『政治、中央公論新社、1年以内(実用、新書)』の電子書籍一覧
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●内容紹介・目次
国民作家・司馬遼太郎が亡くなってから、今年で30年となる。
『国盗り物語』『竜馬がゆく』『坂の上の雲』など数々の歴史小説は、戦後日本人の歴史観に大きな影響を与えた。
世界が、日本が大きく変わりつつあるいま、動乱期を生きた人々に深い関心を寄せた司馬の作品を読み直し、令和の「この国のかたち」を考えたい─―
(『中央公論』2026年6月号の電子化)
……………
第140巻 第6号
JUNE 2026 CONTENTS
……………
== 特集 ==
令和に読み直す司馬遼太郎
◆国際情勢の激変、AI革命の時代に
徳川的日本人をやめ、豊臣的日本人にも学べ▼磯田道史
◆乗り越えるか、トンネルを掘るか、よけて通るか
歴史小説家が向き合う「大きな山」▼澤田瞳子
●シリーズ 論壇を築いた12人
司馬遼太郎――「人文知」と大衆を架橋した作家▼福間良明
◆『竜馬がゆく』を最新研究から読み解く
「明治維新の精神」を体現していた坂本龍馬▼佐々木雄一
◆『坂の上の雲』への道とその後
幕末から昭和、日本海軍の系譜▼金澤裕之
◆俊英が名作の核心を読み解く
空海の「風景」とは何だったのか▼渡辺祐真
◆没後30年、記念館開館25年の節目に
海外でも読まれる司馬文学の魅力とは▼上村洋行
◆司馬遼太郎さんとわたし▼宮城谷昌光
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【時評2026】
●勢力圏の時代を踏破するのに必要な政治の「両輪」▼五百旗頭 薫
●核兵器「持ち込み」で問われるもの▼鶴岡路人
●トランプの相互関税が世界的な貿易収縮につながらなかった理由▼櫻川昌哉
●国際競争に煽られる科学技術予算の行方は▼横山広美
◆現代戦は何が新しく、何が変わらないのか
国民が知っておくべき「次に来る戦争」のリアル▼山口 亮
◆〔対談〕「小川ビジョン」で党と日本を変え、世界のモデルに
君は中道を立て直せるのか▼小川淳也×井手英策
== 特集 ==
税・社会保障とサナエノミクス
◆高市政権の正念場
手段としての財政、目的としての官民投資▼飯田泰之
◆〔ルポ〕給付付き税額控除の内幕
――高市首相は「君子豹変」できるか▼広野真嗣
◆真に実効性のある制度設計のあり方は
消費税減税よりも社会保障改革を▼佐藤主光
◆OTC類似薬、高額療養費、「コスパ」の評価……
医療費をめぐる議論の分水嶺▼五十嵐 中
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◆〔対談〕民間初の「人口問題白書」と緊急提言に込めたもの
人口減少時代でも未来を選択するために▼増田寛也×翁 百合
◆イラン戦争の要因とも疑われる大スキャンダル
アメリカと世界を揺るがすエプスタイン文書とは▼渡邊裕子
●シリーズ 「渡辺恒雄文庫」を読む【第2回】
戦後思想史のなかの渡辺恒雄――新聞記者以前 1945-1950▼河野有理
《好評連載》
●炎上するまくら【第114回】低空飛行▼立川吉笑
●東京藝大で教わる美術鑑賞のレッスン【第6回】霧▼佐藤直樹
《連載小説》
●錆びた匙 【第5回】▼相場英雄
●芸者屋の倅 【第4回】▼青山文平 -
民族や国民をめぐる心の働きを強め、再生産するナショナリズム。
帰属意識、愛国心、排外意識の三つの顔をもつ。
世界で猛威をふるう排外主義・右派躍進の正体とされるが、なぜ同胞愛は憎悪に変わるのか。
なぜ民族紛争は再燃するのか。
経済不安との関係とは。
本書は国民国家誕生からの歴史を一望し、豊富な事例をふまえナショナリズムがいつ生まれ、社会に浸透し、私達の心を動かすかの全容を描く。
俗説を覆し、本質に迫る。
【目次】
まえがき
第1章 ナショナリズムとは何か 議論の概観
1 出現
ネーションはいつからあるのか 近代の社会現象 多様化し日常化するナショナリズム
2 定義
言葉の由来 「生まれ」 ①政治の意識として ②政治運動のイデオロギーとして 日常的なナショナリズム
3 源泉
①近代主義 ②民族象徴主義 ③政治や権力闘争
4 分類
「良いナショナリズム」と「悪いナショナリズム」? ナショナリズムとパトリオティズム
5 まとめ――プラスでもマイナスでもなく
第2章 ナショナリズムを構成しているもの
1 三つの意識
2 三つの意識の背景
社会学/政治学/心理学 着目点の違い 諸意識の実態 世界各国の実態 意識は時間とともに変わる
3 意識間の相互連関
愛国心と排外意識はいつ結びつくの? 個人的差異より社会的文脈が重要? グローバル化の効果? 国のメンバーシップの性格?
4 まとめ――ナショナリズムの多次元性
第3章 何が帰属意識を強めるのか
1 ネーションへの帰属意識
地域主義との関係 複数のアイデンティティ
2 近代化と帰属意識の高まり
学校教育、鉄道 出版・印刷の普及 軍隊
3 現代文化と帰属意識
スポーツの祭典 FIFAワールドカップ アフリカのサッカー選手権 ラグビーワールドカップ
4 帰属意識を高める政治
5 まとめ
第4章 何が愛国心とプライドを強めるのか
1 愛国心の多義性・多様性
愛国心をどう捉えているか 愛国心の国際比較
2 経済格差との関係
格差と貧困 政府の陽動
3 政治的動員・選挙との関係
選挙と動員
4 国際環境の影響
グローバル化の影響 国際紛争と脅威
5 文化表象としての音楽イベント
音楽の力 国歌と祭典
6 まとめ
第5章 何が排外意識と優越感情を強めるのか
1 経済不安よりは向社会性?
経済的な脅威 集団的な脅威 外国人比率の効果
2 政治状況と排外主義
ホモナショナリズム/フェモナショナリズム
3 隠れた反移民感情
文脈によって異なる「望ましい回答」
4 国際政治の影響
外交的緊張
5 まとめ
第6章 政治・経済への効果
1 公共財の分配
福祉への効果 多民族国家は不利なのか
2 シンボル操作の効果
国土・国旗という象徴と寄付 党派的分断を癒す
3 民主的な規範と政治信頼
民主主義を促すか 社会的な信頼と負担
4 経済や資源の開発
資源ナショナリズム エコ・ナショナリズム/グリーン・ナショナリズム
5 まとめ――ナショナリズムの政治経済的効用?
第7章 暴力・紛争への効果
1 ナショナリズムと内戦
貧困と格差 政治的排除の回避 連邦制や選挙制度への効果
2 ナショナリズムと少数派の弾圧
暴力と流血が生まれる理由 東欧でのホロコースト
3 ナショナリズムと国家間戦争
国民国家と戦争の波 失地回復運動 言説枠組みの影響
4 ファシズムとセクシュアリティ
5 まとめ――ナショナリズムと暴力
終 章 ナショナリズムの実態を見る
1 何がわかっていて、何がこれからわかるのか
2 政治をめぐる意識の一つとして
3 おわりに
あとがき
注記一覧 / 参考文献・出典 -
民主主義の機能不全がささやかれる今、私たちはいかに自由を失うことなく他者と社会を築けるのか。民主主義論の第一人者である著者が、ルソーの名著から熱きメッセージを読み込む。
「入門書の入門」とも言うべきわかりやすさで、『社会契約論』のキモが100ページのボリュームでわかる!
【目次】
はじめに いまの政治に疑問を感じる人へ
第1章 ルソーはどんな人だったの?
第2章 自由でありつつ人と仲良くするってどういうこと?
第3章 一般意志って結局何なの?
第4章 ルールを作る人と実行する人は別?
終 章 いま『社会契約論』を読む意義って?
『社会契約論』の翻訳について/次に読みたい本
ルソー略年譜
『社会契約論』の翻訳について
次に読みたい本 -
インテレクチュアル・ヒストリーとは何か。哲学的、政治的、宗教的、科学的、芸術的なアイデアは、歴史的文脈のなかでどのように生まれたのか。この方法の可能性を具体的成果とともに語る。
目 次
序
謝辞
はじめに
1 本 質――哲学・思想・政治・経済・科学・文化を切り離さない態度
2 歴 史――第一次世界大戦から現在まで
3 方 法――テキストを経済的・社会的・政治的文脈の中で読む
4 実 践――スキナー、ポーコック、クラフトンらの仕事
5 正当性――歴史は「語られ方」が問題
6 現在と未来――多様な分野での成果
おわりに
注
参考文献
索引
訳者解説 -
新時代の風を一身に浴び、民主的な立憲君主になろうとした昭和天皇。
しかし、時代はそれを許さなかった――。
本書は今まであまりふれられることのなかった青年期に至るまでの教育課程に着目し、政治的にどのような思想信念をもっていたかを実証的に探る。
そしてそれは天皇の実際の振る舞いや政治的判断にいかなる影響を与えたのか――。
旧版刊行後の約15年で、新たに発見・公開された重要史料や史実を増補。
はじめに
昭和天皇の実像とは あくまで実証的に 思想形成過程に注目
第一章 思想形成
一 東宮御学問所
生い立ち 東宮御学問所に進学 杉浦重剛の倫理学杉浦の天皇観・国家観 白鳥庫吉の歴史 清水澄の法制経済
二 訪欧旅行
発端 宮中の職制と元老 外遊の成功
三 摂政就任「君臨すれども統治せず」 神格化を否定 皇室改革に意欲 研修活動 立作太郎の外交史 清水澄の憲法進講 明治天皇について学ぶ 生物学を趣味とする アイドルとなる 牧野伸顕の内大臣就任 政治思想の確立
第二章 天皇となる
一 田中内閣への不信
施政方針を明示 直訴頻発の意味 当時の日課 田中義一首相への不信 優諚問題 中国の主権を尊重 即位大礼 剛毅な昭和天皇像の誕生
二 首相𠮟責事件張作霖爆殺事件 つのる田中首相への不信感 昭和天皇の政党政治観 張作霖事件の進展 𠮟責を決意ついに田中を𠮟責 昭和天皇の発言 田中𠮟責の意味 道徳的な政党政治を追求
三 ロンドン海軍軍縮条約問題
浜口を激励 反撥する軍令部 鈴木侍従長の対応 統帥権干犯問題 加藤軍令部長の辞意 右翼の宮中
側近攻撃 徳治主義の発露 クーデター未遂
第三章 理想の挫折
一 満洲事変
不拡大方針の挫折 最善を尽くしたか 揺らぐ昭和天皇の権威 連盟との対立を心配 犬養内閣の成立桜田門事件 「日支親善は出来得るや」 心労たまる昭和天皇
二 五・一五事件
政党政治を見放す 秩父宮との対立 連盟脱退へ 本庄侍従武官長の登場 なお協調外交を追求 軍の政治化に批判的 満洲問題
三 天皇機関説事件と二・二六事件
天皇機関説事件 在郷軍人会パンフレットを批判 孤立した昭和天皇 対中融和を追求 牧野内大臣の引退 二・二六事件勃発 即時鎮圧を決意 陸軍
への怒り 本庄武官長辞職 近衛首相に期待
第四章 苦悩の「聖断」
一 日中戦争
盧溝橋事件の勃発 対応の誤り やつれる昭和天皇張鼓峰事件で陸軍と対立 長期化する日中戦争
二 防共協定強化問題
念書を書かせる ノモンハン事件と天津租界封鎖問題板垣陸相に激怒 陸相人事に注文 首相の人選を主導 ドイツの快進撃に幻惑される 第二次近衛内閣の成立 三国同盟を容認
三 太平洋戦争開戦
日米交渉に期待 武力行使を強く否定 御前会議で異例の発言 開戦を決断 早期終結を指示 戦況の悪化を懸念 支持を失う東条首相
四 終戦の「聖断」一撃講和論をとる 早期講和論に転換 ポツダム宣言 一回目の「聖断」 昭和天皇の決断 二度目の「聖断」 「聖断」の意図
第五章 戦 後
一 退位問題
東条に責任を転嫁したか マッカーサーに責任を認める 免責への動き 世論の動向 「人間宣言」 新憲法の制定 『独白録』の意味 退位論 退位せず 改憲再軍備と政治関与 留位の副産物 戦後巡幸 皇居再建の道のり
二 講和問題と内奏
新憲法下の天皇 一九四七年九月の発言 講和問題との関わり 戦後の内奏 内奏継続の意味
三 「拝聴録」への道
後半生の主題は戦争責任 世論調査に見る昭和天皇 二度目の訪欧 沖縄への関心 訪米 中国への謝罪 植民地支配への反省 「拝聴録」作成へ 厭世的になる 崩御
おわりに
理想実現に尽力 旧憲法と国民に裏切られる 君主としての責任を自覚 戦争責任と向き合う
昭和天皇についての研究史
参考文献目録
あとがき
人名索引 -
1979年にホメイニ―師を中心とした革命で発足したイラン・イスラーム共和国。シーア派の理論に基づいた体制を敷き、中東でも反アメリカ、反イスラエルの急先鋒として存在感を示す。国際的に孤立しようとも核開発を進めて独自の道を歩むが、ここに至るには東西冷戦や中東での覇権争いなど複雑な歴史があった。本書は革命以後の軌跡を政治・経済・社会の側面から迫る。混迷する国際情勢の中、イランはどこへ向かうのか。
■目 次■
はじめに
序 章 近代国家建設と東西冷戦構造
1 パフラヴィー朝の成立と近代国家への道
2 モハンマド=レザー・シャーの専制政治と白色革命
3 反王政運動と王の国外退去
コラム① 在外イラン人学生の運動
第1章 ホメイニー体制と革命勢力の角逐
1 ホメイニー師の帰還と革命の達成
2 バーザルガーン暫定政府と憲法制定
3 イスラーム共和国体制と大統領選挙
コラム② 反西洋とファストフード
第2章 イラン・イラク戦争とイスラーム共和体制
1 押しつけられた戦争と「法学者の統治」
2 広がる戦火と「コントラ事件」
3 戦争の終結と新たな体制の模索
コラム③ 亡命者とテヘランゼルス
第3章 ハーメネイー体制と政治的自由
1 新体制と戦後復興 ラフサンジャーニー政権(一九八九~九七)
2 体制の変容と政治的自由 ハータミー政権(一九九七~二〇〇五)
3 体制の問い直しと宗教実践の多義性
コラム④ レスリングとサッカー
第4章 新保守派の台頭と「緑の運動」
1 国際関係の緊張とアフマディーネジャード政権(二〇〇五~一三)
2 国際的孤立と「緑の運動」
3 市民生活の変容と核開発問題
コラム⑤ 科学者と頭脳流出
第5章 防衛戦略と核問題
1 革命防衛隊の社会への浸透
2 革命防衛隊とロウハーニー政権(二〇一三~二一)
3 核問題の解決と中東情勢の変化
コラム⑥ 日本とイランの国交一〇〇年
終 章 暗雲垂れ込めるイスラーム共和体制の未来
1 ライースィー政権(二〇二一~二四年)への期待と終焉
2 急変する国際情勢とペゼシュキヤーン政権の発足
3 イスラーム共和体制の未来
あとがき
主要参考文献
関連年表 -
泥沼化する日中戦争、太平洋を挟んだ日米戦争、東南アジアでの日英戦争、原爆投下、敗戦前後の日ソ戦争。
米中英ソとの複合戦争はいかに推移し、幾多の和平・収拾策にもかかわらず、なぜ早期に終戦できなかったか。
他方、本土決戦を目前に、なぜ「聖断」で終戦が可能となったか。
最新研究を踏まえ、昭和天皇・近衛文麿・木戸幸一・鈴木貫太郎らの肉声で辿り、第2次世界大戦の結末を巨細に描く。「狂気の時代」の真実に迫る。
【目次】
まえがき
序 章 「複合戦争」の終わらせ方
「明るい戦争」 帝国陸海軍の作戦計画 「対米英蘭蒋作戦計画」と戦争終結構想 本書のねらい
第1章 太平洋戦線
陸海軍の戦略論争 ガダルカナル攻防戦 日独協力の対英戦略西アジア攻勢の政戦略 「絶対国防圏」――対米戦略の重視 サイパン殉国の歌――太平洋戦線の転機 「捷号」計画の破綻――フィリピンの放棄 沖縄から本土へ 長期消耗戦へ
第2章 大陸戦線
中国戦線の行き詰まり――重慶攻略の難題 「帝都空襲」の衝撃 「五号作戦」(四川進攻作戦)の挫折 重光の「和平構想」――「対支新政策」 「大東亜国際機構」構想 大東亜宣言と戦争目的の再定義 理念的アプローチの功罪 対中和平工作 「容共」政策への傾斜 繆斌工作の挫折 大陸戦線の結末――一号作戦の展開 インパール作戦 一号作戦と共産軍の成長 中国戦線の結末
第3章 徹底抗戦と徹底包囲
決号作戦計画――本土「最終決戦」 「天の利、人の和」――「国民総武装」の功罪 特攻と天皇 特攻の戦果 沖縄戦と戦艦大和特攻 大空襲の広がり 海上交通破壊の威力――機雷と艦砲射撃 ダウンフォール――オリンピック・コロネット作戦 南九州の防備 抗戦力の源泉
第4章 和平論のゆらぎ――小磯内閣の退陣
東條体制の崩壊とその後 三つの和平論 「近衛グループ」の和平構想 「真崎グループ」の即時和平論 「皇道派政権」構想の挫折 近衛拝謁の意味 近衛上奏と対米和平 グルー演説と上奏文の国際認識 近衛内閣案の挫折 高木惣吉の終戦研究近衛の米内留任論 木戸の「聖断」構想 小磯と「大本営内閣」案 小磯の辞意 米内の残留 小磯の「現役復帰」提案 小磯退陣と陸軍中堅層
第5章 鈴木内閣と終戦政略
鈴木首相の終戦指導 組閣と陸軍 米内留任と東郷の再入閣 陸軍中堅層の対応――「バドリオ」内閣? 本土決戦論 「決号」作戦計画と対ソ外交 六巨頭会談方式の確立 三つの対ソ交渉方針 「日ソ支」提携構想 広田・マリク会談 ソ連外交の「自立性」 鈴木の対米メッセージ 大東亜大使会議宣言の意味 戦争の争点を超えて 「無条件降伏」の拘束 ダレス工作とグルー声明 無条件降伏と国体問題 「平和の海」演説の波紋 非常時議会の意味 小野寺工作とヤルタ会談
第6章 「国策転換」の国内政治
近衛と米内の連携 六巨頭会談の硬直化と打開工作 高木の「研究対策」 阿南・米内会談の流産 六相懇談会 革新官僚グループの「本土徹底抗戦論」 「非常大権」発動論と議会 最後の「戦争指導大綱」 戦争目的としての「国体護持」と「皇土保全」 革新官僚の論理 木戸のイニシアティヴ 「時局収拾対策試案」 阿南の説得 六月二二日の御前会議 高木の「研究対策」の意味
第7章 近衛特使とポツダム宣言
対ソ交渉と国内危機 近衛特使への期待 スターリン宛親書とソ連の回答 近衛グループの和平交渉案 高木の和平交渉案 外務省の和平交渉案 「瀬戸際外交」――最後の特使派遣交渉 和平の基礎としての大西洋憲章 ポツダム宣言の形成 ポツダム宣言と「有条件講和」 「黙殺」と「敵の謀略」 カイロ宣言の「黙殺」 対ソ交渉の行き詰まり 原爆とポツダム宣言――投下は必要だったか
第8章 二つの「外圧」と「聖断」
原爆と広島の惨状 ソ連参戦の衝撃 「四条件」 論争 総辞職の危機 「聖断」シナリオの浮上 近衛と重光 木戸と鈴木のシナリオ 第一回聖断――八月一〇日 受諾電の修正 情報局総裁談 陸相告示――「全軍将兵に告ぐ」 外地軍の抵抗 「天佑」論の背景
第9章 戦争終結
バーンズ回答 外務省の解釈 バーンズ回答と陸軍 「総辞職」の危機 天皇の意志 少壮幕僚の「兵力使用計画」 バーンズ回答の「内政不干渉論」 第二回聖断――八月一四日 阿南陸相と「クーデター」計画 終戦詔書と玉音放送 「大詔を拝して」 「国体護持」の自己認識 支那派遣軍の「降伏」 国民党軍と日本軍の協力 中ソ友好同盟条約と共産党軍の満洲占拠 「現地定着」方針の挫折 「以徳報怨」の波紋 日ソ戦争の展開 北海道占領計画と千島
終 章 敗戦の意味
「聖断」の活用 国体のゆくえ 終戦のタイミングと決断の要因 植民地帝国の終戦 日米同盟の起源 なぜ「複合戦争」に陥ったか
あとがき
参考文献・資料一覧
日本終戦史 関連年表 -
国際法を無視してウクライナへの全面侵攻を始めたロシア。
兵士の大動員を行い、西側諸国から経済制裁を受けるも、国民はプーチン大統領を支持し続ける。
地方政府や大企業、メディアを意のままに動かし、選挙や政党まで操作する絶大な権力をプーチンはいかに獲得したのか。
ソ連崩壊からの歴史を繙き、統治機構、選挙、中央と地方の関係、治安機関、経済、市民社会の6つの観点から権威主義体制の内幕に迫る。
■ 目 次 ■
はじめに
第1章 混乱から強権的統治へ――ペレストロイカ以降の歴史
1 ペレストロイカとソ連解体、混乱のエリツィン時代へ 1985~99年
2 プーチンの大統領就任、タンデム支配へ 2000~12年
3 プーチン再登板からウクライナ戦争へ 2012~24年
4 本書の視角
第2章 大統領・連邦議会・首相――準大統領制の制度的基盤
1 ソ連時代の遺産と準大統領制の成立
2 エリツィン時代の対立からプーチン時代の支配の確立へ
3 大統領の任期とプーチンの後継者問題
第3章 政党と選挙――政党制の支配と選挙操作
1 エリツィン体制下の支配政党の不在
2 統一ロシアと政党制の支配
3 バラエティ豊かな選挙操作
第4章 中央地方関係――広大な多民族国家の統治
1 強力な地方エリートと非対称な連邦制
2 プーチンの登場と垂直的権力の強化
3 2010年代の展開と地方への押し付け
第5章 法執行機関――独裁を可能にする力の源泉
1 プーチン体制を支えるシロヴィキたち
2 権威主義的な法律主義
3 市民の生活と法執行機関
第6章 政治と経済――資源依存の経済と国家
1 オリガルヒの誕生と政治への介入
2 集権的ネットワークの確立
3 ロシアの市民と経済
第7章 市民社会とメディア――市民を体制に取り込む技術
1 ロシア市民の政治観
2 市民社会の抑圧と抱き込み
3 メディアの支配とプロパガンダ
終 章 プーチン権威主義体制を内側から見る
あとがき
主要参考文献 -
植民地時代の対日協力者で「売国奴」とされた親日派。
独立後の韓国は「反民族行為処罰法」を制定し多数検挙するが、反日闘士だった初代大統領・李承晩は事実上廃案にする。国家機能維持のためには親日派の協力が必要であり実利を取ったのだ。そのため戦後も政治や軍の中枢を親日派は占め続けた。
だが民主化後、親日派への批判が始まる。21世紀以降は、政治がその清算を強く求め、「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」を制定、民間でも『親日人名辞典』アプリが配信されるなど、子孫を含めた糾弾が続く。しかし、その内実は現代政治に強く影響され、「政治カード」として大きく変質している。
一見すると明確な利益が見出せない問題に、なぜ韓国は1945年の「解放」から80年にわたって莫大な労力を割いてきたのだろうか。親日派から描く韓国近現代史。 -
戦後、日米政府間で誰にも知られず交わされた密約。
政府首脳だけが把握し、日米安保のかげで、両国間の構造に深く組み込まれてきた。
①米兵の裁判権放棄、②日本への核持ち込み、③基地からの米軍の自由な出撃、④沖縄への核持ち込みという四つの密約の正体とは何か。
なぜ密約が生まれ、日本に何をもたらしたか。
米国側の史料・新事実を踏まえ、裏交渉の全容を解明。
ヴェールを剥ぎとり、対米依存の真相に光を当てる。
【目次】
まえがき
序 章 なぜ密約が交わされてきたのか
「表」の条約・「裏」の密約 密約とは何か なぜ密約は問題になるのか 本書の目的と方法 本書の構成
第1章 なぜ米兵を裁けないのか――刑事裁判権放棄密約の実態
1 刑事裁判権の原理
旗国法原理 領域主権論 NATO軍地位協定
2 日米行政協定の改定
日米の主張 交渉開始 解決の糸口 津田陳述
3 密約の成立
津田陳述の密約性 オランダ方式・ドイツ方式 密約の実務
4 密約の検証
津田陳述の非公表性 統計データによる起訴率 オランダ・ドイツの裁判権放棄事例 刑事裁判権放棄の透明性の確保
第2章 日本への核持ち込み――一九六〇年核持ち込み密約
1 米国の核政策・日本の非核政策
米国の核保有数の急増 アイゼンハワー政権のニュールック政策 NCND政策 重光・アリソン口頭了解
2 安保改定の舞台裏
岸首相の訪米(1957年6月) 藤山外相の訪米(1958年9月) 米国の核戦略 フォーミュラ案
3 秘密交渉の内幕
岸・ハーター交換公文 フォーミュラをめぐる日米交渉 藤山外相の口頭了解 秘密了解をめぐる攻防 日本側の譲歩 「討議の記録」
4 対米依存構造
密約調査と外務省報告書 「東郷メモ」 非核二・五原則 核持ち込み密約
第3章 米軍が自由に出撃するために――一九六〇年朝鮮議事録
1 国連軍と日本
「国連軍」の創設 「吉田・アチソン交換公文」 国連軍と戦闘作戦行動
2 国連軍と事前協議制度
「吉田・アチソン交換公文」の効力 日本案の内容 日本案への反応 統合参謀本部(JCS)の意見 朝鮮半島有事における例外規定
3 密約締結の真相
朝鮮半島有事の検討と米側の要請 日本側の対応 「好意的考慮案」 表向きと裏の取り決めの二重構造
4 朝鮮議事録
吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文 朝鮮議事録 朝鮮議事録への署名 「事前協議なき出撃」 事前協議制度の形骸化
第4章 沖縄返還と基地の自由使用――朝鮮議事録の行方
1 沖縄返還への道のり
「潜在主権」 ブルースカイ政策 ハルペリンとスナイダー 密使・若泉敬 佐藤・ジョンソン会談(1967年11月)
2 沖縄返還の対処方針
「核抜き・本土並み」 ニクソン政権下のNSC NSSM5号 NSDM13号
3 作戦使用と事前協議
愛知・ロジャーズ会談(1969年6月) 共同声明抜粋案と総理の一方的発言案 米側共同声明案 韓国・台湾・ベトナム
4 共同声明・総理の一方的発言
安保条約の原則 韓国条項 台湾条項 ベトナム条項 朝鮮議事録の存続
第5章 沖縄への核持ち込み――一九六九年沖縄核持ち込み密約
1 沖縄返還交渉と核問題
日米の立場 第二次日本案 苦悩する佐藤首相 「会談録」 日本側最終打合せ
2 密使・若泉敬の再起用
政治的ホットライン 佐藤首相の曖昧な返答 繊維問題 スタンズ・ペーパー ホイーラー・ペーパー
3 核抜き交渉
佐藤首相案と若泉案 手続きに関する申し合わせ(シナリオ) 「核抜き」合意
4 核と繊維
合意議事録草案 草案の確定 合意議事録への署名 難航する繊維問題 軍部の説得
終 章 密約が交わされる構造と深層
密約の特徴 密約の残した影響 密約が明らかにした課題
密約の教訓 日米密約の根源
あとがき / 密約資料 / 参考資料
日米密約史 関連年表 -
フランス大統領を2期務め、欧州統合の礎を築いたフランソワ・ミッテラン(1916~96)。
社会党初の大統領として、東西ドイツ統一や冷戦終結など国際政治の激動期を導いた。一方、青年期にはナチスに協力的なヴィシー政府で働いた過去や、大統領期に新自由主義的な政策を実施したことから、権謀術数を駆使した「政治屋」と揶揄する声も多い。
毀誉褒貶ある足跡から、戦争と革命の20世紀とフランス現代史を辿る。
■目次■
まえがき
第1章 フランスの地方に生まれて――「王か法王になる」
第2章 世界大戦との出会い――「フランスを中から目覚めさせる」
第3章 政界のホープ――「野心は統治者になることに尽きる」
第4章 大統領への道――「革命とは決別のことである」
第5章 社会主義から欧州統合へ―― 「私はヨーロッパ建設と社会正義の間で迷っている」
第6章 ドイツ統一とポスト冷戦時代の始まり――「自らの手でヨーロッパを作り出す」
終 章 フランスの歴史と政治――ミッテランが遺したもの
あとがき
写真出典
主要参考文献
ミッテラン略年表 -
ヴィクトリア女王の長い治世と第一次世界大戦に挟まれた「転換」の時代に「エドワード平和王」の異名を取った国王が即位する。英国史上二番目の長い皇太子時代を経て即位した王は、一九世紀的な古典外交を駆使し、動乱の影が迫る欧州の均衡を保とうとした。エドワード七世の御世は、二〇世紀的外交秩序が崩壊の兆しをみせるチャールズ三世の現在と奇妙に符号しながら、現代を逆照射する。『ベル・エポックの国際政治』の改題新版。
目次
新版への序文 二人の老皇太子
はじめに
第一章 「万年皇太子」バーティの旅路
第二章 「国王陛下万歳!」——英仏協商締結とバーティの活躍
第三章 ニッキーと同盟者【ミカド】のはざまで——日露戦争とイギリスの立場
第四章 バーティとテディ―新たなる英米関係の幕開け
第五章 ヨーロッパの火薬庫―バルカン問題とバーティ
第六章 愛憎半ばのバーティとウィリー——二〇世紀初頭の英独関係
第七章 バーティの死と世界大戦への道
おわりに
新版へのあとがき -
立党から70年を迎えた自由民主党。
自民党の「戦後保守」とは何か、自民党はいかに誕生したのか。
安全保障政策や党綱領、党則に精通する著者が、吉田茂、鳩山一郎、岸信介、三木武吉、石橋湛山、大野伴睦らの足跡を追い、「保守合同」に邁進した政治家たちの夢や挫折、眠れない日々を乗り越え、自民党誕生を実現した壮大なドラマ・物語を描く。
警察予備隊から自衛隊への歴史的経緯、綱領や党則、保守主義の政治哲学の成立過程を資料・史実をもとに平易に解説する。自民党誕生の政局・政策・党運営の変遷を辿り、政党政治を考えるヒントを示す。
〈目次〉
序 自由民主党本部事務総長 元宿仁
はじめに
第一章 日本自由党の誕生
第二章 鳩山追放と第一次吉田内閣
第三章 吉田、再軍備は「go very slowly」
第四章 日本独立と再軍備への道
第五章 吉田ドクトリンの定着と反発
第六章 緒方竹虎の「爛頭の急務声明」
第七章 三木武吉の「保守結集の車中談」
第八章 自由民主党誕生
終章 三木武吉と立党十年
あとがき 麗澤大学特任教授 江崎道朗 -
1952年に25歳で英国の王位に即いたエリザベス女王。カナダ、オーストラリアなど15ヵ国の元首でもあった。70年間という史上最長の在位期間中、政治に関与し続け、また数多くの事件に遭遇する。W・チャーチルら15人の首相が仕え、「政治的な経験を長く保てる唯一の政治家」と評された。本書はイギリス現代史を辿りながら、幾多の試練を乗り越え、96年に及んだ生涯を描く。コロナ禍や新国王の戴冠式を増補した決定版。
【目次】
第Ⅰ章 リリベットの世界大戦――王位継承への道
第Ⅱ章 老大国の若き女王――二五歳での即位
第Ⅲ章 コモンウェルスの女王陛下――一九七〇~八〇年代
第Ⅳ章 王室の危機を乗り越えて――ダイアナの死と在位五〇周年
第Ⅴ章 連合王国の象徴として――二一世紀の新しい王室
補 章 「大王」の死――コロナ、在位七〇周年、そして崩御
おわりに
あとがき/増補版へのあとがき
主要参考文献
主要図版出典一覧
エリザベス女王関連年譜 -
東西冷戦下、第三勢力台頭の機運を背景に激化した植民地独立闘争、アルジェリア戦争(1954~62年)。
フランスは兵力を増派して鎮圧を図るも成功せず、巨額の戦費による財政難、国内政治の行き詰まりで第四共和制が崩壊した。ドゴール政権は難局を打開すべく、強硬路線を転換し、ついに独立を承認する。
約8年に及んだ戦争はフランスと国際社会に何をもたらしたのか。今日の移民問題にも密接に関わる歴史的事件を見直す。
■本書の目次
まえがき
序章 戦争前史
オスマン帝国以前/オスマン帝国の支配/フランス占領の開始/アラブ民族主義との結合/カビリーの蜂起/アルジェリアでの同化政策/第一次世界大戦の影響/両大戦間期とENAの登場/第二次世界大戦
第一章 独立戦争の開始
「赤い万聖節」/アッバースの反応とFLNへの接近/独立運動の国際化の始まり/バンドン会議とアジア・アフリカの連帯/ナセルの登場とマグレブの参加/バンドン会議の短期的影響/強硬路線とヨーロッパ統合構想との交錯/アルジェリア強硬路線への回帰/ドゥフェール海外領土相と植民地の将来
第二章 アラブ諸国の参戦とドゴール復帰
スエズ危機・戦争とアルジェリア問題の連関/スエズ危機・戦争のインパクトとその背景/危機から戦争へ/ハンガリー動乱と「二重の危機」/英仏連合・FTA構想の興亡/スンマム会議からアルジェの戦いへ/拷問、検閲、監獄、収容所/モレ政権崩壊とアルジェの戦いの終結/マグレブの国境紛争/サキエト事件と英米の調停/ドゴールの召喚/アルジェでのコロンによるクーデター/ドゴールの首相就任
第三章 戦場の拡大と膠着
戦場の本国への拡張/FLNによる本土でのテロ攻撃/ドゴール外交の始動/GPRAの成立/ドゴールのアフリカ政策の展開/コンスタンティーヌ・プランの発表/「勇者の平和」提案/ドゴールの大統領就任演説/EECの救済とアルジェリアの包摂/シャル計画の開始
第四章 自決の承認から停戦交渉の模索へ
ドゴールの「自決演説」/自決演説の意味/ムランでの休戦交渉の「失敗」/知識人たちのアルジェリア/国連での反植民地主義の高まり/OASの台頭
第五章 エヴィアン交渉
外交舞台/主要な争点/軍事面での争点/外交交渉での取引/交渉妥結の構造的要因/アラブの連帯、ヨーロッパの連帯/国連の圧力
第六章 和平協定の締結
エヴィアン協定における「独立」/脱植民地化の波の中で/脱植民地化の流れへの影響/フランス外交への影響/フランス外交戦略の変化/中東政策の変化/停戦からアルジェリア独立へ/ドゴール暗殺未遂事件/憲法採択とベンベッラ政権の発足
終章 アルジェリア戦争は何を遺したのか
休戦交渉以前/休戦交渉以後/独立後のフランス-アルジェリア関係/第三世界の雄との「対決」/ミッテランの登場と「ユダヤ例外主義」/「危機の一〇年」/シラクによる戦争の承認/記憶をめぐる闘いの終焉?/惨劇を繰り返さないために
あとがき
参考文献 -
世界で先行していた物価の高騰=インフレーションが、日本でも2022年春から始まった。
それまでの慢性デフレから一転したのはなぜか――。
物価研究の第一人者がその謎を解く。
物価高騰は私たちの生活を圧迫するが、同時に賃上げを達成すれば、市場は価格メカニズムを取り戻し、日本の経済は好循環で回り始める。
どうすれば賃金を上げられるのか?
政策金利は、財政はどうなるのか?
直撃するインフレの実態に迫る。
■目 次■
序 章 新たな時代の始まり
第1章 賃金・物価・金利の正常化
1 本章の論点
2 慢性デフレとは何だったのか
3 賃金・物価・金利の変化
コラム:日銀はなぜ2%のインフレを目指すのか
第2章 インフレは日本経済をどう変えるのか
1 本章の論点
2 価格メカニズムの正常化
3 実質為替レートの正常化
4 政府債務の正常化
第3章 インフレと日銀
1 本章の論点
2 インフレは一過性か
3 物価予測のミスを闇に葬った日銀とエコノミストたち
4 「基調的インフレ」とは何か
5 植田日銀の利上げは機会主義的
6 利下げでトランプ関税に備えよ
7 国際的な「同期」が高インフレをもたらす可能性
コラム:日銀の追加利上げは「全く理解できない」
第4章 インフレと賃上げ
1 本章の論点
2 安いニッポンに賃上げと値上げの自粛は必要ない
3 最低賃金の引き上げはなぜ必要なのか
4 実質賃金改善のために労使は何をすべきか
5 「自然」実質賃金という考え方
6 トランプ関税を負担するのはいったい誰なのか
コラム:賃上げを社会に定着させる方法
第5章 インフレと財政
1 本章の論点
2 賃金と物価を上げるための財政支出をためらってはいけない
3 インフレ率2%経済への移行で得られるインフレ税収
4 消費税減税で潤うのは買い手ではなく売り手なのか?
コラム:高市政権の「積極財政」の可能性とリスク
第6章 インフレの変動要因
1 本章の論点
2 令和の米騒動の原因は需要か供給か
3 黒田日銀総裁が語った70万字
4 パンデミックで迷走した物価統計
5 消費者が「見た」価格と「買った」価格はどう違うのか
あとがき
図表出所一覧
初出一覧
参考文献 -
◆労働省vs法務省の権限闘争と、
特殊な日本型雇用システムにあった!
労働政策研究の第一人者が解き明かす、驚きの真実
「開国論」vs「鎖国論」という知識人たちの浅薄な議論の陰で
起きていたこととは……
◎内容紹介
日本は外国人労働者に極めて差別的、技能実習制度は「現代版奴隷制度」など、国内外から批判されてきた日本の外国人労働政策。
80年代には、「開国論」対「鎖国論」が論壇を賑わせたが、日本の制度が歪んだのは、排外主義的な政治家や狭量な国民のせいとは言い難い。
本当の原因は、霞が関の権限争いと、日本型雇用慣行の特殊性にあった。
労働政策研究の第一人者で、元労働省職員でもあった濱口桂一郎が、驚きの史実を解き明かす。 -
政治の見方を変えた画期的名著が刊行から40年を経てよみがえる!
なぜ長期安定政権が続いたのか、どこに権力があるのか、誰が首相を決めたのか‥
役職人事の制度化や派閥の機能など、自民党の党運営、政治過程を実証的なデータを用いて分析する。
図表および資料多数収載。解説・河野有理。
〈目次〉
第Ⅰ部 分析
第1章 優越政党としての自民党
第2章 役職人事の制度化
第3章 派閥と党運営
第4章 政策決定の仕組み
第5章 民意への対応
第6章 自民党の国会運営
第7章 野党の立法活動
第8章 現代日本の政治システム
第Ⅱ部 資料解題
第1章 戦後内閣一覧表
第2章 自民党の前身政党
第3章 自民党政権の組織構造
第4章 自民党議員
第5章 有力議員
第6章 官僚・知事経験議員
第7章 派閥
第8章 政務調査会
第9章 国会審議
第Ⅲ部 基礎資料
戦後内閣一覧
役職一覧
戦後選挙結果一覧
自民党議員一覧 -
90年代から「帝国の解体」は始まっている。
21世紀の世界はどのような規範や秩序を持つのか。
イスラーム外交を手がかりに新生する規範や秩序を考究し、併せて日本外交の可能性を大胆に示す。
【目次】
はじめに―北朝鮮問題と中東問題の連鎖
歴史と外交―ゆきすぎの防波堤として
イラク戦争と「アラビアのロレンス」―ゲリラ戦術と自爆テロの意味
あふたあ・えんぱいあ―戦後政治外交六〇年の教訓
歴史の曲がり角で
西欧のテロとイスラームの間―自由と寛容の罠
後継なき独裁者アラファトの「政治家失格」
表現の自由と信仰の尊厳―預言者ムハンマド諷刺画の波紋
イラン問題とイラク問題の複合性―中東における対決と対立の論理
それでも未来は続く…イラク戦争からレバノン危機へ
ヒズボラの誤算とイスラエルの挫折
必要のなかった戦争―レバノン危機と逆説の構図
ローマ法王と文明の衝突―「預言者ムハンマド批判」の背景
おわりに―二つの構想
中東国際関係史の構図―帝国の解体 -
三大国の思惑が入り乱れるヤルタ会談を舞台に、尊大・放縦な「父」を支え、機転と才覚により協定を成立へと導いた英首相チャーチル次女・セアラ、米大統領ローズヴェルト長女・アナ、米駐ソ大使ハリマン次女・キャスリーン(キャシー)の活躍と波瀾の生涯を描く
主要登場人物
英首相チャーチル次女・セアラ 1914-1982 (カバー写真左)
首相副官・女優・空軍婦人補助部隊士官 3度の結婚。 頭脳明晰にして情熱的。当時、初婚が破綻する中、息子がナチスの捕虜となった傷心中の米駐英大使ワイナント(戦後ピストル自殺)と不倫関係に。戦後は映画・舞台女優として活躍
米大統領ローズヴェルト長女・アナ 1906-1975 (カバー写真中央)
大統領副官 2度の結婚。 当時、2度めの婚姻中。会期中、瀕死の父(2ヵ月後に死去)を献身的に介助。母エリノアと距離を置き、父の愛人秘書ルーシーを敬愛。戦後は新聞経営に失敗、その後、社会奉仕活動に専念。
米駐ソ大使ハリマン次女・キャスリーン(キャシー)1917-2011(カバー写真右)ジャーナリスト ロシア語を習得し、対ソ首脳との融和に貢献。ソ連軍によるカティンの森虐殺事件をナチスの犯行と誤認。父から、父の愛人パメラとの離反工作を依頼されるもパメラと友情を温める。
チャーチル長男妻・セアラの兄嫁・パメラ・チャーチル 1920-1997
キャシーの父ハリマンとロンドン空襲下で不倫関係に。多くの男性と情事を重ね、71年にハリマンと3度めの結婚。民主党の主要な資金調達者となり、クリントン政権下で米駐仏大使。 -
対日講和に奔走し、アイゼンハワー大統領下で国務長官として冷戦外交を主導。第二次世界大戦後の混乱する世界情勢に鑑みて、NATO(北大西洋条約機構)やOAS(米州機構)設立の経緯を明かす。ソ連・中国の脅威に直面するなかで、安易な宥和政策や国連安保理の機能不全を批判、世界の安定・平和への方策を提言する。
第二版の原著者まえがき
第一章 現代の課題
第一節 危機
第二節 汝の敵を知れ
第三節 目標
第二章 われわれの政策
第一節 宥和策は無用
第二節 国際連合
第三節 国連の運営状況
第四節 植民地の進展と暴力革命
第五節 地域的連合
第六節 経済上の空白と精神上の空白
第七節 軍事上の空白
第八節 外交政策の特殊性
第三章 外交政策の限度
第一節 五カ年間の得点しらべ
第二節 なぜ共産主義は勝つか
第四章 なにをなすべきか
第一節 これだけはぜひとも
第二節 二党協調主義の将来
第三節 世界機構の発達
第四節 西欧の統一
第五節 アジアにおける諸政策
第六節 軍部の役割
第七節 新しい方法
第八節 精神に必要なもの
第九節 平和への道 -
第二次世界大戦以降、アメリカが主導してきたグローバル化が挫折しつつある。自由民主主義と市場経済の社会モデルが綻びを見せ、権威主義の中国やロシアが秩序変更を狙う。世界はこれからどうなるのか――。本書は古代ローマ帝国から現代のアメリカ一極優位までを俯瞰し、「一つの世界」への統合と、分解のダイナミクスを捉える。さらにグローバル化後の「四つの世界秩序」の可能性と、日本の未来を考察する。
■ 目 次 ■
はじめに
第1章 統合の条件1 グローバル化の波動
2 構造
3 権力
4 制度
5 文化と規範
第2章 広域的秩序の興亡
1 前近代のグローバル化
2 ローマ帝国と中世ヨーロッパ
3 ユーラシア大陸の統合と分解
4 西洋の興隆と自滅
第3章 アメリカ主導のグローバル化
1 戦勝国としてのアメリカ
2 戦後経済の制度化
3 勝利の逆説
4 露呈した「リベラリズム」の限界
第4章 四つの世界秩序
1 一つの世界再グローバル化
2 三つの世界新しい冷戦
3 多数の世界再近代化する世界
4 無数の世界中世は再来するのか
第5章 ポスト・グローバル化と日本
1 大国でも小国でもない日本
2 仲間を増やし、敵を減らす
3 「自立」を迫られる日本
4 「日本」の生き残りとは何なのか
おわりに
主要参考文献 -
いまだに旧帝国海軍の旧弊を引きずり、現実離れした島嶼防衛に力を入れる海上自衛隊隊。
いびつな人事を温存する陸上自衛隊。
スクランブル偏重の航空自衛隊……。
命令一下で動くよう訓練された戦闘組織であるがゆえに、自己批判の力が弱く、陸海空相互に評価することも差し控える自衛官。
戦後80年間の平和に浴し、自衛隊は有事に闘えない組織になってはいないか。
「これは、誰かが言わなければならないことだ」。
元・海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)が危機感と使命感で立ち上がった。
自浄作用なき古巣(自衛隊)の劣化を指弾する前代未聞の警告の書。 -
【中公学芸ライブラリー】
戦後日本を代表する国際政治学者であり、外交ブレーンとしても活躍した著者が自ら編んだ1970~90年代の外交評論集。
冷戦、日米経済摩擦、石油危機、湾岸戦争などさまざまな時代の変動を、理論と政策双方に通じた著者はいかに読み解いたか。
歴史の造詣に裏打ちされた国際感覚が捉えた、20世紀後半の日本、そして世界の変化の本質とは。
世紀を越えていっそう価値を増す、思索の軌跡。
稀代の英知が最後に手がけた、現代への示唆に富む一冊。
【中公学芸ライブラリー】 -
沖縄戦で鉄血勤皇隊として死線を彷徨い、戦後は早稲田大学、米国に留学、琉球大学で沖縄戦・沖縄学の教鞭を執った大田昌秀。米統治下から論壇で活躍し、1990年、知事当選後は米軍基地問題と対峙する。
冷戦終結後の新たな日米関係が求められる中、米兵による少女暴行事件が勃発。高揚する民意と日本政府との間で解決を模索するが、3度目の知事選で敗北する。
100冊以上の自著で沖縄の苦悩を記し、沖縄現代史と共に歩んだ生涯。
はじめに
第1章 沖縄戦という原点
1 久米島の秀才
2 沖縄師範学校への進学
3 鉄血勤皇隊としての戦争体験
第2章 本土、米国への留学――1950~56年
1 収容所から沖縄文教学校へ
2 早稲田大学での「日留」 本土の解放感
3 「米留」の2年間 強烈な民主主義体験
第3章 日本復帰論高揚のなかで――琉球大学時代①
1 沖縄人意識の探究 「事大主義」問題
2 日本国憲法下への復帰支持
3 復帰論の思想的位置 「反復帰論」、進歩派との距離
第4章 復帰後、沖縄学の批判的継承――琉球大学時代②
1 アイデンティティの模索 復帰直後の課題
2 戦後の沖縄学 沖縄戦・占領史の追究
3 「積極的平和」への共鳴
第5章 沖縄県知事の第一期――1990~93年
1 出馬の決断と勝利 少数与党の議会運営
2 軍用地強制使用問題と三次振計
3 平和行政の展開 戦後50周年への拠点づくり
第6章 沖縄からの異議申し立て――1994~96年
1 戦後五〇年目の「転換」を目指して
2 少女暴行事件と代理署名拒否
3 日本政府との攻防 基地返還の具体化構想
4 普天間飛行場の返還合意と苦渋の決断
第7章 大田県政の挫折――1996~98年
1 橋本首相との関係 官邸主導の経済振興へ
2 失速する県政 吉元副知事の再任否決
3 普天間移設問題の迷走
4 橋本首相との断絶、知事選敗北
第8章 晩年と死
1 再び研究活動へ
2 参議院議員時代 問い続けた「沖縄とは何か」
3 沖縄独立論への傾斜
おわりに
あとがき/主要参考文献
大田昌秀 略年譜 -
歴史は政治を解き明かす。政治思想の歴史は政治的な企図、行動、そして発言のさまざまな意味を明らかにしてくれる。定評あるオックスフォード大学出版の「入門書シリーズ」の一冊。思想史の研究対象をカノン(正典)とされるテクストに限定せず、西洋(とくに欧米)中心の思想史研究を相対化し、男性中心の思想史から自覚的に離れることを説く。
目 次
謝辞
第1章 歴史と政治
第2章 定義と学問の正当性
第3章 政治思想史とマルクス主義
第4章 政治哲学者と政治思想史
第5章 ケンブリッジ学派
第6章 コゼレックと概念史
第7章 フーコーと統治性
第8章 包括性、道徳性、そして未来
参考文献 文献案内 索引
訳者解説 -
本書では、あくまで史料に即して大隈の活動を「検証」することを目指した。その際、大隈と政治的に対立していた人物の史料や、出所の怪しい密偵情報などはなるべく使用を避け、使用する際にはしっかりとした史料批判を経て使用するように心がけた。その上で、本書では、大隈の日本近代史における軌跡を、その挫折や失敗、負の部分までをも含めて明らかにしていきたい。というのも、大隈の栄光だけでなく、そうした挫折や負の部分のなかに、現在の我々にとって新たな発見をもたらしうる材料が含まれていると信じるからである。現代社会のあり方や我々の生き様につながる何かを、本書のなかから見つけていただければ幸いである。(はじめにより抜粋)
第一章 近代西洋との遭遇――佐賀藩士・大隈八太郎
第二章 近代国家日本の設計―明治新政府での活動
第三章 「立憲の政は政党の政なり」―明治一四年の政変
第四章 漸進主義路線のゆくえ-立憲改進党結成から条約改正交渉まで
第五章 理念と権力のはざまで―初期議会期の政党指導
第六章 政党指導の混迷―第一次内閣以後の政党指導
第七章 日本の世界的使命―東西文明調和論と人生一二五歳説
第八章 世界大戦の風雲のなかで―第二次大隈内閣の施政
第九章 晩年の大隈重信―国民による政治と世界平和を求めて
おわりに―歴史の「大勢」のなかで -
矢部貞治(1902~67)は、政治に直接コミットした最初の研究者の一人である。1926年に東大法学部に助手採用された矢部は、助教授時代の35~37年にヒトラー擡頭下の欧米に留学、大きな政治の変革を見る。帰国後39年からは教授に就き政治学講座を担うなか、首相として”全盛期”にあった近衛文麿のブレーンとして昭和研究会に参加。現実政治のなかで実践を試み、国内・国際新体制を立案する。
敗戦後は自らの責任を感じ東大を辞職。同志を集めて日本再建についての研究を始めた。1950年代半ば以降は、拓大総長や早大教授などを歴任しつつ憲法調査会、選挙制度審議会など政府委員を務め、またメディアでも積極的に発言し、現実政治の変革を求め続けた。
本書は、矢部の生涯を通し、日本における政治と知識人の関係を描く。 -
「大東亜戦争(太平洋戦争)」については主に「日米開戦」に至る過程に焦点があてられ、真珠湾攻撃より早く始まった日本とイギリスの開戦への経緯は等閑視されている。
本書は、まず、イギリスがシンガポール海軍基地建設し、ワシントン軍縮条約、日英同盟が破棄された1920年代以降の、日英の南洋における利権の対立を分析する。
英連邦(イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア)では、日本によるシンガポール陥落や東洋艦隊の壊滅は、イギリス帝国史上最大級の恥辱的出来事とされ、「失敗の原因」を探るという観点から「イギリス『シンガポール戦略』の失敗」に関して大きな関心が、戦後直後から現在にいたるまで、持たれている。
本書は、イギリスの南洋政略と当時の日英のシーパワーのバランス、日本の南進策の実態、陸海軍の対英米観の相異の変質を明らかにしながら、日英開戦に至った経緯をグランド・ストラテジー(大戦略)の観点から検証する
目次
序章 「シンガポール戦略」
「ジェリコ・リポート」
「シンガポール戦略」の起源
シンガポール基地建設案の採用とその後
センバーワン海軍基地
縮小される基地計画
政権交代とシンガポール海軍基地
建設開始と引き伸ばされる建設期間
対自治領政策から対日戦略へ
帝国両端での脅威
シンガポール海軍基地の開港
「シンガポール要塞」の実情
約束の履行
開戦
「プリンス・オブ・ウェールズ」撃沈
シンガポール陥落
第一章 太平洋のバランス・オブ・パワー
ワシントン会議に向けた海軍の準備
ワシントン会議に向けた陸軍の準備
ワシントン会議に向けた日英の基本方針
ワシントン海軍軍縮条約第一九条
陸軍の反対
新たなるバランス・オブ・パワーの成立
帝国国防方針
帝国国防方針改定
ジュネーヴ会議
ロンドン軍縮会議に向けて
ロンドン会議への基本姿勢
おわりに――「シンガポール戦略」と日本海軍
第二章 海軍軍縮体制の終焉
ロンドン会議と統帥権干犯問題
満洲事変と第一次上海事変
海軍軍縮の終焉と第一九条
おわりに
第三章 世論の受け止め――一九二〇年代
基地との最初の遭遇
関東大震災とその後
労働党による一時休止
シンガポール海軍基地をめぐる日英の外交協力
シンガポール海軍基地と一九二〇年代の論客たち
おわりに――一九二〇年代の言論空間におけるシンガポール海軍基地
第四章 世論の受け止め――一九三〇年代
「一九三五~六年の危機」
未来戦記とシンガポール海軍基地
反英論の盛り上がりとシンガポール海軍基地
頂点を迎える反英論
池崎忠孝『新嘉坡根拠地』
おわりに――一九三〇年代の言論空間におけるシンガポール海軍基地
第五章 一九三六年の南進策の再検討
南進策の浮上
「帝国国防方針」の改定
南進策の主唱者たち
おわりに――一九三六年の南進論
第六章 マレー・シンガポール攻略「作戦計画」の起源と進化
作戦計画なき「作戦計画」
マレー・シンガポール攻略作戦の起源
井本熊男の南洋視察旅行
「マレー・シンガポール攻略作戦」作戦計画の進化
おわりに――「作戦計画」の持つ意味とは?
第七章 欧州戦争の衝撃と南進
欧州戦争と日本
おわりに――一九四〇年の南進論
第八章 大戦略なき開戦
戦争への躊躇――一九四一年春
独ソ戦開戦前夜の状況
独ソ戦の衝撃
戦争への道
おわりに――対英戦争から対米戦争への拡大
第九章 シンガポール攻略に向けた準備の完成
シンガポール攻略に向けた準備
おわりに -
巨匠フルトヴェングラーや帝王カラヤンが歴代指揮者に名を連ね、世界最高峰のオーケストラと称されるベルリン・フィルハーモニー。
1882年に創設され、ナチ政権下で地位を確立。敗戦後はソ連・アメリカに「利用」されつつも、幅広い柔軟な音楽性を築き、数々の名演を生んできた。
なぜ世界中の人々を魅了し、権力中枢をも惹きつけたのか。150年の「裏面」ドイツ史に耳をすまし、社会にとって音楽とは何かを問う。
【目次】
第1章 誕生期――市民のためのオーケストラとして
べルリンの音楽環境 「音楽の国ドイツ」 ベルリンのビルゼ楽団 ビルゼ楽団の危機 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の誕生 ヨーゼフ・ヨアヒムの尽力 財政危機 ビルゼ楽団のその後 初代常任指揮者ハンス・フォン・ビューロー 芸術家としての指揮者 ホールの改築 ビューローの晩年 ビューローの死
第2章 拡大期――財政危機から国際化へ
後継者問題 ニキシュの就任 積極的な国外演奏 オーケストラ・マネジメントの進展 世紀の「大演奏家」 オーケストラ演奏会ブーム 新しい音楽活動としてのレコーディング 財政難 第一次世界大戦 戦時中の活動 ドイツの敗戦 ニキシュの死 ニキシュの追悼とフルトヴェングラー
第3章 爛熟期――ナチとベルリン・フィル
フルトヴェングラーの就任 財政的苦境 戦後の平和と国外演奏 「新しい音楽」への取り組み ワルターとメニューイン 新しいメディアへの挑戦 ベルリン・フィルと「現代音楽」 音楽とナショナリズムの交差 世界恐慌とドイツの変容 創立50周年とナチの影 ナチ政権の発足 「帝国のオーケストラ」 政権との距離 政権による圧力と「自律」の確保 音楽家の亡命 ドイツの対外イメージ悪化の中で 演奏史と文化政策 カラヤンのベルリン・フィルデビュー 対外宣伝装置として 「兵士に準ずる存在」として 同盟国や占領国での演奏 戦時下の演奏 空襲におびえながらの演奏会 フルトヴェングラーの亡命 ドイツの破滅
第4章 再建期――戦後の「再出発」
破壊され尽くしたベルリン ソ連占領軍政府によるボルヒャルトの指名 戦後最初のリハーサル ソ連占領軍政府の思惑 戦後最初の演奏会 英米によるベルリン・フィル獲得競争 本拠地決定 ボルヒャルトの死 チェリビダッケの指名 チェリビダッケの暫定指揮者就任 オーケストラの「非ナチ化」 フルトヴェングラーの復帰 団員の士気の低下 ベルリン封鎖中の訪英 フルトヴェングラーの意欲低下 カイロ遠征 主権回復後の新運営体制 創設70周年 訪米計画と国際政治 西ベルリン初の音楽専用ホール フルトヴェングラーの死
第5章 成熟期――冷戦と商業主義の中で
チェリビダッケとオケの不和 カラヤンの指名 カラヤンの来歴 常任指揮者契約 アメリカツアー 積極的レコーディング活動 シュトレーゼマンの支配人就任 フィルハーモニー・ホールの建設 オーケストラの公共性 ドイツの「和解外交」とベルリン・フィル ザルツブルク復活祭音楽祭 音楽の「映像化」 カラヤン財団創設 ソヴィエト遠征 権威化するカラヤンとその横顔 カラヤン・アカデミー ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭 団員との軋轢 支配人をめぐる軋轢 冷戦をまたいだ演奏活動 オーケストラ以外での団員の音楽活動 ザビーネ・マイヤー事件 カラヤン離れの模索 若干の歩み寄り シュトレーゼマン、二度目の引退 カラヤンの衰弱 CAMIスキャンダル 日本ツアーとカラヤンの「終わり」の予感 最後の演奏会 カラヤンの死
第6章 変革期――「独裁制」から「民主制」へ
「民主化」と指揮者選び アバドの生い立ち ベルリンの壁崩
壊 ホールの大規模改修 ヨーロッパ・コンサートシリーズ チェリビダッケの再登場 「カラヤン後」のゆくえ 古典復興、現代音楽 アバドの辞任予告 「ドイツの民主主義の50年」 アバドの闘病と9.11テロ アバドの退任 アバドの評価
第7章 模索期――新しい時代のオーケストラとは何か
ラトルの選出 ラトルとベルリン・フィルの最初の出会い 財団法人化 支配人をめぐる混乱 ラトルの音楽作り 音楽芸術の新しい位置づけ 「レジデンス」制度の拡充 新支配人の新しい試み 映像活動 歴史認識の確認作業 デジタル・コンサートホール ラトルの退任 ラトルの評価 パンデミックと 再び「政治」に直面
あとがき
参考文献 図版出典 ベルリン・フィル関連年表
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