息長帯姫(おきながたらしひめ)は、越前角鹿(敦賀)で国元の近江に届ける物産を管理する仕事をしている十七歳。ある日、南九州の熊襲からの交易が途絶える事件が発生する。大国である中洲根国からの要請により、穴門(下関)まで出征することになった。妹の與止姫(よどひめ)と手分けして助勢を得ながら穴門へと向かうのだが、與止姫は、但馬で遠縁にあたる但馬守清綱(たじまもりきよつな)とその妻の香羅夫人と出会う。そして、彼らの下で侍女として働く祐奈と仲良くなるのだが、その祐奈は、三年前に任那で新羅によって焼き出された孤児であることを知る。そして香羅夫人から、與止姫たちは新羅の王族の血統であることを聞き、葛藤する。一方、息長帯姫は穴門で伊都の国の長、五十迹手(いとて)と知り合う。彼の口から、息長帯姫は新羅の王族の末裔であるが、現在の新羅の王室は他の家に変わっていること。そして王族が変わってから、新羅は倭との交易の要である任那を攻め続けていることを教わる。穴門で合流した姉妹は、この事実に新羅討伐の意志を強める。しかし穴門での中洲根国の軍議においては、あくまで熊襲討伐を押す、中洲根国の長である足仲彦(たらしなかつひこ)の後塵に排してしまう。その後、陰から息長帯姫の援護に回っていた宗像の熊鰐(むなかたのわに)の強力な後押しと援助により、中洲根国の幹部たちが考えをあらためはじめ、洞海湾の皿倉でいよいよ形勢が逆転しはじめる。そして、香椎における軍議で、見事に新羅討伐へ全軍の舵をきることを勝ち取るのであった。そしてその翌日に足仲彦は謎の死を遂げてしまう。報告の会議上、息長帯姫に嫌疑がかかり、姫は激昂するのだが、意外な真相が解明されることになる。
オフィス神功路
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