それは「真実の涙」の物語――。
富山県の門前町で代々続く酒蔵の一人息子・仲上眞一郎は、絵本作家になることを夢見る高校生。仕事熱心で寡黙な父、家族思いだが過干渉気味の母、そして幼なじみの湯浅比呂美と共に暮らしている。
突然の不幸で両親を失ってしまった比呂美が、親の縁で仲上家に引き取られたのは1年ほど前のこと。学業成績優秀、バスケット部では1年生ながら主力選手を務め、校内では抜群の人気を集めて笑顔を絶やさない比呂美が、家に戻ると息を詰めるように過ごしていることに、眞一郎は心を痛めている。眞一郎の母・しをりは、身寄りのない比呂美を家に迎えながらも、なぜか彼女に冷たい目を向けているのだった。
小学生のころから比呂美の笑顔に惹かれている眞一郎は、母の態度に反発し、母をいまひとつ強く咎めようとしない父の姿勢にも不審を抱く。彼女を守りたい、あの笑顔を取り戻せるのは自分だけだと思うが、しかしながら彼女との心の距離にも気づいて、眞一郎はもう一歩を踏み出せずにいた。
そんな矢先、眞一郎は学校の裏庭で、木に登って降りられなくなっていた別のクラスの女子生徒・石動乃絵と出会う。ある出来事から「涙を流せなくなった」と語る乃絵の不可解な言動に戸惑いつつも、眞一郎は、比呂美とは異なる魅力を放つ乃絵と急速に親密になっていった――すると、眞一郎に久しぶりの笑顔を向けた比呂美が、どういうわけか「石動乃絵を紹介してほしい」と言い出して……。
(c)2008true tears製作委員会
「飛べないあなたを軽蔑してたのは、飛べない私と同じだと思ったから……。でも、違った。あなたは飛ばないことを選んでたの」
「……違う。俺は、飛ばないことを選んでるんじゃない……」
ちゃんとできていない自分に乃絵の言葉を重ねた時、眞一郎は大切なことに気づく。
そして、ついにやってきた麦端祭りの当日。
眞一郎は麦端踊りの花形として懸命に舞いながら、乃絵を探した。だが、乃絵は夜になっても眞一郎の前に姿を現さなかった。
一方、比呂美は眞一郎への思いを募らせて……?
それぞれの思いが交差する「真実の涙」の物語、完結。
各385円 (税込)
それは「真実の涙」の物語――。
富山県の門前町で代々続く酒蔵の一人息子・仲上眞一郎は、絵本作家になることを夢見る高校生。仕事熱心で寡黙な父、家族思いだが過干渉気味の母、そして幼なじみの湯浅比呂美と共に暮らしている。
突然の不幸で両親を失ってしまった比呂美が、親の縁で仲上家に引き取られたのは1年ほど前のこと。学業成績優秀、バスケット部では1年生ながら主力選手を務め、校内では抜群の人気を集めて笑顔を絶やさない比呂美が、家に戻ると息を詰めるように過ごしていることに、眞一郎は心を痛めている。眞一郎の母・しをりは、身寄りのない比呂美を家に迎えながらも、なぜか彼女に冷たい目を向けているのだった。
小学生のころから比呂美の笑顔に惹かれている眞一郎は、母の態度に反発し、母をいまひとつ強く咎めようとしない父の姿勢にも不審を抱く。彼女を守りたい、あの笑顔を取り戻せるのは自分だけだと思うが、しかしながら彼女との心の距離にも気づいて、眞一郎はもう一歩を踏み出せずにいた。
そんな矢先、眞一郎は学校の裏庭で、木に登って降りられなくなっていた別のクラスの女子生徒・石動乃絵と出会う。ある出来事から「涙を流せなくなった」と語る乃絵の不可解な言動に戸惑いつつも、眞一郎は、比呂美とは異なる魅力を放つ乃絵と急速に親密になっていった――すると、眞一郎に久しぶりの笑顔を向けた比呂美が、どういうわけか「石動乃絵を紹介してほしい」と言い出して……。
比呂美の意中の人が乃絵の兄であることを知ってしまった眞一郎は、嫉妬から彼女に心ない言葉をぶつけてしまう。
自己嫌悪に陥った眞一郎に涙をやると言われた乃絵は、厳しくそれを断り、涙を綺麗にしてあげると言い出す。半信半疑のまま儀式に付き合わされ、再び乃絵の涙の秘密に触れた眞一郎は、彼女から教わった真心の想像力を働かせて比呂美への謝罪を試みる。
比呂美の懐かしい笑顔を目の当たりにして、自分にも比呂美を笑顔にできるのだと自信を取り戻した。そんな折、乃絵の兄・石動純が突然訪ねて来て――。
「乃絵と付き合ってやってくれ」
純の出した頼みへの交換条件として、「それじゃ、あんたは比呂美と付き合え」と勢いで提案してしまった眞一郎。交換条件を受け入れ、比呂美と付き合い始めた純は、眞一郎に約束を守れと迫る。
比呂美の重大な秘密を知ってしまった眞一郎は、少しずつ乃絵を意識し始める。
一方乃絵は、変わらずに眞一郎と接していたが、あるとき、彼へ抱いている感情が恋愛感情であると指摘されてしまい――。
互いに意識し始めたことで急速に進展する二人の仲。乃絵への想いを遂に告白した眞一郎に対し、乃絵が出した答えとは――?
純がバイク事故を起こした。彼のバイクに同乗していたことで、学校では比呂美に対する興味本位の噂が流れ始める。上級生が発した心ない言葉に、感情を爆発させる眞一郎。
空を飛べる――絵本を描き進めながら感じていた手応えは、この出来事を境に失速し始めた。だが乃絵は、そんな眞一郎を勇気づけるのだった。「あなたは本当は飛べるの。自分でわかってないだけ」
そんな折、比呂美が仲上家を出て一人暮らしを始めることを決意したと聞かされ、眞一郎は激しく動揺する。空っぽになった比呂美の部屋で、眞一郎が気づいたものとは――?
「飛べないあなたを軽蔑してたのは、飛べない私と同じだと思ったから……。でも、違った。あなたは飛ばないことを選んでたの」
「……違う。俺は、飛ばないことを選んでるんじゃない……」
ちゃんとできていない自分に乃絵の言葉を重ねた時、眞一郎は大切なことに気づく。
そして、ついにやってきた麦端祭りの当日。
眞一郎は麦端踊りの花形として懸命に舞いながら、乃絵を探した。だが、乃絵は夜になっても眞一郎の前に姿を現さなかった。
一方、比呂美は眞一郎への思いを募らせて……?
それぞれの思いが交差する「真実の涙」の物語、完結。
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