鉛丹侯は口をいっぱいに開いた。唇を失った彼がそうすると、髑髏が笑ったようだった。その、恐ろしい笑い顔の、呉藍色をした口の奥から、暗い色をした粘液が溢れ出した。粘液は黒よりも暗い色をしていた。涅色――海底で何億年もかけて溜まった泥の色だ。一休が感じた、夜行城を包む気配の色だった。(「尊氏膏」より)
第58回日本推理作家協会賞短篇部門候補の「東山殿御庭」ほか、一休宗純の活躍を描いた短編集。
*尊氏膏
*邪笑う闇
*ズイ(ずい)
*應仁黄泉圖
*朽木の花
*東山殿御庭
●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。
各770円 (税込)
鉛丹侯は口をいっぱいに開いた。唇を失った彼がそうすると、髑髏が笑ったようだった。その、恐ろしい笑い顔の、呉藍色をした口の奥から、暗い色をした粘液が溢れ出した。粘液は黒よりも暗い色をしていた。涅色――海底で何億年もかけて溜まった泥の色だ。一休が感じた、夜行城を包む気配の色だった。(「尊氏膏」より)
第58回日本推理作家協会賞短篇部門候補の「東山殿御庭」ほか、一休宗純の活躍を描いた短編集。
*尊氏膏
*邪笑う闇
*ズイ(ずい)
*應仁黄泉圖
*朽木の花
*東山殿御庭
●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。
神代より伝わる秘呪具“天の瓊矛”が大内裏から強奪されたのが怪異の始まりだった。局地的な大地震が起き、太陽は二つに分かれ、熱海沖には一夜にして魔神の横顔にも似た島“真仏島”が隆起する。強奪に巻き込まれ惨殺された辻君の無念を晴らすため、瓊矛奪引に立ち上がった一休宗純の前に、神、仏、魔王を超えた存在“魔仏”たらんとする六代将軍・足利義教、魔少年・赤松貞村、謎の神官・吉田憲法らが立ちふさがる……。長編伝奇時代小説。
●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。
青墨色の闇の中、“邪宝剣”八支刀三柄剣が十賊色に輝き、殺戮と焼尽の幕が切って落とされた。終わらない旱天に流行病、続発する民衆の暴動。時は正長元年、南朝復興を叫ぶ伊勢国司・北畠満雅は、伊勢裡宮に伝わる秘法により次代の帝・彦仁王の魂魄を抜き取った! 彦仁王の魂は、“器”と定められた虚丸の肉体に憑依する。放浪の僧・一休宗純は二人の少年を救うべく、伊勢裡宮へと旅立つ。“黒衣の宰相”三宝院満斎、北畠満雅、“旧司等”の神々を祀る裡宮の血族、それぞれの思惑は……。長編伝奇時代小説。
●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。
解き放たれた魔燈が暗黒き炎を点すとき、海を渡ってきた魔“悪巣(あくす)”があらわれた。四代将軍・足利義持の懸命の願いを受けた放浪の僧・一休宗純は、五代将軍・義量を“悪巣”の呪詛より救うため、彼に伴い鯖街道を若狭小浜へ向かう。道中に待つは敵の放った最強の忍びたち、そして“悪巣”の妖術による奇怪な罠。一方、“黒衣の宰相”三宝院満済も邪悪な秘術を使い陰謀を巡らせる……。長編伝奇時代小説。
●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。
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