『吉田絃二郎、吉田絃二郎 絵本シリーズ(文芸社)、分冊版を除く(文芸・小説)』の電子書籍一覧
1 ~12件目/全12件
-
高い山の上に一本の大きなクスの木がそびえていました。クスのかげになっている小さな木や草花は、どんなあらしがきても枝一つ、くき一つ折られたことはありませんでした。
高い山の上に一本の大きなクスの木がそびえていました。クスのかげになっている小さな木や草花は、どんなあらしがきても枝一つ、くき一つ折られたことはありませんでした。けれどもヒイラギは「大きなクスのじいさんのせいで、星の光だって見ることもできない。」ノギクは「お月さまだってろくに拝めもしない。」と言いました。クスは草花の悪口を悲しそうにだまって聞いていました。 -
半作じいさんの畑は、とうげのいちばん高いところにありました。大きな石が、ごろごろして、村の人たちはだれも見向きもしません。
半作じいさんの畑は、とうげのいちばん高いところにありました。大きな石が、ごろごろして、村の人たちはだれも見向きもしません。大きな岩を一つほり出すのに、十日もかかるのでした。畑のそばには東から西に道が続いていましたので、いろいろな人が畑のそばを歩いていきました。半作じいさんは、わき目もふらず、くわをふり上げて岩のようにかたい畑をたがやし続けました。 -
ある冬の日でした。おいづる(にもつをはこぶためにせなかにかつぐはこ)をせおったおぼうさまが、しなのの山をこえて、えちごへの路をいそいでいました。
ある冬の日でした。おいづる(にもつをはこぶためにせなかにかつぐはこ)をせおったおぼうさまが、しなのの山をこえて、えちごへの路をいそいでいました。茶やのおばあさんは、とうげには山ぞくが出るから、明日の朝早くたつようにすすめたのですが、「おいはぎにあったら、わるいことをしないようにおせっきょうをしてやりましょう。」と言って山道を歩いてゆきました。 -
「王さまに生まれてくることはつらいことだ。」と、いつも王さまはお考えになっていました。
王さまは、毎日お城の中で同じようなものを食べ、時間になると同じ大臣にペコペコ頭を下げられてばかりで、ちっともおもしろくありません。馬車で町へ出ると、農家の人たちはのんきに草にねそべっていました。子どもたちは子牛と一緒にチューリップ畑で青い空をながめていました。「王さまに生まれてくることはつらいことだ。」と、いつも王さまはお考えになっていました。 -
「そうか、村中の百姓が一人残らずわしを出迎えたか」代官がふと岩山を見ると、嘉門じいさんがむじなと小鳥を相手に日向ぼっこをしていました。
代官は家来たちを連れて村中を見回りました。村の地主はぴょこんと頭を下げ「お代官様のお情け深いお計らいを村中の百姓どもはとても喜んでおります。」と言いました。「そうか、村中の百姓が一人残らずわしを出迎えたか」代官がふと岩山を見ると、嘉門じいさんがむじなと小鳥を相手に日向ぼっこをしていました。「あの男は村の百姓ではないのか。」代官は村役人たちをにらみつけました。 -
お城の町から少し離れた田舎にコビールという大工さんが住んでいました。正直な男でしたが勉強ができなくて、みんなはコビールのことをばかにしていました。
お城の町から少し離れた田舎にコビールという大工さんが住んでいました。正直な男でしたが勉強ができなくて、みんなはコビールのことをばかにしていました。七月の満月の夜でした。コビールは夜遅くまで働いていました。その時、風のように静かな不思議な足音を聞きました。コビールがドアを開けると、衣を着た旅の男が立っていました。「何と品のある人だろう。」その人の正体は……。 -
権平さんはてっぽうの名人で、秋から冬のあいだは、いのししやクマをうっては山から山を歩きました。
権平さんはてっぽうの名人で、秋から冬のあいだは、いのししやクマをうっては山から山を歩きました。しかし権平さんはぜったいに、かわいそうな鳥やうさぎなどはうちませんでした。ある日、いつものようにてっぽうをかついで山を歩いていると、三どもクマに出あいましたが三回ともはずれてしまいました。近くの村で一ばんの名人だといわれていた権平さんでしたが、どうしたことでしょう。 -
お山の学校には、よだ先生と、生とがみんなで十八人しかいませんでした。
お山の学校には、よだ先生と、生とがみんなで十八人しかいませんでした。よだ先生は、お天きのいい日にはこくばんを、カラマツの木の下にはこびだして、おけいこをはじめました。よだ先生にとってことしはたのしい秋になりました。それは二十ねんぶりに、フロックコートをかうことができたからです。よだ先生はあたらしいフロックコートをきてはなしをすることが一ばんのしあわせでした。 -
山の上の家には幸吉とおじいさんが二人で住んでいました。
山の上の家には幸吉とおじいさんが二人で住んでいました。貧しかった幸吉は、学校から帰ると、夜遅くまでおじいさんと二人でワラを打ち、むしろや縄、わらじをつくり、それを町に売りに行って少しのお金をもらうのですが、貧しい幸吉の姿を見て、だれもやさしい言葉をかけてくれません。ですから幸吉はみんなから「親のいない貧しい子」と意地悪い目で見られていると思っていました……。 -
弥一はねむることができませんでした。あらしがますますはげしくなってくる中で、りょうでおきに出ている父のことが、しんぱいでなりませんでした。
弥一はねむることができませんでした。あらしがますますはげしくなってくる中で、りょうでおきに出ている父のことが、しんぱいでなりませんでした。弥一はふとんから起きて、ランプを持って、まどのところに行きました。たきのようにはげしい雨がガラスまどをたたきつけ、風は真っ暗な空を、うなりながら流れていきます。村では、きけんを知らせるかねの音が鳴りひびいていました。 -
ある湖のそばに山寺がありました。その寺の鐘の音は、七里(約二十八キロ)四方にも聞こえるとうわさされていました。
ある湖のそばに山寺がありました。その寺の鐘の音は、七里(約二十八キロ)四方にも聞こえるとうわさされていました。清坊は、その山寺の鐘つきをしているおじいさんの孫でしたので、鐘の音を聞いて大きくなりました。清坊は、おじいさんと二人で暮らしていました。「ぼくも大きくなったら、おじいさんのように鐘をついてやるぞ!」清坊は下から鐘つき堂を見上げては、そう思うのでした。 -
マリ子は「おじさん、わたしはくつがほしくてここにきたのではありません。きょうはクリスマスですから、おしごとを休んで、きょうかいにいってはどうかと、すすめにきたのです」といいました。
ゆきがふるなか、マリ子という名まえの女の子が、くつやのまえに立ちどまっていました。おじさんは「くつがほしいならお金をもっておいで」とみせのまえに立っているマリ子をにらみつけました。マリ子は「おじさん、わたしはくつがほしくてここにきたのではありません。きょうはクリスマスですから、おしごとを休んで、きょうかいにいってはどうかと、すすめにきたのです」といいました。
・キャンペーンの内容や期間は予告なく変更する場合があります。
・コインUP表示がある場合、ご購入時に付与されるキャンペーン分のコインは期間限定コインです。詳しくはこちら
・決済時に商品の合計税抜金額に対して課税するため、作品詳細ページの表示価格と差が生じる場合がございます。
