1963年に第2長編『死の内幕』を上梓した天藤真は、第3長編『鈍い球音』が刊行される71年までの8年間、中短編のみを発表することになる。4時起きで仕事に向かう勤勉な拾い屋コンビが出くわした朝一番の収穫は、二階屋の窓から落ちてきた死体だった――表題作「星を拾う男たち」のほか、旧〈宝石〉終刊号を飾った“史上最も完全な予告殺人”を描く「極楽案内」や、シリーズキャラクターのひとり、中央探偵社の仙石達子部長が登場する「密告者」「重ねて四つ」など、短編集成2巻目となる本書には、63年~66年発表の11編を収める。【収録作】「天然色アリバイ」「共謀者」「目撃者」「誘拐者」「白い火のゆくえ」「極楽案内」「星を拾う男たち」「日本KKK始末」「密告者」「重ねて四つ」「三匹の虻」
(c)遠藤歌子/東京創元社
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弁護士事務所へ出向勤務を命じられた探偵社員の「私」は、製薬会社の会計課員がアパートで殺され、保管していた三千万円余りが奪われた半年前の事件を担当する。弁護すべきは、当時被害者の部屋に居候していた倒産寸前の工場主。絶対的に不利な条件下で雲を摑むような証人探しを拝命した私は――表題作『雲の中の証人』のほか、三幕の法廷コント『公平について』や、物真似殺人を企てた男の物語『赤い鴉』、恋に燃える女子大生と助教授の悲喜劇『あたしと真夏とスパイ』など、短編集成四巻目となる本書には、六二年~七二年発表の九編を収める。【収録作】「逢う時は死人」/「公平について」/「雲の中の証人」/「赤い鴉」/「私が殺した私」/「あたしと真夏とスパイ」/「或る殺人」/「鉄段」/「めだかの還る日」
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成城署の捜査主任真名部警部は、とある縁である少年と知り合うことになった。岩井信一、年齢からいうと高校受験期ぐらいの少年である。彼は重度の脳性マヒだった。だが、親しくなるにつれて、この少年の予想外の聡明さに驚嘆するようになる。ある時、約束していた映画鑑賞を突発事件のためすっぽかしてしまったお詫びにと、その事件の経緯を話して聞かせたところ……!? 安楽椅子探偵の歴史に新たな一ページを書き加えた連作推理短編の傑作であり、不可能犯罪や奇抜なアリバイ・トリック等を満載した、著者の本格推理分野での代表作と言えよう。
伯父の経理事務所に勤める私は、顧客の鉄工所経営者が会社解散を決意し、組合側と対立する真っ只中に飛び込んでしまった。その上、経営者がトーチカのような堅牢強固な蔵の中で急死するという事件に遭遇する・・・・・・!?「推理小説には持ちこみ難いユーモアや機智を、それとは目立たぬ程度に配分しつつ、綿密な密室事件を作り上げている」と、大下宇陀児が激賞した著者の長編第一作。
わたしはあなたがよくご存知のある男の妻です。ひと月以内にその男の死亡通知が届くでしょう。彼は実は殺されるのです。そして殺すのはわたしです。こんな殺人予告状が夫とその四人の知人宛に送られてきた。受け取った五人の男は、自分が手紙の中の条件に合致しているのに衝撃を受け、疑心暗鬼になりながらもなんとか対処の方策を得ようと知恵をしぼる。はたして標的とされているのは、この自分なのだろうか。だが、事態は二転三転。ユーモラスなタッチで描く、ひねりの利いたプロット。出色の長編推理!
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