    おわりに
    参考文献
    年 表
    図版参考資料一覧
    索 引
    解説 今福龍太
  • 1,221(税込)
    著:
    宮田登
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    世界が終わるとき、やってくる。
    蘇我馬子も藤原道長も惚れ込んだ弥勒(みろく)信仰。五十六億七千万年後に降臨し人々を救う、未来仏とは何か?

    広隆寺の国宝として有名な、弥勒菩薩半跏思惟像。弥勒とは、五十六億七千万年後に現れて衆生を救うという、阿弥陀や釈迦と並ぶ仏のことである。古代日本に伝わると、災害や飢饉と結びつき、末法思想(メシアニズム)として全国の民衆に広がった。戦後民俗学の泰斗が、中国・朝鮮との比較を通して、日本独自の弥勒信仰の歴史と民俗を復元し、日本文化の原型を描き出す。宗教民俗学を土台にした日本文化論!

    【目次】
    はじめに
    第一章 民間伝承としての弥勒
    第二章 宗教運動と弥勒
    第三章 比較宗教論における弥勒
    第四章 日本仏教における弥勒
    第五章 鹿島信仰と弥勒
    第六章 朝鮮半島と沖縄の弥勒
    第七章 世直しと弥勒
    第八章 大本教の中の弥勒
    まとめ
  • 妖怪博士の妖怪退治!!
    「コックリ」「天狗」「狐憑き」から、「妖怪屋敷」「西瓜(スイカ)の幽霊」「経を誦(よ)む古木」まで、全国の妖怪事象を蒐集しつつ、御一新の世になお蔓延る迷信を一網打尽にせんとした奇特な哲学者を突き動かしたものとは一体何だったのか?
    「妖怪学講義録」「おばけの正体」など、妖怪学の創始者・井上円了の精華をオリジナルに厳選した、決定版アンソロジー。

    [目次]
    編者序文
    妖怪談
    妖怪学講義録
    『妖怪学雑誌』論説
    (真怪論/妖怪学と諸学との関係/忘憂術/論怪)
    おばけの正体
    補遺
    (妖怪学講義細目/妖怪学講義参考書目/井上円了調査地一覧)
  • 河童、鬼、天狗、人魚、龍、雷獣、そして予言獣。異界からやってきた”不可思議な生き物“は、多くの日本人を魅きつけ、ある時は恐れられ、ある時は敬われながら伝承されてきた。江戸時代から明治時代を中心に、各地の絵図・ミイラ・報道記事を通して、妖怪という名前には収まらない奇想天外な生き物たちのめくるめく世界に迫る。絵図を多数収録!

    【目次】
    1章 幻獣名鑑
     河童
     鬼
     天狗
     人魚
     龍
     雷獣
     その他の幻獣たち

    2章 予言する幻獣
     件
     アマビコ
     アマビコの系譜
     予言獣の共通性
     吉祥の幻獣たち
     異形の幻獣

    3章 記録のなかの幻獣
     メディアと幻獣
     江戸の幻獣文献
     幻獣のデザイン

    4章 幻獣の背景
     予言獣の創造
     諷刺としての幻獣
     ミイラの伝承
  • 「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する!

    最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛ってある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。
    司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。
    多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。
    (原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年)

    第一章 異形の神像
    第二章 瞽師の伝承――中国の語部
    第三章 風の神の発見
    第四章 鍛冶師と山の神
    第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝
    第六章 神話の世界の消失
    第七章 乱――エピローグ
    あとがき
    解説 蜂屋邦夫
  • 古代、人は生きるために必要にかられて、結ぶこと・包むことを考えました。神が人間だけに授けた特殊な技法「包みと結び」が私たちの精神文化の基調となり、“礼法”という域に昇華するまでには、どんな変遷を辿ったのでしょうか。今や当たり前の景色となった「包み」と「結び」の起源を年中行事や風習から訪ね、由来と意味を解説。日本人の豊かな美の世界を堪能する!

    本書は、1991年10月、福武書店より刊行されました。

    目次
    はしがき

    一 年中行事と歳時
    はじめに 1年中行事の始まりと広がり 2「包み」の働き 3「結び」のしくみ 4暮らしの中の包み結び 5年中行事と包み結び 6中国の歳時記

    二 新年の季寄
    はじめに 1門松 2しめ飾り 3結び昆布 4生花初め 5馬騎初め 6着衣始め 7おけら祭り 8お年玉 9掛鯛 10幸木 11猿廻し 12しめ縄の四手 13綱引き 14包み蓬莱 15蘇散 16綯い初め 17縫初め 18初髪結い 19箸包み 20常陸帯の神事  21宝引縄 22万歳と鼓 23結び柳 24大黒天と布袋

    三 春の季寄
    はじめに 1梅若忌 2事始め 3桜餅 4凧 5新茶 6針供養 7三つ葉

    四 夏の季寄
    はじめに 1青簾 2菖蒲打ちと菖蒲の枕 3葵祭り 4鵜縄 5団扇 6扇子 7蚊帳 8柏餅 9祇園会 10鱚 11薬玉 12三社祭り 13代掻きと田植え 14襷 15端午の節句と粽 16茅の輪 17夏帯 18夏足袋 19夏場所 20匂い袋 21袋掛け 22 浴衣 23蚊遣り火

    五 秋の季寄
    はじめに 1牛祭り 2風祭り 3霞網 4鴨 5菊供養 6島田帯祭り 7ずいき祭り 8相撲節会と衣裳 9晴明神社祭 10俵編み 11七夕 12中元 13盆行事 14重陽 15風呂敷

    六 冬の季寄
    はじめに 1綾取り 2亥の子餅 3襟巻 4縁結び 5事納め 6紙衾 7角巻 8七五三と紐解き 9しめ作り 10障子 11頭巾 12歳暮祝い 13鎮魂祭 14縄跳び 15袴着 16日蔭の鬘 17鰤 18頬被り 19足袋 20羽織と胸紐 21節分

    七 通過儀礼
    はじめに 1新生児 2誕生祝い 3褌祝い 4結納祝い 5婚礼 6岩田帯 7還暦祝い 8葬礼 9法要 10水引 11熨斗(のし) 12袱紗(ふくさ)

    八 日本文化における包み結び
    はじめに 1神道的なもの 2仏教的なもの 3陰陽五行的なもの 4再び年中行事を考える 5包み結びとのかかわり
    あとがき
  • speechを「演説」と訳したのは福沢だった。
    そして福沢自身、抜きん出た名演説家だった。

    日本の近代化・文明化のためには、独立した個人が自らの思想を大いに論じ合わなければならない。
    明治という時代が大きく動き出す中で、日本のよりよき未来を、熱く巧みな弁論で語り尽くした、その記録。
    著作で見せるのとはひと味違う、福沢のライブ感溢れる言葉が、時代を超えて日本人の心を撃つ!

    今日における福沢の思想史的再検討をリードする編者が、残されている速記録や原稿から「名演説」を厳選し、わかりやすい解説を付して編集した、画期的演説集。

    【本書より】
    日本世界をもっとわいわいとアジテーションをさせて、そうして進歩するように致したいと思う。それが私の道楽、死ぬまでの道楽。何卒皆さんも御同意下さるように。

    【主な内容】
    第一章 「演説」と「交際」の創始
     演説はなぜ必要か/政府の専制から人民の政府 など
    第二章 実業界へ出でよ
     智識交換・世務諮詢に不景気なし/道徳は説くのではなく示せ など
    第三章 立憲国家の国民へ向けて
     経済学芸への注意を怠るな/学問に凝る勿れ など
    第四章 個人の独立、国家の独立
     銭は「人生独立の母」なり/政論の下戸となるな/学者は飼い殺せ など
    第五章 次世代へのメッセージ
     老却せる老生からの勧告/排外主義と自尊自大の戒め など
    編者解説
  • 18世紀フランスの政治家・法律家にして稀代の美食家であったサヴァランが著した『Physiologie du Gout(味覚の生理学)』は、「ガストロノミー」、食というものについての総合学の聖典として、世界中で現在まで読み継がれている。
    とりわけ日本においては、『美味礼賛』という邦題と、「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう」という警句とともによく知られるが、では実際にどのような事が書かれているのか、なぜこの本が、サヴァランという人物が、かくも偉大なものとされているのかについては、詳しく知る者は多くはないだろう。

    日本の料理文化を大きく展開させた辻静雄が、食はもとより歴史・地理・美術・文学についての広汎な知見を総動員し、サヴァランの思考を辿り、料理の精髄を縦横無尽に語り尽くす!


    【本書より】
    「私は豚肉を食べています。それで……」と言ったら、ブリヤ=サヴァランは人となりなど言ってくれるどころか、絶句して卒倒してしまうんじゃないでしょうか。


    【本書の内容】
    第一講 ブリヤ= サヴァランと『味覚の生理学』
    I ブリヤ= サヴァランはどういう人だったか
    II 『味覚の生理学』初版その他
    III 『味覚の生理学』の構成、その他
    第二講 食べ物と新しい歴史学
    I 『味覚の生理学』の背景も知っておきたい
    II ブリヤ= サヴァランの対極にいた人たち
    III パリの食糧、その他
    第三講 「おいしさ」とその表現
    I 「教授のアフォリスム」を読む
    II ブリヤ= サヴァランが好んだ料理
    III 「おいしい」という言葉/味の表現
    第四講 ワイン事情
    I ブリヤ= サヴァランとワインのことなど
    II 一九世紀のワイン事情
    第五講 ガストロノミーとガストロノームの系譜
    I ガストロノミーとグルマンディーズ
    II ガストロノームの系譜
    あとがき
    参考文献

    ※本書の原本は、1989年に岩波書店より『ブリア-サヴァラン「美味礼讃」を読む』として刊行されました。
  • 太古の「大女神」、「大母神」から、処女であり母でもある「処女母神」へ――。普遍的な女神の変質は何を意味するのか。そして処女母神アマテラス、アテナ、マリアは、なぜ至高女神の地位を得たのか。時代も地域も異なる神話の共通点から、人類社会の原像を見出し、神話の新たな可能性を探る比較宗教学の試み!

    スサノオとの宇気比によって生じた男神の母となったアマテラス、脚にかけられた精液を羊毛で拭き取り、それを捨てた大地から生まれた子の母となったアテナ、そして「主の言葉によって」母となったマリア。処女懐胎神話はほかにもギリシア神話のダナエや釈迦の母マーヤー、『マハーバーラタ』のクンティなど枚挙にいとまがない。しかし、それらの母の多くが、子の誕生時に亡くなるか、あるいはその後の場面から姿を消してしまうのに対し、至高女神として君臨するアマテラスをはじめ、アテナもマリアも、それぞれの宗教のなかで主導的立場を占めつづける。
    時間的にも空間的にも異なる信仰にあって、なぜ、彼女たちは「処女にして母」という超越性とともに、それぞれの宗教のなかで燦然と輝く存在となったのか。
    また、「処女母神」は、農耕や牧畜が始まった社会で生まれた新たな女神であり、それ以前には旧石器時代の石像に象徴される、自然の富の授与者としての「大女神」や「大母神」が広く存在していた。そんな「大女神」の系譜をひく処女女神アルテミスは、いかにして現代の優美な「ダイアナ」に変容していったのだろうか。
     比較神話学の手法によって、男性が生み出した神話の向こうに遠く浮かび上がる女性の姿を繊細にとらえ、単純な二項対立を超えた社会における男女の在り方を多彩な視点から描き出す、唯一無二の試み。
    (原本:『女神の神話学――処女母神の誕生』平凡社(平凡社選書)、1999年)

    序章 女神とは何か

    第1部 「大母神」と「処女母神」
    第一章 大母神から職能女神へ――旧石器時代の洞窟女神から考える
    第二章 女性の神話学
    第三章 処女母神の神(話)学

    第2部 日本の女神と女性
    第四章 女性のなかでただ一人――アマテラス神学生成の比較神話学的考察
    第五章 なぜ「妹の力」だったのか

    第3部 ギリシアの女神と女性
    第六章 女神とポリス――アテナとアテナイ
    第七章 アルテミスからダイアナへ――西洋における山野の女神像の変遷
    第八章 女による暴力と女への暴力――ギリシア悲劇の暴力性と女性像
    第九章 女たちを笑う男たち――ギリシア喜劇の女性像


    文献一覧
    初出一覧
    あとがき
    学術文庫版あとがき
  • 「打楽器を持たない民族はいない」。古来、人は自身の体やモノを叩いて感情を伝え、動物の鳴き声や雨風などの自然音を真似、再現してきました。楽器発祥から2万年。信仰の祭礼、政治儀式、軍事の士気高揚・・・・・・あらゆる場面に浸透していった「音」と「音楽」。気候風土や時代背景に合わせ、世界各地の「音」は、どのように姿を変えてきたのか。西洋音楽と民族音楽、その対比が示す真意は? 「音」で考える、ユニークかつ雄大な文化人類学!(解説・森重行敏)

    本書の原本は『世界楽器入門 好きな音 嫌いな音』(1989年1月 朝日選書)を改題したものです。


    はじめに
    第一章 ミンゾク楽器・
    第二章 楽器の起源
    1 生活周辺から生まれた楽器 
    2 食器から楽器へ 
    3 道具から楽器へ 
    4 自然界の音の再現から楽器へ 
    5 生存に必要な音を出す道具から楽器へ 
    6 呪術・信仰の道具から楽器へ 
    7 学問・研究の道具から楽器へ 
    8 音像から楽器へ 
    第三章 楽器分類を通して見た諸民族の楽器観
    1 中国 
    2 インド 
    3 ギリシャ 
    4 ローマ 
    5 ヨーロッパ 
    第四章 楽器の音
    1 打つ、擦る、吹く、弾く 
    2 楽器の成り立ち 
    3 音の出し方 
    第五章 楽器の分布と歴史
    第六章 風土と音
    1 風土と楽器 
    2 音の響き 
    第七章 音・数・楽器
    第八章 メディアとしての楽器
    1 経営メディアとしての楽器 
    2 視覚メディアとしての楽器 
    3 思想メディアとしての楽器 
    第九章 手作りについて
    第十章 好きな音嫌いな音
    第十一章 東方の楽器・西方の楽器
    石笛/横笛/笙/篳篥/尺八/和琴/箏/琵琶/三味線/胡弓/鼓
    /先史時代の楽器/オーボエとバスーン/クラリネット/トラムペ
    ットとトロムボーン/ホルン/テューバ/リコーダーとフリュート
    /バグパイプ/オルガン/キタラとライア/ハープ/ヴァイオリン
    /リュートとギター/ツィターとハープシコード/クラヴィコード
    とラングライク/ダルシマーとピアノ/カリヨン/ティンパニとシ
    ムバル/アフリカの楽器/インドの楽器/インドシナ半島の楽器/
    インドネシア・オセアニアの楽器/雑音の効果/種々の撥/弦
    楽器に関する参考文献
    あとがきにかえてーー楽器研究の方法論――
    解説「人類共通の財産ーー音楽とは何か?ーー」森重行敏(洗足学園音楽大学現代邦楽研究所所長)

    楽器索引
    人名索引
  • 1882年に来日し、17年間の滞在生活をおくったフランス人画家ビゴーは、その卓越した描写力で、写真や活字では記録し得なかった日本人の本質を鋭く描きとった。
    学術文庫ロングセラー「ビゴーが見た」シリーズ三作の合本版。

    『ビゴーが見た日本人』
    文明開化とともに訪れた日本の近代化。そこには、劇的な社会変化に戸惑いつつも、たくましく生きる人々がいた。そんな彼らの姿と変貌する日本を描きつづけた在留フランス人画家ジョルジュ・ビゴー。日本で過ごした17年間に彼が残した多くの作品から漫画・挿画・銅版画など、百点を厳選。愛着とアイロニーに満ちた諷刺画を通して見る日本人論。

    『ビゴーが見た明治ニッポン』
    文明開化に揺れる人々、フランス人画家が赤裸々に描く当時の生活……明治政府を皮肉る痛烈な諷刺画のほか、西洋文化にとびついた人々の滑稽な姿、日本的風習にあふれた庶民の生活、日本軍に従軍して描いた戦争報道画など、100点の作品を通して、近代化する日本の活況を明らかにする。

    『ビゴーが見た明治職業事情』
    激動の明治期、人々はどのような仕事をしていたのか。仏人画家ビゴーは、洋服屋、牛肉屋、鹿鳴館職員といった西洋化により登場した職業など、働く人々の姿を諷刺も交え克明に記録した。国会議員らエリート層の豪奢で珍奇な暮らしぶりとは対照的に、人口の9割を占める下流階級の人々が懸命に働く姿は、明治の格差社会を痛切に感じさせる。100点超の作品を紹介し、背景を解説する。
  • 6,765(税込)
    訳・その他:
    菅野覚明
    訳・その他:
    栗原剛
    訳・その他:
    木澤景
    訳・その他:
    菅原令子
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    佐賀藩士・山本常朝が語り、田代陣基が筆録した武士道書『葉隠』は、「死ぬ事と見付たり」に代表される過激な文言と、切れのいい文体で、多くの人をひそかに魅了し続けてきました。本書は、天保本を、はじめて底本として採用し、新たに綿密な校訂を施して、原文の息づかいをそのまま伝える本文の再現に努めました。独特の文体の魅力を堪能してください。


    佐賀藩士・山本常朝が語り、田代陣基が筆録した武士道書『葉隠』は、「死ぬ事と見付たり」に代表される過激な文言と、切れのいい文体で、多くの人をひそかに魅了し続けてきました。
    本書は、天保本を、はじめて底本として採用し、新たに綿密な校訂を施して、原文の息づかいをそのまま伝える本文の再現に努めました。
    独特の文体の魅力を堪能してください。

    また、読みやすい現代語訳をつけ、詳細な注を付した。
    「武士道書中の武士道書」と言われ、「死ぬ事と見付たり」に始まり、「恋の至極は忍恋」「奉公と諌言」など、次々に繰り出される条文は、武士の死生観から、職務、日常生活、教養に至るまで、幅広く、かつ深い人間洞察にあふれた内容になっています。それを、身近に味わえる訳と注です。

    ※本書は文庫版上中下巻を合本したものです。
  • 「ハードボイルド」で「アナーキー」な、現代人には到底受け入れがたい中世社会を活写しながら、そこに存在する中世人独自の秩序を魅力的に描いてきた著者の原点! 「荘園制と室町社会」および原本に未収録だった幻の博士論文「序章」の一部と「終章」を収録。「喧嘩両成敗」も「大飢饉」も「耳鼻削ぎ」も、すべてはここから始まった――。

     流罪に処されると、そのほとんどが道中で殺害されてしまい流刑地にたどり着くことさえできない一方で復讐を目的に自害し、また諸大名の軍勢が御所を取り巻いて将軍に異議申し立てを行うかと思えば、没落が確定した大名屋形には都市民衆が火事場泥棒に押し寄せる――。室町時代は現代人の目にはなんとも騒がしく物騒な社会に映る。しかし、それはよく言われる「自力救済」の暴力のみが支配する無秩序なものでは決してなかった。多様でいささか奇異な法慣習や民間習俗を分析対象としながら、その背景にある複雑で微妙なバランス織りなされる中世人の論理を、著者ならではの筆致で活き活きと豊かに描き出す。
     さらに、そのようないわば中世的文化の「野蛮さ」が、江戸時代最初の100年を通していかに変容しひっそりと払拭されていくのか、それでもなお残りつづけているものとは何なのか、各主題を通じてその変容が浮かび上がる。
     禁酒令、耳鼻削ぎ刑、梟首(晒し首)、都市民衆に開かれた禁裏など、魅力あふれる意外な視点から、中世社会を動的かつ大きな展望のもとに描いたデビュー作の決定版!
    (原本:吉川弘文館、2004年)


    【本書の内容】
    序章 ふたつの室町文化

       第1部 室町社会の法慣習
    第一章 「御所巻」考――異議申し立ての法慣習
    第二章 中世社会の復讐手段としての自害――復警の法慣習
    第三章 政権抗争劇のなかの都市民衆――掠奪の法慣習
    第四章 室町幕府「流罪」考――失脚者の末路をめぐる法慣習
    第五章 室町殿の紛争解決法――紛争解決の法慣習

       第2部 室町時代の都市生活
    第一章 足利義持の禁酒令について
    第二章 正長の徳政一揆と山門・北野社相論
    第三章 ある室町幕府直臣の都市生活――『碧山日録』と「春公」についてのノート
    第四章 荘園制と室町社会

       第3部 戦国時代の文化変容
    第一章 室町後期における都市領主の住宅検断
    第二章 織豊政権の成立と処刑・梟首観の変容
    第三章 「耳鼻削ぎ」の中世と近世
    第四章 戦国期における禁裏空間と都市民衆

    終 章
    あとがき
    学術文庫版あとがき
  • 1,221(税込)
    著:
    奥山儀八郎
    解説:
    旦部幸博
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    珈琲は、いつ、どのようにして日本に伝わり、広まったのか。世界の珈琲発見伝説・珈琲の異名熟字一覧・日本初の珈琲店の話から、江戸時代の長崎での交流、海外渡航者、はたまた海外漂流者の体験まで――膨大な史料を渉猟し、驚きに満ちた珈琲の歴史を明らかにする。生活文化史の古典である幻の名著、待望の復刊!(序・古波蔵保好/解説・旦部幸博)

    [本書の内容]
    序によせて 古波蔵保好
    一、珈琲の始まり
    二、世界の珈琲
    三、日本の珈琲の始まり
    四、珈琲研究に手掛かりを与えた人々
    五、日本の珈琲文献
    六、珈琲異名熟字ほか
    七、日本への渡航者と珈琲
    八、海外漂流者の珈琲記事
    九、海外渡航者の珈琲記事
    十、新日本と珈琲
    十一、その後の日本の珈琲
    十二、珈琲の栽培
    あとがき
    解説 旦部幸博
  • 886(税込) 2026/7/23(木)23:59まで
    著:
    桜井満
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    万葉の花、正月の花、花と祭り……
    日本人の生活と文化に花はどのように生きてきたか

    日本人にとって花とはいったい何であろうか――。豊かな実りへの願望をこめて開花を待ち、四季折々に花を愛で、その移ろいに「あはれ」を感じ、いけ花という芸術を生んだ日本人。その心の原点を、万葉集、古今和歌集など古典の世界に渉猟し、各地の祭りや正月、雛祭り、端午の節供、重陽の節供など年中行事の民俗に探訪する、花をめぐる生活文化史。

    本来、ハナは、実りの先触れ・前兆といった意味をもつのであり、サクラという語は、サは田の神・穀霊のことで、クラは神座の意であったから、田の神の依代と考えられての呼称とみられる。その花は、田の神の意志の発現であると信じられたに違いない。それは、田仕事にとりかかろうとする時期に、パッと咲くみごとな花に名づけられたのであろう。――<本書「花見の伝統」より>

    ※本書は、1985年4月、雄山閣出版より刊行された『花の民俗学〈新装版〉』を原本としました。
  • 1,012(税込)
    著:
    田中塊堂
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    「真心をこめて綴れば、その一字ずつが仏になっていく」。
    七世紀末、仏教流通のための経典書写から始まった写経は、
    信仰の拠り所となり、室町時代には文字を護摩符として服用するのが流行るほど
    霊験あらたらかものでした。
    何故これほどまでに、写経は日本人の心を虜にできたのか。
    そのはじまりや写経所作の歴史的意味、一七字詰めの理由や
    美しい書体バランス考察や毛筆の選び方・使い方まで、ていねいに説明。
    仏教や日本文化を深く知るための「写経」という知見を、
    現代仮名書壇の基礎を築いた名書家が、豊富な手本図版とともに細やかに披露する。

    この底本は1971年、創元社より刊行されました。
    文庫化にあたり、巻頭カラー頁を図版解説項へ移し、
    付録頁を「講談社BOOK倶楽部」内『写経入門』サイトへ移行しています。

    目次

    1 写経とは
    2 感謝の生活
    3 神と仏
    4 神仏混淆ということ
    5 信仰と信念
    6 清浄心
    7 写経のはじまり
    8 写経の方式
    9 写経の作法
    10十七字詰の解
    11写経の用度
    12写経の順序
    13願文の書き方
    14皇室と写経
    15観音さま
    16心経の略説
    17心経の書写文字
    18学習にはーー手本のこと
    19筆写体と辞典体
    20細楷の練習法
    21装幀について
    22所用料紙数の概算
    23文人墨客の写経
    24写経と私

    図版一覧
    図版解説
  • 政・官・軍のリーダーとして大英帝国を支えつつ、空前の豊かな生活を送った貴族たち。その知られざる実態とは!?

    イギリスの貴族は、国の主導者として法律を作り、政治を司り、軍隊を指揮する一方で、宏壮な邸宅では社交、狩猟、スポーツに熱中した。今では世界中に広がる「英国的」な文化にも、彼らエリートが育んだものが多い。イギリスを知るには、貴族への理解が不可欠なのだ。とはいえ、そうした貴族の実態は、多くのイギリス人にとって謎に包まれてきた。
    たとえば、貴族の身分はどのように決まるのか、カントリー・ハウスでの豪奢な生活はどのようなものか。貴族と紳士の違いは何か。どのような社会的役割を果たし、他方で社交に興じていたのか。そもそも、貴族の起源とは? 多くの事例とともに、軽妙な語り口でわかりやすく紹介する好著。(解説・新井潤美)


    プロローグ――大英帝国の先頭に立つ者
    第一章 貴族は稀族
    第二章 貴族の豊かな生活
    第三章 貴族の教育
    第四章 ノブレス・オブリージュ
    第五章 金と暇が生み出したもの
    第六章 貴族の生き残り作戦
    エピローグ されど、貴族
    参考文献
    あとがき
    解説 新井潤美
  • 絶景、奇怪、絢爛。"物神【フェティッシュ】の聖堂"のスペクタクル!

    現在も世界各国が競って開催する万国博覧会。
    それは、サン=シモンという男が思い描いた「産業という宗教」を奉ずる者たちが、物神たる機械と商品の数々によって荘厳した神殿として創められた。
    万博というものを、単なる近代産業技術のひとこまとしてではなく、来たるべきユートピアとして構築され、資本主義文明の展開そのものを懐胎した運動であったことを活写する、この著者だからこそ書けた万博論の決定版!

    【本書「まえがき」より】
    もしこの万博理念の形成過程史が解明され得るなら、それは、むしろ実際の万博の歴史よりも、絶対に面白いはずだ。なぜなら、それは単なるモノの歴史ではなく、モノに関するイデアの歴史、さらに言うなら近代文明についての観念の歴史となるはずだからである。

    【本書の内容】
    まえがき 万博の神学、あるいは万博史の逆説
    第1章 サン= シモンの鉄の夢
    第2章 転向サン= シモン主義者ミシェル・シュヴァリエ
    第3章 パリ万国博覧会にむけて
    第4章 万博理念の確立
    第5章 サン= シモン主義のユートピア、一八六七年パリ万
    国博覧会
    第6章 アミューズメントとしての万博会場
    第7章 博覧会場の外で
    第8章 新たなユートピア〈恒久的万国博覧会〉にむけて
    文献目録

    ※本書の原本は、『絶景、パリ万国博覧会』として1992年に河出書房新社より、その後2000年に小学館文庫より副題「サン・シモンの鉄の夢」として刊行されたものです。
  • ミシェル・ド・モンテーニュ(1533-92年)の名は『エセー』とともに知られています。全訳だけでも5種類を数えるほど日本ではなじみのある著作ですが、岩波文庫で全6冊という分量、そして著者身が全2巻の初版(1580年)公刊後も改訂を続け、1588年には第3巻を増補するとともに最初の2巻に加筆を行った版を出し、さらに没年まで改訂を進めたため、さまざまな時期に書かれた文章が混在した書物になっていることから、決して分かりやすいとは言えないこともまた事実です。
    そうした事情ゆえ、これまで『エセー』の入門書や概説書が陸続と出版されてきました。しかし、本書はそのどれとも異なる、決定版と断言できる1冊になっています。
    断言できる理由は明確です。『エセー』第3巻第2章で、モンテーニュは「ここでは、私たち、つまり私の本と私自身が一致してひとつの道を進んでゆく。よそでは作者のことをわきに置いて作品をほめたりけなしたりできるが、ここではだめである」と記しています。つまり、「私の本」である『エセー』と「私」であるモンテーニュは不可分であるというわけですが、ここに示されているのは、作者の意図を知らなければその著作を理解できない、といった単純なことではありません。直後には「そのことをわきまえずに私の作品を判断する者は、私をというよりも、むしろ自分自身を傷つけることになるだろう」という言葉が続いているのですから。
    なぜ『エセー』をモンテーニュから切り離して読む者は「自分自身を傷つける」ことになるのか――本書は、この問いに答えるために、『エセー』をモンテーニュから切り離すことなく、ていねいに読んでいきます。『エセー』を一度も読んだことがなくても、モンテーニュについて何も知らなくても、名前を聞いたことがあるだけでも読めるように書かれています。むしろ、そのような人のためにこそ、本書は書かれました。
    本書によって大著の全容を知ることができるのはもちろん、本書を通して『エセー』を読むことは人間が紡いできた精神の歴史そのものを読むことにほかならないと気づくでしょう。そのような著作は他にありません。そして、そのことをありありと伝え、実践する『エセー』についての書物も、これまでありませんでした。渾身の書き下ろしによる1冊、ここに自信をもってお届けいたします。

    [本書の内容]
    第I部 若すぎた世紀
    第1章 宗教戦争
    第2章 十六世紀ルネサンス
    第3章 モンテーニュのほうへ

    第II部 「自分」・「私」・〈魂〉
    第4章 執筆開始
    第5章 マニフェスト
    第6章 だれが?――〈魂〉が

    第III部 〈魂〉の軌跡
    第7章 もうひとつの背景
    第8章 ソクラテスへの視線
    終 章 百姓のかたわらで
  • 1,265(税込)
    著:
    藤井貞和
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    人間はなぜ物語を必要とするのか? 
    精神分析、政治、戦争、神話、歴史、そして昔話、小説、うた――。
    物語は社会のいたるところにある。
    平家物語などの「語り物」やアイヌのユカラとの対比、源氏物語の婚姻制度と母殺しの阿闍世コンプレックス……日本列島の物語を起源から、そして世界文学との比較から考える。
    「もの」とはなにか。
    「語り手」は誰なのか。
    物語理論の金字塔となる、伝説の東大講義18講、待望の文庫化!

    【目次】
    I 物語理論の進入点
     1講 ものがたり と ふること
     2講 うたとは何か
     3講 うたの詩学
     4講 語り手を導きいれる

    II 物語理論の基底と拡大
     5講 神話から歴史へ
     6講 神話的思考
     7講 語り物を聴く
     8講 口承文学とは何か
     9講 昔話の性格
     10講 アイヌ語という言語の物語

    III 物語理論の水面と移動
     11講 物語人称
     12講 作者の隠れ方
     13講 談話からの物語の発生
     14講 物語時称
     15講 テクスト作りと現代語訳

    IV 物語理論の思想像
     16講 『源氏物語』と婚姻規制
     17講 物語と精神分析 
     18講 構造主義のかなたへ
  • 鉄道とは、人類のドラマである!
    その胸躍る軌跡のすべて

    鉄道誕生から約二〇〇年――そこには、爛熟する豪華列車もあれば、等級制が生み出す人間模様もある。廃線問題が起こる一方で、座席や照明は進化し、激化するスピード競争はついにリニア開発までいたりついた。他に類を見ない独特な文化を生み運んできた鉄道の全軌跡を、第一人者が新聞や文学、写真や絵画を渉猟して描き切る、壮大にして無二の世界史!

    「二等車は一等車の上流と三等車の大衆を分かつ、ちょっと曖昧な漠とした中間ゾーンであるだけに乗客心理は微妙であった。誰でも二等車に乗ると、あるいは乗れる身分になると、ほっと安心する。それでいい気になって、不遜な態度で乗務員に接する、知らぬ男女の二等客が思わぬ不倫関係で突如途中下車してゆく……」(「第六章 等級制と社会」より)

    [本書の内容]
    第一章 のびゆく鉄道
    第二章 コンパートメントと大部屋式
    第三章 無謀なスピード競争は終わったが、スピードはわが命
    第四章 鉄道旅行の時代
    第五章 鉄道快適化物語
    第六章 等級制の人間模様
    第七章 日本にもあった「一帯一路」
    第八章 鉄道はデザインの宝庫
    第九章 超高速時代と反芻
    第一〇章 豪華列車からクルーズ列車へ
    第一一章 芸術が描いた鉄道
    第一二章 リニア新時代と鉄道の公益性
  • 1,012(税込)
    著:
    鈴木正崇
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    男女同権はすくなくとも社会通念上は、あたりまえの前提となって久しい。
    だが、日本の各地には、女性の立ち入りを禁止する聖域や、特定の神事には女性を参加させないという慣行が現在も存在している。
    そして、大相撲の土俵についての「禁制」は、たびたび物議をかもしてきた。

    「女人禁制」とはいかなる背景から生まれ、変化する政治や社会の中で受け継がれてきたか。
    なぜ、時に激しい批判にさらされながらも、人々はそれを守ろうとするのか。
    女性たちは禁制をどのように受容し、あるいは抵抗し、つくり変えてきたのか。

    「差別」として批判をする人々と、「伝統」として守ろうとする人々。
    この対立構図は、当事者達にとって調停不可能であり、今後も継続することが予想される。
    本書では、文化人類学的分析を柱にしつつ、宗教学、民俗学、歴史学、国文学、社会学など様々の分野の成果を取り込んで、
    暗黙の前提を覆し、賛成か反対か、伝統か差別かという二分法を乗り越える視点を提示するものである。

    第一人者が、真の解決に不可欠な知見を、この一冊でわかりやすく示す!


    【本書の内容】
    学術文庫版の刊行に際して
    女人禁制の現在―プロローグ
    女人禁制への視角
    大峯山の現状
    山と女性
    女人結界
    仏教と女性
    穢れ再考
    あとがき
    二十年の後に―学術文庫版あとがき
  • 東京は京都より敬語が多い? 「ご遠慮ください」は失礼? 「お前」は敬語だった? 貴人は「する」より「なる」?

    「敬語は日本語の美しさである。しかし、度をすぎるとうんざりする。」敬語はなぜ生まれたのか。尊敬と相殺される親愛の感情は、どう表現したらいいのか。原日本語、上代から奈良、平安、そして現代へ。敬語の起原と変遷をたどり、情況にふさわしい使い方を考える。一級の言語学者がじっくり向き合う、敬語の歴史と実用。(解説・滝浦真人)
    底本:『日本の敬語』角川新書、1959年

    【本書の内容】

    第一章 序説
    一 英語と日本語 
    二 日本の敬語は文法的 
    三 日本の敬語は相対性敬語 
    四 敬語の起原と階級 
    五 敬語の起原とタブー 
    六 アイヌの妻女 
    七 アイヌの婦人語と敬語 
    八 アイヌ代名詞の構造 
    九 日本代名詞の構造 
    一〇 名詞の敬称 
    一一 結 論 

    第二章 起原:どうして日本の敬語が起ったか
    一 原日本語と敬語法 
    二 上代日本語の敬語法1 「ます」考 
    三 上代日本語の敬語法2 「せす・けす・めす・をす・なす・こやす」考 
    四 上代日本語の敬語法3 「たまふ」考 
    五 上代日本語の謙称動詞1 「たぶ・たばる・まつる」考 
    六 上代日本語の謙称動詞2 「まをす(申)」考 

    第三章 変遷:奈良から平安への敬語のずれ
    一 上代敬語と古代敬語の対比 
    二 平安時代の敬語助動詞の起原 
    三 奈良・平安の相違 
    四 万葉語における「頂戴す」について 
    五 「見めす」の忘却
    六 「せす」のまちがい 
    七 御立為之の誤訓 
    八 物語文学と敬語
    九 後代の敬語 

    第四章 現代の敬語:どうあり、どうなるべきものか
    一 序 論 
    二 名詞・代名詞 
    三 動詞 
    四 地方別 
    五 現代敬語の無軌道さについて 

    第五章 結論
    一 敬語のとどかない名歌 
    二 歌から見た敬語の本質 
    三 結びの言葉 

    付録 これからの敬語

    解説 滝浦真人
  • 永仁の徳政令――日本史上、飛びぬけて有名なこの法の本質を「「もとへもどる」という現象」と喝破し、躍動する13世紀の社会を深く鮮やかに描き出した不朽の名著、待望の文庫化!
     日本人は「所有すること」をどのように捉えていたのか。サブスクリプション制やフリマアプリの登場によって、所有の概念がかつてないほど揺らいでいる今こそ読みたい、中世人の法と慣習を解き明かす一冊。(原本:岩波新書、1983年)

     「今国家の債務を消すために、その他一切の債権債務を破棄する、つまり天下一同の徳政を実行すれば、日本経済は収拾のつかない混乱におちいるかもしれないし、意外にも大したことなくすぎてしまうかもしれない。いずれにせよ、少なくとも現時点ではそれが「夢のような話」にすぎないことはいうまでもない。
     だが、中世社会ではそれは夢ではなかった。永仁徳政令B‐3条のように、あるいは室町幕府の徳政令がもっぱらそれを主張していたように、債権債務破棄の徳政令を発布するという現実的な道があったからである」(第一〇章「新しい中世法の誕生」より)。
     日本の歴史のなかでも、単行法としてずば抜けて有名な法「永仁の徳政令」。永仁五(1297)年に出されたこの法は、21世紀の日本のみならず、制定された13世紀当時から有名な法であった。現在からは想像もつかないが、法の実在さえ法廷でまじめに争われた時代にあって、ある法の存在を同時代の人々が短時日のうちに共有したということ自体が、極めて異例のことであった。実際に、永仁の徳政令の立法からわずか二週間後には、この法に基づいた訴訟が起こされて、土地が返却されている。その後も、この法に基づいて多くの土地が売り主のもとに戻ることになった。
     新幹線もSNSもない時代に、なぜこのようなことが可能だったのか。そしてなぜ徳政令は、現在もなお異色の有名法であり続けているのか。そもそも幕府自身は当初そう言っていなかったにもかかわらず、この法はなぜ「徳政」と呼ばれたのか。
     永仁の徳政令にまつわる数々の謎を解き明かし、売買や贈与から浮かび上がる所有に対する意識や、「天下の大法」と呼ばれる社会規範の存在、幻の政治改革「弘安徳政」、さらにその背後にある合理主義的な政治的思潮の登場に至るまで、この不思議な法を軸に中世社会の本質に迫る。著者のエッセンスがふんだんに盛り込まれた日本中世社会史の金字塔!

    【主な内容】
    一 無名の法、有名の法
    二 徳政令の出現 
    三 なぜ徳政なのか 
    四 天下の大法
    五 贈与と譲与
    六 消された法令
    七 前代未聞の御徳政
    八 人の煩い、国の利
    九 徳政の思想
    一〇 新しい中世法の誕生
    あとがき
    解 説(小瀬玄士)
  • 妖怪に秘められた敗者たちの怨み声を聞く。
    大江山の酒呑童子、那須野の妖狐・玉藻前、是害坊天狗、大魔王・崇徳上皇……

    妖怪は山ではなく、人の心に棲息している。妖怪とは幻想である。そして、自分たちの否定的分身である。国家権力に滅ぼされた土着の神や人々の哀しみ、怨み、影、敵が形象化されたものである。
    酒呑童子、玉藻前、是害坊天狗、崇徳上皇、紅葉、つくも神、大嶽丸、橋姫。日本妖怪変化史に燦然と輝く鬼神・妖怪たちに託されたこの国の文化史の闇を読み解く。

    酒呑童子は山の神や水の神と深いつながりを持っている。彼ら鬼たちは龍神=大蛇=雷神のイメージと重ね合わされており、酒呑童子が大酒飲みと描かれているのは、近江誕生説にしたがえば、彼がヤマタノオロチ=伊吹大明神の血を引く異常な「人間」であったからである。酒呑童子は仏教によって、もともと棲んでいた山を追われてしまう。それは山の神が仏教に制圧されたプロセスと同じであろう。(中略)酒呑童子の物語から、土着の神や人びとの哀しい叫び声が聞こえてくる。征服者への怨み声が……そしてその声は、自然それ自体が征服されていく悲鳴であるのかもしれない。――<「第一章 大江山の酒呑童子」より>
  • 1,221(税込)
    著:
    有岡利幸
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    松はいつの時代にも、日本人には特別な存在でした。奈良時代より松明(たいまつ)として照明に使われ、平安貴族は、贈り物や文を、〈雅(みやび)〉なしきたりとして、松の折り枝を結んでいました。神が宿るといわれた聖なる木は、いかに私たちの美意識や文化に影響を与えてきたのでしょうか。『古事記』『万葉集』『日本書紀』などの文学、『源氏物語絵巻』や仏画、和歌での描写を渉猟し、そこに隠された、日本人の死生観や宗教観を探ります。

    本書の底本は、人文書院より一九九三年に刊行されました。


    目次)
    第一章『魏志倭人伝』の植生と松

    第二章 やまとたけると松
    尾津崎の一つ松
    磐代の浜松
    童子女(うない)の松原
    聖徳太子と飛仙

    第三章 正倉院絵画の松
    東大寺領の山境絵図
    藤をまといつかせた松樹「樹下囲碁図」

    第四章 のびやかな松と平安時代
    宇治平等院鳳凰堂扉絵の松
    雅のしきたり・松の折り枝
    「源氏物語絵巻屏風屏風の松

    第五章 松明と明かり

    第六章 人の死と松

    第七章 日本人と松

    あとがき
    主な参考文献
    学術文庫版あとがき
  • 1,353(税込)
    著:
    目崎徳衛
    解説:
    佐藤全敏
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ■桓武天皇による平安遷都から摂関政治前夜まで、■
    ■明と暗が交錯する歴史を名手が生き生きと描く!■

    貴族たちの豊かな古典文化に彩られた九~十世紀、しかしその繁栄の底流では律令体制の解体が静かに進行し、中央は全国統治の力を失いつつあった。
    平安遷都から摂関政治前夜まで、古代国家の崩壊と封建社会の誕生のあいだの長い転換期を政治・社会・文化から多面的に捉え、
    表舞台で脚光を浴びる者のみならず、闘争に敗れ表舞台から去っていった人々の姿にも目を配りながら、光と影が交錯する歴史像を描く、無二の論考。

    ■ゆるやかに時は移り、世は変わる。―本書より■
    「社会の根本的な変化は、奥底の流れとしてきわめてひそかに、しかもおだやかに進んでいた。したがって、地方や被支配層の発展あるいは国家体制の転換をはっきりと具体的に示す史料は極端に少ない。このもどかしいまでに悠長で不透明な移り変わりこそ、この時代の特徴である」【「まえがき」より】

    解説=佐藤全敏(東京女子大学教授)

    *本書の原本は、一九六九年刊「日本歴史全集」第四巻を元に改訂された「日本の歴史文庫」第四巻として、1975年に刊行されました。

    ■本書の内容■
    第一章 律令体制崩壊の端緒
    1 平安時代の前奏曲
    2 桓武朝の権力と政治姿勢
    3 律令体制の矛盾
    4 長岡京の暗い影
    6 桓武朝の蝦夷征討
    第二章 宮廷と詩文と密教と
    1 平城朝の悪戦苦闘
    2 「平安的なもの」の発展
    3 花開く唐風の詩文
    4 巨人、最澄と空海
    5 渡海僧と仏教の貴族化
    第三章 良房・基経の時代
    1 承知の変と良房の権力把握
    2 反抗者と疎外者
    3 基経の天皇廃立
    4 律令政治の衰退
    5 地方勢力の胎動
    第四章 寛平・延喜の治
    1 「寛平の治」とその挫折
    2 菅原道真の運命
    3 延喜の荘園整理令
    4 「古今和歌集」なる
    5 延喜の太平とその暗転
    第五章 承平・天慶の乱と「天暦の治」
    1 武者の起こり
    2 平氏一族のあらそい
    3 東西二つの謀反
    4 将門・純友の末路
    5 藤原氏と後宮
    6 「天暦の治」の内幕
    7 退廃の栄え
    8 藤原氏の時代へ

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