そこは五王国の一つ、赤の王国。その国は統治者である〈赤の王〉が建て、今日まで歴史を紡いできた。そしてこの国には、一つの神殿が築かれている。そこは王でさえ手の出せない不可侵領域となっており、その代表者は〈白の神官女〉と呼ばれていた。神官女は神殿に仕える〈神殿従女〉と共に、日々神への信仰を続けていた。そんなある日、〈白の神官女〉のもとを〈赤の王〉が訪れる。今代の王はまだ若い青少年であった。彼はいつもの如く、神官女に告げる――「この余の妃となれ」と。しかし神官女もまた、いつも通りにこれを拒否する。普段であれば、そこで終わる二人のやり取り。けれど、今回ばかりは違った。「私と賭けをしましょう――」そう提案した神官女は、若き少年王と共に、神殿の地下にある迷宮へと向かう。そこはこの国が建てられて以来、禁忌とされる場所であった――。やがて明らかとなる、王家に連なる呪われた「血」の真実。そして、神殿に受け継がれる「復讐」の記憶。迷宮の奥底で目覚めた神が、再び地上に混乱と狂気をもたらす。狂気と理性、宿命と自由。そして、血の呪いに抗い、「愛」という名の希望に手を伸ばす者たちの物語。――これは、滅びと再生の狭間で、王と神官女が選び取った、たった一つの答え。果たして、彼らの行く先に待ち受けているものとは――。