704円〜726円(税込)
財布や煙草入れなど、身につける小物に刺繍と金銀の箔をあわせて模様を入れる、縫箔師の咲。両親を亡くし、弟妹の親代わりとなって一生懸命に腕を磨いてきた。ある日立ち寄った日本橋の小間物屋で、咲はきれいな飛燕の簪に魅了される。気になって再び店を訪れると、その簪を手掛けたという錺師の修次と出会った。しかし二人が話している隙に、双子の子供が簪を奪って逃げてしまい……。咲が施す刺繍が人々の縁をやさしく紡ぎます──江戸のお仕事人情小説、装いを新たにシリーズ開幕!
縫箔師の咲は、小間物屋に納める財布を仕上げ、散歩の道すがら贔屓にしている蕎麦屋に寄った。見れば、店前で少しやつれた女が中へ入るのを躊躇っている。声をかけると逃げてしまったが、咲は女が傷んだ守り袋を大事そうに手にしていたのが気にかかった。守り袋とは、親が子の無事を祈って子に持たせるもの。そして後日、咲がまた蕎麦屋を訪れると、思わぬ場に遭遇して──。一針一針祈りを込めて、一生懸命に縁を紡ぐ咲の想いが心に沁みる、傑作人情時代小説第二巻。
同じ長屋に住む幸が昨日から帰って来ていない。心配になった縫箔師の咲は幸が働いている茶屋へ出向き、女将から母親の具合が悪く、実方に戻っているので店を休んでいるという話を聞いた。しかも実方は日本橋にある乾物屋だという。幸は親兄弟も親類もみんな亡くし、身寄りはいないはず……。咲は困惑する。そんな折、幸の姉と名乗る女が長屋に現れて──。人々に温もりや安らぎを、との願いを込めて絆を結ぶ、傑作人情時代小説のシリーズ第三巻。
深川に住む紅屋の女将・牡丹から、煙草入れを縫箔師の咲に、煙管と金具を錺師の修次にそれぞれ作ってほしいとの依頼が来た。同じ小間物を扱い、切磋琢磨しながら互いを高め合う職人同士の二人は、共に仕事をすることに。一方で弟の太一が今度の藪入りの際に、祝言を挙げることになっており、咲は温かい家族の幸せを感じていた。そんな折、咲の後をつける不審な男がいると、しろとましろが教えてくれるが──。傑作人情時代小説シリーズ第四巻。
縫箔師の咲は注文を受けていた匂い袋を納めるため、日本橋にある香木屋・瑞香堂へ向かう。沈丁花を模した意匠の匂い袋は店主からとても気に入られ、咲は安堵した。帰り際、先ほど立ち寄った桝田屋で見かけた伊麻と偶然にも再会し話をしていると、九之助という客が近づいて来た。その姿を見てあからさまに笑みを消す伊麻。そして九之助は咲にむかって突然「化け狐」ではないかと言い出した。まさかこの男は、しろとましろの正体に気付いているのか!? 話題沸騰、傑作人情時代小説のシリーズ第五巻。
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