古代碑文の権威であった老教授の死。遺品の中から見つかった、奇怪な粘土の浅浮き彫り。若き彫刻家が夢に見た、緑色の石で築かれた巨大都市。ニューオーリンズの沼地で摘発された、名もなき邪教の儀式。そして南太平洋の海上で発見された、謎の漂流船。無関係に見えた断片が一つに結びつくとき、人類の歴史よりもはるかに古い恐怖が姿を現す。H・P・ラヴクラフトが生み出した怪奇文学の金字塔『クトゥルフの呼び声』は、のちに「クトゥルフ神話」と呼ばれる巨大な幻想体系の中心に位置する代表作である。ここに描かれる恐怖は、幽霊や悪魔の恐怖ではない。それは、人間の理解も道徳も届かない、宇宙そのものの暗黒である。「知ってしまうこと」そのものが恐怖になる。ラヴクラフト的宇宙恐怖の原点を、ここから体験してほしい。クトゥルフは眠っている。だが、その呼び声は、今もなお夢の奥から響いている。