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<夏電書2026>講談社文芸作品 40%OFFクーポン

『ノンフィクション、中公新書、0~10冊(新書)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全67件

  • 5世紀以前、複数の王族集団から適格者が即位していた大王。だが6世紀初頭、北陸からヤマト王権の有力豪族の招聘によって、王権との血縁が不確かな継体天皇が即位する。彼はどのような背景を持ち、なぜ即位できたのか。あるいは新王朝だったのか――。
     王位継承後、朝鮮半島の新羅、九州の国造磐井など敵対勢力と向き合い、反乱を収め権威を確立していく。血統重視の世襲による天皇家を創った「始祖王」継体天皇と、6世紀の倭の実態を描く。
  • 日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後に戦闘が始まる地域もあり、戦後を見据えた戦争だった。これまでソ連の中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国のソ連への参戦要請から各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。
  • 昭和天皇の14歳下に生まれた三笠宮崇仁親王。陸軍参謀として南京に派遣され弟で唯一、戦場を体験し「聖戦」の実態を厳しく批判した。
    戦後の象徴天皇制下、東京大学で歴史を学び、実証史学の立場から積極的に発言。建国記念日制定=紀元節復活に反対を唱え「赤い宮様」と称された。
    他方で皇族で唯一宮家を維持・拡大させ、昭和天皇、明仁天皇を補佐、戦後の天皇家のあり方を模索・定着させていく。
    本書は、三笠宮の軌跡を追うと同時に、皇族の存在とは何かを描く。
  • 戦後最年少52歳で首相に就任、8年8ヵ月の史上最長政権を誇った安倍晋三。祖父に岸信介を持つサラブレットは、自民党最右派として憲法改正を掲げたが一次政権では挫折する。
     しかし政権復帰後、「アベノミクス」など経済政策により支持を獲得、6度の国政選挙に連勝し「安倍一強」体制を築く。彼の威光はG7でも際立ち、トランプ米大統領への対応など国際的評価も高かった。だが、安保法制など敵と味方を峻別する政治姿勢や、森友・加計学園、桜を見る会など権力の私物化への批判が付きまとった。
     本書は波乱と毀誉褒貶に満ちた安倍の生涯を辿り、彼の政治を総括する。
  • 植民地時代の対日協力者で「売国奴」とされた親日派。
     独立後の韓国は「反民族行為処罰法」を制定し多数検挙するが、反日闘士だった初代大統領・李承晩は事実上廃案にする。国家機能維持のためには親日派の協力が必要であり実利を取ったのだ。そのため戦後も政治や軍の中枢を親日派は占め続けた。
     だが民主化後、親日派への批判が始まる。21世紀以降は、政治がその清算を強く求め、「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」を制定、民間でも『親日人名辞典』アプリが配信されるなど、子孫を含めた糾弾が続く。しかし、その内実は現代政治に強く影響され、「政治カード」として大きく変質している。
     一見すると明確な利益が見出せない問題に、なぜ韓国は1945年の「解放」から80年にわたって莫大な労力を割いてきたのだろうか。親日派から描く韓国近現代史。
  • 大学をはじめ学校の運動部出身で特有の価値観・行動様式を持つ体育会系。
     厳格な上下関係、規範意識の高さなどを特徴とし、爽やか、暴力的、勉学が苦手、就活に有利など様々に語られてきた。
     本書はその起源から、先輩・後輩関係の分析調査、スポーツ推薦入試の軌跡と現状、就職後のキャリア形成の困難まで、彼らを多角的に描く。
     近年、話題となる不祥事の歴史も追い、日本社会で500万人以上とも言われる日本独自の体育会系の実態を描く。
  • 人々の生活や文化程度、民主政治への成熟度を意味する民度。

    本書は民度をキーワードに、日本の政治の現状を描く。
    さまざまなデータや方法論から、投票参加、党派性、投票行動、若年層の行動、テレビ・新聞といったマスメディアや、大きく擡頭するソーシャル・メディアの影響などをトピックとして取り上げ分析。
    日本人の政治意識・行動を追う。いま世界で危機に瀕する民主主議。
    分断とポピュリズムの波は日本まで来たのか。
    その「現在地」を描き出す。
  • 男性君主のために集められた女性たちと、彼女らが住む空間を指す後宮。天皇家の安定した皇位継承のために創られた。平安時代初期、桓武天皇、嵯峨天皇には各々35人、45人に及ぶ皇子女がおり、そこには彼らを産んだ20人以上の妃・夫人・嬪・女御・更衣という後宮=キサキたちがいた。日本では、男子禁制ではなかったが、中国由来の制度の影響を受け変貌していく。本書は起源から平安末期までの歴史を追い、制度とその実態を描く。
  • 琉球処分とは、日中の両属国家だった琉球王国を日本が強制併合した政治過程をいう。1872年の琉球藩設置から「処分官」派遣、79年の警察・軍隊を動員した沖縄県設置、80年に強く抗議する清国との八重山分島交渉までを指す。
     国王は東京に送られ、島内では組織的抵抗が日清戦争まで行われる。本書は、併合の過程とその後を精緻に追い、清国や西洋諸国を巻き込み東アジアの新秩序をも形成した琉球処分の全貌を描く。
  • ペリー来航から王政復古までの過程は、志士や雄藩大名たちの「成功物語」として語られる。だが、こうした英雄史観は、明治政府が自らを正当化するために創り上げたものだ。
     勤王をめぐる志士の分裂、戊辰戦争での幕府への協力、藩への強い思慕など、各地で様々な歴史があった。
     本書は、周防大島、飯能、秋田大館、佐倉など明治維新を記憶に刻む地域を追い、時の政治や地域社会の影響を受け、書き替えられてきた物語の軌跡を描く。
  • 隣町に行けば言葉もパスタも変わる――。
    イタリア料理は味わいのみならず、多様性が魅力。地域の風土・歴史に根ざした食材や伝統料理法が受け継がれているのだ。
    著者は南・北・中央・島々をめぐり、ポベラッチャ(貧乏食)の知恵を足と舌で探る。
    またアグリツーリズムや有機農業、スローフード運動など、地域再生のソーシャル・イノベーションにも注目。
    人口減少が進む日本の地方にとって、有益なヒントが満載。写真多数。


    はじめに―食と社会の未来を求めて
    世界初・食をテーマにしたミラノ万博  日本とイタリアの類似性  農村が未来を切り拓く

    第1章 身土不二―地域に根ざした食の多様性
    ランチは家でマンマの手づくり  まちにあふれるメルカート―野菜・畜産・魚介  隣町に行けば言葉もパスタも変わる  ハレとケ―イタリア料理の誕生と南北問題  資本主義競争に打ち勝ってきたブランド力  知と融合するス
    ローフード運動  よみがえる農業/農村―その背景

    第2章 北イタリア―トリノ・ヴェネト州・ボローニャ
    1アルプス(山)とパダーノ(平野)が育む芳醇な食
    自治都市国家の形成と経済発展  アルプスの麓・丘陵地帯
    の極上食材  全世界から若者が集まる小さな田舎町・ブラ  エトルリア時代から伝わるポー平原の食文化
    2伝統×若者―食の新たな価値創造へ
    過疎地のワイナリーで景観を守る二人の若者  伝統手法によるシャンパーニュよりも上品に―プロセッコ  暮らしの質を保障するスローシティ  肥沃な土地が極上生ハムを生み出す伝統  食のテーマパークFICOと食問題を解決するボローニャの企業  障がい者雇用と廃棄食削減に挑戦する世界的シェフ  脱工業から持続可能な都市へ

    第3章 中央イタリア
    ―ローマ、トスカーナ、ウンブリア州
    1アグリツーリズムが育む地域食と農村コミュニティ
    実はローマは田園都市  素朴で等身大のアグリツーリズム  トスカーナとフィレンツェ  トスカーナの持続可能なアグリツーリズム  トスカーナの世界最高牛―誕生秘話  
    無駄なく美味しく農村を守る田舎料理・リボッリータ
    2上質の暮らしをブランディングする都市農村の戦略
    下町文化あふれるトラステヴェレ  ローマ発の屋内ファーマーズ・マーケット  イタリアを有機農業先進国にした小さな農村・ウンブリア  異業種のつながりが地域を盛り立てる

    第4章 南イタリア―バーリ・フォッジャ・ファザーノ
    1 イタリアの胃袋を支える農業地帯プーリア
    ギリシャ時代以来の異国支配ゆえの伝統  イタリアの胃袋
    を支えるオリーブの一大産地  デュラム小麦と極上のパン  日本人より生魚介を食べる唯一の地域  「最も美しい村連合」  人口二万以下のまちに四〇軒以上のレストラン  ラティフォンド(大地主制度)解体の余波  アフリカからの移民受け入れをめぐる試行錯誤

    2 ポベラッチャ(貧乏食)の知恵
    粉挽き場という公共空間  一六世紀以来の石窯―藁焼きの懐かしい香り  大地に誇りを取り戻すカリスマシェフ  水車で挽き立て小麦の絶品フォッカッチャ  人間関係が広がる若手集団ヴァザップのワークショップ  「農地でどれだけ多くの関係性を築けるか」

    第5章 島々―アグリジェント(シチリア)・サルデーニャ
    1 多様な文化が交錯する島々
    文明の十字路・属国としての島々  サルデーニャとシチリア―異なる歴史  マフィア・山賊を生み出した統治  伝統的食材の宝庫・シチリア  世界五大長寿地域サルデー
    ニャの食文化  景観を公共財として保護するガラッソ法
    2 時空を超えてよみがえる伝統食と暮らし
    伝統的製法による塩づくり(トラーパニ)  女性が守るサルドの伝統的チーズ、カーチョ・カヴァッロ  一二人の若者がよみがえらせた小さな村  過疎地でたった一人始めた若者の挑戦  ITを駆使したミクロミュージアムで地域再生  シチリアの保存すべき無形資産・穀物  移民少年たちをイタリア食農文化で包摂する

    おわりに―日本は何を学ぶべきか
    農業・農村に求められるソーシャル・イノベーション  ソーシャル・イノベーションとは  EUのボトムアップ型食農政策―補助から革新の支援へ  イタリアから日本が学べること
    コラム パスタの種類(ロングパスタ)
     EU地理的表示(GI)とは
     自家用魚醤コラトゥーラで地域おこし
     イタリアワインの格付け
     進む若者移住―トリノ大学と限界集落の連携  69  EU地域開発政策―LEADERプログラム
  • 電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。
    都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって、積極的に都市に進出する鳥群が観察される。
    その頂点に君臨するのがカラス軍団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが、熾烈に進行中なのである。

    本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する人間の愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。

    ■□■目次■□■

    序章 野鳥にとって都市とは何か
    第1章 銀座のカラスはカァーと鳴く
    第2章 ヒートアイランドの夜
    第3章 カラスを追跡する
    第4章 都会派カラスの子育て法
    第5章 街中のスカベンジャー
    第6章 カラスの知恵袋
    第7章 カラスの遊戯
    第8章 カラスと人の交友
    第9章 カラスと人の知恵比べ
    第10章 カラスの博物学
  • 歴史の「洗礼」を受けた土地には、不思議なオーラがある。
    たたずまいが微妙にちがうのだ。

    考古学の常識をくつがえした岩宿遺跡、平家一門が波間に消えた壇ノ浦、徳川の天下を決した関ヶ原、忠臣蔵の四十七士の故里・赤穂、そして特攻隊が出撃した九州南端の知覧基地――。
    好奇心のおもむくまま、由緒ある町を訪ね、古代から近現代まで、自由に時間を旅する。
    歴史の魅力を堪能し、思索をめぐらした紀行エッセイ。
  • 海外旅行は不自由さの連続だ。
    言葉の壁に突き当たり、知らない食べ物に変調をきたし、ホテルのバスルームでため息をつく。
    けれど、ままならない瞬間にこそ、異国の醍醐味がある。
    旅の達人が、見知らぬ町のカフェや公園、ホテルの屋根裏部屋、はたまた国境検問所で行き会った、得がたい体験とは。
    自由に気ままに出かければ、とっておきの出会いは、あちこちに転がっている。

    著者ならではの旅の記憶が詰まった、異国のススメ。
  • 310万人に及ぶ日本人犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。異常に高い餓死率、30万人を超えた海没死、戦場での自殺と「処置」、特攻、体力が劣悪化した補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験を強いられた現実を描く。アジア・太平洋賞特別賞、新書大賞受賞
  • 加耶/任那は3~6世紀に存在した朝鮮半島南部の小国群を指す。『日本書紀』は任那と記し、「任那日本府」の記述などから長く倭の拠点と認識されてきた。だが戦後、強く疑義が呈される。歴史教科書の記述は修正が続き、呼称も韓国における加耶へと変わる。他方で近年、半島南部で倭独自の前方後円墳の発掘が相次ぎ、倭人勢力説が台頭する。本書は、古代東アジア史の大きな争点である同地域の実態を実証研究から明らかにする。

    <目次>
    まえがき

    序 章 加耶/任那研究の歩み
    1日中韓史料のなかの古代東アジア
    2通説までの道程――150年に及ぶ研究の軌跡
    3広開土王碑と百済三書――史料批判による精緻化

    第1章 檀君神話から金官・大加耶へ
    1「古朝鮮」の虚実――檀君、箕子・衛氏朝鮮時代
    2三韓時代へ――朝鮮四郡と馬韓・辰韓・弁韓
    3いにしえの辰国―― 三韓以前の半島南部
    4二大国の建国神話と任那の登場

    第2章 弁韓からの発展――4世紀の動向
    1盟主・金官の台頭と揺らぎ
    2神功皇后「加羅七国平定」――『日本書紀』の真偽
    3百済と倭の通交はいつからか
    4広開土王碑のなかの倭、任那加羅、安羅

    第3章 大加耶の成長と倭臣――5世紀~6世紀初頭
    1高句麗対百済・倭――5世紀前半の動向
    2倭の五王による「任那・加羅」都督諸軍事申請
    3大加耶の中国への遣使――「輔国将軍本国王」の冊封
    4加耶・馬韓の倭臣たち――ヤマト王権と異なる倭系集団

    第4章 百済・新羅による蚕食と抵抗―― 6世紀
    1「任那四県の割譲」――減衰する加耶諸国
    2新羅の侵攻、㖨己呑・金官・卓淳の併合
    3任那復興会議――百済の招集と加耶諸国の思惑
    4加耶の消滅 ――「任那日本府」とは何だったか

    第5章 滅亡後―― 倭の揺れる「任那」認識
    1なぜ倭は百済・新羅に「調」を要求し続けたか
    2伝承と面影―― 新羅と日本のなかで

    終 章 加耶とは何か―― 国民国家を超えて

    あとがき
    主要参考文献
    加耶/任那 関連年表
  • 政府・自治体や企業から独立した民間の非営利団体・組織=NPO。阪神・淡路大震災後のボランティア活動以降、広く知られる。近年、子どもの貧困や孤独、気候変動など新たな社会課題が顕在化すると、行動の中心となり、活動分野と範囲を拡大。かつての会社や地域社会のような人と人を結び付ける「中間集団」が細るなか、その受け皿としても注目される。本書は、歴史、制度、存在理由から特性まで、把握しづらい実態を描く。
  • ヒトラーの護衛に過ぎなかった親衛隊は、ナチ政権発足後、党や全国の警察組織を掌握。強制収容所を創り敵対勢力を弾圧する。第2次世界大戦開始後は行動部隊、アウシュヴィッツなどの絶滅収容所を起動しユダヤ人の大量殺戮を主導、80万人の巨大な軍事組織・武装親衛隊も併せ持った。本書は、ヒトラーに最も忠実な「エリート」たちの選抜から、ホロコーストの実行、カルト的信仰、戦後の姿までその全貌を描く。解題・芝健介
  • 父は一九二〇年代に来日した、日本語小説を書いた最初の朝鮮人で、のちに皇道思想家。戦後は心の病に冒され、六〇年にひとり帰国した――。父や母の歴史と子供たちの人生との間にはどのようにつながりがあるのか。本書は、ひとつの「在日」家族の誕生から終焉まで、そして、そのひとりひとりの生き方を、戦前から現在にいたる日本と韓国の関係と重ね合わせて描くことによって、新たな認識と洞察を読者にもたらす。
  • インドに根付く社会的な身分制=カースト。数千年の歴史のなかで形成され、結婚・食事・職業など生まれから規制し、今なお影響を与え続ける。カースト問題には、「不浄」とされ蔑視が続く最底辺の不可触民=ダリトへの差別がある。政府は2億人に及ぶダリトを支援する施策を打つが、その慣習は消えず、移民した世界各国でも問題化している。本書はインドに重くのしかかるカーストについて、歴史から現状まで、具体的な事例を通し描く。
  • 明治国家で圧倒的な政治権力を振るった山県有朋。陸軍卿・内相として徴兵制・地方自治制を導入し、体制安定に尽力。首相として民党と対峙し、時に提携し、日清戦争では第一軍司令官として、日露戦争では参謀総長として陸軍を指揮した。その間に、枢密院議長を務め、長州閥陸軍や山県系官僚閥を背景に、最有力の元老として長期にわたり日本政治を動かした。本書は、山県の生涯を通して、興隆する近代日本の光と影を描く。
  • かつて日本人は自然を愛し自然に対応して生きる民族だった。それがなぜ現在のように自然を破壊するようになったのか。伝統的な自然観との断絶の跡をふりかえり、自然と人間社会とのバランスを崩した土地利用が何をもたらしたかを、水害、水不足、熱公害、大面積皆伐などの具体的事例から追究する。土壌の生産力こそ真の資源であり、それを失った文明は必ず滅亡するという警告は、日本人に深い反省を促さずにはおかない。
  • 奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書「六国史」。七二〇年に完成した日本書紀から、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録までを指す。天地の始まりから平安中期の八八七年八月まで、国家の動向を連続して記録した「正史」であり、古代史の根本史料である。本書は、各書を解説しつつ、その真偽や魅力を紹介。また、その後の紛失、改竄、読み継がれ方など、中世から現代に至る歴史をも描く。
  • 地図上の空白地帯が失われてしまった現在も、文明の侵食を許さない隔絶された土地は存在する。ヒマラヤの高山氷河、アマゾン源流の大瀑布、アフリカ最奥部の密林地帯――人の手が地球上の隅々にまで及ぼうとするなか、厳しくも美しいこれら辺境こそ、豊かな自然の最後の砦だと言えよう。日本を代表する自然写真家が半世紀にわたって追い求めてきた最後の辺境を、見る者の心を強く揺さぶる写真で紹介する。
  • 日清戦争の結果、朝鮮王朝は清の「属国」から脱し大韓帝国を建国、皇帝高宗のもと独自の近代化を推進した。だが帝国日本は朝鮮半島での利権を狙い侵食。日露戦争下、日韓議定書に始まり、1904~07年に三次にわたる日韓協約によって外交・財政・内政を徐々に掌握し、10年8月の併合条約により完全に植民地化する。本書は日韓双方の視点から韓国併合の軌跡と実態を描く。今なお続く植民地の合法・不法論争についても記す。
    <目 次>
    序 章 中華秩序のなかの朝鮮王朝
    第1章 真の独立国家へ―1894~95年
         1 日清戦争の勃発
         2 甲午改革
         3 宗属関係の終焉
    第2章 朝鮮王朝から大韓帝国へ―1895~97年
         1 閔妃暗殺、露館播遷
         2 「皇帝」即位の熱望
         3 大韓帝国の成立
    第3章 新国家像の模索―皇帝と知識人の協和と不和
    1 独立協会の結成
         2 皇帝のロシア接近と独立協会の反対
         3 独立協会の強制解散
    第4章 大韓帝国の時代―皇帝統治の現実と限界
         1 儒教宗主の専制君主
         2 皇帝国の文化
    第5章 保護国への道程―日露戦争前夜から開戦のなかで
         1 大韓帝国の外交
         2 日韓議定書
         3 第1次日韓協約の締結
    第6章 第2次日韓協約の締結―統監府設置、保護国化
         1 欧米の承認、皇帝への強要
         2 調 印
         3 ハーグ密使事件
    第7章 大韓帝国の抵抗と終焉―1910年8月の併合へ
         1 一進会と義兵運動
         2 南北巡幸と伊藤博文の思惑
         3 韓国併合条約の締結
    終 章 韓国併合をめぐる論争―歴史学と国際法
  • 政治体制や文化が異なるアジア各国は、歴史問題や経済競争も絡み近隣諸国への思いは複雑だ。本書は、10年以上にわたる日中韓・台湾・香港・東南アジア諸国などへの初の継続調査から、各国民の他国・地域への感情・心理を明らかにする。台頭する中国への意識、日本への感情、米中関係への思い、ASEAN内での稀薄な気持ち、日韓に限らず隣国への敵対意識など様々な事実を提示。データと新しい視点から国際関係を描き出す。
  • ナチによるユダヤ人虐殺といった史実について、意図的に歴史を書き替える歴史修正主義。フランスでは反ユダヤ主義の表現、ドイツではナチ擁護として広まる。1980年代以降は、ホロコースト否定論が世界各地で噴出。独仏では法規制、英米ではアーヴィング裁判を始め司法で争われ、近年は共産主義の評価をめぐり、東欧諸国で拡大する。本書は、100年以上に及ぶ欧米の歴史修正主義の実態を追い、歴史とは何かを問う。
  • ここ30年間で韓国は大きく変わった。独裁から民主国家へ、発展途上国から先進国へと。20世紀に日本が「弟」と蔑んだ韓国は過去のものだ。他方、元慰安婦を始め歴史認識問題が顕在化、日韓の対立は熾烈さを増す。21世紀に入り、政治、経済から韓流、嫌韓まで常に意識する存在だ。本書は、1980年代末、途上国だった隣国に関心を抱き、韓国研究の第一人者となった著者が自らの体験から描く、日韓関係の変貌と軋轢の30年史である。
  • 「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれた頭脳と行動力で、高等小学校卒から五四歳で首相の座に就いた田中角栄。「新潟三区」という雪深い地盤に“利益誘導”を行い、「日本列島改造」を掲げた角栄は、戦後政治の象徴だった。だが彼の金権政治は強い批判を浴び、政権は二年半で終わる。その後も巨大な「田中派」を背景に力を持ったが、ロッキード事件では有罪判決が下った。角栄を最期まで追い続けた番記者が語る真実。
  • 司法と行政の頂点を極めた唯一の政治家・平沼騏一郎。東大を首席で卒業後、能吏の聞こえ高く、大逆事件を処理し、検事総長、大審院長を歴任。政界進出を目論み右翼団体・国本社を組織する。軍人らの期待を集め、日中戦争下、首相に就任。日米開戦後は重臣、枢密院議長として和平派へ。機会主義と映る行動から右翼に銃撃され、自宅放火にも遭った。天皇崇拝の国家主義者、陰謀家、A級戦犯として断罪され続けた平沼の実像を描く。
  • 戦前に外相を4度務め、経済重視の国際協調を主導、戦後は占領下、首相として日本国憲法制定に尽力した幣原喜重郎。外交官の中枢を歩み、欧米との関係を重視した「幣原外交」は、軟弱と批判されながらも中国への不干渉を貫き、政党政治を支えた。満洲事変後の軍部台頭に引退を余儀なくされるが敗戦後、昭和天皇に請われ復活。民主化や憲法9条の成立に深く関与する。激動の昭和期、平和を希求し続けた政治家の実像に迫る。
  • アジア・太平洋戦争の悲惨な経験から、多くの支持を得た戦後民主主義。日本国憲法に基づく民主主義・平和主義の徹底を求める思想である。だが冷戦下、戦争放棄の主張は理想主義と、経済大国化後は「一国平和主義」と批判され、近年は改憲論の前に守勢にある。本書は戦後の制度改革、社会運動から政治家、知識人、映画などに着目し、戦後民主主義の実態を描く。日本社会にいかなる影響を残したのか、その軌跡を追う。
  • 「非」フィクションとして出発した一方、ニュースのように事実を伝えるだけでもないノンフィクション。本書では、水俣病を世に知らしめた『苦海浄土』、ベストセラー『日本人とユダヤ人』に始まり、『テロルの決算』や『捏造の科学者』、大震災や核密約を扱った作品など、一九七〇年代から現在に至る名作・問題作を精選。小説とも報道とも異なる視点から同時代を活写した作品群を通して現代日本の姿を浮き彫りにする。
  • アメリカの民主・共和の二大政党は、世界の中で極めて異質だ。両党は、地域の政党組織の連合体に過ぎず、党首、恒常的な綱領、党議拘束もない。他方で、地方政治家、政府高官、裁判官など隅々にまで浸透し、いずれかの党派であることが当然視される。両党は法によって優遇されてもいる。本書は、支持層・基盤を変えながら二大政党が制度化していく歴史を辿り、大統領を中心に語られてきたアメリカ政治の本質を描く。
  • 若者の就業率、教育費負担、男女の賃金格差など先進国の中で、“最悪”の数値を示す韓国。特に「圧縮した近代」の結果、1を切った出生率、60%が無年金者という高齢者の貧困率・自殺率は深刻だ。他方で問題解決のため大胆な政策を即実行し、デジタル化などは最先端を行く。本書は、少子高齢化、貧困・孤立化、デジタル化、教育、ジェンダーをテーマに、深刻化した現状と打開への試行錯誤を描く。韓国の苦悩は日本の近未来でもある。
  • 坂本龍馬の二歳下に土佐で生まれた谷。幕末期、藩主山内容堂に見込まれるが、尊皇攘夷、倒幕の志を持ち各地を奔走。明治維新後は、軍人として台湾出兵、西南戦争を勝利に導き名望を集める。初の内閣で入閣するも、西欧見聞後、議会の重要性、言論の自由を主張し藩閥政府を批判して下野。以後、貴族院を舞台に日清・日露戦争で非戦論を貫くなど、国家存立のため国民重視を訴え続けた。天皇と国民を深く愛した一明治人の生涯。高知出版学術賞受賞作。
  • 昭和恐慌下、民衆が困窮を極める中、政党政治の腐敗を憂える海軍青年将校らが起こした五・一五事件。首相を暗殺し、内大臣邸・警視庁を襲撃、変電所爆破による「帝都暗黒化」も目論んだ。本書は、大川周明、北一輝、橘孝三郎、井上日召ら国家主義者と結合した青年将校たちが、天皇親政の「昭和維新」を唱え、兇行に走った軌跡を描く。事件後、政党内閣は崩壊し軍部が台頭。実行犯の減刑嘆願に国民は熱狂する。昭和戦前、最大の分岐点。
  • 日本最長の八年に及ぶ首相在任期間を誇った桂太郎。三度の政権下、日露戦争、韓国併合と、外には帝国主義政策を断行、内には伊藤博文らの次世代として、最後には政党結成に動く。山県有朋の“傀儡”と、低く評価されてきた桂だが、軍人出身ながら、軍の予算を抑制、国家全体の利益を最優先し、緊縮財政を追求し続ける。時代の制約の中、「ニコポン」と呼ばれた調整型政治家が求めたものは何か――。その全貌を描く。
  • 一九六〇年代後半から七〇年代初め、高校生が学校や社会に激しく異を唱えた。集会やデモを行うのみならず、卒業式を妨害し、学校をバリケード封鎖し、機動隊に火炎ビンを投じた。高校生は何を要求し、いかに闘ったのか。資料を渉猟し、多くの関係者の証言を集めることで浮かび上がる、紛争の実像。北海道から沖縄まで、紛争の源流から活動家たちのその後の人生までを一望する、高校紛争史の決定版。
  • 日本における国際政治学の最大の巨人・高坂正堯(1934~96)。中立志向の理想主義が世を覆う60年代初頭、28歳で論壇デビューした高坂は、日米安保体制を容認、勢力均衡という現実主義から日本のあり方を説く。その後の国際政治の動向は彼の主張を裏付け、確固たる地位を築いた。本書は、高坂の主著、歴代首相のブレーンとしての活動を中心に生涯を辿り、戦後日本の知的潮流、政治とアカデミズムとの関係を明らかにする。
  • 自主憲法制定を訴えるタカ派、主張を変える「風見鶏」、首相就任時も、田中角栄の影響下「田中曽根内閣」と批判された中曽根康弘。だが「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根は「大統領的首相」の手法によって、国鉄などの民営化を推進、中韓と蜜月関係を築き、レーガン米大統領やサミットを通し、日本の国際的な地位を大きく上昇させる。本書は中曽根の生涯を辿り、日本が敗戦から1980年代、戦後の頂点へと向かう軌跡を追う。
  • 日米地位協定は、在日米軍の基地使用、行動範囲、米軍関係者の権利などを保証したものである。在日米軍による事件が沖縄などで頻発する中、捜査・裁判での優遇が常に批判されてきた。冷戦後、独伊など他国では協定は改正されたが、日本はそのままである。本書は、協定と在日米軍を通して日米関係の軌跡を描く。実際の運用が非公開の「合意議事録」に基づいてきた事実など、日本が置かれている「地位」の実態を描く。
  • 607年、日本は隋の煬帝に「日出ずる処の天子」で名高い書状を送る。以後、対等の関係を築き、中国を大国とみなすことはなかった――。こうした通説は事実なのか。日本はアジア情勢を横目に、いかなる手段・方針・目的をもって中国と交渉したのか。本書は、倭の五王の時代から、5回の遣隋使、15回の遣唐使、さらには派遣後まで、500年間に及ぶ日中間の交渉の軌跡を実証的に、「常識」に疑問を呈しながら描く。
  • 「恥ずかしながら帰って参りました」――。残留日本兵といえばすぐに思い浮かぶのが、横井庄一や小野田寛郎、そして、“水島上等兵”。彼らの苦難の歳月は、自伝をはじめ多くの書籍や映像で描かれてきた。だがいずれも悲劇の英雄として語られ、時々で話題を集めたにすぎない。本書は、アジア各地で綴られた全記録を辿り直すことで、「大日本帝国崩壊後」の残留日本兵たちの真の姿を明らかにする、初の試みである。
  • アヘン戦争後、一八四二年の南京条約によって開港した上海。外国人居留地である「租界」を中心に発展した街は、二〇世紀前半には中国最大の「華洋雑居」の地となり繁栄を極める。チャンスと自由を求めて世界中からやって来る移民や難民たち、英米日の角逐、勃興する中国の民族運動。激動の時代のなかで人々はいかに暮らし、何を思ったのか。本書は国籍別の検証を通じ、上海という都市独特の魅力を余すところなく伝える。
  • 21世紀初頭、世界で初めてオランダで合法化された安楽死。同国では年間6000人を超え、増加の一途である。容認の流れは、自己決定意識の拡大と超高齢化社会の進行のなか、ベルギー、スイス、カナダ、米国へと拡散。他方で精神疾患や認知症の人々への適用をめぐり問題も噴出している。本書は、〝先進〟各国の実態から、尊厳死と称する日本での問題、人類の自死をめぐる思想史を繙き、「死の医療化」と言われるその実態を描く。
  • 左遷という言葉は「低い役職・地位に落とすこと」の意味で広く用いられる。当人にとって不本意で、理不尽と思える人事も、組織の論理からすれば筋が通っている場合は少なくない。人は誰しも自分を高めに評価し、客観視は難しいという側面もある。本書では左遷のメカニズムを、長期安定雇用、年次別一括管理、年功的な人事評価といった日本独自の雇用慣行から分析。組織で働く個人がどう対処すべきかも具体的に提言する。
  • 自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。
  • 「非」フィクションとして出発したノンフィクション。本書は戦中の記録文学から、戦後の社会派ルポルタージュ、週刊誌ジャーナリズム、『世界ノンフィクション全集』を経て、七〇年代に沢木耕太郎の登場で自立した日本のノンフィクション史を通観。八〇年代以降、全盛期の雑誌ジャーナリズムを支えた職業ライターに代わるアカデミシャンの活躍をも追って、「物語るジャーナリズム」のゆくえと可能性をさぐる。
  • 1910年から1945年まで、帝国日本の植民地となった朝鮮。その統治は、政治的には弾圧、経済的には搾取・貧困化という言葉で語られてきた。日本による統治に多くの問題があったことは確かである。だが、それは果たして「収奪」一色だったのか。その後の韓国の発展、北朝鮮の社会主義による国家建設と繋がりはないのか――。本書は、論点を経済に絞り、実証主義に徹し、日本統治時代の朝鮮の実態と変容を描く。
  • 1892年にアメリカで発明されたトラクターは、直接土を耕す苦役から人類を解放し、穀物の大量生産を可能にした。文明のシンボルともなったトラクターは、アメリカでは量産によって、ソ連・ナチ・ドイツ、中国では国策によって広まり、世界中に普及する。だが、化学肥料の使用、土地の圧縮、多額のローンなど新たな問題を生み出す。本書は、一つの農業用の“機械”が、人類に何をもたらしたのか、日本での特異な発展にも触れながら、農民、国家、社会を通して描く。
    ●目次
    まえがき
    第1章 誕 生――二〇世紀初頭、革新主義時代のなかで
       1 トラクターとは何か
       2 蒸気機関の限界、内燃機関の画期
       3 夜明け――J・フローリッチの発明

    第2章 トラクター王国アメリカ――量産体制の確立
       1 巨人フォードの進出――シェア77%の獲得
       2 専業メーカーの逆襲――機能性と安定性の進化
       3 農民たちの憧れと憎悪――馬への未練


    第3章 革命と戦争の牽引――ソ独英での展開
       1 レーニンの空想、スターリンの実行
       2 「鉄の馬」の革命――ソ連の農民たちの敵意
       3 フォルクストラクター――ナチス・ドイツの構想
       4 二つの世界大戦下のトラクター

    第4章 冷戦時代の飛躍と限界――各国の諸相
       1 市場の飽和と巨大化――斜陽のアメリカ
       2 東側諸国での浸透――ソ連、ポーランド、東独、ヴェトナム
       3 「鉄牛」の革命――新中国での展開
       4 開発のなかのトラクター――イタリア、ガーナ、イラン

    第5章 日本のトラクター――後進国から先進国へ
       1 黎 明――私営農場での導入、国産化の要請
       2 満洲国の「春の夢」
       3 歩行型開発の悪戦苦闘――藤井康弘と米原清男
       4 機械化・反機械化論争
       5 日本企業の席巻――クボタ、ヤンマー、イセキ、三菱農機
    終 章 機械が変えた歴史の土壌
  • 1890年11月、貴族院と衆議院からなる帝国議会が誕生した。ペリー来航後、強く主張される「公議」「公論」による政治の一つの到達点である。
    体制の安定を第一とした伊藤博文ら政府と、早期設置を求める板垣退助ら自由民権運動の角逐のなか、政府は1881年に9年後の議会開設を約束した。今も昔も政治の世界で9年後の約束が守られることはほとんどない。だが明治政府の面々は、自らの権力を失ってもなお、公議実現のため議会開設を志向し、実現する。
    本書は、西洋で200年かかった議会が、どのようにして明治維新から約20年で創られたのか、帝国議会に関わった人々の構想と試行錯誤の軌跡を追う。憲法制定と並ぶ近代日本の一大事業の全貌を明らかにする。
  • 古来よりスウェーデン王国下にあったフィンランド。19世紀にロシア帝国下、「大公国」となり広範囲な自治を獲得。ロシア革命、大規模な内戦を経て独立する。第2次世界大戦では、ソ連に侵略され領土割譲。その後ナチ・ドイツに接近し、近親民族の「解放」を唱えソ連に侵攻するが敗退。戦後は巨大な隣国を意識した中立政策を採りつつ、教育、福祉、デザイン、IT産業などで、特異な先進国となった。本書は、「森と湖の国」の苦闘と成功を描く。

    目次
    序章 フィンランド人の起源―「アジア系」という神話
    第1章 スウェーデン王国の辺境―13世紀~19世紀初頭
    第2章 ロシア帝国下の「大公国」―19世紀~第一次世界大戦
    第3章 揺れる独立国家フィンランド―内戦~1930年代
    第4章 二度の対ソ連戦争―第二次世界大戦下、揺れる小国
    第5章 苦境下の「中立国」という選択―休戦~東西冷戦期
    第6章 西ヨーロッパへの「接近」―ソ連崩壊~21世紀
    終章 21世紀、フィンランドという価値
  • 2007年、京都大学の山中伸弥教授が、ヒトの細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作りだすことに成功した。安全性や倫理上の多くの問題を回避できるiPS細胞は、医療・製薬の研究にめざましい進歩をもたらした。14年には、iPS細胞をヒトに移植する手術が行われ、また、既存の薬が別の疾患にも効くことが判明するなど、臨床研究でも大きな成果を出している。iPS細胞が変える医療の未来に迫る。
  • 日本近現代史研究を牽引してきた大家が、八〇年以上にわたる自らの歩みを語る。若き日の共産党体験、歴史観をめぐる論争、伊藤博文から佐藤栄作にいたる史料収集と編纂、岸信介、後藤田正晴、竹下登などへのオーラル・ヒストリー……。その秘話やエピソードは、歴史の面白さを伝えると同時に、史料を集め、次代へ引き継ぐ歴史家の責任の重さをも物語る。史料を駆使して、近現代史を切り開いた泰斗の稀有な回想録。
  • バブル経済崩壊、デフレ、リーマンショック、世界金融危機――。日本経済は1990年代以降、長期低迷に陥った。政府の景気対策は有効に働かず、政治家、エコノミストらの批判は、インフレを懸念し、腰が重い日本銀行に集中する。本書は、速水優、福井俊彦、白川方明、黒田東彦ら4人の日銀総裁を通し、自民・民主両政権から、景気回復、民意を大義名分に、独立性を奪われ、政治に屈服していく日本銀行の軌跡を描く。
  • 四大公害病とは、水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害を指す。工場廃液、煤煙などにより痙攣、激痛、発作など厳しい障害をもたらした。当初、企業は工場との関係を否定。だが医師・研究者らが原因を究明し、1960年代末以降、患者が各地で提訴。70年代半ばまでに次々と勝利した。本書は高度成長の「影」である公害病の全貌を明らかにする。同時に、21世紀の今なお続く“認定”をめぐる国と被害者間との訴訟・齟齬も追う。
  • 南米・アンデス山中のアタカマは、「世界最悪の場所」と恐れられる未踏の高地である。強風、砂の猛威、異常乾燥、塩湖や死火山の強烈な原色……。本書はこの凄絶な高地を、砂に埋もれたインカの道を頼りに、地質・気象・植物・民俗の調査を行いながら徒歩とジープで縦断した著者を隊長とする男たちの記録である。人間の力の極限に挑む走行一千キロの旅は、現代生活で失われたものは何かという問いの中に向かって走り続ける。
  • 戦前・戦中、炭坑資源開発のためサハリン(樺太)に渡った労働者の中には強制的・半強制的に募集・連行された韓国・朝鮮人が数万人いた。終戦とともに始まった引き揚げ事業はサハリンにも及んだが、その中に帝国臣民として徴用された朝鮮人は含まれていなかった。彼らはソ連統治下のサハリンに残されたのである。冷戦・南北朝鮮対立という国際環境、そして日本の戦後責任への無自覚に抗し、故郷訪問に至るまでの四十五年の足跡を克明に辿る。
  • 英国軍人ベーデン-パウエル(B-P)は大英帝国の国力衰退を予感し、青少年運動「ボーイスカウト」を提起した。第一次世界大戦の予想を超えた惨状に、厭戦気分が蔓延し反戦運動が起きたため、B-Pはスカウトを国際的で平和的な野外活動団体へと路線転換したが、その方法論は彼の意に反して他国の為政者たちに利用されてしまう。大正時代に始まった日本の少年団運動にも大きな影響を与えた運動の軌跡を、B-Pの生涯とともに描く。

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