若年寄田沼意知が発案した侍専用の遊郭の設営を命じられた服部億蔵の悪戦苦闘を描く「忍法女郎屋戦争」、男女の相性診断が出来る聴恋器を発明した服部大陣の恋の顛末「伊賀の聴恋器」ほか、文庫初収録の明治を舞台にした最後の忍法短篇「開化の忍者」を含む、最終巻にふさわしい快作九篇。シリーズ全十二巻完結。
825円〜935円(税込)
「どんなきっかけで時代錯誤な忍術物語を書きはじめたのか、じぶんでも忘れてしまったが、いまくびをひねって思い出してみると、どうやら「水滸伝」を私流に書いてみないかとすすめられたことが端緒となったような気がする」(「『今昔物語集』の忍者」より)。風太郎忍法帖の多彩さの極みは短篇にある。長らく読めなかった短篇を多数収録するシリーズ第一弾。
「……忍術と現代となんの関係があるものか。……孤独だの非情だのという形容詞をとってくっつけて、それで結びつけたつもりでいるのは抱腹させる。……なぜ無邪気なナンセンスとして面白がるだけであってはいけないのか。」(「「甲子夜話」の忍者」より)。初恋の女のために命をかけて「忍法生死人」に挑む野晒銀四郎、人形に生命を吹きこむ傀儡歓兵衛ほか、一読三嘆の忍者列伝十一篇。シリーズ第二弾。
『朝鮮水軍統制使李舜臣の「破倭兵状」、すなわち日本軍を破った戦闘報告書の一つである』――悪名高き秀吉の朝鮮出兵。正体不明、無敗の朝鮮軍の大将「沙也可」と日本の忍者「狐」が手を結び狙うは太閤の命、ただ一つ……。史実と忍法が見事に融合した表題作を含む快作七篇。
敵に追いつめられた甲賀の大八が自ら切り落した男根を左手に握りしめ、追手と死闘を続けながら、ひたすら江戸へ向って走るくノ一おふうのひたむきな想いを描く「捧げつつ試合」、犯された女がすべて狂ったように発情する忍法をつかう十五夜孫六の苦悩を語る「濡れ仏試合」他、エロスと人間の運命の無惨さを見つめる「試合」もの八篇。
由比正雪が仕切る「将軍御前における各藩秘蔵の武具競べ」。「のぬふ……のぬふ……」、それぞれ最強の武具を手にした甲賀くの一と伊賀忍者の対決は激しい媾合合戦から始まった。エロスが乱舞し、奇妙な術が出現する表題作を含む全六篇。
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