とある家に踏み込んだ同心たちが、返り討ちにあい殺された。死んだ同心が残した書きつけには、去年の暮れから今年の春までに死んだ三軒の店の主の名前。これらの死に疑いを持ったがために殺されたのではないか。逃げた下手人の行方を小次郎たちが調べ始めると――。非道を重ねた者たちには、夜来る鬼・牙小次郎の正義の刀が振り下ろされる!
各770円 (税込)
いずこからか現れた浪人を、江戸唯一の纏屋の女将・小夏は離れに住まわせることにした。不思議な存在感を放つこの男から、生活費として千両もの大金を預かり、番頭たちも思案顔だ。そんな折、馴染みの小間物屋の女中が死んだとの知らせが入る。――謎めいた浪人・牙小次郎が、その剣の強さで罪なき者の嘆きを背負い、悪を成敗する!
牙小次郎は今上天皇の外祖父を父に持つ雲上人だが、江戸の纏屋に間借りし、一浪人として暮らしている。ある日、古道具屋で美しい誰ケ袖屏風を手に入れるも、元の持ち主が返して欲しいとやってきた。仔細を聞いた小次郎が快く返してやると、再度持ち主が訪ねてきて――。不条理な力に流されそうになる人々を助けたい。道理をただす、牙小次郎の刀が唸る!
罪人として引っ立てられていく女の目に、小次郎は強い衝撃を受けた。その訴える目に突き動かされ調べてみると、金貸しの婆さんを殺した嫌疑がかけられているという。現場から立ち去る女を見たという証言もあり、罪は明白に思えたが、取り調べは難航していた――。纏屋に間借りする浪人・牙小次郎。道理の通らない悪行は、この男が見逃さない!
牙小次郎は、立ち寄った刀剣商で、その逸品に目を奪われる。無銘の古刀だったが、主の言い値で手に入れた。その刀、実は徳川家康公から拝領したさる家の家宝で、公金を使い込んだ家臣が、穴埋めのために売ったものだった。刀を返せと高飛車に言う者たちを追い返したが、ある夜盗賊に人質を取られて刀を奪われ――! 非情な人殺しに牙小次郎の刀が唸る!
浮世絵師の残月斎南天は、髑髏に肉付けをして復顔するという珍しい技を持っている。腕を見込んで、池で上がった骨がまたも持ち込まれた。ところが、復顔した舎利こうべと一緒に、南天は行方をくらましてしまう。不可解な蒸発に、牙小次郎も一緒に探し始めるのだが――。人は人の心を持ってこそ人として生きる。小次郎の刀はその正義を守るため、悪を断つ!
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