豊臣家滅亡後の家康に残された仕事は幕府永続の礎石固め、すなわち確乎とした泰平の世づくりであった。「人間はみな永遠に続く大樹の枝葉なのだ」という万民の愛と安らぎをめざす世を! その理想を果たし、巨樹はついに波乱にみちた75年の生涯を終える。時代を超えて生きる壮大なロマン完結編。
各850円 (税込)
竹千代(家康)が生まれた年、信玄は22歳、謙信は13歳、信長は9歳であった。動乱期の英傑が天下制覇の夢を抱くさなかの誕生。それは弱小松平党にとっては希望の星であった――剛毅と希望を兼ね備えて泰平の世を拓いた名将家康の生涯を描いて、現代人の心に永遠の感動を刻む世紀のベストセラーの発端篇!
幼くして母との離別。さらに父広忠の非業の死。そして今川家への人質。乱世の嵐は容赦なく竹千代を翻弄する。しかし、思いがけず宿敵織田方の手に落ちた運命のいたずらで、竹千代は生涯の盟友となる信長と相まみえた。新しい時代の幕開け――この出合いには確かに歴史の流れの岐路があった……。
駿府の人質となっている三河の竹千代は、元服して松平次郎三郎元信と名乗った。やがて恋が芽ばえ、今川義元の姪瀬名姫と結婚、名も元康と改める。だがこの結婚、元康生涯の幸せを約束するものであったか? 永禄3年(1560)5月、義元上洛戦を開始。運命の桶狭間に向かって戦雲はなびく。
今川義元の死は元康の運命を大きく変えた。敗戦にまぎれ岡崎へ帰城、独立の第一歩がいま踏み出されたのだ。信長との同盟もなり、徳川家康と改名、今川の旧領を掌握して勢力を拡げたが、それは妻瀬名姫のはげしい反感と憎悪を買った。矛盾を内にはらんだまま、家康の東海制覇は着々とすすんでいく。
元亀3年(1572)、武田信玄がついに上洛戦の火蓋を切った。天下布武を豪語する信長と呼応した家康は、武田軍を捨て身で三方ケ原に迎え撃つ。この乾坤一擲(けんこんいってき)の家康の雄図をあざわらうかのように、銃後では妻築山殿(瀬名)と、家臣大賀弥四郎の裏切りの罠が、ひそやかにかけられつつあった……。
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