『政治、中央公論新社、中公新書(新書)』の電子書籍一覧
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1979年にホメイニ―師を中心とした革命で発足したイラン・イスラーム共和国。シーア派の理論に基づいた体制を敷き、中東でも反アメリカ、反イスラエルの急先鋒として存在感を示す。国際的に孤立しようとも核開発を進めて独自の道を歩むが、ここに至るには東西冷戦や中東での覇権争いなど複雑な歴史があった。本書は革命以後の軌跡を政治・経済・社会の側面から迫る。混迷する国際情勢の中、イランはどこへ向かうのか。
■目 次■
はじめに
序 章 近代国家建設と東西冷戦構造
1 パフラヴィー朝の成立と近代国家への道
2 モハンマド=レザー・シャーの専制政治と白色革命
3 反王政運動と王の国外退去
コラム① 在外イラン人学生の運動
第1章 ホメイニー体制と革命勢力の角逐
1 ホメイニー師の帰還と革命の達成
2 バーザルガーン暫定政府と憲法制定
3 イスラーム共和国体制と大統領選挙
コラム② 反西洋とファストフード
第2章 イラン・イラク戦争とイスラーム共和体制
1 押しつけられた戦争と「法学者の統治」
2 広がる戦火と「コントラ事件」
3 戦争の終結と新たな体制の模索
コラム③ 亡命者とテヘランゼルス
第3章 ハーメネイー体制と政治的自由
1 新体制と戦後復興 ラフサンジャーニー政権(一九八九~九七)
2 体制の変容と政治的自由 ハータミー政権(一九九七~二〇〇五)
3 体制の問い直しと宗教実践の多義性
コラム④ レスリングとサッカー
第4章 新保守派の台頭と「緑の運動」
1 国際関係の緊張とアフマディーネジャード政権(二〇〇五~一三)
2 国際的孤立と「緑の運動」
3 市民生活の変容と核開発問題
コラム⑤ 科学者と頭脳流出
第5章 防衛戦略と核問題
1 革命防衛隊の社会への浸透
2 革命防衛隊とロウハーニー政権(二〇一三~二一)
3 核問題の解決と中東情勢の変化
コラム⑥ 日本とイランの国交一〇〇年
終 章 暗雲垂れ込めるイスラーム共和体制の未来
1 ライースィー政権(二〇二一~二四年)への期待と終焉
2 急変する国際情勢とペゼシュキヤーン政権の発足
3 イスラーム共和体制の未来
あとがき
主要参考文献
関連年表 -
民族や国民をめぐる心の働きを強め、再生産するナショナリズム。
帰属意識、愛国心、排外意識の三つの顔をもつ。
世界で猛威をふるう排外主義・右派躍進の正体とされるが、なぜ同胞愛は憎悪に変わるのか。
なぜ民族紛争は再燃するのか。
経済不安との関係とは。
本書は国民国家誕生からの歴史を一望し、豊富な事例をふまえナショナリズムがいつ生まれ、社会に浸透し、私達の心を動かすかの全容を描く。
俗説を覆し、本質に迫る。
【目次】
まえがき
第1章 ナショナリズムとは何か 議論の概観
1 出現
ネーションはいつからあるのか 近代の社会現象 多様化し日常化するナショナリズム
2 定義
言葉の由来 「生まれ」 ①政治の意識として ②政治運動のイデオロギーとして 日常的なナショナリズム
3 源泉
①近代主義 ②民族象徴主義 ③政治や権力闘争
4 分類
「良いナショナリズム」と「悪いナショナリズム」? ナショナリズムとパトリオティズム
5 まとめ――プラスでもマイナスでもなく
第2章 ナショナリズムを構成しているもの
1 三つの意識
2 三つの意識の背景
社会学/政治学/心理学 着目点の違い 諸意識の実態 世界各国の実態 意識は時間とともに変わる
3 意識間の相互連関
愛国心と排外意識はいつ結びつくの? 個人的差異より社会的文脈が重要? グローバル化の効果? 国のメンバーシップの性格?
4 まとめ――ナショナリズムの多次元性
第3章 何が帰属意識を強めるのか
1 ネーションへの帰属意識
地域主義との関係 複数のアイデンティティ
2 近代化と帰属意識の高まり
学校教育、鉄道 出版・印刷の普及 軍隊
3 現代文化と帰属意識
スポーツの祭典 FIFAワールドカップ アフリカのサッカー選手権 ラグビーワールドカップ
4 帰属意識を高める政治
5 まとめ
第4章 何が愛国心とプライドを強めるのか
1 愛国心の多義性・多様性
愛国心をどう捉えているか 愛国心の国際比較
2 経済格差との関係
格差と貧困 政府の陽動
3 政治的動員・選挙との関係
選挙と動員
4 国際環境の影響
グローバル化の影響 国際紛争と脅威
5 文化表象としての音楽イベント
音楽の力 国歌と祭典
6 まとめ
第5章 何が排外意識と優越感情を強めるのか
1 経済不安よりは向社会性?
経済的な脅威 集団的な脅威 外国人比率の効果
2 政治状況と排外主義
ホモナショナリズム/フェモナショナリズム
3 隠れた反移民感情
文脈によって異なる「望ましい回答」
4 国際政治の影響
外交的緊張
5 まとめ
第6章 政治・経済への効果
1 公共財の分配
福祉への効果 多民族国家は不利なのか
2 シンボル操作の効果
国土・国旗という象徴と寄付 党派的分断を癒す
3 民主的な規範と政治信頼
民主主義を促すか 社会的な信頼と負担
4 経済や資源の開発
資源ナショナリズム エコ・ナショナリズム/グリーン・ナショナリズム
5 まとめ――ナショナリズムの政治経済的効用?
第7章 暴力・紛争への効果
1 ナショナリズムと内戦
貧困と格差 政治的排除の回避 連邦制や選挙制度への効果
2 ナショナリズムと少数派の弾圧
暴力と流血が生まれる理由 東欧でのホロコースト
3 ナショナリズムと国家間戦争
国民国家と戦争の波 失地回復運動 言説枠組みの影響
4 ファシズムとセクシュアリティ
5 まとめ――ナショナリズムと暴力
終 章 ナショナリズムの実態を見る
1 何がわかっていて、何がこれからわかるのか
2 政治をめぐる意識の一つとして
3 おわりに
あとがき
注記一覧 / 参考文献・出典 -
フランス大統領を2期務め、欧州統合の礎を築いたフランソワ・ミッテラン(1916~96)。
社会党初の大統領として、東西ドイツ統一や冷戦終結など国際政治の激動期を導いた。一方、青年期にはナチスに協力的なヴィシー政府で働いた過去や、大統領期に新自由主義的な政策を実施したことから、権謀術数を駆使した「政治屋」と揶揄する声も多い。
毀誉褒貶ある足跡から、戦争と革命の20世紀とフランス現代史を辿る。
■目次■
まえがき
第1章 フランスの地方に生まれて――「王か法王になる」
第2章 世界大戦との出会い――「フランスを中から目覚めさせる」
第3章 政界のホープ――「野心は統治者になることに尽きる」
第4章 大統領への道――「革命とは決別のことである」
第5章 社会主義から欧州統合へ―― 「私はヨーロッパ建設と社会正義の間で迷っている」
第6章 ドイツ統一とポスト冷戦時代の始まり――「自らの手でヨーロッパを作り出す」
終 章 フランスの歴史と政治――ミッテランが遺したもの
あとがき
写真出典
主要参考文献
ミッテラン略年表 -
1952年に25歳で英国の王位に即いたエリザベス女王。カナダ、オーストラリアなど15ヵ国の元首でもあった。70年間という史上最長の在位期間中、政治に関与し続け、また数多くの事件に遭遇する。W・チャーチルら15人の首相が仕え、「政治的な経験を長く保てる唯一の政治家」と評された。本書はイギリス現代史を辿りながら、幾多の試練を乗り越え、96年に及んだ生涯を描く。コロナ禍や新国王の戴冠式を増補した決定版。
【目次】
第Ⅰ章 リリベットの世界大戦――王位継承への道
第Ⅱ章 老大国の若き女王――二五歳での即位
第Ⅲ章 コモンウェルスの女王陛下――一九七〇~八〇年代
第Ⅳ章 王室の危機を乗り越えて――ダイアナの死と在位五〇周年
第Ⅴ章 連合王国の象徴として――二一世紀の新しい王室
補 章 「大王」の死――コロナ、在位七〇周年、そして崩御
おわりに
あとがき/増補版へのあとがき
主要参考文献
主要図版出典一覧
エリザベス女王関連年譜 -
東西冷戦下、第三勢力台頭の機運を背景に激化した植民地独立闘争、アルジェリア戦争(1954~62年)。
フランスは兵力を増派して鎮圧を図るも成功せず、巨額の戦費による財政難、国内政治の行き詰まりで第四共和制が崩壊した。ドゴール政権は難局を打開すべく、強硬路線を転換し、ついに独立を承認する。
約8年に及んだ戦争はフランスと国際社会に何をもたらしたのか。今日の移民問題にも密接に関わる歴史的事件を見直す。
■本書の目次
まえがき
序章 戦争前史
オスマン帝国以前/オスマン帝国の支配/フランス占領の開始/アラブ民族主義との結合/カビリーの蜂起/アルジェリアでの同化政策/第一次世界大戦の影響/両大戦間期とENAの登場/第二次世界大戦
第一章 独立戦争の開始
「赤い万聖節」/アッバースの反応とFLNへの接近/独立運動の国際化の始まり/バンドン会議とアジア・アフリカの連帯/ナセルの登場とマグレブの参加/バンドン会議の短期的影響/強硬路線とヨーロッパ統合構想との交錯/アルジェリア強硬路線への回帰/ドゥフェール海外領土相と植民地の将来
第二章 アラブ諸国の参戦とドゴール復帰
スエズ危機・戦争とアルジェリア問題の連関/スエズ危機・戦争のインパクトとその背景/危機から戦争へ/ハンガリー動乱と「二重の危機」/英仏連合・FTA構想の興亡/スンマム会議からアルジェの戦いへ/拷問、検閲、監獄、収容所/モレ政権崩壊とアルジェの戦いの終結/マグレブの国境紛争/サキエト事件と英米の調停/ドゴールの召喚/アルジェでのコロンによるクーデター/ドゴールの首相就任
第三章 戦場の拡大と膠着
戦場の本国への拡張/FLNによる本土でのテロ攻撃/ドゴール外交の始動/GPRAの成立/ドゴールのアフリカ政策の展開/コンスタンティーヌ・プランの発表/「勇者の平和」提案/ドゴールの大統領就任演説/EECの救済とアルジェリアの包摂/シャル計画の開始
第四章 自決の承認から停戦交渉の模索へ
ドゴールの「自決演説」/自決演説の意味/ムランでの休戦交渉の「失敗」/知識人たちのアルジェリア/国連での反植民地主義の高まり/OASの台頭
第五章 エヴィアン交渉
外交舞台/主要な争点/軍事面での争点/外交交渉での取引/交渉妥結の構造的要因/アラブの連帯、ヨーロッパの連帯/国連の圧力
第六章 和平協定の締結
エヴィアン協定における「独立」/脱植民地化の波の中で/脱植民地化の流れへの影響/フランス外交への影響/フランス外交戦略の変化/中東政策の変化/停戦からアルジェリア独立へ/ドゴール暗殺未遂事件/憲法採択とベンベッラ政権の発足
終章 アルジェリア戦争は何を遺したのか
休戦交渉以前/休戦交渉以後/独立後のフランス-アルジェリア関係/第三世界の雄との「対決」/ミッテランの登場と「ユダヤ例外主義」/「危機の一〇年」/シラクによる戦争の承認/記憶をめぐる闘いの終焉?/惨劇を繰り返さないために
あとがき
参考文献 -
世界で先行していた物価の高騰=インフレーションが、日本でも2022年春から始まった。
それまでの慢性デフレから一転したのはなぜか――。
物価研究の第一人者がその謎を解く。
物価高騰は私たちの生活を圧迫するが、同時に賃上げを達成すれば、市場は価格メカニズムを取り戻し、日本の経済は好循環で回り始める。
どうすれば賃金を上げられるのか?
政策金利は、財政はどうなるのか?
直撃するインフレの実態に迫る。
■目 次■
序 章 新たな時代の始まり
第1章 賃金・物価・金利の正常化
1 本章の論点
2 慢性デフレとは何だったのか
3 賃金・物価・金利の変化
コラム:日銀はなぜ2%のインフレを目指すのか
第2章 インフレは日本経済をどう変えるのか
1 本章の論点
2 価格メカニズムの正常化
3 実質為替レートの正常化
4 政府債務の正常化
第3章 インフレと日銀
1 本章の論点
2 インフレは一過性か
3 物価予測のミスを闇に葬った日銀とエコノミストたち
4 「基調的インフレ」とは何か
5 植田日銀の利上げは機会主義的
6 利下げでトランプ関税に備えよ
7 国際的な「同期」が高インフレをもたらす可能性
コラム:日銀の追加利上げは「全く理解できない」
第4章 インフレと賃上げ
1 本章の論点
2 安いニッポンに賃上げと値上げの自粛は必要ない
3 最低賃金の引き上げはなぜ必要なのか
4 実質賃金改善のために労使は何をすべきか
5 「自然」実質賃金という考え方
6 トランプ関税を負担するのはいったい誰なのか
コラム:賃上げを社会に定着させる方法
第5章 インフレと財政
1 本章の論点
2 賃金と物価を上げるための財政支出をためらってはいけない
3 インフレ率2%経済への移行で得られるインフレ税収
4 消費税減税で潤うのは買い手ではなく売り手なのか?
コラム:高市政権の「積極財政」の可能性とリスク
第6章 インフレの変動要因
1 本章の論点
2 令和の米騒動の原因は需要か供給か
3 黒田日銀総裁が語った70万字
4 パンデミックで迷走した物価統計
5 消費者が「見た」価格と「買った」価格はどう違うのか
あとがき
図表出所一覧
初出一覧
参考文献 -
新時代の風を一身に浴び、民主的な立憲君主になろうとした昭和天皇。
しかし、時代はそれを許さなかった――。
本書は今まであまりふれられることのなかった青年期に至るまでの教育課程に着目し、政治的にどのような思想信念をもっていたかを実証的に探る。
そしてそれは天皇の実際の振る舞いや政治的判断にいかなる影響を与えたのか――。
旧版刊行後の約15年で、新たに発見・公開された重要史料や史実を増補。
はじめに
昭和天皇の実像とは あくまで実証的に 思想形成過程に注目
第一章 思想形成
一 東宮御学問所
生い立ち 東宮御学問所に進学 杉浦重剛の倫理学杉浦の天皇観・国家観 白鳥庫吉の歴史 清水澄の法制経済
二 訪欧旅行
発端 宮中の職制と元老 外遊の成功
三 摂政就任「君臨すれども統治せず」 神格化を否定 皇室改革に意欲 研修活動 立作太郎の外交史 清水澄の憲法進講 明治天皇について学ぶ 生物学を趣味とする アイドルとなる 牧野伸顕の内大臣就任 政治思想の確立
第二章 天皇となる
一 田中内閣への不信
施政方針を明示 直訴頻発の意味 当時の日課 田中義一首相への不信 優諚問題 中国の主権を尊重 即位大礼 剛毅な昭和天皇像の誕生
二 首相𠮟責事件張作霖爆殺事件 つのる田中首相への不信感 昭和天皇の政党政治観 張作霖事件の進展 𠮟責を決意ついに田中を𠮟責 昭和天皇の発言 田中𠮟責の意味 道徳的な政党政治を追求
三 ロンドン海軍軍縮条約問題
浜口を激励 反撥する軍令部 鈴木侍従長の対応 統帥権干犯問題 加藤軍令部長の辞意 右翼の宮中
側近攻撃 徳治主義の発露 クーデター未遂
第三章 理想の挫折
一 満洲事変
不拡大方針の挫折 最善を尽くしたか 揺らぐ昭和天皇の権威 連盟との対立を心配 犬養内閣の成立桜田門事件 「日支親善は出来得るや」 心労たまる昭和天皇
二 五・一五事件
政党政治を見放す 秩父宮との対立 連盟脱退へ 本庄侍従武官長の登場 なお協調外交を追求 軍の政治化に批判的 満洲問題
三 天皇機関説事件と二・二六事件
天皇機関説事件 在郷軍人会パンフレットを批判 孤立した昭和天皇 対中融和を追求 牧野内大臣の引退 二・二六事件勃発 即時鎮圧を決意 陸軍
への怒り 本庄武官長辞職 近衛首相に期待
第四章 苦悩の「聖断」
一 日中戦争
盧溝橋事件の勃発 対応の誤り やつれる昭和天皇張鼓峰事件で陸軍と対立 長期化する日中戦争
二 防共協定強化問題
念書を書かせる ノモンハン事件と天津租界封鎖問題板垣陸相に激怒 陸相人事に注文 首相の人選を主導 ドイツの快進撃に幻惑される 第二次近衛内閣の成立 三国同盟を容認
三 太平洋戦争開戦
日米交渉に期待 武力行使を強く否定 御前会議で異例の発言 開戦を決断 早期終結を指示 戦況の悪化を懸念 支持を失う東条首相
四 終戦の「聖断」一撃講和論をとる 早期講和論に転換 ポツダム宣言 一回目の「聖断」 昭和天皇の決断 二度目の「聖断」 「聖断」の意図
第五章 戦 後
一 退位問題
東条に責任を転嫁したか マッカーサーに責任を認める 免責への動き 世論の動向 「人間宣言」 新憲法の制定 『独白録』の意味 退位論 退位せず 改憲再軍備と政治関与 留位の副産物 戦後巡幸 皇居再建の道のり
二 講和問題と内奏
新憲法下の天皇 一九四七年九月の発言 講和問題との関わり 戦後の内奏 内奏継続の意味
三 「拝聴録」への道
後半生の主題は戦争責任 世論調査に見る昭和天皇 二度目の訪欧 沖縄への関心 訪米 中国への謝罪 植民地支配への反省 「拝聴録」作成へ 厭世的になる 崩御
おわりに
理想実現に尽力 旧憲法と国民に裏切られる 君主としての責任を自覚 戦争責任と向き合う
昭和天皇についての研究史
参考文献目録
あとがき
人名索引 -
第二次世界大戦以降、アメリカが主導してきたグローバル化が挫折しつつある。自由民主主義と市場経済の社会モデルが綻びを見せ、権威主義の中国やロシアが秩序変更を狙う。世界はこれからどうなるのか――。本書は古代ローマ帝国から現代のアメリカ一極優位までを俯瞰し、「一つの世界」への統合と、分解のダイナミクスを捉える。さらにグローバル化後の「四つの世界秩序」の可能性と、日本の未来を考察する。
■ 目 次 ■
はじめに
第1章 統合の条件1 グローバル化の波動
2 構造
3 権力
4 制度
5 文化と規範
第2章 広域的秩序の興亡
1 前近代のグローバル化
2 ローマ帝国と中世ヨーロッパ
3 ユーラシア大陸の統合と分解
4 西洋の興隆と自滅
第3章 アメリカ主導のグローバル化
1 戦勝国としてのアメリカ
2 戦後経済の制度化
3 勝利の逆説
4 露呈した「リベラリズム」の限界
第4章 四つの世界秩序
1 一つの世界再グローバル化
2 三つの世界新しい冷戦
3 多数の世界再近代化する世界
4 無数の世界中世は再来するのか
第5章 ポスト・グローバル化と日本
1 大国でも小国でもない日本
2 仲間を増やし、敵を減らす
3 「自立」を迫られる日本
4 「日本」の生き残りとは何なのか
おわりに
主要参考文献 -
沖縄戦で鉄血勤皇隊として死線を彷徨い、戦後は早稲田大学、米国に留学、琉球大学で沖縄戦・沖縄学の教鞭を執った大田昌秀。米統治下から論壇で活躍し、1990年、知事当選後は米軍基地問題と対峙する。
冷戦終結後の新たな日米関係が求められる中、米兵による少女暴行事件が勃発。高揚する民意と日本政府との間で解決を模索するが、3度目の知事選で敗北する。
100冊以上の自著で沖縄の苦悩を記し、沖縄現代史と共に歩んだ生涯。
はじめに
第1章 沖縄戦という原点
1 久米島の秀才
2 沖縄師範学校への進学
3 鉄血勤皇隊としての戦争体験
第2章 本土、米国への留学――1950~56年
1 収容所から沖縄文教学校へ
2 早稲田大学での「日留」 本土の解放感
3 「米留」の2年間 強烈な民主主義体験
第3章 日本復帰論高揚のなかで――琉球大学時代①
1 沖縄人意識の探究 「事大主義」問題
2 日本国憲法下への復帰支持
3 復帰論の思想的位置 「反復帰論」、進歩派との距離
第4章 復帰後、沖縄学の批判的継承――琉球大学時代②
1 アイデンティティの模索 復帰直後の課題
2 戦後の沖縄学 沖縄戦・占領史の追究
3 「積極的平和」への共鳴
第5章 沖縄県知事の第一期――1990~93年
1 出馬の決断と勝利 少数与党の議会運営
2 軍用地強制使用問題と三次振計
3 平和行政の展開 戦後50周年への拠点づくり
第6章 沖縄からの異議申し立て――1994~96年
1 戦後五〇年目の「転換」を目指して
2 少女暴行事件と代理署名拒否
3 日本政府との攻防 基地返還の具体化構想
4 普天間飛行場の返還合意と苦渋の決断
第7章 大田県政の挫折――1996~98年
1 橋本首相との関係 官邸主導の経済振興へ
2 失速する県政 吉元副知事の再任否決
3 普天間移設問題の迷走
4 橋本首相との断絶、知事選敗北
第8章 晩年と死
1 再び研究活動へ
2 参議院議員時代 問い続けた「沖縄とは何か」
3 沖縄独立論への傾斜
おわりに
あとがき/主要参考文献
大田昌秀 略年譜 -
泥沼化する日中戦争、太平洋を挟んだ日米戦争、東南アジアでの日英戦争、原爆投下、敗戦前後の日ソ戦争。
米中英ソとの複合戦争はいかに推移し、幾多の和平・収拾策にもかかわらず、なぜ早期に終戦できなかったか。
他方、本土決戦を目前に、なぜ「聖断」で終戦が可能となったか。
最新研究を踏まえ、昭和天皇・近衛文麿・木戸幸一・鈴木貫太郎らの肉声で辿り、第2次世界大戦の結末を巨細に描く。「狂気の時代」の真実に迫る。
【目次】
まえがき
序 章 「複合戦争」の終わらせ方
「明るい戦争」 帝国陸海軍の作戦計画 「対米英蘭蒋作戦計画」と戦争終結構想 本書のねらい
第1章 太平洋戦線
陸海軍の戦略論争 ガダルカナル攻防戦 日独協力の対英戦略西アジア攻勢の政戦略 「絶対国防圏」――対米戦略の重視 サイパン殉国の歌――太平洋戦線の転機 「捷号」計画の破綻――フィリピンの放棄 沖縄から本土へ 長期消耗戦へ
第2章 大陸戦線
中国戦線の行き詰まり――重慶攻略の難題 「帝都空襲」の衝撃 「五号作戦」(四川進攻作戦)の挫折 重光の「和平構想」――「対支新政策」 「大東亜国際機構」構想 大東亜宣言と戦争目的の再定義 理念的アプローチの功罪 対中和平工作 「容共」政策への傾斜 繆斌工作の挫折 大陸戦線の結末――一号作戦の展開 インパール作戦 一号作戦と共産軍の成長 中国戦線の結末
第3章 徹底抗戦と徹底包囲
決号作戦計画――本土「最終決戦」 「天の利、人の和」――「国民総武装」の功罪 特攻と天皇 特攻の戦果 沖縄戦と戦艦大和特攻 大空襲の広がり 海上交通破壊の威力――機雷と艦砲射撃 ダウンフォール――オリンピック・コロネット作戦 南九州の防備 抗戦力の源泉
第4章 和平論のゆらぎ――小磯内閣の退陣
東條体制の崩壊とその後 三つの和平論 「近衛グループ」の和平構想 「真崎グループ」の即時和平論 「皇道派政権」構想の挫折 近衛拝謁の意味 近衛上奏と対米和平 グルー演説と上奏文の国際認識 近衛内閣案の挫折 高木惣吉の終戦研究近衛の米内留任論 木戸の「聖断」構想 小磯と「大本営内閣」案 小磯の辞意 米内の残留 小磯の「現役復帰」提案 小磯退陣と陸軍中堅層
第5章 鈴木内閣と終戦政略
鈴木首相の終戦指導 組閣と陸軍 米内留任と東郷の再入閣 陸軍中堅層の対応――「バドリオ」内閣? 本土決戦論 「決号」作戦計画と対ソ外交 六巨頭会談方式の確立 三つの対ソ交渉方針 「日ソ支」提携構想 広田・マリク会談 ソ連外交の「自立性」 鈴木の対米メッセージ 大東亜大使会議宣言の意味 戦争の争点を超えて 「無条件降伏」の拘束 ダレス工作とグルー声明 無条件降伏と国体問題 「平和の海」演説の波紋 非常時議会の意味 小野寺工作とヤルタ会談
第6章 「国策転換」の国内政治
近衛と米内の連携 六巨頭会談の硬直化と打開工作 高木の「研究対策」 阿南・米内会談の流産 六相懇談会 革新官僚グループの「本土徹底抗戦論」 「非常大権」発動論と議会 最後の「戦争指導大綱」 戦争目的としての「国体護持」と「皇土保全」 革新官僚の論理 木戸のイニシアティヴ 「時局収拾対策試案」 阿南の説得 六月二二日の御前会議 高木の「研究対策」の意味
第7章 近衛特使とポツダム宣言
対ソ交渉と国内危機 近衛特使への期待 スターリン宛親書とソ連の回答 近衛グループの和平交渉案 高木の和平交渉案 外務省の和平交渉案 「瀬戸際外交」――最後の特使派遣交渉 和平の基礎としての大西洋憲章 ポツダム宣言の形成 ポツダム宣言と「有条件講和」 「黙殺」と「敵の謀略」 カイロ宣言の「黙殺」 対ソ交渉の行き詰まり 原爆とポツダム宣言――投下は必要だったか
第8章 二つの「外圧」と「聖断」
原爆と広島の惨状 ソ連参戦の衝撃 「四条件」 論争 総辞職の危機 「聖断」シナリオの浮上 近衛と重光 木戸と鈴木のシナリオ 第一回聖断――八月一〇日 受諾電の修正 情報局総裁談 陸相告示――「全軍将兵に告ぐ」 外地軍の抵抗 「天佑」論の背景
第9章 戦争終結
バーンズ回答 外務省の解釈 バーンズ回答と陸軍 「総辞職」の危機 天皇の意志 少壮幕僚の「兵力使用計画」 バーンズ回答の「内政不干渉論」 第二回聖断――八月一四日 阿南陸相と「クーデター」計画 終戦詔書と玉音放送 「大詔を拝して」 「国体護持」の自己認識 支那派遣軍の「降伏」 国民党軍と日本軍の協力 中ソ友好同盟条約と共産党軍の満洲占拠 「現地定着」方針の挫折 「以徳報怨」の波紋 日ソ戦争の展開 北海道占領計画と千島
終 章 敗戦の意味
「聖断」の活用 国体のゆくえ 終戦のタイミングと決断の要因 植民地帝国の終戦 日米同盟の起源 なぜ「複合戦争」に陥ったか
あとがき
参考文献・資料一覧
日本終戦史 関連年表 -
巨匠フルトヴェングラーや帝王カラヤンが歴代指揮者に名を連ね、世界最高峰のオーケストラと称されるベルリン・フィルハーモニー。
1882年に創設され、ナチ政権下で地位を確立。敗戦後はソ連・アメリカに「利用」されつつも、幅広い柔軟な音楽性を築き、数々の名演を生んできた。
なぜ世界中の人々を魅了し、権力中枢をも惹きつけたのか。150年の「裏面」ドイツ史に耳をすまし、社会にとって音楽とは何かを問う。
【目次】
第1章 誕生期――市民のためのオーケストラとして
べルリンの音楽環境 「音楽の国ドイツ」 ベルリンのビルゼ楽団 ビルゼ楽団の危機 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の誕生 ヨーゼフ・ヨアヒムの尽力 財政危機 ビルゼ楽団のその後 初代常任指揮者ハンス・フォン・ビューロー 芸術家としての指揮者 ホールの改築 ビューローの晩年 ビューローの死
第2章 拡大期――財政危機から国際化へ
後継者問題 ニキシュの就任 積極的な国外演奏 オーケストラ・マネジメントの進展 世紀の「大演奏家」 オーケストラ演奏会ブーム 新しい音楽活動としてのレコーディング 財政難 第一次世界大戦 戦時中の活動 ドイツの敗戦 ニキシュの死 ニキシュの追悼とフルトヴェングラー
第3章 爛熟期――ナチとベルリン・フィル
フルトヴェングラーの就任 財政的苦境 戦後の平和と国外演奏 「新しい音楽」への取り組み ワルターとメニューイン 新しいメディアへの挑戦 ベルリン・フィルと「現代音楽」 音楽とナショナリズムの交差 世界恐慌とドイツの変容 創立50周年とナチの影 ナチ政権の発足 「帝国のオーケストラ」 政権との距離 政権による圧力と「自律」の確保 音楽家の亡命 ドイツの対外イメージ悪化の中で 演奏史と文化政策 カラヤンのベルリン・フィルデビュー 対外宣伝装置として 「兵士に準ずる存在」として 同盟国や占領国での演奏 戦時下の演奏 空襲におびえながらの演奏会 フルトヴェングラーの亡命 ドイツの破滅
第4章 再建期――戦後の「再出発」
破壊され尽くしたベルリン ソ連占領軍政府によるボルヒャルトの指名 戦後最初のリハーサル ソ連占領軍政府の思惑 戦後最初の演奏会 英米によるベルリン・フィル獲得競争 本拠地決定 ボルヒャルトの死 チェリビダッケの指名 チェリビダッケの暫定指揮者就任 オーケストラの「非ナチ化」 フルトヴェングラーの復帰 団員の士気の低下 ベルリン封鎖中の訪英 フルトヴェングラーの意欲低下 カイロ遠征 主権回復後の新運営体制 創設70周年 訪米計画と国際政治 西ベルリン初の音楽専用ホール フルトヴェングラーの死
第5章 成熟期――冷戦と商業主義の中で
チェリビダッケとオケの不和 カラヤンの指名 カラヤンの来歴 常任指揮者契約 アメリカツアー 積極的レコーディング活動 シュトレーゼマンの支配人就任 フィルハーモニー・ホールの建設 オーケストラの公共性 ドイツの「和解外交」とベルリン・フィル ザルツブルク復活祭音楽祭 音楽の「映像化」 カラヤン財団創設 ソヴィエト遠征 権威化するカラヤンとその横顔 カラヤン・アカデミー ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭 団員との軋轢 支配人をめぐる軋轢 冷戦をまたいだ演奏活動 オーケストラ以外での団員の音楽活動 ザビーネ・マイヤー事件 カラヤン離れの模索 若干の歩み寄り シュトレーゼマン、二度目の引退 カラヤンの衰弱 CAMIスキャンダル 日本ツアーとカラヤンの「終わり」の予感 最後の演奏会 カラヤンの死
第6章 変革期――「独裁制」から「民主制」へ
「民主化」と指揮者選び アバドの生い立ち ベルリンの壁崩
壊 ホールの大規模改修 ヨーロッパ・コンサートシリーズ チェリビダッケの再登場 「カラヤン後」のゆくえ 古典復興、現代音楽 アバドの辞任予告 「ドイツの民主主義の50年」 アバドの闘病と9.11テロ アバドの退任 アバドの評価
第7章 模索期――新しい時代のオーケストラとは何か
ラトルの選出 ラトルとベルリン・フィルの最初の出会い 財団法人化 支配人をめぐる混乱 ラトルの音楽作り 音楽芸術の新しい位置づけ 「レジデンス」制度の拡充 新支配人の新しい試み 映像活動 歴史認識の確認作業 デジタル・コンサートホール ラトルの退任 ラトルの評価 パンデミックと 再び「政治」に直面
あとがき
参考文献 図版出典 ベルリン・フィル関連年表 -
国際法を無視してウクライナへの全面侵攻を始めたロシア。
兵士の大動員を行い、西側諸国から経済制裁を受けるも、国民はプーチン大統領を支持し続ける。
地方政府や大企業、メディアを意のままに動かし、選挙や政党まで操作する絶大な権力をプーチンはいかに獲得したのか。
ソ連崩壊からの歴史を繙き、統治機構、選挙、中央と地方の関係、治安機関、経済、市民社会の6つの観点から権威主義体制の内幕に迫る。
■ 目 次 ■
はじめに
第1章 混乱から強権的統治へ――ペレストロイカ以降の歴史
1 ペレストロイカとソ連解体、混乱のエリツィン時代へ 1985~99年
2 プーチンの大統領就任、タンデム支配へ 2000~12年
3 プーチン再登板からウクライナ戦争へ 2012~24年
4 本書の視角
第2章 大統領・連邦議会・首相――準大統領制の制度的基盤
1 ソ連時代の遺産と準大統領制の成立
2 エリツィン時代の対立からプーチン時代の支配の確立へ
3 大統領の任期とプーチンの後継者問題
第3章 政党と選挙――政党制の支配と選挙操作
1 エリツィン体制下の支配政党の不在
2 統一ロシアと政党制の支配
3 バラエティ豊かな選挙操作
第4章 中央地方関係――広大な多民族国家の統治
1 強力な地方エリートと非対称な連邦制
2 プーチンの登場と垂直的権力の強化
3 2010年代の展開と地方への押し付け
第5章 法執行機関――独裁を可能にする力の源泉
1 プーチン体制を支えるシロヴィキたち
2 権威主義的な法律主義
3 市民の生活と法執行機関
第6章 政治と経済――資源依存の経済と国家
1 オリガルヒの誕生と政治への介入
2 集権的ネットワークの確立
3 ロシアの市民と経済
第7章 市民社会とメディア――市民を体制に取り込む技術
1 ロシア市民の政治観
2 市民社会の抑圧と抱き込み
3 メディアの支配とプロパガンダ
終 章 プーチン権威主義体制を内側から見る
あとがき
主要参考文献 -
正しさとは何かを探究してきた政治哲学。向き合う現実の世界は進むも退くも地獄、「よりマシな悪」を選んでなんぼの側面をもつ。
命の重さに違いはあるのか。汚い手段は許されるか。大義のために家族や友情を犠牲にできるか。
本書はサンデルの正義論やトロッコ問題のような思考実験に加え、小説や戯曲の名場面を道しるべに、「正しさ」ではなく「悪さ」というネガから政治哲学へいざなう。混迷の時代に灯火をともす一書。
【目次】
はじめに
正義論に残された問い 作品で読み解く
第1章 「悪さ加減の選択」―—ビリー・バッドの運命
1 選択のジレンマ性
ジレンマとは何か 損失の不可避性 損失の不可逆性
2 政治のジレンマ性
政治とは何か 公共の利益 利害の対立
3 マシな悪の倫理
マシな悪とは何か 三つの特徴 行為と結果の組み合わせ
4 まとめ――政治の悲劇性
第2章 国家と個人――アンティゴネーとクレオーンの対立
1 偏向的観点と不偏的観点
偏向的観点 不偏的観点
2 不偏的観点と政治
法の下の平等 具体例① 政治腐敗 具体例② 国連活動
3 不偏的観点と個人
インテグリティと政治 国家と個人・再考
4 まとめ――クレオーンの苦悩と悲嘆
第3章 多数と少数――邸宅の火事でフェヌロンを救う理由
1 数の問題
規範理論① 功利主義 特徴① 総和主義 特徴② 帰結主義
2 総和主義の是非
人格の別個性 権利論 権利は絶対的か
3 帰結主義の是非
規範理論② 義務論 マシな悪の倫理・再考 義務論的制約
4 まとめ――ゴドウィンの変化
第4章 無危害と善行――ハイジャック機を違法に撃墜する
1 トロリーの思考実験
具体例ドイツ航空安全法 「問題」前史
2 消極的義務と積極的義務
義務の対照性 優先テーゼ
3 トロリー問題
「問題」の発見 手段原理 航空安全法判決
4 まとめ――制約をあえて乗り越える
第5章 目的と手段――サルトルと「汚れた手」の問題
1 汚れた手という問題
理解①マキァヴェリの場合 理解② ウォルツァーの場合
2 いつ手は汚れるか
印としての罪悪感 罪の内実
3 いつ手を汚すか
指針①絶対主義 指針② 規則功利主義 指針③ 閾値義務論 制度化の問題
4 まとめ――サルトルと現実政治
第6章 自国と世界――ジェリビー夫人の望遠鏡的博愛
1 一般義務と特別義務
不偏的観点・再考 偏向的観点・再考 偏向テーゼ
2 特別義務の理由
理由①道具的議論 理由② 制度的議論 理由③ 関係的議論
3 特別義務の限界
不偏テーゼ 消極的義務・再考 積極的義務・再考
4 まとめ――慈悲は家からはじまり……
第7章 戦争と犠牲――ローン・サバイバーの葛藤
1 民間人と戦闘員
民間人の保護 戦闘員の保護
2 民間人への付随的損害
二重結果説 民間人か自国民か 具体例 ガザ紛争
3 民間人への意図的加害
個人が陥る緊急事態 国家が陥る緊急事態 偏向的観点・再再考
4 まとめ――戦闘員の信念と部族の決意
第8章 選択と責任――カミュが描く「正義の人びと」
1 選択を引き受ける
規範理論③ 徳倫理学 インテグリティと政治・再考 心情倫理と責任倫理
2 責任を引き受ける
指針①メルロ=ポンティの場合 指針② カミュの場合
3 「悪さ加減の選択」と私たち
民主的な汚れた手 責任を政治的に引き受ける 具体例 アルジェリア問題
4 まとめ――サルトル=カミュ論争
終 章 政治哲学の行方
AIと「悪さ加減の選択」 AI時代の政治哲学
あとがき
読書・作品案内
引用・参考文献 -
かつて一億総中流といわれた日本。
いまや格差が広がり、社会の分断も進んでいる。
人生が親ガチャ・運しだいでよいのか。
能力主義は正しいか。
そもそも不平等の何がわるいのか。
日本の「失われた30年」を振り返り、政治哲学と思想史の知見から世界を覆う不平等に切り込み、経済・政治・評価上の平等を問いなおす。
支配・抑圧のない、自尊を下支えする社会へ。
財産が公平にいきわたるデモクラシーの構想を示す。
■目次
はじめに
第1章 不平等の何がわるいのか?
本書の特徴 前口上――なぜ平等・不平等を考えるのか 不平等から考える――不平等に反対する四つの理由 ①剥奪――貧窮ゆえの苦しみ ②スティグマ化――傲りと卑屈、そして差別 ③不公平なゲーム――人生の難易度の変化 ④支配――非対称的な関係の固定化 みえやすい不平等・みえにくい不平等 窮民問題――貧困にあえぐ社会 寡頭制問題――少数が牛耳る社会 健康格差問題――寿命が短い社会
第2章 平等とは何であるべきか?
平等を支持する四つの理由 ①生存・生活の保障――充分主義 ②恵まれない立場への優先的な配慮――優先主義 ③影響の中立化――運の平等主義 ④支配関係がないこと――関係の平等主義 平等の要点――「局所的な平等化」をこえて 三つの不平等の区別――差別・格差・差異 格差原理と(不)平等 差異ゆえに平等
第3章 平等と能力主義
アファーマティブ・アクション AA――五段階の規範 正義と能力主義 公正な能力主義はゴールか? 能力の測定問題とガラスの天井問題 能力主義の専制 正義と功績をいったん切り離す 機会の平等を見直す――スキャンロンの三段階モデル まとめ――財産所有のデモクラシーへ
第4章 経済上の平等――社会的なもの
『21世紀の資本』のインパクト――r>g 『資本とイデオロギー』――格差はつくられたものである アンダークラスの出現 財産所有のデモクラシー①――社会的なもの 日本型福祉社会の問題 事前分配・当初分配 人的資本のストック 職場環境の正義 ベーシック・インカム タックス・ジャスティス
第5章 政治上の平等――共和主義
誰が統治するのか――政治家のキャリアパス なぜ世襲政治家は多いのか 経済力の政治力への転化 徒党の発生をいかに防ぐか 財産所有のデモクラシー②――共和主義 政治資金規制とメディア宣伝 パブリック・シングス――公共性のインフラ 公共財としての仲介機関――政党とメディア 政治バウチャー クオータ制 ロトクラシー――くじ引き民主制
第6章 評価上の平等――複数性
絶望死、遺伝と能力 時間どろぼう――エンデ『モモ』 財産所有のデモクラシー③――複数性 自尊の社会――配達員の仮想演説 評価集団の多元化――複合的平等 正義と多元性 財産と富 〈自分自身〉であるためのデモクラシー 「自己の内なる体制」
おわりに――平等についての六つのテーゼ
あとがき
注記一覧 図版出典 参考文献 読書案内 -
310万人に及ぶ日本人犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。異常に高い餓死率、30万人を超えた海没死、戦場での自殺と「処置」、特攻、体力が劣悪化した補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験を強いられた現実を描く。アジア・太平洋賞特別賞、新書大賞受賞
-
伊藤博文の主導で制定された明治の皇室典範。
女帝・女系容認の可能性もあったが、皇位継承資格は「男系の男子」限定で、退位の規定もない。
その骨格は戦後の皇室典範でも維持された。
皇族男子の誕生は極めて稀で、皇族数の減少も続き、制度的矛盾が顕在化して久しい。
小泉内閣時代に改正の検討が始まるも、進展はいまだ見えない。
本格的議論の再開に向けて、皇室制度の専門家が論点を整理し、法改正への道筋を探る。
■本書の目次
はじめに
第一章 明治皇室典範の起草をめぐる攻防
一、伊藤・シュタイン「邂逅」と柳原前光
二、伊藤の体制刷新と柳原の失速
三、高輪会議とは何だったのか
四、皇室典範の成立と保守派との攻防
第二章 戦後の皇室典範制定
一、皇室の命運と知日派の台頭
二、占領統治と「国体護持」をめぐる攻防
三、現行皇室典範が抱えた矛盾――皇位継承と退位
四、狙われた皇室財産と皇籍離脱
五、矛盾が生んだ制度上の不具合
第三章 顕在化した構造的矛盾
一、皇位継承問題とは何か
二、少子化と制度疲労
三、「生前退位」から典範改正へ
第四章 象徴天皇制の新たな危機
一、戦後政治と昭和天皇
二、「象徴天皇」の模索
三、象徴天皇制と典範改正
あとがき
参考文献
皇室典範(明治典範)
大日本帝国憲法(抄)
皇室典範(現行典範)
日本国憲法(抄)
天皇の退位等に関する皇室典範特例法
天皇系図 -
「科学としての政治学」は、どのような道み程をたどったのか――。
本書は、戦後に学会を創り、行動論やマルクス主義の成果を摂取した政治学が、先進国化する日本でいかに変貌してきたのかを描く。
丸山眞男、升味準之輔、京極純一、レヴァイアサン・グループ、佐藤誠三郎、佐々木毅などの業績に光を当て、さらにジェンダー研究、実験政治学といった新たに生まれた潮流も追う。
欧米とは異なる軌跡を照らし、その見取り図を示す。
目 次
まえがき――科学としての政治学の百年
序 章 本書の方法
第1章 民主化を調べる――占領から逆コースまで
1 蠟山政道グループの選挙調査
2 岡義武グループの政治過程分析
第2章 英雄時代――講和独立から高度成長期へ
1 石田雄の圧力団体論
2 升味準之輔の一九五五年体制論
3 京極純一の政治意識分析
第3章 近代政治学の低迷と挑戦者――豊かな社会の到来・・・
1 田口富久治のマルクス主義政治学
2 三宅一郎の投票行動研究
第4章 新しい流れ――一九八〇年代の断絶と連続
1 レヴァイアサン・グループ
2 佐藤誠三郎の自民党研究
第5章 制度の改革――平成の時代へ
1 政治改革の模索
2 新制度論
第6章 細分化の向かう先――二一世紀を迎えて
1 ジェンダー研究
2 実験政治学
終 章 何のための科学
あとがき
参考文献
主要人名索引 -
日本の「参勤交代」「物乞い」とまで当初揶揄された日米首脳会談。
経済面での日本の台頭、米国の翳りから、貿易摩擦や安全保障問題を抱える関係、2国間を超えた国際社会でのパートナーへと変貌。
他国と比しても会談頻度は増している。
トップ同士の対話や人間関係は、何を生み、創ってきたか――。
本書は、米国14人、日本28人の首脳による約150回に及ぶ会談を追い、70年以上にわたる日米関係を政治指導者を通して描く。
【目 次】
まえがき
序 章 首脳会談とは何か―重層的な拡がり
第1章 「参勤交代」の時代―日米安保体制の成立
1 幕開け―吉田とトルーマン、アイゼンハワー
2 「日米新時代」と安保改定―岸とアイゼンハワー
3 「イコール・パートナーシップ」― 池田とケネディ、ジョンソン
4 沖縄返還と「密約」― 佐藤とジョンソン、ニクソン
第2章 首脳会談の定例化―冷戦と負担分担
1 大統領初来日とサミット体制―田中・三木とニクソン、フォード
2 ガイドラインと「同盟関係」―福田・大平・伊東・鈴木とカーター、レーガン
3 「ロン・ヤス」関係―中曽根とレーガン
4 昭和のおわりと冷戦の黄昏―竹下・宇野とレーガン、ブッシュ
第3章 同盟の漂流と再定義―ポスト冷戦と日米摩擦
1 「湾岸戦争のトラウマ」―海部とブッシュ
2 通訳不要の首相―宮澤とブッシュ、クリントン
3 北朝鮮核危機と経済摩擦―細川・村山とクリントン
第4章 蜜月と短期政権―「戦時の同盟」
1 アフガニスタン戦争とイラク戦争―小泉とブッシュ
2 不安定な日本政治―安倍・福田・麻生とブッシュ、オバマ
3 対等性の模索―鳩山・菅・野田とオバマ
第5章 安定政権の登場―自由で開かれた国際秩序を求めて
1 「希望の日米同盟」―安倍とオバマ
2 揺らぐ国際秩序―安倍とトランプ
3 「ハブ」としての日米首脳会談へ―菅・岸田とバイデン
終 章 変化する首脳会談と日米同盟
あとがき
付 録 日米首脳会談一覧(1951~2024年) -
二〇〇九年九月に国民の期待を集めて誕生した民主党政権は、一二年一二月の総選挙での惨敗により幕を閉じた。実現しなかったマニフェスト、政治主導の迷走、再建できなかった財政、米軍基地をめぐる混乱、中国との関係悪化、子ども手当の挫折、党内対立、参院選敗北――。多岐にわたる挑戦と挫折は、日本政治にどんな教訓を残したのか。ジャーナリスト・船橋洋一を中心としたシンクタンクによる、民主党政権論の決定版。
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国家の行動を地理環境と結びつけて考える「地政学」が復活している。米国主導の秩序と日米同盟に守られていた日本だが、中国の軍拡による脅威は深刻だ。さらに経済力で地政学的利益の実現を目指す中国の手法は「地経学」時代の到来を示す。北朝鮮の核やロシアの動向のほか、エネルギー、サイバー戦争、気候変動など地球規模のリスクの影響も大きい。トランプ米政権のもと、日本がとるべき戦略を俊英13人が描く。
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(上巻)1945年に第二次世界大戦が終わると大国の協調は崩壊し、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営による冷戦が始まった。ヨーロッパではドイツが東西に分断され、東アジアでは中国の国共内戦、朝鮮戦争という「熱戦」が勃発。さらに脱植民地化の潮流に米ソが介入し、冷戦は第三世界にも拡大した。上巻では、1962年のキューバ・ミサイル危機で核戦争寸前に至るまでを描く。世界的な視野から冷戦を俯瞰する通史。
(下巻)キューバ・ミサイル危機後、泥沼化するベトナム戦争が世界に衝撃を与えた。1960年代末から米中ソはデタント(緊張緩和)へ向かうものの、70年代末には再び対立が深まり「新冷戦」と呼ばれた。だが、その背後では西側経済の優位と東アジア経済の躍進により、第三世界の国々が社会主義を放棄しつつあった。そしてソ連にゴルバチョフが登場し、冷戦は終焉を迎えるが――。戦争と対立が続く現代に、冷戦は何を遺したのか。 -
労働政治とは、労働者の利益が政治の世界で実現されるプロセスを意味する。日本の労働組合は、利益実現に際して経済合理性を有する路線を取ることで、戦後の成長と安定に大きく貢献し、一九八九年には連合の結成によって悲願の「統一と団結」を実現した。しかしその後、その存在感は薄くなり、連合自体にも行政改革・構造改革への積極性が見えない。歴史を溯り、労働者と政治の関係を利益団体政治の視角から検証する。
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一九九四年、国連開発計画によって「人間の安全保障」が提唱された。国家ではなく、一人ひとりの人間を対象とするこの概念は、頻発する紛争や暴力、世界を覆う貧困や飢餓からの自由を目指し、国際社会のキーワードとなった。本書では人道支援、地雷禁止条約策定交渉などの活動を続けてきた著者が、国際政治学の知見をふまえ、エッセンスを解説。増補版では新章を加え、全面的にデータを刷新した。SDGsなど最新動向にも対応。
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戦前、論壇人、東大教授として大学自治を守ろうとした田中耕太郎。戦後は文相に就き教育基本法制定に尽力。復古主義・共産主義を排し新憲法を強く支持した。参院議員を経て最高裁長官就任後は10年の在任中、松川・砂川事件など重要判決を主導、「反動」と誹られながらも脆弱だった司法権を確立。退任後は国際司法裁判所判事に選出される。激動の時代、学界・政界・司法の場で奮闘し戦後日本を形作ったカトリックの自由主義者の生涯。
・キャンペーンの内容や期間は予告なく変更する場合があります。
・コインUP表示がある場合、ご購入時に付与されるキャンペーン分のコインは期間限定コインです。詳しくはこちら
・決済時に商品の合計税抜金額に対して課税するため、作品詳細ページの表示価格と差が生じる場合がございます。
