近年完結した話題の漫画11選
アニメ化や映画化などによって話題となった漫画の中から、近年完結したおすすめ作品をご紹介します。話題になったことは知っているけどまだ読んだことがないという方は、この機会にぜひ読んでみてください。
進撃の巨人
人間を食らう巨人から逃れ、三重に囲まれた壁の中で、人類は100年にわたる平和を謳歌していた。だが、“超大型巨人”と“鎧の巨人”の出現により、壁は破壊されその平和の時は終焉を迎える。母を目の前で巨人に食われた主人公のエレン・イェーガーは、巨人を駆逐するため調査兵団に入団する。
単行本世界累計発行部数が1億部を突破した大人気作品。人を食べる巨人と調査兵団が戦う場面は、圧巻のスケールで描かれています。また、エレンは失われた故郷を取り戻し、大切な人を守るため戦っていくうちに、巨人の生態や隠されていた世界の真実にたどり着きます。アクションだけでなく、謎解き要素も含まれ、さらには人間の業がどれだけ深いかを思い知らされる、奥の深い作品です。
鬼滅の刃
舞台は、大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日家族を鬼に皆殺しにされてしまう。さらに、唯一生き残った妹の禰豆子(ねずこ)は鬼に変貌。絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。
人と鬼の切ない物語や迫力のある戦闘シーン、時折コミカルに描かれるキャラクターが人気を呼び、世界中で“鬼滅”旋風を起こした大人気作品。炭治郎が所属する鬼と戦う組織「鬼殺隊」の最強の剣士で、「柱」と呼ばれる9人の圧倒的な強さや剣技は読んでいるだけでワクワクします。さらに、キャラクターの独特な個性や過去が丁寧に描かれているところも魅力的なポイントです。ただ強いだけではなく、人間として尊敬できる、生き方のお手本にしたくなるような作品です。
チ。―地球の運動について―
舞台は「神が作った地球こそが宇宙の中心である」という教えを説く宗教“C教”が強く信仰されている15世紀前期のP王国。その国では、C教に背く異端思想を抱く者たちが、いとも簡単に火あぶりに処せられていた。そんな国で天体観測を趣味としていた神童・ラファウは、飛び級で入学予定の大学で、当時一番重要とされていた神学を学ぶことを期待されていた。しかしある日、地動説を研究し、異端者として捕まっていた学者・フボルトとの出会いが彼の運命を大きく変える。『このマンガがすごい!2022』オトコ編ランキングで第2位を獲得。
天動説が正しいとされる世界で、命がけで真理を追究する人々の情熱と美学を描く一大叙事詩。ワイルドなペンタッチと拷問シーンなどの残酷描写と、暴力や脅しに屈することなく信念を貫き通す人々の魂の崇高さのコントラストが絶妙な一作です。
四月は君の嘘
中学生の有馬公生はかつて、ヒューマンメトロノームと呼ばれるほど正確な旋律を奏でるピアニストだったが、母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまった。そんな公生はある日、明るくて自由奔放な性格のヴァイオリニスト・宮園かをりと出会い、徐々に心を引かれていく。
ピアノから遠ざかっていた少年と、彼にもう一度ピアノを弾かせようとする少女、そして、彼らを取り巻く環境や仲間たち。14歳という難しい時期の人間関係や恋愛模様は、多くの人が感情移入できるはずです。また、モデルとなっている東京都の西武線沿いの街並みはかなり忠実に再現されているので、聖地巡礼ができるのも作品の魅力です。
DEATH NOTE
死神リュークが人間界に落とした一冊の“DEATH NOTE”。このノートに名前を書かれた人間は死ぬ……。そのノートをたまたま拾った夜神月(やがみライト)は、“キラ”として犯罪者を抹殺し、理想の世界を作りあげようとする。それを阻止するため、インターポールは、世界一の名探偵L(エル)に捜査を依頼。天才的知能を持つ2人の決死の頭脳戦が始まる。
大場つぐみと小畑健がタッグを組んだ人気漫画で、実写映画化もされるなど一大ムーブメントを巻き起こしました。主人公の月は、凡人には考えつかないような方法でノートに名前を書いたり、相手の取り得る手段をいくつも先読みして自分がキラだとばれないようにしたり、一つ一つの言動に注意を払って読み進めないと気付かないような伏線が散りばめられています。そんな月に対するLもまた、驚くほどの観察力と大胆な行動で月を追い詰めていきます。
東京喰種トーキョーグール
東京には、ある一つの絶望が潜む。群衆に紛れ、人間を狩り、その死肉を喰す怪人。人はそれを“喰種(グール)”と呼ぶ。主人公の金木研はある日、好意を寄せる女性・神代利世と出掛けた帰り、喰種だった彼女に襲われる。何とか一命を取り留めるが、手術により彼女の臓器を移植されてしまい、金木は“半喰種”となってしまう。
残酷だけれど心に残る、希望が見えないけれどそれでも読みたくなる、そんな不思議な作品です。自分の意志とは無関係に半喰種にされた金木は、優しくて繊細な人間。だからこそ、人間に見つからないように、人間社会に溶け込み、人間を狩らなければ生きていけない喰種側の辛さがひしひしと伝わってきます。また、なぜ金木は半喰種になってしまったのか、そんな疑問をひも解いていく推理的な面白さもあります。
炎炎ノ消防隊
アニメや舞台などでも人気のSFバトル・ファンタジー。太陽暦佰九拾八年の東京。この町では、突如燃え出した人が炎の怪物“焔ビト”となって、破壊の限りを尽くす“人体発火現象”が人々の生活を脅かしていた。そんな中、“焔ビト”による火災から人間を守る特殊消防隊「第8特殊消防隊」に、“ヒーロー”を目指す少年・シンラが入隊する。
とある理由から“悪魔”と呼ばれる主人公を中心とした若者たちの活躍が描かれています。スタイリッシュな絵柄と個性的なキャラクターたちが繰り広げる熱いドラマ、そしてストーリーが進むにつれて明らかになる世界の秘密など、読み手を最後まで飽きさせない奥深さが魅力です。
ハレ婚。
一夫多妻制が認められた田舎町を舞台に、美男美女たちによる奇妙な結婚生活を描くハーレム系ラブコメディー。3人の既婚男性に恋心をもてあそばれ、東京から実家に戻ることを決意した22歳の小春。4年振りの故郷で、謎のイケメン・龍之介と出会った彼女は突然、3番目の妻にならないかと誘われる。
女性作家ならではのきれいな筆致と繊細な感情表現が素晴らしい作品。それだけでなく、誰もが目を奪われるほど魅力的なヒロインたちと彼女らが育む奇妙な友情や、小春を取り巻く家族愛など、人間関係もしっかりと描かれた奥深い物語です。
亜人
17年前に突如発見された不死身の生物「亜人」。ある日、交通事故に遭ったことをきっかけに、自分が亜人であることを知った永井圭は、捕獲のために多額の懸賞金を掛けられる。追手から逃れるため、彼は幼なじみの海斗の手を借りて逃亡する……。
今まで人間だと思って生きてきたのに、突然実験動物扱いされてその身を追われ、心が廃れていく様子は痛々しさを感じます。ですが、人間と亜人を取り巻く事件を乗り越えていくうちに、彼が自分自身の人間性を見つけていく姿には考えさせられるものがあります。また、海斗が見せる友情にも引き込まれます。
銀の匙 Silver Spoon
北海道の農業高校を舞台とした学園漫画。高校受験に失敗した八軒勇吾は、家族から逃げるように全寮制の農業高校・大蝦夷農業高校(通称:エゾノー)に入学する。慣れない家畜の世話や実習に苦労しながらも、一目ぼれした御影アキをはじめとした友人たちと共に農業学校での生活を送っていく。
多くの人が普段はあまり気にしないような現実にも触れているのがこの作品の特徴です。自分が育てる豚に「豚丼」と名付けるなどコミカルなシーンがある一方で、動物を育てること、動物を食べることなど、日常を生きるなかで当たり前となっているさまざまなことを改めて考えさせられます。
左ききのエレン
凡人ながらも何者かになりたい朝倉光一と、天才・山岸エレンの2人を軸に描く、大手広告代理店を舞台にした群像劇。自らのデザインによってプレゼンに勝利するも、プロジェクトから外されてしまった光一。その理由に納得できない彼は、失意に暮れながら地元横浜へ向かい、その道中で学生時代のことを思い出す。
「自分は天才ではない」「天才にはなれない」そんな葛藤に苦しみながら「何者かになりたい」ともがく光一の姿に心を打たれます。いまでも夢を追う人、追うことを諦めた人、立場を理解しそれに撤する人など、さまざまな登場人物の心情が描かれています。心を熱くさせる言葉も盛りだくさんで、仕事や勉強に奮闘するすべての人に読んでほしいです。「天才になれなかった全ての人へ」のキャッチコピーが胸に刺さります。
世代を超えて楽しめる名作漫画13選
現在も映像作品が放送されている漫画、親子2世代にわたって楽しめる漫画、そして、これからも長年にわたり語り継がれるであろう名作漫画をご紹介します。
DRAGON BALL
鳥山明の代表作である長編バトル漫画。山奥に住む怪力で、メチャクチャ元気な孫悟空。ある日悟空は、7つそろえるとどんな願いもかなうという「ドラゴンボール」を探すブルマと出会う。彼女と共に、悟空もドラゴンボールを探す旅へ出発する。
作者の圧倒的な画力で描かれる絵のタッチは唯一無二。キャラクターたちの戦闘シーンは躍動感があり、子どもならまねしたくなるようなほれぼれするかっこよさです。また、初期のドラゴンボールはギャグ要素の強い作風でしたが、次第に宇宙をも巻き込む壮大なバトル漫画へと発展します。その過程を追いながら読み進めるのも面白いです。
NARUTO―ナルト―
忍の世界を舞台に、友情と冒険の物語を描いた少年漫画。木ノ葉隠れの里で暮らす忍術学校の問題児、ナルト。夢は歴代の勇者、火影の名を受け継いで先代を越える忍者になること。だがナルトには出生の秘密があった……。
主人公・うずまきナルトが忍者の里の長・火影を目指して成長していく物語で、少年漫画の王道である友情や絆を描き、胸を熱くさせてくれる作品です。最大の魅力は作中に登場する個性豊かなキャラクターたち。大切な仲間の闇落ちや死なども描かれ、その中で揺れ動くキャラクターの心に感動必至です。
るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―
殺傷力を持たない刀「逆刃刀(さかばとう)」を腰に下げ、人を殺めないという「不殺(ころさず)の誓い」という信念を持ち、流浪人として全国を旅していた緋村剣心。彼はかつて、維新志士の中で最強無比の伝説を持つ“人斬り抜刀斎”であった。ある日剣心は、ひょんなことから、神谷活心流道場師範代の神谷薫と出会い居候することになる。しかし、人斬り抜刀斎であった過去故に、さまざまな敵と戦うことになる。
さまざまな剣技で爽快な気持ちになれるアクション。個性豊かなキャラクターだけでなく、かつての人斬りが人を殺さずに生きていくことの苦悩と葛藤が一番の見どころです。人を殺めたことを悔い、贖罪の答えを探しながら、目の前の大切な人を守り生きていく。剣心のそんな健気で真摯な姿に心動かされる作品です。
ジョジョの奇妙な冒険 第1部
舞台は19世紀のイギリス。名門貴族の息子であるジョナサン・ジョースター、通称ジョジョは、突然養子としてやって来たディオ・ブランドーの策略により精神的に追い詰められていく。しかし、初恋の相手が事件に巻き込まれたことをきっかけに、ジョジョは初めての反撃に成功。それ以降、2人は友好的な関係を築いていくように見えたが、ディオは心を入れ替えてはいなかった……。
連載開始から35年、8部にわたって愛され続けるのも納得の名作。部が変わるごとに主人公が代わり、それぞれの物語が展開されていきます。そのなかにも、これまでに登場したキャラクターが再び登場するなど、胸が熱くなる展開が必ずあるのが見どころの一つ。シリアスなシーンや激しいバトル中に入るシュールな笑い、「無駄無駄無駄無駄ァッ!」など有名過ぎるせりふ、ついやってみたくなる“ジョジョ立ち”と呼ばれるポーズなど、ほかの作品では味わえない中毒性があり、あらゆる面で読者にハマる要素を持った作品です。
寄生獣
突如、地球に飛来した寄生生物たち。彼らは人間の体に侵入し、脳を乗っ取り、他の人間を食い殺し始める。高校生の泉新一の体にも寄生生物が侵入するが、脳の乗っ取りに失敗。彼の右手に宿ってしまう。奇妙な共存関係となった彼らはやがて、ほかの寄生生物たちとの壮絶な戦いに身を投じることになる。
主人公の新一と彼の右手に寄生してしまったミギーが寄生生物と戦うストーリーには、ファンタジーアクションの要素があります。しかし最終的には、「人間の愚かな行為がやがて人間を殺していく」という警鐘を鳴らす、強烈なメッセージ性を持った作品であることが分かります。理不尽な死、大切な人を失う悲しみ、憎しみによって誰かを殺すこと、種を懸けた戦い、自分以外の大切なものを生き残らせたいという思いが詰まっていて、感情を大きく揺さぶられる作品です。
新世紀エヴァンゲリオン
西暦2000年、南極に隕石が落下し、大災害“セカンド・インパクト”が起こった。それから15年、人類は“使徒”襲来という新たな危機に襲われる。使徒に対抗するべく、人類は汎用人型決戦兵器“エヴァンゲリオン”を開発。パイロットに選ばれた14歳の少年少女たちの戦いが始まる。
90年代のアニメブームをけん引した大人気作品。そのテレビアニメ版のコミカライズとして位置付けられた同作は、テレビアニメ版とも劇場版とも違う結末を迎えます。“エヴァ”の面白さは、使徒とエヴァンゲリオンとの戦闘シーン、そして、パイロットが14歳という精神的にも子供と大人の狭間にある思春期独特の感情を細やかに描いているところです。漫画では、主人公の碇シンジの感情の変化や人間として成長していく姿が、映像作品よりもわかりやすく描かれています。これも一つのエヴァの結末として、ぜひ読んでみてほしい作品です。
こちら葛飾区亀有公園前派出所
1976年から40年にわたって連載された、下町人情コメディー。公務員でありながらさまざまな副業に手を出してはしっかり結果を残している型破り巡査長・両津勘吉。さまざまな流行に敏感な彼が巻き起こす騒動を通し、昭和から平成の日本文化の移り変わりも学べます。世界的大財閥の御曹司・中川圭一や、筋金入りのお嬢様でもある秋本・カトリーヌ・麗子ら葛飾区亀有公園前派出所メンバーはもちろん、一歩間違えると取り締まられる側になり得る特殊刑事の面々や、魔法で本物の女性となったマリアこと麻里愛をはじめとする勘吉を慕う美女など、特濃キャラたちの活躍も見逃せません。
のだめカンタービレ
エリート音大生・千秋真一は、指揮の勉強をするために渡欧したいと思いながらも、飛行機恐怖症のため留学できず、国内に留まるしかないというジレンマを抱えていた。ある日千秋は自宅マンションの前で泥酔し、眠ってしまった。目が覚めると、彼の周りにはゴミの山と美しいピアノソナタを奏でる女性、野田恵(通称:のだめ)の姿が。変人・のだめとの出会いにより、千秋の運命は大きく変わっていく……。
主人公が夢を追うストイックな姿や厳しい音楽の世界と、個性的過ぎるぶっ飛んだ登場人物との対比が絶妙です。重すぎず軽すぎず、楽しみながら読み進められます。漫画から音楽が聴こえてきそうなほど、臨場感たっぷりでその世界観に引き込まれる作品です。
花より男子
日本をはじめ、アジア圏でも実写映像化されるなど、世代や国境を越えて愛され続ける青春学園ラブストーリー。お金持ちの家に生まれた生徒たちが集まる英徳学園。玉の輿を願う親の勧めで入学した一般庶民・牧野つくしは、「F4」と呼ばれる学園を支配する4人の美少年たちと知り合い、リーダーの道明寺司から熱烈なアプローチを受けるようになる。
少女漫画史上屈指ともいえる強いメンタルを持つ主人公・つくしのたくましさに勇気をもらい、つくしとアンニュイ系美少年・花沢類、俺様なヒーロー・道明寺という三角関係にドキドキ……。そんなさまざまな感情を読者に与えてくれる名作です。
ママレード・ボーイ
海外でもドラマ化されるほどの大人気青春ラブストーリー。親同士のシャッフル再婚と同居をきっかけに、中学時代にきょうだいとなり、一つ屋根の下で暮らすことになった女子高校生・光希と同い年の美少年・遊。光希は母親から「恋するな」とくぎを刺されていたにもかかわらず、同居する遊に引かれていく。
元気で明るい主人公とミステリアスな義兄との関係を中心に、女子高校生と教師との禁断の恋など、さまざまな恋愛模様が少女漫画らしい爽やかなタッチでつづられています。光希と遊の弟と妹が主人公の続編でも、胸キュンストーリーが展開されます。
高校デビュー
高校デビューを目指す女子高校生・長嶋晴菜と女子生徒から人気な男子高校生・小宮山ヨウのピュアな青春恋物語。中学時代ソフトボール一筋で部活にすべてを捧げていた晴菜は、少女漫画の世界に憧れ、高校では恋愛にすべてをかけることを決意する。しかし、頑張ってもうまくいかず、1学年上の先輩であるヨウにモテのコーチを依頼することに。次第に晴菜は、不器用ながらも本当の恋愛を経験していく。
クールな見た目のヨウは、無愛想ながらも実は優しいツンデレ男子の究極系。肝心なところで必ず助けてくれるヨウと何事にも一生懸命な晴菜の恋愛模様は、誰もが憧れる王道の少女漫画。キュンキュンしたい時にはぜひ読んでほしい作品です。
ドラえもん
親子2世代・3世代に愛されている国民的人気SF漫画。ネコ型ロボットのドラえもんがのび太とその子孫に訪れる災難から彼らを救うため、未来からやって来る。
ドラえもんの四次元ポケットから飛び出す不思議な道具の数々は、日本だけでなく海外の人々も魅了しています。電話で話すと本当にその通りになる「もしもボックス」など、ドラえもんの道具をどのように使うかと想像力が無限に広がるのが、子どもから大人まで支持される大きな理由です。
金田一少年の事件簿 File
名探偵・金田一耕助を祖父に持つ高校生・金田一一が、幼なじみの美雪や剣持警部と共に、さまざまな殺人事件を解決していくミステリー。
「ジッチャン(金田一耕助)の名にかけて」「謎はすべて解けた」のせりふでおなじみの同作。実写ドラマも世代を越えて受け継がれ、金田一少年の名はもはやジッチャンより有名になったと言っても過言ではありません。そんな金田一少年が遭遇する事件の犯人は、どうしても完全な悪人と言えないところがポイント。その理由は、多くの事件の背景には悲しい事実が隠されているから。謎を解くだけでは終わらず、苦くて切ない後味が残ることが、多くの読者を引きつける理由の一つです。
若者向けの完結漫画13選
バトル漫画や恋愛漫画は、今も昔も若者たちに人気の定番ジャンル。このジャンルから、特に10代から30代の若い方におすすめしたい完結漫画をご紹介します。
金色のガッシュ!!
IQ200の天才中学生、高嶺清麿は周囲からの嫉妬が原因で不登校になっていたが、ある日清麿の父に助けられた恩返しに来たという謎の少年ガッシュ・ベルと出会う。ガッシュは過去の記憶を失っているが、その正体は“魔界の王”を決めるためにやって来た100人の魔物の子どものうちの一人だった。
作中では多くの別れがあり、そんな友の想いを背負って王を目指し、成長するガッシュの姿には、読者も勇気付けられるはず。また、頭が良過ぎるが故にまわりを見下すようになっていた清麿が、ガッシュと共に心を成長させていく過程に感動できます。白熱のバトルだけではなくギャグも多く、涙もありの作品です。
FAIRY TAIL
魔法が生活の中に根付く世界では、魔法を使って人々の依頼を解決する「魔導士」と、魔導士と依頼人を仲介する組織「魔導士ギルド」が存在した。一人前の魔導士を目指す少女・ルーシィはある日、火の魔導士・ナツと、言葉を話す青い猫・ハッピーと出会う。事件に巻き込まれるうちに、ルーシィは彼らから、ギルドの一つである「FAIRY TAIL」に誘われる。
最初から最後まで一本筋の通ったナツと、戦いを重ねるごとに成長するルーシィの魅力はもちろん、ギルドメンバーも強い信念を持つキャラクターがたくさん。独特な作画も相まって、バトルのたびにそのキャラクターが好きになっていきます。原作最終話まで放送されているアニメも人気です。
アカメが斬る!
とある田舎村の少年・タツミは出稼ぎのため幼なじみのサヨとイエヤスと旅に出るも、その道中で2人とはぐれてしまい、一人で目的の地・帝都にたどり着く。タツミは2人と再会を果たすが、彼らは地方からやって来た人々をいたぶることを趣味とする貴族たちの拷問を受け、命を落とす。その後、タツミはその貴族を標的としていた暗殺集団「ナイトレイド」のメンバーで凄腕の剣士・アカメと対等に戦った腕を見込まれ、強引に仲間にさせられる。
腐敗した世界を切り裂くダークな物語でありながら、登場人物との別れを迎えるたびに心も体も強くなっていくタツミの姿を見ていると、少年漫画を読んでいるかのような気持ちにさせられます。また、常に大きな障壁として立ちふさがる最強の女将軍・エスデスは、残虐で人間としてどこか壊れているところがあります。タツミと接する時に見せる乙女の態度にはギャップがあり、ツンデレやヤンデレとも違ったキャラクター性で不思議な魅力があります。
SHAMAN KING
霊を操るシャーマンを題材にしたバトル漫画。中学生の小山田まん太はある日、墓地で霊と戯れる少年と出会う。その少年・麻倉葉は、修行のために出雲からやって来たシャーマンだった。さまざまなシャーマンたちと出会う中、葉はこの世の森羅万象を司る“シャーマンキング”を決めるために500年に一度行われるシャーマンファイトに挑む。
圧倒的な力を持つ相手に対しどのように挑んでいくのか、その成長過程がさまざまなエピソードを通して丁寧に描かれています。王道バトル漫画としての要素がふんだんに盛り込まれているだけでなく、世界中のシャーマンが一堂に会すシャーマンファイトやシャーマンキングをめぐる数千年に及ぶ歴史など、スケールの大きさも面白さのポイントです。
鋼の錬金術師
兄のエドワードと弟のアルフォンスの2人の錬金術師は、幼いころ、病死した母親をよみがえらせるために禁忌である“人体錬成”を試みるも失敗する。その代償として、エドワードは左足とアルフォンスを失うも、とっさに自身の右腕と左足を代価にしたことで、アルフォンスの魂を鎧に定着させることができた。その後、失ったものを取り戻すために、エドワードは国家錬金術師となり、アルフォンスと共に長い旅へ出る。やがて国家の存亡を左右する大きな陰謀に気付いたエドワードは、それを阻止すべく奮闘する。
アニメ化、実写映画化とファンの多いバトル漫画で、登場人物たちそれぞれが家族という大事な存在のために生き、戦う姿がかっこいいです。物語が進むにつれ、巨大な陰謀のヒントが少しずつ明かされていくので、黒幕の正体や思惑を推理しながら読むのが面白いです。
犬夜叉
願いをかなえる“四魂の玉”をめぐり、人間と妖怪が争っていた戦国時代。四魂の玉を守る巫女の桔梗は、人と妖怪から生まれた半妖の犬夜叉と心を通わすが、ある者のわなにより四魂の玉を奪った犬夜叉を封印し自分もまた力尽きる。それから500年後、神社の娘である日暮かごめは神社の祠にある井戸から戦国時代へタイムスリップする。すると、かごめの体内から四魂の玉が現れたことで犬夜叉の封印が解け、四魂の玉をめぐって妖怪たちが動き出す。
『うる星やつら』『らんま1/2』などで知られる高橋留美子の代表作の一つ。犬夜叉はかつて愛した人の生まれ変わりであるかごめと出会うだけでなく、実際に愛した本人である桔梗とも再会し、2人の間で心が揺れます。そんな、普通の恋愛漫画にはない展開にも注目です。冒険活劇として楽しむことができるのはもちろん、愛についても考えることができる作品です。
ホリミヤ
派手な見た目に反して成績優秀で、家事や弟の面倒をこなす女子高校生の堀京子。ある日、ピアスの穴がたくさん空いた男が、けがをした弟を家に送り届けてくれる。初対面だと思ったその男の正体は、地味で根暗なクラスメート・宮村伊澄だった。弟が宮村になついたことで、彼は堀家に通うようになる。
思春期特有の悩みや人間関係が詰まっていて、それ故に大人になって読むと懐かしさとうらやましさがあふれてきます。また、メインの堀さんと宮村以外のカップリングにもしっかりとフォーカスされた話も多く、様々な角度から作品の世界観を見ることができ、何重にも楽しむことができます。
溺れるナイフ
東京でモデル活動をしていた小学校6年生の夏芽は、父親の都合で田舎町に転校し、そこで出会ったコウという少年に強烈に引かれていく。中学生になり、コウと付き合い始め、芸能活動も再開した夏芽。しかし、彼女がある事件に巻き込まれてしまったことで、2人の運命が大きく動き出す。
夏芽とコウの恋愛模様を軸に、小・中・高校生の多感な時期を真正面から描いた作品。「どうすればいいのかわからないけれど、欲しいのはこの子だけだ」というキャッチコピーの通り、10代ならではの勢いや葛藤、もろさ、説明のつかない感情が丁寧に描かれています。途中、読んでいて苦しくなるシーンもありますが、ただキュンとする少女漫画では物足りないと感じる人にはぜひ読んでほしいです。
orange
主人公・菜穂の元に未来の自分からの手紙が届くことから始まる、パラレルワールドを軸にした物語。手紙には、大切な友人・翔を救えなかったことを後悔しているとつづられていた。ほかにも、これからの学校生活で起こることが細かく書かれていて、菜穂は友人たちと協力しながら、未来を変えるために行動を起こしていく。
王道的なラブストーリー要素もありますが、生きることの大切さを感じさせてくれる内容で、思いっきり泣きたい時にもおすすめです。また、登場人物に悪い人がいないのも魅力で、菜穂を含む仲良し男女6人組の友情も色濃く描かれています。
君に届け
陰気な見た目のせいで‟貞子”と呼ばれ、周りから恐れられている15歳の主人公・黒沼爽子。そんな爽子とも分け隔てなく接する、明るくて爽やかな人気者・風早翔太。憧れの存在である風早とのやりとりをきっかけに、爽子の日常が変わり始める。
座右の銘は「一日一善」というほど真面目で、見た目に反して実はポジティブな爽子のキャラクターがとにかく愛おしいです。そんな爽子と風早のもどかしすぎる恋愛模様には、ほほえましく、やきもきさせられます。2人だけでなく、爽子のクラスメートであるやのちんとちづの友情にも心温まります。頑張った爽子と、爽子を大切に思うやのちんとちづを抱きしめたくなります。
アオハライド
高校生の熱く、青い恋愛模様を描く高校生活グラフィティー。中学時代のトラウマから自分を偽って生きる女子高校生の双葉。ある日双葉は、中学生の時の忘れられない初恋の相手で、転校して離れ離れになってしまった「田中くん」と再会する。高校生になった彼の性格は当時と変わってしまったが、双葉はそんな彼に再び引かれていく。
アオハライド=「青春+ride」=青春に一生懸命乗っていく、という意味のタイトルからもわかるように、王道を駆け抜ける青春ストーリー。胸キュンとはこういうことかと漫画を読んで実感できるくらい、キュン要素にあふれています。一方で、学生時代の楽しさであったり、あの年代特有のもどかしさであったりと、読者に自分の青春時代を思い出させるような展開も豊富。ドキドキしたり、ゲンナリしたりととにかく心が動かされること間違いなしの作品です。
ラブ★コン
背の高い女子高校生・小泉リサと背の低い男子高校生・大谷敦士が、大阪の高校を舞台に繰り広げる青春ラブコメディー。身長差と漫才のような掛け合いでクラスの名物コンビとして知られるリサと大谷。ある日、大谷からの提案で、2人はお互いの恋を協力し合うことになる。2人は好きな人にアプローチしようと励まし合うが、リサは次第に大谷のことが気になっていく。
身長にコンプレックスのある2人が、悩みながらもまっすぐに相手に向き合っていく恋愛は応援したくなること間違いなし。リサと大谷のテンポのいいノリツッコミの掛け合いはレベルの高い漫才のようで、声を出して笑ってしまいます。元気を出したい時に読んでほしい一冊です。
青空エール
実写映画化もされた青春ストーリー。吹奏楽と野球の名門校へ進学したつばさ。甲子園を目指すクラスメートの山田大介の前向きな言葉に支えられながら、彼女は努力と情熱で初心者というハンデをものともせず、「甲子園でトランペットを演奏する」という夢に一歩ずつ近付いていく。
3年間にわたるつばさと大介の恋を軸に、ひたむきな努力の尊さや吹奏楽部内での嫉妬渦巻くドラマが描かれています。どこまでもピュアに互いを想い合うつばさと大介。彼らのこれからの幸せを祈らずにはいられなくなるはず。
大人向けのおすすめ漫画10選
少年・少女漫画にはない、重厚なストーリーや多様な人間模様を楽しめる青年漫画。ここでは、30代以上の方向けのおすすめ完結漫画をご紹介します。
アイアムアヒーロー
謎の感染症によって、平凡な日常が突如パニックに陥るSFホラー漫画。主人公は鈴木英雄、35歳。さえない漫画家アシスタント生活を送るある日、気付かぬうちに謎の感染症がまん延し始める。現実の世界が壊れ、姿を変えていく……。
何の変哲もない普通の人間が、感染症によって一変した世界で生き抜く姿がリアルに描かれています。序盤から死と隣り合わせの展開が続き、手に汗握る緊張感が常に走ります。ハラハラドキドキが好きな人におすすめの作品です。
GANTZ
現代の日本を舞台に、謎の球体の出現によって人類の存亡を懸けた戦いに巻き込まれていくSFアクション漫画。地下鉄のホームではねられた玄野と加藤は、謎のマンションの一室に一瞬にして転送される。そこに置かれた得体の知れない黒い球体の指令により、“ねぎ星人”の暗殺を命じられた玄野らは、状況を把握できないままねぎ星人の元へと転送される……。
スタートから謎だらけで、読み進めるうちにどんどん引き込まれていく作品です。主人公たちは「星人」と呼ばれる敵と壮絶な戦いを繰り広げ、圧倒的な画力が故に目を覆いたくなるようなシーンも。現実と非現実が交錯する世界観、緊張感を与えるリアルな描写がこの作品の魅力です。
ゴールデンカムイ
時代は激動の明治後期。日露戦争の死線を潜り抜けた元兵士・杉元佐一は、ある目的のため大金を手に入れるべく北海道にいた。ある日、杉元はアイヌから奪われた莫大な埋蔵金のうわさを耳にする。そんな折、ヒグマの襲撃を受けた杉元をアイヌの少女・アシリパ(※「リ」は小書きが作中の正式表記)が救う。
序盤はアイヌの文化や明治後期の日本について触れながら、アクションシーンも展開されていきますが、物語が進むにつれて、張り巡らされた伏線回収やそれぞれの思惑による心理戦に引き込まれていきます。最後に行き着くのは、主人公の杉元がアシリパの持つ純粋な心や思いを大事にしたかったという真っすぐな思い。同士として信頼し合う2人の絆に胸が熱くなります。また、埋蔵金を狙う鶴見中尉の野望、信念、強い意志にも脱帽。アイヌの文化を知れるだけでなく、戦争が人の心に遺したものについても考えさせられる作品です。
ピース オブ ケイク
恋愛のきれいじゃない部分をしっかり描いている、大人の大恋愛叙事詩。“a piece of cake”の意味は、お茶の子さいさい、朝飯前、簡単なこと……。梅宮志乃は惰性で付き合っていた彼氏と別れ、心機一転、仕事を辞め、引っ越しもする。その後、彼女はアルバイト先の店長・菅原京志郎にだんだんと心を引かれていったが、京志郎には同棲中の恋人・成田あかりがいて……。
恋愛に必死になって、回りが見えなくなったり、裏切られて傷付いたり、それでもふとした瞬間にたまらない幸せを感じたりする志乃の言動には、読みながら思わず「わかる!」と共感してしまいます。リアルで苦しい感情描写だけでなくコメディー要素も随所に散りばめられていて、作者のジョージ朝倉節が炸裂します。キュンキュンときめく王道少女漫画以外の作品を読んでみたい人におすすめの作品。
クズの本懐
一見理想のカップルで周囲からもうらやましがられる安楽岡花火と粟屋麦には、ある秘密があった。それは、お互いに学校の教師に恋をしており、その代わりの相手として付き合っていて、どちらかの恋が実ったら別れるという約束をしていることだった……。
メインキャラクターの花火と麦はどちらも先生に恋をしているという点で、一見似ているように見えるかもしれません。しかし、次第に2人には差が生まれて、さらに、それぞれが抱える歪みがあらわになっていきます。その過程にどんどん引き込まれます。テーマやキャラクター設定が奇抜にもかかわらず、ページをめくる手が止まらなくなる不思議な作品です。
いつかティファニーで朝食を
仕事や恋に翻弄されながらも、おいしい朝ごはんを食べて一つずつ問題を乗り越えていくアラサー女子の物語。東京で暮らす佐藤麻里子は、編集者の創太郎と7年同棲していたが、そのだらしない生活に幻滅。「自分が大事にしているものを大事にする生活」のため、恋人と別れ新たな一歩を踏み出すことを決意する。
“朝食女子”たちの姿を描いた新感覚ストーリーで、麻里子やその友人たちの一生懸命な姿に励まされます。朝活を始めることで、見えていなかったものが見えてくる……。仕事に忙殺されてめちゃくちゃな生活を送っている人におすすめです。朝ごはんのお店はもちろん、ライフスタイルやファッションなど、細かい設定も楽しい作品です。
東京タラレバ娘
「こうだったら」「あの時ああしてれば」と言っているうちに、あっという間にアラサーを迎えた女子たちの人生を描いた物語。結婚しなきゃと焦るも、なかなかうまくいかない倫子。このままではだめだと思いつつ、親友の香や小雪と愚痴大会を楽しんでいた。そんな中、いつもの居酒屋に偶然やって来た謎の金髪イケメン・KEYに思いっきりだめ出しを受けたことから、3人の運命や考え方が大きく変わり始める。
このままではだめだともがきながら、前を向いて進む主人公の姿は共感できる部分が多くあります。恋愛に限らず、「たられば」と思いがちな方にとっては、グサグサ刺さるリアルな描写があります。身近な"あるある"ネタも多いので、気負わずサクサク読み進められるのも魅力です。
繕い裁つ人
祖母の志を受け継いで、その人だけの服、一生添い遂げられる洋服を作り続ける。そんな南洋裁店の店主・市江と、彼女の服を愛してやまない百貨店企画部の藤井。微妙な距離感を保ちながら関わる2人と、服にまつわる人々の思いを描き出す、優しい優しい物語。
物語の内容はもちろんですが、市江の仕事に対する情熱や想いに感銘を受ける人も多いはず。忙しくてすべての物事に対して全力を注ぐのが大変な時もありますが、時々読み返しては、仕事もプライベートも、改めて丁寧に向き合いたくなるような作品です。
潔く柔く
女子高校生のカンナと幼なじみのハルタ。恋人ではなく、お互い好意があるのかないのか、微妙で曖昧な関係性の2人だったが、ある日、ハルタは事故に遭い亡くなってしまう。ハルタを思うカンナと、彼女を取り巻くさまざまな人間模様がつづられたオムニバス形式の作品。
短編でも読み進められますが、すべての話がどこかでつながっていて、ちょっとした文学小説を読んでいるような感覚になります。ハルタの死を軸に、周囲の人の後悔や苦しみがつづられていきますが、それぞれの話でメインとなる人物が異なります。読み進めていくうちに、登場人物同士のつながり、それぞれの気持ちや行動の理由が明らかになっていき、最終話では伏線もすべて回収されます。何度も読み返したくなる作品です。
大奥
江戸幕府、三代将軍・家光の時代、男子のみを襲う謎の疫病が国中にまん延。男子の数が激減したことにより、男子は希少な種馬として育てられ、女子は労働力として働くようになった。江戸城でも、家光以降から将軍職は女子へと継がれていき、希少な男子を囲う江戸城大奥は“美男三千人”と称されるようになる。そんな中、貧乏旗本の家で育った水野は大奥入りを決意する。
映画やテレビドラマで映像化もされた、よしながふみの人気作品。男と女の立場や扱いが入れ替わった世界で、女性が将軍として生きていくための困難や苦悩が描かれています。人が人を愛し、時代が紡がれていくさまに胸が熱くなるシーンも度々。史実に重ねている部分もあるので、歴史好きにとっても興味深い作品です。
懐かしさを感じる不朽の名作漫画13選
最後に、一定の世代にとっては懐かしいと感じるような往年の名作をご紹介。名作と呼ばれる作品には、何年たっても色あせない魅力があります。もう一度手に取ってみて、その魅力を味わってみてください。
ベルサイユのばら
中世の歴史を広く知らしめたことで、本国フランスでも高い評価を得ている歴史ロマン。フランスの王太子に嫁いできたオーストリアの皇女マリー・アントワネットと、彼女の護衛を務める男装の美少女オスカルを中心に、貴族たちの愛憎渦巻く関係を昭和時代の少女漫画独特の華やかなタッチでつづる。
皇女故に無邪気に育ったマリーとスウェーデン貴族・フェルゼンとの道ならぬ恋や、フェルゼンに心引かれていたオスカルの苦悩、そして彼女に秘めた思いを寄せ続けるアンドレなど、魅力的な登場人物たちが繰り広げる恋愛模様がもりだくさん。彼らが歴史の荒波に飲み込まれて行くさまは、大河ドラマといっても過言ではありません。
フルーツバスケット
母を亡くした女子高校生の本田透は一人暮らしをしていたところ、家事の腕を買われ、クラスメートの草摩由希の家で暮らすことに。ところが、草摩一族はある秘密を抱えていた。それは、一族には十二支の物の怪がとりついており、異性に抱きつかれると動物に変身してしまうというものだった……。
ユニークな設定ですが、物語を読み進めると、草摩一族の人々はそれぞれ心に傷を抱えていることがわかります。そして彼らは、透の優しさや温かさに触れ、少しずつ変わっていきます。読めば心が洗われ、大切な人をさらに大事にしたいと優しい気持ちになれるファンタジーラブストーリーです。
タッチ
双子の兄弟、上杉達也・和也と幼なじみのヒロインの朝倉南が織りなす不屈の青春野球漫画。双子でありながらまったく性格の異なる達也と和也、そして、隣の家に住む南は、そろって同じ高校へ進学。和也は野球部、南は新体操部兼野球部マネージャー、そして達也はなりゆきでボクシング部に入部。南を甲子園へ連れて行くために奮闘する和也だったが、ある日、悲劇が訪れる……。
数々の名作を世に送り出してきたあだち充は、同作で第28回小学館漫画賞少年少女部門を受賞。自身最大のヒット作となりました。性格の違う双子が野球に向き合う姿、思わず妄想せざるを得ない胸キュンな恋愛模様、丹念な家族描写といった、あだち充ワールドがそこかしこに散りばめられています。甲子園出場の鍵を握る野球部の鬼監督・柏葉英二郎にも注目です。
キャプテン
野球の名門・青葉学院から無名の墨谷二中に転校してきた谷口タカオ。野球部員たちは転校生の入部に喜ぶが、谷口は青葉では二軍の補欠だった。周囲の期待に応えるため、谷口は努力を積み重ね、やがて彼はキャプテンとしてチームを引っ張る存在となる。
この年代の野球漫画でよく見られるような、魔球を投げるピッチャーや筋骨隆々のホームランバッターがいるわけではありません。ですが、血のにじむような努力や独自のスタイルで成長していく姿に胸が熱くなり、大人になった今でも読み返したくなる漫画です。初代キャプテンの谷口から丸井、そして、イガラシ、近藤へとキャプテンが受け継がれていきますが、それぞれのスタイルが異なるのも見どころの一つ。スポ根野球漫画として楽しめるのはもちろん、努力の方向性やマネジメントを学ぶのにも最適な作品です。
キャプテン翼
世界中のサッカー選手たちにも影響を与えた、ワールドワイドなサッカー漫画。幼いころからサッカーボールと友達のように遊んできた小学6年生の大空翼。南葛小に転校してきた翼は修哲小の天才キーパー・若林源三と出会い、2人は両校の対抗戦で決着をつけることに。翼はプロサッカー選手のロベルト本郷から指導を受け、めきめきと頭角を現していく。
ゴールネットを突き破ったり、コンクリートの壁にめり込むほどの威力があるシュート、さらに、作中のキャラクターたちによるオリジナル技など、天才たちの超人プレーの数々に度肝を抜かれます。実際にプロサッカー選手が再現しているプレーもあり、まさに多くのサッカー選手に影響を与えた作品と言えます。
北斗の拳
原哲夫・武論尊コンビが生み出した世紀末アクション。世界が核の炎に包まれた199X年、文明は消え去り、世界は暴力が支配する時代になっていた。その荒廃した世界を舞台に、北斗神拳伝承者・ケンシロウが数多のライバルたちとしのぎを削り、愛と哀しみを背負い救世主として成長していく姿を描く。
漢(おとこ)になるための最強バイブルです。「愛するがゆえに 見守る愛もある」「我が生涯に一片の悔い無し」「おまえのようなババアがいるか!!拳王の手下だな」など、数々の名言を残しました。「あべし」「ひでぶ」「たわば」など、辞世の句を残す暇もない断末魔の叫びも一世を風靡しました。
魁!!男塾
過激なスパルタ教育を施す「男塾」を舞台に、男気あふれる塾生達の活躍を描いたバイオレンスアクション。全国の不良少年たちを集めて、過激な軍国主義教育を行う男塾。その筆頭である剣桃太郎はある日、ヤクザの組事務所へたった一人で突撃するように命じられる。
常識を逸脱したスパルタ教育や破天荒な決闘で、読者の度肝を抜いた不良格闘漫画の金字塔。仲間たちの目の前でかっこよく散ったはずの塾生たちが生き返る大胆なストーリー展開や、大気圏を突破できるほどの圧倒的な強さを見せる江田島平八塾長など、当時の男性読者の心をわしづかみする要素がふんだんに盛り込まれていました。3年に一度行われる格闘行事「大威震八連制覇」で司祭を務めていた王大人(ワン・ターレン)が口にする「死亡確認!」というせりふは、涙なしには見られません。
動物のお医者さん
平成初期にシベリアン・ハスキー犬ブームが巻き起こるきっかけとなった、ハートフル・コメディー。地下鉄駅への近道として、H大の敷地内を友人の二階堂昭夫と歩いていた高校3年生の西根公輝。ひょんなことからH大教授・漆原と出会った彼は、教授が捕獲したシベリアン・ハスキーの仔犬を押し付けられる。当初からH大を志望していた公輝は、チョビと名付けた犬の病院代などを節約するため、獣医師を目指すことになる。
繊細ながら味わい深いタッチの絵柄で描き出される、さまざまな愛らしい動物たちの行動に癒されること確実です。軽妙な掛け合いと独特なテンポに笑わされたかと思えば、獣医師としての働きぶりに驚かされる場面も。個性的なキャラクターと独特な空気感も相まって、唯一無二の作品となっています。
幽★遊★白書
週刊少年ジャンプの黄金期を支えたバトル漫画。教師も手を焼く不良の浦飯幽助は、ある日子どもを助けて事故に遭い、幽霊になってしまう。しかし、幽助の死は霊界にとって予想外のもので、閻魔大王は彼に生き返るための試練として、人の心を映す“霊界獣”の卵をかえすよう命じる。
主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原和真、飛影、蔵馬、幻海、戸愚呂弟、美しい魔闘家・鈴木など、クセのあるキャラクターたちが読者を魅了します。なかでも、男女共に高い支持を得ているのが、「邪眼の力をなめるなよ」でおなじみの飛影。クールな性格で、強さを追い求めるストイックさがありながら、妹想いの優しさも併せ持ち、そのギャップがたまりません。
ハイスクール!奇面組
新沢基栄作のデビュー作『3年奇面組』の続編にあたる夢オチ、タイムループで熱い議論が交わされるほど人気を博したギャグ漫画。変態万年落第5人組、通称“奇面組”の5人は、そろって一応高等学校に進学。中学生時代に留年を重ねた彼らに加え、世間知らずのお嬢様新人教師・若人蘭など個性豊かな新キャラクターたちが加わり、ドタバタ学園ドラマが幕を開ける。
続編となるこちらの作品では、奇面組5人の家庭環境にも注目です。 5人のリーダー的存在の一堂零は「おもちゃ屋」、 メンバーきっての武闘派の冷越豪は「酒屋」、のんびり屋の大間仁は「ケーキ屋」、メンバーの中で最も常識人の出瀬潔は「風呂屋」、涙もろくて乙女のような性格の物星大は「本屋」ですが、それぞれ家庭と商売がキャラクターの個性につながっています。
天使なんかじゃない
高校の生徒会を舞台に、登場人物たちが恋や友情に奮闘する青春恋愛漫画。新設された高校の一期生として入学した冴島翠。生徒会役員候補として演説することになった翠は全校生徒の前である失態を犯してしまうが、それをリーゼント頭の男子生徒・須藤晃に助けられる。その後、須藤と共に生徒会役員に選ばれた翠たちは、初めての学園祭や体育祭などの学校行事を盛り上げるべく一致団結する。
楽しい高校生活のイメージをそのままに再現した青春物語です。翠と同じ生徒会の一員であるマミリンや文太との友情は、何度読み返してもその真っすぐさが心に響きます。また、90年代の作品とあって、家の固定電話や公衆電話が物語の重要なツールになっていることも、いま読むと時代の変化を感じます。
キン肉マン
人間を超越した存在である超人たちが活躍する格闘漫画。宇宙人襲来という危機が地球に迫る中、名のあるヒーローたちはみな各々の用事で駆け付けられなかった。そんな中、家で牛丼を食べていた超人の一人・キン肉マンが宇宙人と戦うことになる。
連載当初は、おならで空を飛んだり、巨大化したりと、ギャグ漫画の要素が満載でしたが、「超人オリンピック編」から個性的な超人たちが活躍するプロレス格闘漫画に。それ以降、友情の力で困難を乗り越える展開へと変わっていき、週刊少年ジャンプの王道作品の礎を築きました。キン肉マンとライバル関係にあったロビンマスクや機械の体を持つロボ超人ウォーズマンなどの人気超人も魅力ですが、“瞬殺超人”として名をはせたレオパルドンなど、脇役の超人たちにも注目。現在も、新シリーズが続いている人気作品です。
逆境ナイン
校長から廃部を命じられた全力学園野球部。しかし、キャプテンの不屈闘志は、部の存続のために甲子園優勝を宣言。さらに、その決意の証明として、春の甲子園ベスト8と甲子園常連の強豪・日の出商業を10日後の練習試合で倒すことを誓うのだった。
109点差からの逆転勝利をしてしまうほどのスポ根熱血野球ギャグ漫画です。終始ハチャメチャな展開で物語が進みますが、逆境を乗り越えていくなかで、思わず「なるほど!」とうなってしまうほどの名言が飛び出します。ストーリー展開ももちろんですが、要所で飛び出すせりふの数々にも注目してみてください。
ここまで、スタッフがおすすめする完結した名作漫画60作品を紹介してきました。日本の漫画の歴史を作ってきた名作ぞろいなので、どの作品も一読の価値ありです。また、続きを待たずにどんどん読み進められるところが完結漫画のいいところなので、往年の名作も話題の人気作も、この機会にぜひ一気読みしてみてください。
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